【KEN THE 390】2012年の空気が詰ま
った
フレッシュネスな作品

“KEN THE 390が主催レーベル“DREAM BOY”を設立し、初のアルバム『DREAM BOY~ある晴れた日の朝に~』を完成させた。前向きでメロディー際立つ楽曲が並ぶ新作について語ってもらう!
取材:土屋恵介

主催レーベル“DREAM BOY”を立ち上げたきっかけからお聞かせください。

もともとインディーズで活動して、それからメジャーに行ったんですけど、それと同時に自分でイベントもやってたんですよ。そうして活動していく中で、イベントを軸にしながら音源も良いタイミングでリリースしていきたいと思うようになり、活動の足場をしっかり作り直す感じで、去年、自分のレーベルを立ち上げたんです。

そして、そのレーベルからアルバム『DREAM BOY~ある晴れた日の朝に~』を発表しますが、どんな作品を目指しましたか?

去年くらいから、サウンドも歌詞もなるべく今の自分のモードや思ってることを、そのまんま曲に出したいと思ってました。つまり、2012年に出るアルバムにしたかった。ちょうど自分がレーベルを立ち上げて未知の領域に行くっていうアーティストとしての思いと、2011年いろんなことがあった中で生活していて感じた個人の思いが重なったんですね。今って、この先に何が起きるか分からない状態じゃないですか。でも、行くしかない…ポジティブな思いを船出としてイメージしたものを書いていこうと。

まさにジャケットの通りですね。海の音のイントロから船出して、ここから行こうとラップするさわやかな「Lego!!」、折れない気持ちを歌ったバンドサウンドが響く「Dream Boy」と前向きな気持ちが伝わってきます。

アルバム作る時って、喜怒哀楽を全部入れたいって今までは思ってたんです。でも、今回に関してはサウンドのバリエーションはあるけど、感情はひとつのムードでいいなって。『Dream Boy』はこのレーベルでの最初のシングルで、自分でフックを歌うのも初めてだったんです。これができたことで、メロディーやフックを使っていこうと可能性が広がりました。

しかも、「Dream Boy」は今作の柱にもなっていますよね。

そうですね。『Stay Gold』では人に書いてもらったメロディーを歌ったんですけど、これも今までまったくやったことがなかったから新鮮でした。トラックメイカーも知ってる人だけじゃなくて、新たに出会った若い人にもビートをもらいました。『Lovin’ You All』はTwitterで朝にメールもらって音聴いて、昼には歌詞を書いて、夜には一緒にレコーディングしてました(笑)

新たなトライもしつつ、今の時代のスピード感も詰まってますね。「Lovin’ You All」のようなラブソングもあれば、世の中での自分の立ち位置を鋭くかつコミカルに歌った「っていう立場です」、ライヴのオーディエンスとのつながりや音楽に向かう姿勢を描いた「Show Goes One」、ずばり2012年の今の空気感をパッケージした「Don’t Look Back」など、先ほどもおっしゃていたようにバリエーション豊かな作品で。

改めて思ったのは、ヒップホップは他のジャンルと違って“フレッシュネス”が大事だなってこと。極端なことを言えば、絶対に今聴いてほしい音楽で、一年後に古くなってても構わないんですよ。良くも悪くも消費されることに慣れてるし、耐えうるカルチャーだし。今歌った曲たちが一年後は“恥ずかしいこと言ってんな”って思っても良くて。そうしたら、その時にその瞬間のヒップホップを作ればいい。今年のアルバムだよっていうのをところどころで匂わすことができた、2012年の作品が作れて良かったです。こういう感じで、毎年出したいんですよ。自分のレーベルの最初のアルバムとして、理想的なものができました。
KEN THE 390 プロフィール

日本のヒップホップをより拡大させる新世代の旗手。99年から活動を開始、年間100本を超えるクラブでのライヴをはじめ、フリー・スタイル・バトルでの数々の輝かしい戦歴により、その名は全国区へ。同時に作品ではスムースなラップと豊富なボキャブラリーに的確なライミングを絡ませる独自のスタイルを確立している。

06年3月には1stソロ・アルバム『プロローグ』を発表。現場での機能を重視した初期の作風はより洗練され、音源ならではのスムースなラップ・アプローチも見せるようになり、07年6月には2ndソロ・アルバム『My Life』をリリース。リード曲「H.I.P」ではDJ WATARAIのビートにMUMMY-D(RHYMESTER)をフィーチャー。堂々と渡り合うフレッシュなラップで新世代の息吹をリスナーに届け、他にもDJ MITSU THE BEATSやRomancrew、COMA-CHIなど豪華メンツが参加するなど早くも名盤の風格をものにする。続いて07年11月には、アウトテイクと新曲を混ぜ合わせた外伝的作品『More Life』を発表、常に鮮度の高い作品を発表する姿勢を維持してみせた。

08年には<avex>内のレーベル<rhythmzone>と契約、08年10月にミニ・アルバム『FANTASTIC WORLD』でメジャー・デビュー。この発売を皮切りに、さらにその活動の幅を広げながら、次々と新しいラップのスタイルを提示し続けている。オフィシャルHP

OKMusic編集部

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