L→R 木暮栄一(Dr)、原 昌和(Ba)、川崎亘一(Gu)、荒井岳史(Vo&Gu)

    L→R 木暮栄一(Dr)、原 昌和(Ba)、川崎亘一(Gu)、荒井岳史(Vo&Gu)

    【the band apart】これが正しいと思ってやっていく

    前作『街の14景』から約1年9カ月振り、7枚目のフルアルバムは、タイトで切れ味鋭いバンアパらしさを残しながら、4人のアイデアをシンプルに昇華した楽曲が並ぶ作品だ。バンドの新たな側面が詰まった新作について、バンドを代表して木暮栄一(Dr)に話を訊いていこう。
    取材:土屋恵介

    本作『謎のオープンワールド』は、これまでのサウンドをブラッシュアップしながらも、削ぎ落とした感がある作品ですね。

    前のアルバムまで、メンバー個々で細かいとこまで作り込むってやり方をしてたけど、それだとある程度はどんな曲ができるか見えちゃうからやめたんです。今回は誰かがネタを出してセッションしたり、誰かと誰かのネタをくっつけて曲を作ったんです。あと、みんなの頭にあったのは、4分以内のシンプルなものにしようってことでした。

    個々での作り込みの経験や長い活動があるからこそ、4人で新たな作り方ができた?

    まさにですね。昔は“俺は絶対このフレーズを入れたい”“自分が目立ちたい”ってあったと思うんです。そういうのがマジで4人ともなくなって、曲がいい感じになればいいって感覚なんです。みんなのアイデアが入りつつ、シンプルにしようって気持ちがありましたね。

    シングルは「2012 e.p.」、アルバムは『街の14景』から全曲日本語詞になりましたが、日本語でのハマり方が自然ですよね。

    そう聴こえてくれてると嬉しいです。日本語のほうが楽だし、書きたいものを書こうって開き直りました(笑)。あと、例えばノルウェーの音楽好きが日本の音楽を掘った時に、別に英語で歌ってる必要がないだろうなって思えたんですよ。

    それと、日本語を乗せていく面白さもありそうですね。言ってみれば、まだ2枚目ですし。

    それはみんな感じてると思いますね。

    そんな今回のアルバムのコンセプトというのは?

    コンセプトは後付けです(笑)。歌詞は個々で書いたんですけど、主観的なものもあれば客観的なのもあるし、メチャクチャになったんです。それにCDからデジタルに移行してる時代に、CD盤でアルバムを出すならこの曲順で聴く意味がないとダメだと思って。で、架空のゲームってテーマが浮かんで、1日でイントロやインタールードを作ったんですよ。架空の街での出来事が、いろんな歌詞の曲になってるみたいに聴こえるかなって。

    じゃあ、曲に触れながら話を進めましょう。「笑うDJ」は疾走感あふれるナンバーで、歌詞はクラブとPCがクロスしたようなイメージがありますね。

    スゲー酔っぱらって音楽を爆音で聴いてる時に、パッと周りを見たら誰もいなかった、みたいな歌詞です(笑)。サビのメロディーがはっきりしてるので、ちゃんとした歌詞だとメッセージを伝えるふうに聴こえちゃって、それが嫌だったので、逆に“何それ?”って歌詞にしたんです(笑)。

    (笑)。「禁断の宮殿」はさわやかでファンキーな曲調だけど毒を吐いてますし、アーバンな「裸足のラストデイ」にしても歌詞の主人公がヤバい人っぽいですね(笑)。

    特に原(昌和)が書いた曲は、歌詞と曲調のギャップが激しいです。それを荒井(岳史)が、歌詞の内容を噛み締めずにどこかクールな感じで歌うから、不思議な感触になるんだと思います。

    全体的にメロディーが研ぎ澄まされた感がありました。

    音がシンプルになった分、そういう聴こえ方がするのかも。昔よりは演奏が歌を邪魔することをしてないし。前は何も考えずに乗せたギターが、ほんとに別なことに向かってましたから(笑)。今回、そういう曲はないですね。

    「遊覧船」はループのエディットから入るメロウな曲で、今までにない楽曲になりましたね。

    これは川崎(亘一)のネタなんですけど、録りの前日に川崎が“打ち込みにしようかな”って言い出したんです。川崎がベース以外のフレーズの素材を作って、俺がエディットして打ち込んで、メロディーは荒井と原が考えた、一番グチャグチャに作った曲です。

    「消える前に」はギターリフで押していく力強いロックチューンですね。

    これは川崎の曲と荒井の持ってたリフを合わせた曲です。歌詞は荒井が書いたんですけど、《君に愛を 僕の愛を》とか今までウチのバンドにはなかった感じで、曲調と相まって、これをアルバムのクライマックスの位置に持ってこようと最初に決めました。ラブソングってよりは『北斗の拳』みたいな世界観だなって(笑)。たぶん、ここら辺から架空世界ってコンセプトが出たと思います。

    メロディアスでラテンファンクのような「最終列車」は、バンドの強い意志を感じさせる歌詞が印象的でした。

    曲は俺と荒井のネタが半々で、歌詞は俺が書いたんです。やっぱりいろんな意味で自分たちがマイノリティーだって分かってきたんですよ。メンバーで話すとあまりに一般的な考えじゃないし、でもこれが正しいと思ってやっていくってことですかね。音楽を取り巻く環境も昔とは違うし、いつどうなるか分からないって覚悟を持ってないと、この先続けられないなとは最近よく考えますね。

    音楽をやっていく決意表明的な曲であると。では、アルバムを完成させて、今どんな思いがありますか?

    仮想空間の話って流れがすごくいいと思いますね。今まで録り終えた後って、曲に飽きてるからアルバムを通して聴くことがなかったけど、今回は聴いてます。

    それだけ、聴く人の入り込めるスペースがある作品ってことかもしれないですね。

    そうであったらいいなと思いますね。まぁ、作ってる時は聴いてくれる人のことは忘れてますが(笑)。
    『謎のオープンワールド』
      • 『謎のオープンワールド』
      • asg-029
      • 2015.01.21
      • 2900円
    the band apart プロフィール

    ザ・バンド・アパート:1998年結成。04年に自らが運営する“asian gothic label”での独立を果たす。ツアーでは両国国技館や幕張メッセでのライヴを成功させ、国内では毎年数々の野外フェスで多くのアーティストとの共演を重ねながら自らのサウンドを確立してきた。さらに、レーベル所属のmock orangeとのアメリカツアーや、台湾、フランスでのライヴを行なうなど、ワールドワイドな活動も展開している。
    the band apart オフィシャルHP

    OKMusic編集部

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