L→R 河井純一a.k.a NAUGHTY BO-Z(Produce&Composer)、片桐舞子(Vo)

L→R 河井純一a.k.a NAUGHTY BO-Z(Produce&Composer)、片桐舞子(Vo)

【MAY'S】何の縛りもなく作ることが
一番MAY'Sらしいと思った

片桐舞子の声帯結節の手術により活動を休止していたMAY'Sが完成させた、待望のニューアルバム『Smiling』。結成10周年のメモリアルイヤーに発表され、MAY'Sを象徴する言葉をタイトルに掲げた同作について、ふたりは“自分たち自身を表現するアルバムになった”と語った。
取材:石田博嗣

“Smiling”以外に付けるタイトルはな
かった

4thアルバム『Smiling』が発表となりましたが、まず思ったのは“ついにこのタイトルがきたか!”と(笑)。

舞子
さすが(笑)。ファンクラブの名前にもしているし、私たち的にも思い入れのある言葉なんですよ。特に歌っている時の私の表情がとても楽しそうで、いつも笑っているように歌っているって言われるので、MAY'Sを象徴する言葉になってきているなって。で、去年はたくさん心配をかけて、いっぱいご迷惑もかけたけど、こうやってアルバムをリリースすることができたので、これはもう“Smiling”以外に付けるタイトルはないだろうと。だから、最初に“Smiling”というタイトルにするっていうことを決めて、制作に入りました。

去年は舞子さんの声帯結節の手術のため活動を休止していた期間があったわけですが、アルバムの制作はいつ頃から始められたのですか?

舞子
年が明けて、ちょっとリハビリを始めて、その後なので3月ぐらいですかね。
河井
3月ぐらいからダーッと作った感じですね(笑)。僕は舞子が歌えない期間に曲作りとかしていたんですけど、舞子は3月ぐらいから作業に入ったっていう。
舞子
手術してすぐにうまく歌えたのかって言ったら、やっぱりそうではなくて…。ある程度は覚悟してたんですけど、最初は思った以上に歌えなかったんですよ。なので、かなりギリギリまで引っ張って制作をやってましたね。

手術して発声方法が変わったとかもあったのでは?

舞子
変えましたね、ある程度は。復帰に向けて歌い始めた頃はびっくりするぐらい歌えなくて。あんなに必死になって歌の勉強をしたのは人生で初めてなんじゃないかって思うぐらい、ヴォイストレーニングもそうだし、自分自身も“どうすれば声が出るんだろう?”って考えながら毎日練習してました。
河井
去年の秋の手術直前ぐらいって歌声だけじゃなくて、喋り声もスナックのママみたいにガラガラだったので(笑)、精神的なところも含めて、すごく辛そうだったんですね。ただ、主治医の先生が手術をすれば確実に治るっておっしゃってくれていたので、MAY'Sとしては休止になるけど、先のことを見越した上で“手術してもいいんじゃない”って背中を押したんです。でも、手術後のリハビリがこんなに大変なものなのかって。最初は“これ、手術しないほうが良かったんじゃないか?”ってふたりで焦りました(笑)。
舞子
でも、MAY'Sとして10年活動してきて…それこそ小さい頃から民謡を習っていたので、ずっとステージに立ってきた自分の人生の中で、もう一回、一から歌を勉強しようっていうのは、こういう機会がないと思わないことだし、こうやって歌と向き合って、頑張ったことっていうのは絶対に自分の力になるはずだからって気持ちを切り替えてからは、すごく前向きにやってましたけどね。

制作が3月からだったそうですが、楽曲自体は用意されていたのですか?

河井
そうですね。今回って5~6年前とかに作ったストックが何曲かあったり、すごく最近に作ったものもあって…それは意図的なところもあるんですけどね。結成10周年のメモリアル的なところもあって、インディーズも含めて過去のMAY'Sが垣間見れるっていうか、各年代をつまみ食いしたような感じにしたいと思ったので、あえて昔に作った曲をそのまま入れたり、逆に今の気持ちで作った新曲を入れたりしました。

アルバムの全体像も見えていたのですか?

河井
なんとなくポジティブな感じにはしたいと思ってましたけど、それぐらいですね。毎回そうなんですけど、“こういうことをやろう”とかは考えてなくて、どちらかと言うと“こういうのはやめよう”っていう縛りを作ることが多かった気がするんですね。でも、今回は“Smiling”っていうタイトルを最初に決めたことで、いろんなリミッターが外れて…そのワード自体がMAY'Sを象徴しているから、何も考えずに、何の縛りもなく作ることが一番MAY'Sらしいのかなって思ったんですよ。なので、いつもだったらカッコ付けちゃう部分があったんですけど、そういうのを気にせずにやったというか。
舞子
歌詞も“Smiling”っていうタイトルをアルバムに付けちゃったもんだから、いくらでも笑っていいんだって思えたっていうか。基本的にポジティブな人間なので、何も意識せずに書いたら全部ポジティブなものになるんですよ。だから、いつもはバランスを考えて、あえてポジティブなワードを削ったり、陰と陽の陽に寄りすぎずに陰の部分も見せたりするんですけど、今回は“こういうタイトルを付けた以上、どんだけ明るくてもいいよね”って感じで歌詞を書いていたので、明るくてポジティブなキーワードが自然と多くなったと思いますね。歌詞もリミッターが外れてます(笑)。

トラックに関してもギターが主張していたりして、今までと違う印象を受けました。

河井
そうかもしれないですね。ってか、そこも極端かもしれない(笑)。MAY'Sって振り幅が広いほうだと思うんですけど、そこがより極端になったと思います。「Smiling」はカントリーっぽくしてみたり、「CrazyAboutYou」ではディストーションギターのカッティングが鳴っていたり、逆に「Bad Man Feat. DOBERMAN INC」は思い切りクラブ系だったり。結構、振り切ってる感じが多いですね。

「Smiling」はバンジョーとか鳴ってますからね。

河井
あと、マンドリンやトロンボーンも入れてウエスタン風に。確かに、新しいですね。この曲ってタイトル曲なんで書き下ろしみたいな感じなんですけど、実は2年前ぐらいにファンクラブのテーマソング用に作った曲なんですよ。でも、作ったはいいものの、“Smiling”っていうタイトルを付けたもんだから、軽はずみでは出せなくなっちゃって(笑)。結果2年間温めていたんですけど、今回のアルバムのタイトルが“Smiling”ってことなら入れるしかないでしょうって。
舞子
歌詞もそのままでね(笑)。だから、結果的には今を待っていたんだろうし、やっとこの曲を収録できるアルバムができて良かったと思ってます。

OKMusic編集部

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