L→R 田中駿汰(Dr&Cho)、小川真司(Gu&Cho)、森 良太(Vo&Gu)、白山治輝(Ba&Cho)

L→R 田中駿汰(Dr&Cho)、小川真司(Gu&Cho)、森 良太(Vo&Gu)、白山治輝(Ba&Cho)

【Brian the Sun】嘘のない、正直な
音が録音された

現メンバー編成になる以前からの既存曲3曲と新曲2曲の計5曲を収録したミニアルバム『シュレディンガーの猫』。バンドの“今”を示すために挑んだ意欲作について訊いた。
取材:高良美咲

2ndミニアルバム『シュレディンガーの猫』は全5曲が収録されていますが、現在のメンバーになる前からの楽曲も収録されていますね。

今回は高校時代から20代に入るまでくらいに書いた「シュレディンガーの猫」「都会の泉」「虹」の3曲に加え、1カ月ほどで完成させた新曲の「half cab」と「同じ夢」を収録しました。
白山
20歳くらいの時に今のメンバー(2010年1月に小川、2011年4月に田中が加入)になったんですけど、そこから“このバンドで勝負したい!”“ごはんを食べられるようになりたい!”と強く思うようになりました。

いつ頃から制作を始めたのでしょうか?

田中
制作は今年の春くらいからですかね。今回は全体を通してのテーマが特になかったんです。結果としては、Brian the Sunのより音楽性の深い部分が垣間見えるようなミニアルバムになったんじゃないかと思います。
小川
コンセプティブに作ったというより、“この曲は出すとしたら今”って感じで5曲出揃ったんじゃないかな。

タイトル曲の“シュレディンガーの猫”とは量子力学における思考実験のひとつですが、当初この曲を書いたきっかけは?

高校生の時に生物の授業の余談として先生が量子力学について教えてくれた話がきっかけで、いろいろと調べているうちに“シュレディンガーの猫”というキーワードに行き着いたんです。描きたかったことは歌詞で表現しているつもりなので、ぜひ歌詞を手に取りながら曲を聴いてみてほしいです。
小川
難しい題材を曲にしてるけど、歌詞を読むとわりと“あるある”って感じもするし、実は共感しやすい曲になってるかもしれません。

「都会の泉」「虹」を今作のタイミングで再収録しようと思った理由を教えてください。

良い音で、今の演奏で、かたちとして残しておきたいと思ったからです。他にもそのような曲はたくさんあるのですが、この2曲に関しては過去に音源を出していたこともあり、メンバー全員のビジョンがすでにある程度固まっていたことも理由のひとつですね。作品を作った当時とは、単純に技術的な面で表現の幅が広がっているとは思います。音に関しては、過度な加工や編集をせずに、人間臭さや空気感に重点を置いて作り上げていきましたね。
白山
僕たちには、昔作った曲が今の曲より劣ってるという発想はなくて、今回ミニアルバムを作る段階でライヴでやりたい、CDに入れたい曲がこの曲だったんです。今のメンバーになる前の曲だったのですが、今のメンバーでレコーディングしてみると、自然と今のメンバーの色も出て、いい音源に仕上がったと思います。
田中
どちらの曲もライヴハウスでたまに演奏していたし、自分たちの中でもお気に入りの曲ではあったのですが、あまり多くの人に認知されてなかったので、今回をきっかけに聴いてほしいと思ったんです。 もちろん、前作を超える音質、演奏クオリティーでレコーディングするのは当たり前ですが、今のBrian the Sunのグルーヴを出せるように意識しました。
小川
変化としては、圧倒的にサウンドと個々のスキルが上がってるってことでしょうね(笑)。「都会の泉」はギターリフゴリ押しの曲なんで、ギターのサウンドにはすごくこだわりましたね。いろんな種類のギターの中から曲に合うものを選び、納得のいくまで音作りをしました。エンジニアさんもディレクターもみんなギター大好きな人たちで、一緒に良い音を目指してるうちにすごく良い音になりました。今回はどの楽曲でもギターのサウンドは理想を表現できましたね。音は良いから、あとは良い演奏をすれば…って感じで、ヒリヒリしたサウンドにしたかったので、ライヴばりに力を込めて殴りながらギターリフを弾いたり、音に感情を乗せることに専念できたと思います。「虹」も昔は空間系のエフェクトかけてた部分をなくしたりして。音が良いからこそできるミックスになってるかな。

新曲の「half cab」は、緩急のあるメロディーやブレイクが印象的でした。

かたちにしてみると意外と演奏が難しくて、緩急のあるメロディーやブレイクというのがうまく表現できずに一瞬ボツにしようかと。これまでならおそらくボツにしていたと思います。けど、そういう曲を演奏技術で“聴ける曲”にまで育てたいという思いで、ミニアルバムに入れました。
小川
この曲は良太が作った段階で他の楽器に対してこうしてほしい!とかがあったので、その意図を汲み取りながら作りましたね。サビでジャジーなフレーズがあったり、フルピッキングのめっちゃ速いフレーズがあったり、ファンキーなカッティングがあったり、かなりテクニカルな曲になってます。テクニカルな部分って、ライヴとかでも圧倒させる要素にもなるので、そういうアグレッシブな曲になればいいなと思って作りました。

