【hide】盟友たちが語る
hideの唯一無二の魅力

hideさんに喜んでもらうには…
それしか考えなかった

おふたりは『hide TRIBUTE SPIRITS』(1999年)にも参加されていますから、今回は二度目ということになりますが、『hide TRIBUTE VII -Rock SPIRITS-』の話が寄せられた時、どのように感じられました?

木村
声をかけていただいてすごく嬉しいというのが、まず第一ですね。震災がきっかけではあったんですけど、ちょうどZEPPET STOREも再結成というかたちで活動していた時だったので、それがなかったら…個人的にはソロで歌ったり、カバーしてたりするんですけど、ZEPPET STOREの名前で出せるのは全然意味が違うので。すごく光栄でしたね。

kyoさんは、今回はD'ERLANGER名義ですよね。

kyo
うん。木村くんが言ったような想いは一緒で、前回はSAVER TIGERのメンバーだったという部分もあって、当時は別のバンドにいたTETSUと“kyo&TETSU”名義でやったものでしたけど、今回はD'ERLANGERで参加できていることにすごく意味があるなと思って。話が来た時に、逆に僕とTETSU以外のメンバーが、“今度はD'ERLANGERでやらせてよ”って言葉があってこのかたちになったんですよ。ZEPPET STOREも多分そうだと思うんですけど、今の自分たちの音を彼に届けられるのがすごくいいなと思ってます。

D'ERLANGERは「限界破裂」、ZEPPET STOREは「GOOD BYE」を選曲した理由については?

kyo
話をもらったのは、確かツアーで札幌にいた時だったんだけど、他にも候補はある中で、「限界破裂」がフッと浮かんだんですよ。D'ERLANGERに似合いそうだなって。だから…勘ですよね。でも、案外やってみると難しいんですよね。“何だ、このメロディー!?”っていう。感覚では分かるんですよ。でも、いざ歌おうとすると身体の中にないんですよね。
木村
特に「限界破裂」は難しいでしょ? だから、よくやったなと思ったよ(笑)。ZEPPET STOREの場合、前回の「FLAME」はもともと俺たちへのhideさんのアンサーソング的な感じの曲だったじゃないですか。それをさらにアンサーするというところでやりやすかったんですけど、さて今回はどうしようかと。hideさんの曲って、シャウトしてたり、言葉が詰まったりする曲が多くて、果たしてそこに俺の歌が乗っかって、意外性以外のものが生まれるかというと疑問だったので、ZEPPET STOREの感じと俺の声質を考えると、ちょっとやさしい目の曲がいいんじゃないかなと思って。なおかつ、「FLAME」もそうですけど、実はこの曲のオリジナルではYANAがドラムを叩いてるんですよ。そんな意味もあって、しかも「GOOD BYE」はあまり手を出す人もいないだろうなってところもあったので、思い切ってやってみようかと。すぐにアレンジも決まりましたね。
kyo
「FLAME」がハマるのはもちろんだけど、今回もZEPPET STOREの曲にしか聴こえないよね(笑)。カバーの場合、無理してアレンジしなくてもいいのにって思う曲もあったりするじゃないですか。だけど、すごく自然なんですよ。トリビュートへの参加はこうあるべきというかね。
木村
それを言ったら、D'ERLANGERもD'ERLANGERのまんまだからね。kyoちゃんにしか出せない歌い方でやっているけど、愛情が絶対に伝わってくる。奇をてらうのもありだけど、それだよね、トリビュートの一番の醍醐味って。
kyo
前回のトリビュートでは、その曲が生まれた時とカバーする時の時間がそんなに離れてないから、例えば奇をてらうアレンジだったり、頭で考えてやることが多かったのかなという気もするんですけど、今回はオリジナルが持っているメッセージみたいなものをそれぞれが受け止めている。そういう感じがすごくするんですよね。

このアルバムをきっかけにhideさんの作品のみならず、それぞれの作品を聴いてみようという人もいると思いますが、おふたりが聴き手に伝えておきたいことはありますか?

kyo
逆にどういうふうに受け止めてくれるんだろうという興味がありますけど、木村くんがさっき言った“アレンジもすぐに決まった”みたいなところにメッセージがあるような気がして。いい意味で、無理をしてないというか、らしさを前面に出しているというか。だから、バンドの細かいこだわりを聴いてっていうよりは…うまく言えないけど、感覚だったり、愛情だったり、目に見えない、譜面に起こせないようなところが伝わればいいなとは思いますけどね。
木村
楽曲が素晴らしいので、その力をお借りして、自分たちの表現を付けました、という感じかな。もちろん愛情がこもってるので、そこが届いたらいいなと思うし。でも、変にファンの人に届けようとかってことじゃなくて、hideさんに喜んでもらうにはどうしたらいいかってことしか考えてなかったよね。そこが伝わってくれれば一番嬉しいですよね。
(c)HEADWAX ORGANIZATION CO.,LTD. photo by HIDEO CANNO(CAPS)
『hide TRIBUTE Ⅶ –Rock SPIRITS-』
    • 『hide TRIBUTE Ⅶ –Rock SPIRITS-』
    • TKCA-74018
    • 2013.12.18
    • 3000円
    • 『hide TRIBUTE Ⅵ -Female SPIRITS-』
    • TKCA-74017
    • 2013.12.18
    • 3000円
hide プロフィール

