【高橋 優】さらけ出すことで、他者
と感じ合いたかった

誰もが幾度となく繰り返す自分という壁との向き合い“自問自答”。選択権を持つのは、いつだって自分だけ。“高橋優のさらけ出し”を選択した心は、何から開放されたのだろう。
取材:石岡未央

聴いてくれた人がどう思うかよりなんか
言ってほしい

完成しましたね、アルバム。

今回は、今の自分をちゃんと書き残しておくというか、今やりたいと思うことをちゃんとやっておこうっていう印象が強かったですね。

全体のサウンド的に、ギターアレンジがそれぞれのニュアンスで存在感を感じるね。

新しいギターを買ったんです。ギターに関する自分の頓着みたいなのがかなり前より出てきてるのはあって。音源の作り方も、そもそもバンドサウンドじゃなくても良いのでは?といった感覚も強くなってて、いろんな意味で自分のわがままをめっちゃ聞いてもらいましたね(笑)。

相変わらずだけど、リズムアレンジが面白いというか、通常の8ビート感覚で叩かないようなフレーズで、感情のグルーブがとてもよく伝わってきてグッとくるね。そこは意識的に好きなほうにしていった結果なのかな。

嬉しいですね。今回は自分らしいものをっていうことが主軸になってるんで、結果、ドラムパターンなんかも、そういうものが滲み出てきたんだと思います。ギターをどういうふうに弾こうかとか、バンドにこだわらずに2人や3人編成でやってみるとか、今あるアイディアは全部出したと思う。でも、やり切った感覚は全然なくて、なんの根拠もない創作意欲みたいなものだけが今はすごく強くありますね。

高橋くんの場合は、とても重要なポイントに“言葉選び”があると思うけど、今までは聴いてる人がどう思うかってことをよく言ってたでしょ、今回はどうなのかな?

聴いてくれた人が“どう思うか”というよりも、“なんか言ってほしい”っていう感じです(笑)。嫌いだったら“大嫌い”って叫んでもらった方が面白いというか…それで人間関係は育めると思うんですよね。中途半端な反応より、“うわ、何これ、大嫌い!”とか言われて、僕も“うっせーなー”って歌うみたいな、そういう関係があっていいと思ったんですよ。逆に“すっげーいい!”って言われたいし、“この言葉に励まされました”っていうのも欲しいし…。そういうのは、こちらが自分らしさをがっつり強く言ったほうが絶対出ると思ったんですよね。だから、そういうところに恐れをなすのをやめたんです。でも、気にはしますよ。誰かを傷付けたいわけじゃないし、誤解を生みたいわけじゃないので。ただ、そこにビクビクしてたら何もやれない、高橋優じゃなくてもよくなっちゃうんですよね。

そこが一番のポイントなのかな?

タイトル通りですね。“BREAK MY SILENCE”というのはまさしくそういう余計な沈黙をなくすってこと。本当に人のことを励ますため、本当に人とつながるためには、自分の本当の部分を出さなきゃいけないと思ったんです。

そういう意味では、出し切れてスッキリしてるんだ。

いや、出し切れてはいないですね、まだまだ出し足りない。僕がさらけ出して自己紹介しても、友達になってもらえるかどうか分からないじゃないですか(笑)。だから、ようやく会話のキャッチボールが始められたぐらいの感じですね。

なるほどね。今回、意図的に作ったものとかあります?

「ジェネレーションY」は、1曲目に弾語りでやりたいと思って書いた。歌ってることも、ドリカムがどうとか…あんまりそういうの歌ったことないじゃないですか。

知ってる限りではひとつもない気がする。経歴書って言うと変だけど、のっけから“ゆとりですけど、なにか?”って感じだし。イントロダクションとして最高だね(笑)。

自分の超個人なことを歌で作ったの初めてだと思いますね。大衆向け、万人に共通する何かを書こうってのを一切やってない。アルバムを通して、超個人的な考え方とか言い方が本当に多くなってる。それを時に言葉のナイフと受け取る方もいるだろうし、誤解されたり、賛否はあるでしょうけどね。逆に、最後の「涙の温度」っていう曲は、一切それをやってないんですよね。俯瞰した視点からの歌にしたかったんです。《涙の温度》から始まってどんどん遠くなっていって《雨の温度》になって、《川の温度》《海の温度》になっていくという。どんどん空に、宙に浮いていくような雰囲気っていうか、そういう曲を作ったこともなかったんですよ。だから、超個人的な「ジェネレーションY」から始まり、できるだけ世界規模でというか広い視野で書きたいと思って作った「涙の温度」が最後になってる。

OKMusic編集部

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