【宮野真守】宮野真守が歌うリアル&
ファンタジーの世界

声優、役者、アーティストと多彩な活動で、さまざまな顔を見せる宮野真守が、1年8カ月振りのリリースとなる3枚目のアルバム『FANTASISTA』をリリース。KREVAの楽曲提供も話題をよぶ、彼の音楽観と想いをエンターテインメントで表現した作品だ。
取材:榑林史章

1stアルバム『BREAK』はワイルド、2ndアルバム『WONDER』では海をバックにさわやかで。そして、今回の『FANTASISTA』のジャケット写真は、すごくナチュラルな雰囲気ですね。

ビジュアルも毎回違ったほうが、聴いてくださる方に楽しんでいただけると思って。今回は、映画っぽくしたいイメージがあったんです。ブックレットには、かっちりした雰囲気の写真も使ってあって、両面を楽しんでもらえるものになっています。

“FANTASISTA”というタイトルは、役者としても、音楽性も、変幻自在の宮野さんにぴったりなものだと思いました。

ありがとうございます。今回は『オルフェ』と『DREAM FIGHTER』というテレビ作品のタイアップをいただいたシングルも収録されることが決まっていて。制作の時には、その作品の物語やキャラクターのイメージや想いを反映させるようにしました。それはある種のファンタジーだと思うんですが、そこには宮野真守がリアルに伝えたいメッセージも確実に込められているんです。そういう、リアルだけどファンタジーみたいなものをテーマにしようと。それで、ファンタジーから言葉を探していくうちに、“FANTASISTA”という言葉に行き着きました。

“FANTASISTA”というと、デル・ピエロやトッティなどのサッカー選手を褒め称える言葉というイメージでしたが。

学生時代にサッカーをやっていたので、僕もずっとそう思っていたのですが、改めて意味を調べたら、もともとは“機知に富んだ台詞と即興芸の得意な役者”という意味だったんです。それを知った時に“あっ! なるほどな~”と思って。ちょうど今自分がこのアルバムでやろうとしていることや、常に自分が大事にしていることが、その言葉の意味としっくり馴染んだんです。それで、じゃあ、“FANTASISTA”を目指して作ろう!となりました。

「EGOISTIC」という曲は、まさにファンタジーっぽい雰囲気から始まり…ヘヴィなビートのR&Bナンバーですね。

ヒーローでもヒール(悪役)でもなく、自分の信じる正義を貫くまっすぐさや、カッコ良さを表現した楽曲です。

役者の世界は台本があり、監督や演出家がいて、その指示に従ってやっているわけですが、音楽の場ではもっと自分のやりたいことに対してエゴイスティックにやっていきたいと?

ここで歌っているエゴは、自分のやりたいことだけをやるということではなく、自分のポリシーを貫くという意味です。だから、役者の仕事でも、音楽でも、エゴイスティックであるべきだと思っています。前に進もうとする時、どうしても自分の弱さや自信のなさ、ジレンマなどが障害となることがありますが、自分のポリシーを貫くことでそれを乗り越えていける。まず突き進むことが重要で、そのやり方が人によっては邪道に見えることがあるかもしれないけれど、それがその人のパーソナリティーになっている部分が大きいと思うんです。僕がこれまでに出会って演じてきたキャラクターには、そういう自分の正義を貫いているヤツが多くて。今もそういうキャラクターを演じていることもあって、こういうテーマはとても大切なんじゃないかと思いました。

宮野さんが作詞をされている「Beautiful Life」はミディアムのアコースティックサウンドで、力強さもありながら、まっすぐさやさわやかさもあって、すごく良い曲だなと思いました。

ありがとうございます。これは、作曲のJin Nakamuraさんと作らせていただきました。2011年は本当にいろいろなことがあって、僕自身いろんなことを考えました。この曲では、そうした気持ちの整理というか…振り返りつつ、自分が感じた想いや、これから進む未来に馳せる想いなどを、自分自身でもう一度しっかり確認したいと思って書いていって。そうして辿り着いたのが、タイトルの“Beautifun Life”という言葉なんです。アルバムのラスト曲という意味でも、現在の僕の想いがたくさん詰まっているものになっています。この曲で言いたいことは全て歌詞に込めているので、ぜひじっくりと聴いてください。

「FANTASISTA」はKREVAさんの楽曲ですが、どういった経緯で?

昨年の冬に、KREVAさんが音楽監督を務めた音楽劇『最高はひとつじゃない』という舞台に出演させていただいたんです。KREVAさんご自身も出演されていて、そこで初めてお会いしたのですが、その舞台を通じてKREVAさんの人間力に魅了されてしまったんです。それで舞台が終わった後、ダメもとでオファーさせていただいたら、びっくりするくらいの快諾をいただいて。

宮野さんの中では、どんな曲になりましたか?

これは僕の勝手な印象ですが、KREVAさんが思う宮野真守像を曲にしてくれたんじゃないかなって。曲調はアゲアゲだけれど切ない感じもあって。歌をメインで聴かせつつ、ライヴでみんなと盛り上がれる部分もある楽曲を作っていただきました。

しかし、サウンドのテイストもそうだし、歌詞の部分でもすごく幅の広い作品になりましたよね。

はい。『Burning Point』はアッパーでゴリゴリの4つ打ちのダンスミュージックだし、『燦灯歌』は神聖な雰囲気を持ったシンプルなバラードですし。『Secret Line』は大人の世界観を持ったジャズテイストで、秘密の出会いを歌っています。アルバムとかシングルとか関わらず毎回そうですが、せっかくみなさんに聴いていただくのだから、イメージの違う曲をなるべくたくさんやって、“面白い作品だな”と思ってもえたら嬉しいですね。実際に自分自身も、いろんなジャンルの音楽が好きで聴いています。

全体に前の2作より大人っぽいですよね。と言うことは、大人の男のファンタジスタみたいな…イタリアの伊達男っぽいけど(笑)。

そういう方向性も少しは打ち出して行こうかなと(笑)
『FANTASISTA』2012年04月18日発売KING RECORDS
    • 初回限定盤(DVD 付)
    • KICS-91759 3500円
    • KICS-1759 3000円
宮野真守 プロフィール

ミヤノマモル:『DEATH NOTE』『機動戦士ガンダム00』『ポケットモンスター ベストウイッシュ』『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE』シリーズ『ちはやふる』などのアニメ作品に加えて、『ファンタスティックビーストと魔法使いの旅』などの吹き替えにも出演する人気声優。2008年よりアーティスト活動をスタート。声優、俳優の現場で培った豊かな表現力と類い稀な歌声、そしてダンスを駆使した高いライヴパフォーマンス力を武器に、独自のエンターテインメントを追求し続け、日本武道館やさいたまスーパーアリーナでの単独公演も成功させている。宮野真守 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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