同じく新曲の「同じ夢」は、しっとりと聴かせる曲ですね。

深く考えて悩んで選んだ言葉ではなく、根源的に自分の中にある普遍的な言葉を使って、誰しもが持つ永遠への憧憬を限りなく現実的に表現したいと思って作りましたね。結果、“同じ夢を見る”という、ノスタルジーやファンタジーに行き着きました。
小川
良太から曲についての解説を受けて感動したのを覚えています。この曲を仕上げるには、バラードやけどエモーショナルな部分が必要不可欠だと思いました。全編通してメロディーも良かったので、その良さを最大限に活かすことを考えながらアレンジしました。レコーディングも超理想的な音で録れて、すごく気に入ってる一曲ですね。ライヴではいつも気持ちを込めすぎて意識飛びそうになってます。それくらいパワーがあって、魂のこもった曲になってます。
田中
ドラムは比較的シンプルに叩いて、メロディーや歌詞を活かすことを第一に考えていました。エイトビートの難しさを改めて学びましたね。エイトビートは奥深いです。ギターもめっちゃいい音になったなぁと思います。

出来上がってみて、どのような一枚になったと思いますか?

自分では愛着がありすぎて、ひと言で形容することは非常に難しいですね。しいて言うなら、嘘のない、正直な音が録音された一枚になりました。
小川
ありそうでない、Brian the Sunだからこそできる音楽だなと思います。メンバーそれぞれの人間味や感情、物語が込められた作品になってると思います。
田中
当然ですが、成長したなぁと(笑)。まだまだですが…。今までの作品の中でもディープなものになったと思います。ポップな要素は今までよりも少ないかなとも思いますが、カッコ良い作品になりました。
白山
今作もブレずにBrian the Sunを出せたと思います!

今回は新旧の楽曲が収録されていますが、特にどの楽曲が印象深かったですか?

僕は全てですね。
小川
僕は「同じ夢」ですね。さっきも言ったように、一番感情が乗った曲になってます。
田中
「half cab」の中盤のストップする部分は、ライヴでどうなるのか楽しみです。
白山
1曲目の「都会の泉」ですね。作ったのが5年ほど前なのですが、今でも作った当時のことを思い出すので。その頃は自分たちで軽自動車を運転していたり、無茶なツアーをしていました。

リリース日の11月25日からは今作を引っ提げた『マタタビ ツアー 2015→2016』を開催しますが、どのようなツアーにしたいですか?

ライヴでの余韻を家に持ち帰ってもらって、お客さんひとりひとりのこれからにフィードバックできる、意味のあるツアーにしたいですね。ツアーでの個人的な楽しみは出会いです。美味しい食べ物や、ライヴハウスの人、現地の人、お客さん…いろんな出会いがあるのでいつも楽しいです。僕らのツアーの楽しみ方としては、“最初と最後でどれだけ変わったかな?”ってところを見てもらえれば楽しめると思います。
小川
僕らのライヴはあんまり踊ったり、みんなで同じ動きをしたりせんかもしれないけど、僕たちの音楽でみんなの人生に何か刺激や影響を与えるつもりでやっています。全力でパワーを込めたライヴするので、全力で受け取ってほしいですね。早く全国各地のみんなに会いたいですし、最高のライヴをして美味いご飯を食べるのが楽しみ。
田中
またみんなでワイワイしながら全国を回れるのが楽しみです。ツアーで今回の作品のグルーブをさらに深めていけたらなと思います。楽しみなことは、もちろんライヴで各地のお客さんと盛り上がって楽しむことなのですが…お酒と魚が好きなので、ご当地ものをいただければと思います。
白山
今回は、今年の2月から3月に『スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR』で回った9都市を自主企画で回るので、今までお世話になったライヴハウスに大きくなった姿を見せられたらなと思っています! 個人的には、『水曜どうでしょう』ファンなので北海道でHTB(北海道テレビ)に行くのが楽しみです!(笑)
『シュレディンガーの猫』
    • 『シュレディンガーの猫』
    • DDCB-14039
    • 2015.11.25
    • 1620円
Brian the Sun プロフィール

ブライアン・ザ・サン:2007年、大阪で結成。『閃光ライオット2008』で準グランプリを獲得。メンバーチェンジを経て11年4月より現在の編成となる。コンスタントな制作、ライヴ活動で全国に名を広め、16年6月にテレビアニメ『僕のヒーローアカデミア』のエンディングテーマとなったシングル「HEROES」でメジャーデビュー。19年3月にはメジャー3作目となるアルバム『MEME』をリリースし、同年6月にはアメリカの3大アニメ・コンベンションのひとつである『A-kon2019』へ出演、ヘッドライナーとして約3000人を動員して初のアメリカ公演を成功させた。Brian the Sun オフィシャルHP

OKMusic編集部

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