曲の美しさを前面に出した、春を待ち遠しくさせる新作。どこか胸を締め付ける切なさがあるものの、それだけでは終わらない。後から追いかけてくる温もりが心地良く響くミニアルバムだ。
取材:ジャガー
曲ごとにカラーは違いますけど、全体としてまとまりのある作品になっていますね。
柾
自分たちにはミニアルバムがちょうどいいみたいです。フルアルバムだとゴールが遠いけど、6曲ぐらいだとコンセプトも決めやすかったですし。
YUKA
特にこの作品に向けて出した楽曲たちではないですけど、何となく春のお花みたいなふんわりしたイメージは全体としてありました。ストリングスもたくさん使って、きれいなアルバムを心がけましたね。
「Brilliant days」は冷たさもありますが、最後には温もりもあって幻想的でした。
YUKA
夢の甘い感じと現実の突き刺す感じの狭間で漂うものを表現したかったので、クリスタルの中で泳いでいる人魚を想像しながら物語っぽい歌詞を付けました。ずっと見てるんだけど、目をそらされてるような…違う世界に生きていると分かっていても、まだ夢を見ていたいという気持ちがあって振り切れなくてさまよってるんですよね。
胸を締め付けられる切なさは「Kiss me Baby」にもあって、より物語を意識した歌詞になっていますよね。
YUKA
どうしようもなく胸が締め付けられるものが好きで(笑)。そこがmoumoonの良さでもあるから、かたちにできてうれしかった曲ですね。トラックダウンの時に、あまりに良すぎて泣いちゃった曲です。
サビのインパクトも強いですし、言葉とサウンドのハマり具合がいいですね。
柾
具体的に述べている歌詞じゃなくて、なんか断片的に描いてあるんだけど、気持ち良く入ってくる魅力がありますよね。あと、歌詞を抜いてサウンドだけでもカッコ良いものができました。ただ、マニアックな部分もあるから分かりづらいかもしれないかな…でも好きです(笑)。moumoonを好きだと言ってくれてる人にはすごくハマる曲だと思います。
YUKA
ぜひ寝る前に聴いてほしいです。夢から覚めて無性に寂しい時ってあるじゃないですか。そんな時でも側にいてほしい、怖い夢を見ないように包み込んでほしいっていう女性のしおらしさを描いてみました。『不思議の国のアリス』を抽象的に描いている曲でもあります。
「MUSIC」はリズムに乗って楽しめました。ここまでかわいらしくポップに仕上がっているのも珍しいかと思うのですが。
YUKA
こんなに遊んだのは初めてですね。何に対しても、力が入りすぎちゃうよりもちょっと力を抜いてやったほうが上手くできたりするじゃないですか。そういう心がけ的な曲ですね。
こういうテイストの曲はひとつ間違えればチープになりすぎてしまうから難しかったのではないですか?
柾
そこは自分でも上手くチープ感を出せたと思いますね。単純に音楽がすごい好きっていうことを言っているんですけど、YUKAちゃんがこういう歌詞も書けるんだっていう驚きもありました。成長したのか、昔からこういう歌詞が書けたのか分からないですけど。すごいと思いますよ。“生まれた時代が「時代が悪かった」ってそんな、もう、、、百年前の誰かさんも そう言っていた”っていうところが面白いなって。意外と書けそうで書けないですよね。
思わずドキっとしてしまうフレーズでした。そして「天国に一番遠い場所」の捉え方が新しいですよね。一般的に天国と言えば、素敵な場所という見方が多いですが。
YUKA
そうですよね。ウェディングソングとして花嫁目線で歌っているんですけど、一生を添い遂げようと思って結婚するわけじゃないですか。その時に初めて“生きることって何だろう?”って考えるはずなんですよ。それがプロポーズを受けた時なのか、婚姻届を出す時なのか、指輪をはめる時なのかは人それぞれで。そういう時って幸せだから天国みたいだけど、これからふたりで生きていくんだから“ふたりにとって天国はずっと遠い場所なんだろうね”って言えてるふたりが素敵だなって。
一番最後に作られたという「リフレイン」は、大切な相手を思う感情がいろんな意味で読み取れました。
柾
確かに。しかも、会いたい相手が恋人だけじゃなくて、友達でもいい。
YUKA
ダメかもしれない、けど頑張らなきゃって思う瞬間に思い出すんですよね。“大丈夫だよ”って励ましの言葉であったり、厳しいアドバイスであったり。それがずっと自分を励ましてくれていて、一歩前へ踏み出す手助けをしてくれているように思います。他の楽曲に比べてキャラクターも中性的なので、男性女性問わず大切な人を思って聴いてもらえるんじゃないかな。
ピンチな時に出てくる言葉は、本当に身近な人の何気ないひと言なんだけど、救われる時ってありますよね。
YUKA
そのぐらいがいいんです。忘れてるようだけど、咄嗟に出てくる言葉ってちゃんと刻まれてるんですよ。
「リフレイン」を聴いてると、久しぶりな友達に連絡をとってみようかなって。一緒に当時の思い出も蘇ってきました。
YUKA
今回のミニアルバムに関してだけど、ここまで前向きな曲って初めてな気がしますね。
柾
恋愛を歌ったいわゆるラブソングじゃない曲が多いかもね。大きく言えば、どれもラブソングなんだけど。
そうですね。これまでは歌っている対象の相手を限定していたのが、友人、恋人、家族といろんな大切な相手に当てはまる気がします。
柾
「青い月とアンビバレンスな愛」も恋愛の歌だけど、恋愛だけに特定しないよね。
YUKA
若干浮いてるような気もするんですけど、「青い月とアンビバレンスな愛」が最後にあることで『リフレイン』という作品をしっかり締めてくれてますね。「リフレイン」で現実的なところから始まって、だんだんと夢見心地になり、「MUSIC」で軽くジャブを打ってから、「青い月とアンビバレンスな愛」を聴いてもらう。いい流れだから、改めて最初に戻って聴いてもらうのもいいですね。
ヴォーカル YUKAとギター柾昊佑(まさきこうすけ)によるユニットで2005年結成。
フランス語の『mou(やわらかい)』と、英語の『moon(月)』をかけあわせて作った“やわらかい月”という意味の造語。
YUKAの柔らかく暖かな、それでいて鋭くエッジのきいた歌声と、柾が創造する印象的なメロディーが絶妙にマッチし、繊細且つ大胆なアレンジが施された楽曲が聴き手を柔らかく包み込む。
2006年7月に限定シングル「Flowers/pride」でデビュー。2007年8月ミニ・アルバム「love me?」でavex traxよりメジャーデビュー。
同年12月にリリースした1stシングル「Do you remember?」がラジオ、衛星波21局でパワープレイを獲得する。
2008年7月、自身初となるのワンマンライヴ(原宿ASTRO HALL)を行いチケットSOLDOUTとなる。同年12月(渋谷duo music exchange)、2009年5月(赤坂BLITZ)に行われたワンマンライヴでは両公演共にチケットが即日完売となる大盛況ぶりを見せた。
同年7月には通算5枚目となるシングル「On the right」のリリースが決定、10月には日比谷野外音楽堂でのワンマンライヴを行う。オフィシャルHP
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