【amazarashi】限りある命の中で、今
こそ希望の歌を

9月9日に行なわれたアコースティックライヴ『千分の一夜物語 スターライト』を経て、2ndフルアルバム『夕日信仰ヒガシズム』が到着。自らの原点とこれからの未来が交錯し、成長を続けるamazarashiの現在位置とは? 秋田ひろむ(Vo&Gu)にメールインタビューを敢行した。
取材:宮本英夫

報われなかった過去が ひとつ報われた
気がする

アルバムのお話の前に先日のライヴ、『千分の一夜物語 スターライト』について。アコースティックスタイルがとても新鮮でした。言葉がさらによく伝わってきました。この時期に再び“あまざらし”名義のライヴをやった意図、見せたかったライヴのかたちとは?

もともと“あまざらし”として豊川(真奈美/Key)とふたりで活動していて、amazarashiとなってバンドサウンドに変わって、それは僕がやりたかったことでもあるんですが、ふたりでやっていた時期なりの良さもあったと思ってて、それにデビューしてからの経験をプラスαしたかたちで表現したいと思ったのが『千分の一夜物語 スターライト』でした。amazarashiは一旦置いといて、“あまざらし”の延長線上での表現ができたら面白いなと思ってました。

ライヴを終えての感想と手応えを教えてください。

構想、リハーサルの段階から本当に手探りで、これでいいのか?と思いながらやっていたので、思いの外評判が良くて嬉しい限りです。

アルバムからの新曲もいち早く披露しましたが、どんな手応えがありましたか?

演奏する僕らは何度もリハーサルして曲に慣れてしまったので、緊張感とかそういうものはなかったと思いますが、「スターライト」は昔よくやっていた曲なので、それがあんな大勢の前で歌えて嬉しかったです。報われなかった過去がひとつ報われた気がします。

ラスト曲「スターライト」の持つ希望の光の強さが素晴らしかったです。この曲があって物語を書いたのか、物語を先に書いたのか、そのあたりの関係が知りたいのですが。

今回のライヴは物語含め、ラストに「スターライト」を演奏して、それにどれだけ感動してもらうかがテーマでした。ですので、物語も演出も、ラストの「スターライト」のために作ったものです。

WEBで小説を連載してライヴにつなげるというのは、とても面白い流れだったと思います。自身でも面白いと思いましたか? こうしたやり方はこれからもやってみたいですか?

最初は朗読しながらのライヴをイメージしていたので、WEBで小説を公開するのは想定していませんでした。でも、結果的に一連の流れを含めて、ライヴに向けての面白い流れができたんじゃないかなと思います。個人的に小説を書くのが大変で、小説を書くよりは1曲でも多く作りたいっていうのもあるので、こういうかたちはしないと思います。また面白いアイデアが浮かんだらやってみたいなとは思います。

宮沢賢治についてにもうかがいたいと思います。「スターライト」には彼の作品からの影響があるかと思いますが、秋田さんにとって賢治とは?

小学生の時の教科書で「よだかの星」を読んで衝撃を受けて、それ以来のファンです。表現をする上で最もパワーが生まれる瞬間ってネガティブな時が多いと思うんです。それで僕なんかは直接的にネガティブに表現してしまうんですけど、宮沢賢治はそういうネガティブな感情も純粋無垢な表現をしていて、それでいてパワーも伴っているので、すごいなと思います。

では、アルバム『夕日信仰ヒガシズム』について。前作『あんたへ』から約1年。今回のアルバムのスタート地点はいつ頃、どんな思いで、あるいはどの曲から始まったものですか?

いつも通り、普段から曲は作っていて、それがある程度溜まってきた段階でアルバムを意識し始めました。アルバム最後の曲「それはまた別のお話」が3月頃にできて、今回の方向性が決まったと思います。

最初からフルアルバムにしようと思っていたのですか?

フルアルバムということはあまり意識してませんでした。今回はたくさん詰め込もうと思っていたので、曲数的にも、気持ちの面でも、このようなかたちになりました。

曲作り→レコーディングの間はどんな調子でしたか?

そのへんは淡々とやっていたと思います。『千分の一夜物語 スターライト』のリハーサルと重なったりして、忙しかった感じはあったんですが、どちらも作り上げていく作業は楽しかったです。

“夕日信仰ヒガシズム”というタイトルは、どこから、どんなふうにやってきた言葉なのですか?

「それはまた別のお話」に《夕焼けがやってくる頃に僕らは皆赤くなる》という歌詞があるんですが、何か僕の日常を連想させるものに“夕日”というキーワードがあるなと思って、そこから考え出したのが始まりです。

アルバムタイトルは浄土信仰を連想させます。つまり、来世への希望ですが、秋田さんの詩はあくまで現世の希望を歌っているようにも思います。夕日信仰とは何でしょう?

今回アルバムに出てくる“夕日”という言葉は、有限の区切りという意味で使われています。有限の中で生きていると意識することでいろいろと見えてきたことがあったので、そういう想いを込めたいなと思って名付けました。噛み砕くと、“日常を大事に”という意味です。輪廻転生とかの考え方は嫌いです。それを突き詰めると死に意味がなくなって、同時に生も軽いものになってしまう気がするので。

冒頭3曲のヘヴィロック的なリズムとリフ、サウンド全体の強烈な推進力にぶっ飛びました。アルバムの流れとして、今までにない力強い始まりを!という思いはありましたか?

前作『あんたへ』がわりとゆったりしたアルバムだったんで、それとは違う方向にしたいなと思ってました。今回はアッパーな曲がたくさんあったので、どうせなら前半飛ばしていこうと思いました。

OKMusic編集部

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