L→R ササキジュン(Gu)、青山友樹(Dr)、きみコ(Vo&Gu)、アベノブユキ(Ba)

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【nano.RIPE】デビューから5年分の“
こたえあわせ”が詰まったアルバム

nano.RIPEが4枚目のアルバム『七色眼鏡のヒミツ』をリリース! クラムボンのミトが参加した楽曲をはじめ、打ち込みを使った曲、カバーやインディーズ時代の楽曲のリアレンジなど多彩な14曲を収録。さまざまなチャレンジとともに5年の足跡を感じさせる作品についてきみコ(Vo&Gu)に語ってもらった。
取材:榑林史章

変化を成長ととらえて思い切ってやろう
じゃないか!

『七色眼鏡のヒミツ』は本当にいろいろな曲がありますね。バラエティー感があるし、聴きやすさが増した印象でした。そもそも最初はどういうイメージで制作を始めたのですか?

今までのアルバムを振り返った時、全体的に暗いと、今さら思ったんです。特に各アルバムのリードトラック「セラトナ」「ナンバーゼロ」「ハロー」といった曲は、nano.RIPEの中でも暗い歌詞の曲なので、それらリードトラックが全体の印象を暗くしているのでは、と。それで今回は、とにかくはっちゃけたリードトラックを作ろうというところから、イメージを膨らませていきました。

そのリード曲「こたえあわせ」はメンバーの合唱で始まりますが、メンバー全員で歌う曲はなかったですよね。

ライヴではやっていたので、CDでもやっていいじゃん!と思って。ライヴではメンバーだけじゃなくお客さんも一緒に歌うスタイルが確立されてきているので、そういうライヴっぽさを封じ込めたいというのもありました。

「こたえあわせ」の歌詞はどういうイメージで?

インディーズの最後に出した「世界点」という曲があるのですが、その「世界点」の進化バージョンみたいなイメージです。「世界点」はインディーズ時代最後のワンマンライヴをやった時に、ステージから見た景色を忘れたくなくて曲にしたものなんですね。当時はある意味、自分のためだけに歌っていたのですが、今はみんながいるから自分のために歌えると思っていて、そういう今の気持ちを伝えたくて歌詞を書きました。それで、せっかく5周年なのだから、「世界点」だけじゃなく、今まで歌ってきたいくつかの曲のオマージュにしようと思って。2番のサビなんかは、「ハナノイロ」からそのまま持ってきているし。ファン同士で、“ここってあれじゃない?”って、答え合わせしてもらえたら嬉しいなって。

さらにこの「こたえあわせ」には、クラムボンのミトさんが編曲で参加していて、アルバムには他に元センチメンタルバスの鈴木秋則さんと福富雅之さんが編曲参加していますが、メンバー以外が作品に携わるのも初めてですよね。

メンバーからはアレンジャーやプロデューサーを入れようと前々から言われていたんですけど、私は“バンド=4人”の美学みたいな意識が強くて。でも、作詞をしている立場として、より歌詞の世界観を伝えるには、そんなこだわりは無駄なんじゃないかと、5年目にして今さら気付きました。メンバー以外の音を入れたからって、nano.RIPEじゃなくなるわけではないという自信が付いたことも後押しして。デビュー5年目でアルバムも4枚目だし、nano.RIPEっぽさというものが、自分たちの中だけじゃなく、聴いてくれる人の中にも浸透したと思っていて、その上で新しいことをやるのは、良い挑戦なんじゃないかって。

それぞれどういう経緯でやってもらうことに?

ミトさんとは以前からお付き合いがあったんですよ。秋則さんには「パラレルワールド」という曲に参加してもらっていて…私がセンチメンタルバスの大ファンで、ミトさんに“センチメンタルバスみたいにしたい”と提案したら、秋則さんとは友達ということで、呼んでいただきました。福富さんはランティスの作品をよく手がけているのですが、以前にある声優さんに楽曲提供した時のつながりです。特に福富さんにお願いした「神様」と「アポロ」は、バラードと打ち込みという両極端の曲なので、同じ人のアレンジとは思えないような仕上がりになっていますね。

「神様」はバラードでも和風テイストで、すごく映像が浮かぶものになりましたね。

こういう和風メロは、今までのnano.RIPEにはなくて、ササキジュンが書いてきた時はやられた!って思いましたね(笑)。メロディーがとにかく美しかったので、歌詞は胸にグサリと刺さる言葉を使わず、全体に小さな物語を書くようなやさしいイメージで書いています。実は2ndアルバムの中では《神頼みなんて意味が無い》と歌っていたのですが、今回は《お願い 神様》と歌っていて。これは、過去の自分を思い切って否定してしまうくらいの作品にしたかったんです。変わることは決して悪いことじゃないし、変化を成長ととらえて、思い切ってやろうじゃないかって。

片や「アポロ」は打ち込みを使ったサウンドに挑戦していて。

福富さんにスペーシーにしたいとざっくりとお願いして、こういうアレンジにしていただきました。ピコピコした中にもギターのリフとかバンド感をしっかり残してくれていて、そこはさすがだなと思いました。

また、「スノードーム」と「ラルミー」という、インディーズ時代の楽曲のリアレンジも収録していますが。

「ラルミー」はライヴでもよくやっているにもかかわらず、当時のCDが入手困難になっているし、今のメンバーでレコーディングしてみたいのもありました。「スノードーム」はセットリストを募集する企画をやった時、挙げてくれた人が結構多くて、じゃあ再録しちゃおうって。

そもそも「ラルミー」はどんな意味を込めて作っていたのですか?

“ラル”は英語で“lull”、“なだめる”とか“あやす”という意味。“ミー”は自分を意味する“me”。インディーズのツアーの時、いろんな気持ちが重なって、ステージで“ありがとう”ってたくさん言ったらしくて、でもそれが嘘臭いという意見を言われたんです。その時に言葉の無力さを感じて、すごく葛藤して、じゃあどうやって感謝の気持ちを伝えたらいいんだよ!って。結局、答えは見つからず、その時の気持ちをなだめようと思って作った曲でした。

その曲をライヴでずっと歌い続け、5年経って新たに収録する気持ちは?

あの時の悔しい気持ちは今もありますけど、ライヴではあの時のトゲトゲした気持ちとは違った気持ちで歌っています。そういう心の変化もレコーディングしたらきっと歌に表れるんだろうなと思って。その変化を自分でも聴いてみたいと思ったんですよね。

OKMusic編集部

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