取材:ジャガー

心の奥底に眠らせている言葉を吐き出し
たかった

コンスタントなリリースを重ね、その度にさまざまな表情を見せてくれるミリヤさんですが、今作ではミリヤさんの“生”や“素”といった部分をより垣間見ることができたように思います。4thアルバムとなる今作はどういったものを作ろうと?

20代になって初のオリジナルアルバムですし、4枚目のオリジナルアルバムということで、“今の私が本当に思っていることは何なのか?”“私は何を歌うべきなのか?”を自分の心に問いかけて一曲一曲作っていきました。心の奥底に眠らせている言葉を吐き出したかったんです…なので、今までで最も辛いアルバム制作でもありましたね。ファンのみんなが私にどんなことを歌ってほしいと思ってくれているのかもすごく考えました。それを色濃く反映できた『Aitai』は、私だけじゃなく、たくさんの人の切なく辛い気持ちがものすごく強いので、いつ歌っても胸が痛くなります。

だからこそ、自分の傷であったり痛みまでも作品に落とし込んでいるのですね。アーティストとして、いち人間としても信頼することができました。聴いていて距離感もなかったですし、すごく近くで支えられているようでした。

リスナーとの距離感が縮まるようには気を付けていますね。ただ、基本的には自分の中から出てくる感性をとにかく信じているので、諭したり、“こうなんだよ”って押し付けるようなことは絶対にしたくない。私は、みんなと同じ気持ちを共有したいだけなんです。毎日の生活の中でも、本当にたくさんの方に『Ring』を聴いていただけていることを感じているので、苦労して作ったアルバムの中身をちゃんと受け止めてもらえて、私自身救われました。自分という人間をまた知ることができ、音楽をもっと好きになれた作品ですね。

やはり、20代になってみて心境の変化はありましたか?

かなりありますね。10代の頃よりももっと責任を感じるようになりましたし、もっとストイックになれていると思います。どんなことにおいても一切妥協できなくなりました。そして、すごく自由な心であらゆるものと向き合えるようになった気がします。でも、20代になっても孤独や不安と戦い続けているということは変わりません。

個人的に「Love for you」の歌詞の内容が一番胸に残りました。“強く生きていくには そう 愛する人の存在 必要”というのは一理ありますよね。特に女性の場合だと、恋をすると自然とキレイになっていくし、普段の生活への活力にもなる。男女ともに誰かを愛すると不思議なエネルギーに満ちあふるように思います。ミリヤさんの考える本当の愛とは、具体的にどういったものですか?

お互いがお互いに求めていることを理解できている関係。相手の幸せ、喜びを心から想える関係です。

そういった関係を築けると素敵ですね。「ありがとう、」のタイトルに含まれている“、”には、ありがとうに続く言葉が相手に言えない切なさが込められているように思いました。

どんな形でも、恋の終わりは美しくありたいと願っていて。愛し合っていたふたりが別れを選ぶのはとても言葉では表せないほど複雑ですが、それでも自分という存在を必要としてくれて、自分はどんな人間なのかを教えてくれたことに、私は“ありがとう”っていう感謝の気持ちを強く感じるんです。だけど、離れてしまったからにはその“ありがとう”という気持ちを伝えることはできません。

友情を描いた「Happy Celebration」の温度感が心地良かったです。気の許せる相手がいることは頼もしいですね。

そうですね。私自身、友達と一緒にいる時は、かなりハッピーな感じです。キャッキャしてます(笑)。たくさんで集まって楽しく過ごすのは大好きなので。

「Dance tonight」のサビの“1秒でも無駄にしたくないよ”は、音楽やファッションといろんなことに興味を持ち、吸収していくミリヤさんの意欲的な部分から来ている言葉ですが、新たに始めてみたいことはありますか?

