【The BONEZ】等身大でカッコ良いも
のを見せていきたい
ニューアルバム『To a person that may save someone』(誰かを救えるであろう君へ)が遂に完成した。今作はメンバー4人の個性をフル発揮した人間味あふれる一枚だ。付属のリアルなバンドの姿を映したツアードキュメントDVDも必見!
取材:荒金良介
今作は従来のパワフルな楽曲がありますが、作品全体からやさしい包容力さえ感じられる懐深い作品になりましたね。
JESSE
こういう作品にしようというコンセプトはまったくなかったんだけど。全てのアンサーは日常にあって、大抵は日常を見せずに、非日常を見せるわけじゃん。このアルバムはウチの娘が学校を行く前にCDをかけて、「To a person that may save someone」(1曲目)で起きて、「Paper crane」(3曲目)ぐらいで歯を磨いて、「1905」(5曲目)で送り出すみたいな感じなんだけど(笑)。日常の一部分になれる音楽を作れて良かったなと。
今回はThe BONEZなりのライフミュージックを作りたかったのですか?
JESSE
いや、そう思って作ったわけじゃないんだけどね。
T$UYO$HI
つまり、“俺たちはこういう人ですよ”というのを見せたくて。この4人が一番活きる曲を作ろうと。俺らは日常という地に足を着けたバンドだし、普通に家でも聴けるCDが作りたくて。
今作を聴いて“日常”という言葉はしっくりきます。前作『Beginning』はライヴの高揚感や熱量も高めでしたけど、なぜここまで進化したのですか?
T$UYO$HI
よりお互いに分かってきたから、こういう作品になったのかなと。『Astronaut』(1stアルバム)の頃はNAKAがいなかったからね。あと、前作は歌をメインに作り上げていったけれど、JESSEの得意分野であるラップを解禁しようと。それがJESSEにとって自然なことだからね。
JESSE
この段階でホールクラスみたいな曲をやっても、何のリアリティーもないから。K(Pay money To my Painのヴォーカリストで2013年1月に急逝)がいない今の日常がThe BONEZを生んだわけだから。それをナチュラルに受け入れることしかできなくて。Kだったらこういうふうに歌うかな、そう思えたら歌おう。ここでラップしたくなったら、ラップしよう。それでいいじゃんって。
今回はヘヴィなものから聴かせる曲まであり、ジャンルうんぬんではなく、グッドソング集みたいな作品だなと。
JESSE
いいアルバムだよね。スマッシング・パンプキンズも攻める曲もあれば、「Mayonaise」みたいな静かな曲がいきなり入ってきて、あの世界観が日常だと思うから。それを魅せられてるバンドは本当に少ないと思う。日常を胸を張って歌うことは相当難しいんだろうね。『聖闘士星矢』で言うところの、アーマーなしで闘うみたいな(笑)。
なるほど。それに今作は音質も温かみがありますよね。目指していたサウンド像というと?
T$UYO$HI
分離が良くて、とにかく音が抜けて飛び出る感じ。あと、誰でも聴けるサウンドですね。ロックを掘り下げている人というより、ポップスを聴いてる人も普通に聴けるサウンドにしたくて。マニアックではなく、聴きやすいサウンドでカッコ良い音を鳴らそうと。
それを意識するようになったのは?
T$UYO$HI
ずっとそうなんですよ。The BONEZはカルト的なバンドを目指してなくて、誰にでも聴いてほしいと思ってるから。狭き門にするのは嫌だし、誰でもどうぞって。
曲調と音質の相性も抜群にいいです。そして、今作の中から先行MV「Friends」を切りましたよね?
JESSE
この曲は一番悩んだし、一番時間がかかった。俺は笑顔でハッピーでいることが、自分の良さが出ると思うから。「Friends」でああだこうだ言ってるけど、“You're a friends me of mine”…“俺の友達だからさ”と言えるのが強みだから。無理して人を納得させるんじゃなく、俺が言いたいことを言って、それが伝われば本望だなと。ほんと背伸びしないって、気持ち良いなって(笑)。
表題曲もそうですが、今回は対・人に向けた曲が多いですね。
JESSE
そうだね。今回は“I”と“YOU”という言葉をたくさん使ってるから。文法的にはそんなに使っちゃいけないくらい使ってるんですよ。それぐらい言わないと、伝わらないのかなと。なるべく分かりやすく、拳銃を撃ったつもりですね。
一曲一曲、手紙みたいな曲ばかりだなと。「Revolution feat.Hiro Fujita」では、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の藤田ヒロさんを迎えてますし。
JESSE
「Aurora」(1stアルバム『Astronaut』収録)もヒロに作った曲だったんだけど、この曲もまさにヒロに適した楽曲だなと。ヒロは叫べないけど、俺が歌うことで、ヒロが実際に歌ってるように感じてほしくて。ALSだけではなく、さまざまな難病に対して、投薬を合法化するチャレンジをしてほしいなと。それプラス、俺たちには言いたいことがあるんだよって。パンクスの好きなところって、ランシドやグリーン・デイとか、“こいつらには言いたいことがあるんだな”って、その気持ちが伝わってきたところだから。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンもそうだけど、このアルバムを聴いて“この人は何を言っているんだろう?”って、耳を傾けてほしい。今回はほんとに背伸びせずに、こんなの作れちゃったという、自信が付いたアルバムですね。
T$UYO$HI
俺も自信につながった。でも、この2年くらいはものすごく悔しくて。もともと自信があるほうではないし、そのために曲を作ってるところもあるから。ここにThe BONEZあり!というのを出したくて、日々模索してたんですよ。その結果、こういうふうに音を出すことがThe BONEZっぽいのかなと。今作でそれが見えてきた感じはありますね。日常を見せるということは、その日常がカッコ悪かったら、ダメなわけじゃないですか。日常がカッコ良くて、初めて“すごいですね”となるわけだから。等身大でカッコ良いものを見せていきたいですね。
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『To a person that may save someone』2016年03月23日発売TENSAIBAKA RECORDS
- 【限定プレミアムBOX盤】
- ※数量限定生産 Thank you! Sold out! 21384円
- 【デラックス盤(DVD付)】
- TBRD-2800 3024円
ザ・ボーンズ:2012年、RIZEのJESSEを中心に、Pay money To my PainのT$UYO$HI、ZAX、そしてNAKA(ex-RIZE)とともに結成。14年、2ndアルバム『Astronaut』をリリース後、国内外の大型フェスに多数出演し、圧倒的なライヴ力を披露し注目を集める。リリカルな英語詞とメロディックな楽曲がヒットし『NISSAN X-TRAIL』などタイアップも多数。18年、3rdアルバム『WOKE』リリース前にしてツアーチケットが取得困難になり話題沸騰中。現在もっとも注目を集めているバンドだ。The BONEZ オフィシャルHP