【VANIRU】細胞ごと曝け出すから己の
血で聴いてほしい
強烈な美と毒をはらんだ独自の世界を展開するVANIRU。1stシングル「LOVE AGAIN」をもとに“VANIRUとは一体何であるのか?”を、孤高のカリスマを持つLEONEIL(Vo)と、彼に惹かれてユニットに参加したYUTO(Gu)に訊いた。
取材:桂泉晴名
YUTOさんがVANIRUに参加したきっかけというのは?
YUTO
LEONEILに初めて会った時、今まで自分が出会ったことがないような人で、強く惹かれたんです。人としても不思議だったし、音を聴かせてもらったら、初めて聴く音楽だったし。もう彼の人間像と音楽像が一緒なんですよ。新しいけど懐かしいような雰囲気で。“カッコ良いな。この人の世界をもっと暴きたい”と思い、VANIRUに飛び込んでいきました。
LEONEIL
彼はこんなに言ってくれてはいるけれど、最初“騒がしい人だな”っていう印象でした。
やっぱり。
いやいや、YUTOさんは話をするのが好きで、もの静かなLEONEILさんと対照的だなと感じて(笑)。LEONEILさんが最終的にYUTOさんと一緒にやろうと思ったのは、どういうところに魅力を感じたのでしょうか?
LEONEIL
気付くと、いつでも彼がいるんですよ。例えば、ひとりでスタジオに入ろうかなって時も、誰に聞いたか分からないんだけれど、必ず来ていて。でも、彼の精神的にピュアなところに魅力を感じたのかもしれないです。
曲作りを一緒にやってみていかがですか?
LEONEIL
思いもしていないメロディーが飛んできたりするので、彼の表現は新鮮ですね。
1月28日にリリースされた1stアルバム『MASQUERADE OF COSMIC』ではYUTOさんは途中から参加したそうですね。
YUTO
ええ。作っている最中に僕が現れたので。アルバムは彼に出会って感じた世界、LEONEILという人そのものの作品になっていると思います。
そして、YUTOさんが初めてVANIRUとして作曲したナンバーはニューシングル「LOVE AGAIN」なのだとか。
YUTO
実はこの曲を作るに至るまでは、簡単なことではなかったんです。まず、LEONEILと出会った頃から彼が言っていた、VANIRUのスローガンの“現象を超える”っていう言葉があるんですが…。
現象を超える? どういう意味なのでしょうか?
YUTO
僕もその意味が分かっていなくて(笑)。“何だろう?”っていう感じだったんですけど、彼に惹かれて付いて行ったら、一昨年、ドイツに行くっていう話になって。その時に初めてVANIRUとしてライヴを経験して、すごく気持ち良かったんです。その中で、“あっ、彼が言っていたのはこういうことだったのか!”と実感したんです。
ライヴで“現象を超える”を体感したと?
YUTO
果たしてそれが彼の言っている“現象を超える”なのかは分からないですけれど、僕の中では確実に何かを掴めましたね。ただ、いろいろなことを感じながら“彼の隣で何ができるのか?”と悩んでいる自分もいて…。でも、LEONEILと一緒に過ごす中で、彼の隣にいる僕にしか見えない景色を通して、“こうしたほうが、彼のエモーショナルな部分を引き出せるんじゃないかな”と考えるようになって、自然と“自分にしかできない、彼の一面を引き出した曲を作りたい!”と思うようになっていったんです。そこで初めてVANIRUとしてかたちになったのが「LOVE AGAIN」なんです。
なるほど。ちなみに、なぜLEONEILさんは“現象を超える”をVANIRUのテーマにしようと考えたのでしょうか?
LEONEIL
全てのものをアイコンとして見てしまうのではなくて、現象としてありのままを見たい、在りたい、そしてそれを超えていきたい。という思いは常にありましたから。それを言葉にすると、“現象を超える”になるんですけれど。
LEONEILさんはYUTOさんが加わることによって、VANIRUとしてどんな変化が起こったと思いますか?
LEONEIL
最初はどうなるか分からなかったけれど、もちろんサウンドとかメロディーは、今までになかった感じになっています。波動と波動をぶつけ合ったら、こういう曲ができたというか。こうやってかたちになると、気持ち良さはありますね。
あくまでもLEONEILさんの中にあるものを見せるのがVANIRUであるということですか?
YUTO
そうです。だから、例えば “バンドサウンドだ”とか“エレクトロですよね”といったことではないんです。
LEONEIL
細胞ごと曝け出しているので、みなさんも細胞とか、己の血とか、より深い場所で聴いてもらいたいです。そうすれば、お互いの間に距離なんてないんじゃないかな。
YUTOさんは今回のシングルを出発としてVANIRUの今後をどのように考えますか?
YUTO
僕個人からしたら、もっとLEONEILがボンっと彼自身を投げ出せるような曲を作りたいですね。今回の曲ができて嬉しいとは思うんですけれど、これからは“これ、どうだ”って出して、“これは何も言うことないよ”って…いう状況にしたいです。
お話をうかがっていると、逆にLEONEILさんによってYUTOさんの中にあるものが引っ張り出されているような印象も持ちました。
YUTO
あぁ、どちらかと言うと、そっちのほうが多いんじゃないかなと思います。自分が触れてなかったものに出会って、“すげぇな”って思って近づいていって、LEONEILの中のものを引きずり出そうと思って、逆に僕が引きずり出されている感じです。
LEONEIL
一緒にやっていて、楽しいですよ。やっぱり、自分になかったものが出てきますから。
LEONEILさんは引きずり出す人なんですね。ライヴに参加したお客さんもきっとそうなるのだと想像します。
YUTO
ライヴをやっていると、バっと波動が渦巻いているのを感じるんです。魂の交換をしているというか。例えば、お客さんが“本当はもっといきたいのに、抑えている”っていうのも伝わってきたりするんです。だから、もっと近付きたいし、触れたい。お互いに共鳴し合うことで、VANIRUの世界に触れる人の中も引きずり出したいですね。
- 「LOVE AGAIN」
- DDCZ-2009
- 2015.02.25
- 1944円
ヴァニル:天性の妖艶、近年稀なるカリスマ性を放つLEONEIL、エッジィなポップセンスを持つYUTO。洗練されたエレクトロ・サウンドに、ニューウェイヴ、ポストパンク、インダストリアル、ゴス…時代を超え、さまざまな要素の絡み合う“神秘的ダンスロック”を発信。彼らが世界に問いかける精神宇宙は、ミステリアスなビジュアルとは対照的に生々しく魂を揺さぶる。テーマは、エロス、生死観、華美・陰影なるロマンス。心の深淵から湧き出る美と毒を、まるで魔導師のように操り、幻想的でドラマチックな“VANIRU FANTASY”へ人々を吸い込む。ドイツで結成され、EU各地でのフェスに突如出現、崇拝者を増やし続けている。VANIRU オフィシャルHP