表現をさせてもらえる立場にあるからこそ、常に進化しなくてはいけないと思っています。だからこそ、いろいろなことを学びたいですね。とにかくもっともっと音楽、ファッションを知りたいし、追求したいです。

突き詰めていった結果が、9月から始まるツアーでどう表現されるのか楽しみです。

間違いなく前回のツアーよりもパワーアップしますし、メッセージ性の強いショーになると思います。ステージでも進化した加藤ミリヤを観てもらえるんじゃないでしょうか。ツアーグッズも…期待しててください。

11月18日には、初の武道館公演もありますしね。

あの武道館で自分の世界を観てもらえると思うと、今からとても興奮しています。武道館は今の私に必要な場所だと強く思いますね。
加藤ミリヤ プロフィール

1988年6月22日生まれ、愛知県豊田市出身。ハスキーなクリスタルボイスを持ったシンガー・ソングライター加藤ミリヤ。13歳で「ソニーミュージック・オーディション」オーディションに合格し、作詞・作曲を本格的にスタート。03年9月、Reggae Disco Rockersが発売したアルバム『Reggae Magic』の1曲にゲスト・ヴォーカルとして参加、04年5月には童子-Tのシングル「勝利の女神 feat. 加藤ミリヤ」にフィーチャリング参加するなど、デビュー前からクラブシーンを騒がす存在に。

04年9月8日、<Sony Music Records/MASTERSIX FOUNDATION>から1stシングル「Never let go/夜空」でメジャー・デビュー。BUDDHA BRANDの名曲「人間発電所」を大胆サンプリングした「夜空」は話題を呼び、先行アナログ・シングルは即日完売。追加プレスのオーダーも殺到し、現在も入手困難な伝説の一枚となる。メジャー・シーンで活躍を続けつつ、コアなクラブ・シーンからの支持も厚いのが彼女の特徴だ。05年3月に発売した3rdシングル「ディア ロンリーガール」は、現役女子高生だったからこそ生まれたリアルなメッセージが同年代に共感を呼び、スマッシュ・ヒットを記録。9月に発売した4thシングル「ジョウネツ」でUA「情熱」(96年)を大胆にサンプリングして話題を呼ぶと、10月にリリースされた1stアルバム『Rose』が、オリコン週間チャート初登場2位を獲得した。

06年9月に発売した7thシングル「I WILL」では、初の本格派バラードに挑戦し、沢尻エリカ主演の映画『オトシモノ』主題歌に起用される。恒例となったc/wでのサンプリング楽曲には、RIP SLYME「One」をサンプリングした「So gooood」を収録。07年2月には、映画『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』の主題歌に大抜擢された「Eyes on you」をリリース。ポップなメロディに恋する女の子のストレートでポジティヴなメッセージを綴ったディスコ・チューンが話題に。先行アナログも限定発売され、クラブ・シーンで大ヒットとなり、現在もロング・セールスを記録中。3月には、4枚のシングルを含む2ndアルバム『Diamond Princess』をリリースし、初の全国ワンマンツアーも大成功を収める。

07年10月、若旦那(湘南乃風)トータル・プロデュース、MINMIトラック・メイキングによる「LALALA feat. 若旦那(湘南乃風)/FUTURECHECKA feat. SIMON、COMA-CHI&TARO SOUL」をリリース。初のオリコン週間シングルチャートTOP10入りを果たし、5日後には、若旦那と共に二人の母校である明治学院高等学校で凱旋ライヴを開催した。08年2月には、「19歳の今だから歌いたい」とあの名曲をモチーフに「19 Memories」をリリース。19歳のリアルを歌った意欲作となり、11月に発表した自身初のベスト・アルバム『BEST DESTINY』では、オリコン週間ランキングで堂々1位を記録。20歳4ヶ月26日での1位獲得は、シンガー・ソングライターのベスト・アルバムとしては宇多田ヒカルのもっていた21歳3ヶ月を抜く最年少記録を打ち立てた。オフィシャルHP
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OKMusic編集部

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