L→R 後藤裕亮(Gu)、高地広明(Dr)、日高 央(Vo)、菊池 篤(Gu)、越川和磨(Gu)、寺尾順平(Ba)

L→R 後藤裕亮(Gu)、高地広明(Dr)、日高 央(Vo)、菊池 篤(Gu)、越川和磨(Gu)、寺尾順平(Ba)

【THE STARBEMS】レベルミュージック
としてのパンクをやりたかった

元BEAT CRUSADERSのヒダカトオル改め日高 央が、新たに結成したTHE STARBEMS(ザ・スターベムズ)。ラウドさとメロディーセンスの絶妙なラインを突くサウンドはかなりの衝撃。日高と越川和磨(元・毛皮のマリーズ)に話を訊いていこう。
取材:土屋恵介

THE STARBEMSの結成の経緯から聞かせてください。

日高
そもそもBEAT CRUSADERSの晩年は、ラウド化したかったんです。2008~9年頃FACT、ONE OK ROCK、それこそよく間違えられるMAN WITH A MISSONとか、出てくる若手がラウドめが多くて。当時はお面の面白いポップなおじさんたちって定着してたけど、もともとインディーズ時代はBRAHMAN、BACK DROP BOMBとかラウド界隈でやってたわけで、そっちに戻りたいなと。ですがメンバーの賛同を得られず、しばらくしてあえなく散開と(笑)。BEAT CRUSADERSは自分にとっても大きかったので、ラウドなものをやるには冷却期間を置きたくて、MONOBRIGHTに参加したり、ヒダカトオルとフェッドミュージックをやったり、あえてラウドと逆に振り切ったんです。2~3年かかったけど、もくろんでいたラウドなバンドを始められて、去年の9月くらいに今の編成になりました。

日高さんはヴォーカルのみで、ギター3人って編成も驚きましたが、メンバーの中でも、元・毛皮のマリーズの越川和磨さんがいるのは意外性がありますね。

日高
最初は千葉の後輩に声をかけて、いろんな人とセッションしていったんです。越川和磨ことニシくんが入ってからバンドの空気がガラッと雰囲気変わりましたね。
越川
紹介されてリハに行ったら、やってた音がビークルっぽくて、それじゃあ面白くないなと思って、バンドをかき回してやろうと全然違うことやり始めたら、みんなもいいってことになって、バンドが変わっていったんです。

バンドの方向性が見えた曲は?

日高
シングルにもなった「THE CRACKIN'」ができて、バンドの方向性が見えました。ちょうど、ディスチャージ、GBHとか80'sハードコアを聴き直してたんです。叫んでるようで緻密なメロディアス加減がいいなと思って。スクリームと80' sハードコアを自分なりに合わせて、「THE CRACKIN'」ができたんです。シャウト& メロディアスって自分内新ルールみたいなのができて、あとは早かったですね。
越川
このバンド、ギターが3人いるので、最初はみんな同じコード鳴らしちゃってたんですよ。そこを、(菊池)篤が低音、後藤(裕亮)が上の音、俺が真ん中って役割が分かってから、曲が作りやすくなりましたね。

アルバム『SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD』は、ラウド、ハードコア、パンク、ガレージ、ストーナーな ど、いろんなサウンドをミックスして披露しています。

日高
今のラウド勢を見ると、何がハードコアで、ミクスチャーでってボーダーラインがないから、そこを逆手にとってポップに聴かせられるなって思ったんです。“ハードコア” “パンク”ってキーワードで何でもできるのがウチらの強み。聴いた人が、“全然ハードコアじゃない” “ポップじゃない”と思ってもいいから、縛りなく気にせずやろうと。俺とニシくんは、どうしてもBEAT CRUSADERS、毛皮のマリーズって先入観で見られると思うけど、そこは覚悟してて、それを上手に裏切らないとやる意味もないと思ってるんです。

確かに、いい裏切り感は出てますね。

日高
こういう音楽ってある意味、隙間産業で、誰も手を付けてないところが一番カッコ良いなと思ってて。でも、何でもいいわけじゃなく、そのチョイスのセンスを出して、ラウドな音楽の中で競い合えたらというのも、このバンドの大きな狙いのひとつでもありました。

歌詞は社会の問題に訴えかけてるものが多いですね。

日高
歌詞は震災以降のメッセージですね。やっぱり震災は、このバンドをやる大きな要因でした。俺もニシくんも、震災前にバンドが終わって、俺はソロ名義で、ニシくんは裏方やサポートギターを弾いたりしてたけど、なかなかメインのバンドで役立ててないジレンマがありましたし。だから歌詞の話に戻すと、そこで歌うべきテーマははっきりしてましたね。自分が聴いてたパンク、ラウドミュージックは、社会へのメッセージを歌ってたし。ウチらは、やってることはシリアスで、まぁライヴのMC は相変わらずくだらないけど(笑)。

(笑)。つまり、THE STARBEMSの音楽は、レベルミュージックであると。

日高
そういうことです。レベルミュージックとしてのパンクをやりたかったんです。バンド名も、今みんながあまり触れてない、ザ・スターリンっぽい名前が良いなってとこで、“THE STARBEMS”にしたんです。ウルトラセブンに出てくるギエロン星獣の「星獣」を英語にして。あと、震災以降の動きを、ギエロン星獣の回(第26 話「超兵器R1号」)のストーリーに置き換えて、“人間の一方的で利己的な文明開発が本当に人類に幸せをもたらすのか?”っていうのが、バンド自体の裏テーマになってますね。アルバムタイトルもモロボシダンの名ゼリフ、“血を吐きながら続ける悲しいマラソン”を英語にしたものなんです。

なるほど。では、アルバムを作り終えての今の思いを聞かせてください。

越川
俺は、日高さんの必殺技が随所に出てるなって。
日高
そんなのあった? 自分じゃ気付いてないけど。
越川
いやいや、あるじゃないですか。叫びつつエモく美しいメロディーが出てるし。アルバムは、このバンドのフォーマットができたと思ってます。ここからまだまだいろんなことできるなって思うし。
日高
まず最初の一歩目というのは、いい感じに出せたかなと
思います。ハードコアだと思って“メロディー感がないのか”って
敬遠する人にも大丈夫だし、逆に“ポップで甘い感じでしょ?”っ
て人にはビターなとこもあるし、ちゃんとど真ん中になったのか
なって。世間的など真ん中じゃないけど、ミュージックラバーズ的
にはど真ん中になってるはずです。
『SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD』2013年06月05日発売DefSTAR RECORDS
    • 初回限定盤(DVD付)
    • DFCL-2008〜9 3200円
    • 通常盤
    • DFCL-2010 2800円
THE STARBEMS プロフィール

ザ・スターベムズ:2012年12月、日高 央を中心に結成。10年9月のBEAT CRUSADERS散開後、数々のプロジェクトと平行してソロ活動を始動した日高が、同年12月の年越しイベントから、現在も続くSPC(LIVE P.A. チーム)提唱の『東北ライブハウス大作戦』に協力しながら構想を練り、日本各地でライヴ活動を通しての精力的な支援とともに、数々のミュージシャンとセッションを重ねながらサウンドを構築。14年8月、寺尾順平(Ba)が『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014』のライヴをもって脱退したが、サポートメンバーを入れて止まることなく活動を続けている。THE STARBEMS オフィシャルHP

OKMusic編集部

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