【Mrs. GREEN APPLE】過去を総括し、
未来に挑む規格外の1stフルアルバム
登場!
上辺のことを歌っても一時的でしかない
、核心を突くことを歌で表現したい
山中
ドラムで一番難しかったのは「SimPle」。完成版を聴くと、ドラム全体の音にゲートをかけて短くしてるんですけど、最初は自分で機械的な音を出そうと思っていろいろやったんですよ。ノリを出すために試行錯誤して、結果的に一番良いノリの出る曲になったと思います。
大森
ノリが良くて、良い意味で王道な曲だと思うので、そのままどストレートにやってしまうのはどうなんだろう?と。まだまだ僕らが鳴らすには早い気がしたんです、どストレートの王道は。だから、ひねりたかったんですよね。タイトルもシンプルで、歌ってることもシンプルなんだけど、楽器は難しいことをしようと思ってました。
綾華さん、和太鼓も叩いてますよね「No.7」の後半で。あれはすごく面白くて、目立ってますよ。
山中
レコーディングの数日前に決まって、そこから姿勢や叩き方を調べて、完全独学なんですけど(笑)。とりあえずかたちから入ってみたら、なんとか叩けました。
そもそも、あそこだけなんで突然音頭になるのか?(笑)
大森
作曲してる僕が飽きちゃったんです(笑)。面白いことしようという、ただの思い付きなんですよね。
大森
そうそう。「No.7」は若者に対して歌ってる曲なので。僕らが今生きているのは日本だし、最近はすぐにいろんな文化をキャッチできる環境にいるけど、日本人が持っているワビサビとは何か?というようなことですね。それで和太鼓を入れようってなったんです。
ベーシストのお気に入り曲は?
髙野
自分が今までやってきたこととはまったく違うジャンルで言うと、「ミスカサズ」。全体的に気持ち悪くいこう、と言ってましたね(笑)。うまく弾こうとかじゃなくて。
大森
ねっちょりした、紫色のものをイメージして”って、みんなに言って(笑)。この曲は僕の中でダークサイドの色なんだということをすごく伝えましたね。
元貴くんには「愛情と矛先」についてうかがいたいのですが、これを1曲目に置いた理由は?
大森
2年前ぐらいに書いた曲なんですけど、サウンド面で初めてメンバーに委ねられて、メンバー5人でリハーサルしてすり合わせていった曲なんです。“5人のもの”という意識がアルバムの中でもすごく強い曲なので、それを1曲目に持ってくることには意味があると思いました。ライヴでも1曲目にやってるし。
歌詞で言うと、「私」がすごく印象的で。今までにないアプローチの、客観的な語り口というか。
大森
冬頃にアルバムを発売しようという話を聞いて、そういうバラードを書かなきゃなと思って作った曲です。情景描写がある季節モノみたいな曲は、今まで1個も持ってなかったんですよ。人としての根本的な概念とか、私情とか、目に見えないものばかり歌ってきたので、情景が先にあってそこに感情を入れ込んでいくというのは難しい作業でしたね。これはバラードだけどひと筋縄じゃいかないし、恋愛の曲に聴こえるけど最終的に“私”のことしか歌ってない。人間のもろさや弱さが出た曲になって、作ってみて新鮮でした。
今言ったみたいに、元貴くんの歌詞は基本的に、概念や個人的感情がすごく重要だと思うんですよ。
大森
何かを掘り下げていくと、そこでしかないなと思っていて。
どうしてそれを歌いたくなるんですかね。
大森
なんでですかね。それは、僕の生い立ちを話すしかないですね(笑)。
そこがミセスの歌詞の素晴らしさだと思うんで、改めて突っ込みますけど。
大森
上辺のことを歌っても、一時的なものでしかないんで。核心を突くとはどういうことかというと、自分がいい気持ちにならなかったり、向こう側の人たちもいい気持ちにならなかったりすることを、歌で表現すべきなのかなと思っているので。音を楽しむ音楽というのはたくさんいろんな方がやってるし、僕らももちろんやってるんですけど…、もう一歩深いところで音楽を自分のものにできないかなと思った時に…“正す”というと偉そうですけど、本来ある感覚を鈍らせないために、SOSというか、警告を出すのも僕らの音楽として正しいのかなと。そういった時にどうしても概念というか、根本のところを歌いたくなってしまうんですよね。
確かに、警告のような歌詞は多いと思います。
大森
どうしても、世の中にオイタな人たちが増えた感覚があるので。バランスを取りたいと思った時に、今の自分が書く歌詞はこういうものになっちゃうんですよね。
そして、「庶幾の唄」を最後にしたのは?
大森
今までの盤の最後は、すごく意味を持つような、濃い曲ばかりだったんですよね。「道徳と皿」「WaLL FLoWer」とか、概念ソングばっかりだったと思うんですけど、なんだかんだみんな楽しいものが好きだし、でも楽しいという感情を尊くとらえないといけないし。“庶幾”は“乞い願う”という意味なんですけど、今を尊く思い、明日を生きることを切実に願いながら生きていくということについて、そんなに難しいことばかり言わなくてもいいかなと。グッとくるというものには理屈がいらないと思うので、今まで生きてきてグッとくる感情を全部詰め込もうという話をしてました。このアルバムの中で “庶幾う” (こいねがう)というワードはすごく大きいと思ってたので、絶対最後の曲にしようと考えてました。
アルバムを出して、3月から始まるツアー『TWELVE TOUR ~春宵一刻とモノテトラ~』なのですが、このサブタイトルの意味は?
若井
“春宵一刻”は僕が決めて、“モノテトラ”は涼ちゃんが考えました。“春宵一刻”は、忘れられない春の一夜みたいな意味なんですけど…
大森
適当だな~(笑)。(スマホで)今調べたけど、“春の夜は、ほんのわずかの時間でも貴重なものである”だって。
藤澤
“モノテトラ”は造語です。意味はあるんですけど、ツアーが終わるまでは言わないで、お客さんに考えてほしいなと思います。楽しみにしていてください。
・・・
『TWELVE』2016年01月13日発売EMI Records
- 【初回盤(DVD付)】
- UPCH-29210 3780円
ミセス・グリーンアップル:2013年4月結成の5人組バンド。作詞、作曲、編曲の全てをヴォーカル&ギターの大森元貴が手掛けており、15年7月にミニアルバム『Variety』でメジャーデビュー。18年4月に発表した3rdアルバム『ENSEMBLE』はオリコン初登場3位を記録。アルバムを提げてのワンマンツアーはファイナルの幕張メッセ国際展示場2デイズまで全公演即日完売。シングルと同時発売で最終公演の模様を収めたDVD&Blu-ray『ENSEMBLE TOUR 〜ソワレ・ドゥ・ラ・ブリュ〜』をリリースする。Mrs. GREEN APPLE オフィシャルHP