L→R ヤガミ・トール(Dr)、今井 寿(Gu)、櫻井敦司(Vo)、星野英彦(Gu)、樋口 豊(Ba)

L→R ヤガミ・トール(Dr)、今井 寿(Gu)、櫻井敦司(Vo)、星野英彦(Gu)、樋口 豊(Ba)

【BUCK-TICK】破壊的衝動がもたらし
た前進的無秩序

多くのミュージシャンから多大なる敬意を寄せられているBUCK-TICK。発表される作品は常に瑞々しいが、約1年9カ月振りに放たれるアルバム『或いはアナーキー』も同様だ。新鮮でありながら、確固たるスタイルが息づいている。またもや傑作の登場である。
取材:土屋京輔

“ダダイズム”と“シュルレアリスム”

前作『夢見る宇宙』から約1年9カ月も経ったことに気付かないほど、デビュー25周年のアニバーサリー・イヤーからの展開は精力的だったのだなと改めて思いますが、あのアルバムはどんな作品だったと思います?

今井
あれはその時にできる、いいものを作ろうという、そういうところから取り掛かっていったんですね。結果としては、25周年と言われる中での、その時点での自分たちが納得できるアルバムということだったのかなぁと。
櫻井
やっぱり、東日本大震災の後だったんで、どうしても虚無感と、その反面、何かしなくちゃいけないみたいな義務感とか、みなさん、多かれ少なかれ、いろんな立場であったと思うんですね。そこをちょっと飛び越えると言いますか、クリアーするのに必要だった一枚と言いますか。“そうは言っても”と言われても仕方ないぐらいに、音楽は音楽、芸術は芸術、コンサートはコンサート、ロックはロックというふうに割り切るための一枚、そんな感じがしましたね。

以降のツアーは、凄まじく惹き付けるステージでしたよね。何か取り憑かれたかのような恐怖感すら覚えるぐらいに。だからこそ、新作が楽しみだったのですが、『或いはアナーキー』に向けては、どんな思いがあったんでしょう?

今井
今までの自分たちをブチ壊す、そういう衝動みたいなところがあったので、そこですね、テーマというか、コンセプトと言えば。ただ、メンバーに伝える時に、それをそのまま言うと、“いつもそうだよね”ってことになっちゃうので(笑)、“ダダイズム”とか“シュルレアリスム”という言葉を、誤解覚悟で言ってみたんですね。でも、櫻井さんとかは、説明も何もしなくても、それで1から10までもう分かってたんで、そのまま取り掛かることができて。

その衝動の根源は何でした? 『夢見る宇宙』がひとつの完成したBUCK-TICK像だったということですか?

今井
いや、そうではないんですよ。何かそういう気持ちがあって。その瞬間のワーッという何か壊したい感じを、ただやりたかっただけなのかもしれないし。最もロックバンドらしい気持ちみたいなところがあったのかな、パンクとか。でも、変わるために変わるというのもちょっとおかしなことになってくるので、その辺は自然体でいきたいなと。

櫻井さんは“ダダイズム”や“シュルレアリスム”というキーワードを伝えられた時、どんな思いがありました?

櫻井
作品自体がそうなのではなくて、アーティストたちの気概や精神ですよね。それは、もがいて、あがいて、壊して、楽しんで、そして作り上げて、みたいなことだから、いつもと同じことだなって僕は受け取って。その中でもテーマうんぬんではなく、もっと極端というか、遠慮なしに、僕ができることの範囲でやってしまおうと。それこそ『夢見る宇宙』が終わってから、次はこうだなという感情を抑えて、それでもあふれるぐらいの姿勢でいきたいと思ってたんです。

その表現の発露、手法は、前回のツアーにおいて自分の存在意義や立ち位置を再確認したからということですか?

櫻井
そうですね。情熱とかの発露というのは、やっぱり、あのツアーであったし、それが脈々と今に至って。自分がどうなるのか、その時は読めませんけども、精神としては“もっと、もっと”っていう感じですね。しかも、結果的に人が傷付いても仕方がないぐらいの芸術みたいな音楽。自分に遠慮は一番良くないですから。

最初に出来上がったのは、シングルとして先行リリースもされる「形而上 流星」だったそうですが、その衝動を最も体現した曲だったということになりますか?

今井
アルペジオを延々ふたりで弾くというアレンジも、ありそうでなかったですからね。結構、時間もかかりました。

そのアレンジは、他の曲でも随所に出てきますよね。

今井
ありますね。意識はしてなかったんですけど、気付いたらそうなってたという。だから、いわゆるリフものっていうのは多分ないですよね。
櫻井
まだ、“ダダイズム”、“シュルレアリスム”というワードもなかったと思うんですけど、初めて聴いた時は…まぁ、デモの段階ですから、“線の細さ”といったものだけかなと思ったんですけども、自分で完成形を想像すると、力強さもどんどん感じてきまして。そのバランスを上手くとれればいいなと思ったんですね。儚いけども、強く何かを感じていたいとか、そういう感じにできればなと。わりと第一印象で、(歌や歌詞の)柱は出てきました。漠然とした言い方ですけど、結果的にまだ何もない最初の状態で自分が感じたことを、今井さんも感じていた。レコーディングと音楽に対するアプローチ、自分の気持ち…理想的にできたのかなと思います。

OKMusic編集部

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