L→R KEN(Ba)、SHOHEI(Dr)、TAISEI(Vo)、NAOKI(Gu)

L→R KEN(Ba)、SHOHEI(Dr)、TAISEI(Vo)、NAOKI(Gu)

日本のパンクロックシーンにおける草分け的存在のひとつ、SAがベストアルバム『ハローグッドバイ』をメジャーレーベルからリリース! TAISEI(Vo)にメジャー進出への意気込みを語ってもらった。
取材:帆苅智之

1月20日にテイチクエンタテインメントのインペリアルレコードよりベストアルバム『ハローグッドバイ』がリリースされて、いよいよメジャーデビューですね。SAは1984年に結成され、一旦活動停止して1999年に復活し、現在のメンバーになったのが2002年とはいえ、結成から30年超えてのメジャーデビュー ってものすごいことですよね。

笑っちゃいますよね(笑)。

おそらく前例はないでしょうね。

ないでしょう。(レーベルスタッフに向かって)ほんとよくやったよ(笑)。…ただね、30年前に作った曲ってものすごく幼稚なんですけど、これが面白いもので、その幼稚な曲を今のメンバーでやってお客さんが盛り上がってるところを見ると、ある種、変な気持ちにもなるというか。初期衝動というものは大事なんだと思いますよね。何も考えられない、コードも知らない中で作った音楽というのは野性的だし、原石みたいなものだったんだなと感じたりしますけどね。

そもそもTAISEIさんの音楽的バックボーンはどの辺なのですか?

バンドは中学の時からやっていたんですけど、もともとはロックンロール、オールディーズです。当時、ロックンロールのブームがあって、『アメリカン・グラフィティ』や『グローイング・アップ』のサントラ盤をよく聴いていたんですよ。だから、SAはパンクで、もちろんセックス・ピストルズとかの影響もあったんだけど、最初は“俺が好きなオールディーズとパンクを合わせたらどうなるかな?”という発想だったんです。

まさに今回アルバム『ハローグッドバイ』の1曲目に収録されている新曲「START ALL OVER AGAIN!」もそのスタイルですね。

ですね(笑)。この曲がメジャー1作目でもあるし、頭は♪ジャンガジャンガジャンガジャンガで始まる、“ザ・ロックンロール”でもう1回始めようと思ったんですよ。

『ハローグッドバイ』はベストアルバムですので、再録を含めて過去作も収録されていますが、全15曲中、新曲「START ALL OVER AGAIN!」がもっともオールドスクールなナンバーという面白い構造だと思います。

以前は“パンクロックのカテゴリーから外れてはいけないんじゃないか?”という葛藤もあったんですけど、SAはだんだんとその箍(たが)が外れてきて、どんどん音楽性が広がっていく中で、“一番初期の部分を今やろうよ”という気持ちがあったんですよ。

ピストルズにしてもビートルズにしてもオールディーズをカバーしてましたしね。 

ピストルズが「サムシング・エルス」や「カモン・エヴリバディ」をカバーしているのを聴いて、ガキなりに“あ、パンクもロックンロールのひとつなんだ!?”と思ったし、ビートルズはもっと雑多で、ブルースもあれば、モータウンもあれば、もちろんロックンロールもあって、いろんなものが入ってあの音楽になっているわけで、そういうものには今でも憧れがあるよね。だから、そうした影響があって、ガキの頃から“これとこれを合わせたら面白いんじゃないかな?”という音楽の作り方をしていたと思うよね。

『ハローグッドバイ』にも収録されている「DELIGHT」では「ラヴァーズ・コンチェルト」をパンクアレンジしていますが、今のTAISEIさんの話を聞いたら納得ですね。“この人ならやりかねないな”というか(笑)。

うん(笑)。ガキの頃に聴いていた時の空気感であったり、匂いとか、そこで見た景色の色とか、そういったものが全部反映されていると思うよ。「ラヴァーズ・コンチェルト」もそうだけど、子供の頃に流れていた音楽とか、そういうのが好きなんですよね。“今これとこれを一緒にしたら面白そう”というような姑息な考えではなくて、発想は何でもよくて、“自分が子供の頃に聴いていた旋律をSAでやったらどうなるかな?”ということは常々考えているかな。

なるほど。さて、そんなSAがメジャー進出するにあたって、今の率直なお気持ちを聴かせてください。

もともと“メジャーに行きてぇ!”って思ってやってきたバンドではないので、最初は“あ、そうですか?”くらいの感じだったんだけど、インタビューを受けるごとにだんだんと…燃えてきたね、やっと(笑)。“やるからには決着を付けよう”という気持ちはあるかな。“この次はねぇぞ”という。

バンド側から請うたメジャー進出ではないけれども、やるからにはしっかりとやりたいということですね。その辺は「START ALL OVER AGAIN!」の歌詞《俺たちはまだ見たい世界がタンマリとあるのさ》にもつながりますね。

単純な話、“まだ見てない世界があるならそれを見たいと思えばいいじゃん”ということだよね。50歳の人や60歳の人でも、まだ見たい景色はいっぱいあるだろうし、会いたい人もいると思う。俺らで言えば、ライヴに来てくれるお客さんがそうだよね。だから、そう思うか思わないかだよ。“もういいや”って思ったらそこで終わりだから。

SAのメンバーにとって“まだ見てない世界”というのは、あくまでも音楽でのことであるわけですね。 

そうだね。…音楽と心中というか、音楽しかやりたくないですから。変な言い方かもしれないけど、ちゃんとプロになりたいと思うな。メジャーだからと言ってプロじゃないんだよね。最高になりたい。歌も最高、歌詞も最高、楽曲も最高、それがどこにあるか分からないけど、そこまでいきたいね。そういうふうに音楽がやれたらいいと今は思ってるよ。
『ハローグッドバイ』2016年01月20日発売Imperial Records
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • TECI-1485 4212円
    • 【通常盤】
    • TECI-1486 3240円
SA プロフィール

エス・エー:1984年、当時高校生のTAISEIを中心に結成。ロックンロールに根付いたキャッチーなメロディーとシンガロングな楽曲スタイルが話題となり、パンクスの間で大きな知名度を得るも、3年足らずで解散。そして、根強いファンの後押しにより、99年にTAISEIソロプロジェクトとして再始動を果たす。それを機に2002年に最強の布陣である現メンバーが揃い、精力的な活動を開始。16年1月にベストアルバム『ハローグッドバイ』でメジャーデビューを果たした。SA オフィシャルHP

OKMusic編集部

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