【VANIRU】真実を知った上で、ともに
闘い続けていく
幻想的な美しさを持ち、世界を躍らせるユニットVANIRUのデビューミニアルバム『ISOLΛTION』。LEONEIL(Vo)は“今までの作品と出来上がった時の感覚がまったく違った”と振り返る。彼らはこの作品で、どんな世界を提示しようとしたのか?
取材:桂泉晴名
ミニアルバムのタイトル曲でもある1曲目の「ISOLΛTION」は作曲がVANIRUとなっていますが、生きることの意味を問うこの楽曲はどのように制作されたのでしょうか?
YUTO
LEO(LEONEIL)さんに作ったデモを聴いてもらったんですけど、最初はまったく反応がなくて。でも、その後、何かリンクしたみたいなんです。
LEONEIL
最初は感じなかったんですけど、ある時、“この曲を歌わなければいけない”という感覚が降りてきました。
これはアルバムの核になるだろうと?
LEONEIL
核というより、真実。生きていれば必ず残酷なことはあるし、誰しも孤独であったりする。でも、その真実をただ感じただけ、聴いただけではダメで。残酷であることを知った上で、闘い続けなきゃいけない。そのために、もうひとつの曲がある。
宇宙を漂うような2曲目の「Dreaming Crystal」ですね。この曲は「ISOLΛTION」と対になっているのでしょうか?
LONEIL
そうですね。眠れる心や感覚を引っ張り出すというか。誰しも本当はあるがまま感じたいはずなんだけれど、気付かなかったりする。それをこの曲たちで掬い上げたかった。だから、「Dreaming Crystal」と「ISOLΛTION」はふたつでひとつ。
そんな「Dreaming Crystal」から次のSE曲「ANOTHER DIMENSION」にいく流れもゾクゾクしました。
YUTO
「ISOLΛTION」と「Dreaming Crystal」のシーンがあり、そこから次のシーンに移る“ゲート”のイメージでした。最初のパートのエンディングであり、プロローグですね。途中、行き詰まって何パターンかLEOさんに投げてみましたところ、“こうしたらいいんじゃない?”とすぐ返ってきたのが、信じられないくらいカッコ良くて! だから、実はこの音源にはミックスが終わり、その後LEOさんがいじったものが収録されています。
LEOさんの中でイマジネーションが広がったということですか? 悩まずすぐ出てきたと?
LEONEIL
悩まないですからね。もちろん出てこない時もありますけれど、出てこない時って、たぶんそれが良かったりする時だと思っているから。でも、今回は瞬間的に、“こうなんじゃない?”という欲求が出てきました。
今作には「コズミック・ナイト-PRISMIX-」「JUST YOUR DREAM-Sharpness-」「LOVE AGAIN-To Xxxxx-」という既発曲がアレンジを変えて収録されていますが、この曲たちを入れようと思ったのはどんな理由からなのですか?
LEONEIL
今回の作品において、違う面をまだ曝け出せるだろうというのが、この3曲だったので。でも、今回は大きく変えてその顔を曝け出したわけじゃなく、ふとした変化で隠れていた表情が出たのだと思います。まず、曲を生まれ変わらせるにあたり、もうひとつ名前を付けてあげて。それによって、どう変化するかと思って。
“PRISMIX”などタイトルに大きな意味があったと。
LEONEIL
今までその曲たちと触れ合い融合し、これが似合うんじゃないかというタイトル。言葉を先行させたくはなかったけれど、生まれ変わらせるには、きっかけが必要かなと。だから、サウンドは当初そこまで想像しないで楽しみました。
言葉は想像力を留めてしまう一方、言葉によって想像力が加わっていくという面もあるのですね。もうひとつのSE曲「The VORTEX」もタイトルを聞いてから作られたのですか?
YUTO
はい。それがあったからこそできました。言葉ってすごいですね。SEはシーンをつなげる架け橋を作る感覚で作りました。ふたつとも時空の歪み、ゲートというイメージだったんですけど、まったく違うベクトルの歪感にしたかった。「The VORTEX」はどちらかと言うと「ISOLΛTION」のリミックスのイントロの感覚です。「LOVE AGAIN-To Xxxxx-」からの続きですけど、8曲目の「ISOLΛTION-The Vortex-」を示唆する感じですね。
「ISOLΛTION」の別バージョンを最後に入れたのは、冒頭と最後がつながっているというメッセージでしょうか?
LEONEIL
そうですね。“闘い続ける”ということです。けれど、さらに曲を旋風させたいな、と。だから、“ISOLΛTION-The Vortex-”と名付けています。
このミニアルバムが出来上がり、どんなことを感じました?
LEONEIL
最初のアルバム『MASQUERADE OF COSMIC』はコンセプトを作って、ある意味そこに向かう感じだったので、出来上がった時に“完成した!”と感じてた。けれど、このミニアルバムに関しては、出来上がっても、まだまだ一緒に闘っていかなければと感じていて。ともに、ハイヤーいこうぜ、という感覚。
まさに音楽は生き物ということを感じますね。YUTOさんは?
YUTO
「ISOLΛTION」は最初に曲として完成した時、“これは覚悟がないと聴けない曲だな”という感覚があったんですけど、全体を通して楽曲を聴いて、“生きるって覚悟が必要なんだな”ということをすごく学びました。無限ループできる作品だと感じています。
5月23日にはワンマンショー『NEW ROMANCER -ZERO-』が控えていますね。
LEONEIL
“Dem Phänomen sprang”(VANIRUのスローガン“現象を飛び超え…”の意)、そこでまた新たな何かが生まれるはず。
YUTO
すごく楽しみです! 最近は、お客さんともつながってきているのを感じるし、毎回発見があったりして楽しいです。5月23日からさらに爆発するという自信があるので、ぜひ!
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『ISOLΛTION』2016年05月18日発売CJビクターエンタテインメント
ヴァニル:天性の妖艶、近年稀なるカリスマ性を放つLEONEIL、エッジィなポップセンスを持つYUTO。洗練されたエレクトロ・サウンドに、ニューウェイヴ、ポストパンク、インダストリアル、ゴス…時代を超え、さまざまな要素の絡み合う“神秘的ダンスロック”を発信。彼らが世界に問いかける精神宇宙は、ミステリアスなビジュアルとは対照的に生々しく魂を揺さぶる。テーマは、エロス、生死観、華美・陰影なるロマンス。心の深淵から湧き出る美と毒を、まるで魔導師のように操り、幻想的でドラマチックな“VANIRU FANTASY”へ人々を吸い込む。ドイツで結成され、EU各地でのフェスに突如出現、崇拝者を増やし続けている。VANIRU オフィシャルHP