【家入レオ】スタイリッシュになりた
いと思った

瑞々しくて、明るくて、気持ち良いくらい抜けが良くて。4thアルバムでのこのフレッシュさは、手に入れた自由の証。新たな観点、変化した価値観は彼女と彼女の音楽の進化の糧となった。極上のポップチューン揃いだ。
取材:竹内美保

やっぱり面白いことをしないと、面白い
作品って生まれない

楽曲がほんと粒揃いで、アルバムのための新曲も全曲シングルで切れるくらい、いい曲ばかりですね。

嬉しい! ありがとうございます。

“完全に覚醒した一枚”と言いますか、ここ2作のシングルの流れを汲んでいると思いますが、アルバム制作に向けてどういう気持ちで臨んだのでしょうか?

スタイリッシュになりたいと思ったんです。以前は“変わらない”ことに重きを置いていた部分があったんですよね。“時代の最先端ではないけれど、いつ聴いてもいい曲を作っていきたい”というのが、13歳から最近までのテーマでしたし。でも、東京に出てきていろいろなライヴを観たり…特にインディーズ系の音楽を聴くようになってから、“こういう音楽もやってみたいな”という気持ちが芽生えてきて。ただ、それを抑えてしまっていたんです、自分で。それが多保孝一さんと出会って自由に音楽ができるようになってから、“私は2016年に音を出しているのだから、今流行っているもの、自分がカッコ良いと思うものをどんどん取り入れて曲を作っていきたいな”と思えるようになったんです。それと、家入レオとプライベートな部分を分けて考えるのをやめて、普段見せている表情や日常的な部分を曝け出そうと…そこがないと曲も本当の意味では届かないのかもしれないと思ったので。で、そういったこと全てが落とし込めたのが、この『WE』というアルバムなんです。

面白いのは、4枚目のアルバムがすごくフレッシュな作品になっていることで。普通はキャリアや経験を重ねていくと、だんだん成熟していくんですけど。

そうなんです(笑)。4枚のアルバムの中で今回が一番等身大だなと思っていて。以前は早く大人になろうとしていたから…。たぶん、自然体になったからでしょうね。ナチュラルにやったというか。東京に来てからの私のスタートラインに立った一枚という気もします。それを多保さん、多くのミュージシャンの方々、アレンジャーさん、エンジニアの方のいろんなエッセンスをもらいながら作れた。だから、“WE”…“僕たち、私たち”というタイトルに決めました。

関わった人たちとともに、本当に音楽を心の底から楽しんでやっているんだなというのがすごく伝わります。

ほんと楽しいですね、今。以前の私の作品は打ち込みがメインだったんですけど、私の曲は生のグルーブが合うんだって分かったのも大きいですね。オケ録りをする時もその場でコミュニケーションが生まれて、そこからまた新たな曲が生まれたりとか…人との触れ合いってすごく大事。例えば「恍惚」という曲は他の曲のオケ録りをやっている時に、ドラムンベースをサウンドに取り入れた曲を作りたいという話を多保さんにしたら、そこにいたベースの須藤 優さんとドラムの堀 正輝さんも“やろうよ”って言ってくれて、そこで原曲ができたんです。音楽が音の近くで生まれるようになったという感じがしますね。

そのレオさん自身が楽しんでいることを、私も一曲一曲聴きながら楽しみました。レオさんのアルバムでこんなにワクワクしたのは初めてかも。ドキドキはあったけど(笑)。

あー、嬉しい! やっぱり面白いことをしないと面白い作品って生まれないので、これからもどんどん道を切り開いていこうと思います。でも、それは人に恵まれているのが大きいですね。タイトルチューンの「we」は最後に作った曲なんですけど、これは周りのスタッフさんから“レオちゃんの作詞作曲のバラードが聴きたい”と言われて作ったものなんです。で、ウーリッツアの弾き語りで一発録りをして。

ウーリッツアの音色が素晴らしいですね。どこか物悲しくて、でもドリーミーな質感もあって。

ビンテージじゃないですか。だから、唯一無二というか、弾いた瞬間の相棒感というか…買いたいな、とまで思いました。

歌詞もグッときました。映像感の素晴らしさといい、深みといい。

私はプロットを大事にしているんですけど、これはプロットがスッと描けたんです。説明することをやめましたね、歌詞において。この曲は特にそう。で、“そのほうが逆に伝わった”って言われて、面白いなと思ったり。

ミュージシャンの人たちとの化学反応だけではなく、自分自身の中でも新たな化学反応が生まれるようになっているのかもしれないですね。

ありましたね、そういうの。自信が持てました。だから、「Party Girl」も…これも自分が作詞作曲した曲なんですけど、何回もサビを多保さんにぶつけて、“いや、もうちょっといいメロディーが出るはず”って言われながら、何回も折れそうになりながらやり取りをして。“これでどうだ!”って出したものが、“よし、これでいこう!”ってゴーが出た時には、自分でも自分の可能性を感じられたし、信じれました。これは歌詞も“私、こういうところもあるんだもーん!”っていうのを(笑)、落とし込めたのが嬉しかったですね。以前は闇にスポットが当たっていたんですけど、ちゃんと光の部分も持っていることを作品で表現できたことですごく楽になれた気がします。

こだわりはもちろん大事ですけど、柔軟性が出てきたことによって、これまで以上に可能性も広がったのでしょうね。

そうかもしれません。あとは、The fin.やYkiki Beat、D.A.N.とかを聴くようになって…The fin.のライヴに行って、めっちゃ落ち込んだんですよ。歳が4つ上くらいなのに、あんなに完成されているんだ!と思って。やっていることも超カッコ良いし。J-POPをやっている自分って何だろう?って…。でも、多保さんに“その気持ち分かるよ。でも、アーティストがお客さんを選んでカッコ良いことをやるのもひとつの生き方だと思うけど、J-POPでエッジの効いたことをやりながら、それをみんなに受け入れられるかたちにするほうが実は何倍も難しかったりするんだ。だから、レオちゃんが今やっていることにもっと誇りを持ってほしい”って言われて、“頑張ろう! そうだ、全然否定することじゃないな”と思えて。その瞬間、未来にすごく希望が見えましたね。

そういう意味では、今まではJ-POPの枠の中でロックを昇華していたのが、今回は融合させながら進化させたのかも。

ですね。だから、J-POPの受け入れやすさとスタイリッシュさのバランスはすごく考えました。“そこは少し引いたほうがいいんじゃないか”とか、いろんな人の意見も聞きながら、自分でも考えて一曲一曲取り組んでいましたね。

OKMusic編集部

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