ヒデ:X JAPANのライヴ中に設けられたメンバーのソロ・コーナーで既に、バンドの1ギタリストという枠に収まらない自己演出能力やアーティストとしての突出した才能を見せていたhide。彼がソロ・キャリアをスタートさせたのは93年。「最初は"どうせバケツの底を叩いたって買うんだろ"って思った」とは当時の彼の弁。バンドの知名度を利用する気はまったくない。むしろそれを取っ払ったとこで勝負したい、という純で潔い姿勢ゆえの発言だった。
彼のソロ・キャリアは、カラフルかつポップな2枚のシングル「eyes love you」と「50%50」でスタート。アルバム、ツアー・ビデオなどコンスタントに作品をリリースする傍ら、"いいものは世に広めたい"という至極まっとうな理由で<LEMONed>を設立。"自分は彼らの単なるファンだから"とプロデュース流行りの昨今、才能あるバンドやデザイナーたちに何ら手を加えることなく、チャンスと活動の場を与え世に送り出す。また、都内数ヶ所をリンクさせたオールナイトのクラブ・イベントを企画するなど、常に新しいアイデアを意欲的に実現していった。
自身の作品に関しても、マニュピレーターのI.N.A.と二人三脚で目指してきた革新的な音作りがシングル「pink spider」と3枚目のアルバム『ja,zoo』で1つの到達点に。機械モノとロックの融合を目指したそのサウンドを自身はサイボーグ・ロックと呼んでいたが。メロディアスなポップスから重量級のヘヴィ・ロックまであらゆるジャンルを内包したその音は、単なるミクスチャーの枠を超え、極めて魅力的で斬新なオリジナリティを擁していた。
しかし98年、急逝。ちょうど海外ミュージシャンと組んだバンドzilchも長い準備期間を終えてようやく稼働し始めていた——まさに全てがこれから、という時の出来事だった。公式サイト(アーティスト)
『hide ROCKET DIVE 2013-14』オフィシャルサイト

D'ERLANGER プロフィール

デランジェ:1983年の結成後、幾度かのメンバーチェンジを経て、88年にkyoが加入し、現在の4人がそろう。89年に発表した1stアルバム『LA VIE EN ROSE』がインディーズでありながらも3万枚のセールスを記録し、鳴り物入りで90年1月にシングル「DARLIN'」でメジャーデビューを果たすものの、同年12月24日解散。しかし、17年の時を経て、07年に復活! 08年5月には日本武道館公演を成功させ、結成10周年イヤーとなった17年にはオリジナルアルバム『J’aime La Vie』、そしてトリュビートアルバム『D’ERLANGER TRIBUTE ALBUM ~Stairway to Heaven~』を発表した。D'ERLANGER オフィシャルHP

ZEPPET STORE プロフィール

ゼペットストア:89年、インディー・ロックの聖地・下北沢にて木村世冶(vo)を中心に結成。UKテイストに溢れたギター・バンドとして、キャリアをスタートさせる。ギターポップ・シーンの牽引者的存在であった<アンダー・フラワー・レコード>より、94年に1stアルバム『SWING,SLIDE,SANDPIT』をリリース。全編英語詞による本作は、スミス的なサウンド・プロダクツが光る意欲作に仕上がり、インディー・ロック愛好者を中心に話題を呼んだ。96年、hide(ex.X JAPAN)主宰の<レモネード・レーベル>によるコンピ盤『LEMONed』への参加をきっかけに一気に知名度をあげ、「声」にてメジャー・デビューを飾る。その後、コンスタントに秀逸な作品をリリースしていくなかで、ギター・ポップ特有のインディー・テイストは徐々に後退し、日本語詞による男気あふれる無骨なギターロック・サウンドへとシフトしていった点は見逃せない。99年には、シングル「遠くまで」が好セールスをマークし、ブレイクへの足掛かりとなる。そして同年、全編日本語詞アルバム『CLUTCH』がスマッシュ・ヒット、不動の人気を獲得した。ZEPPET STORE Official Site
木村世治 Official Site

OKMusic編集部

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