【Mrs. GREEN APPLE】二十歳になる前
の最後の夏に、みんなと楽しい感情を
共有したい
誰よりも早く季節を先取り。ミセスのニューシングル「サママ・フェスティバル!」は、あらゆる世代の心の中の夏を呼び起こす、超強力サマーチューン! 爽快なスピードとキャッチーなメロディー、平易な言葉と深いメッセージとの見事な融合をご堪能あれ。
取材:宮本英夫
春のツアーの最終日、東京で初披露したのが「サママ・フェスティバル!」。どうでした? あの時の気持ちは。
大森
“サママ・フェスティバル!”と言った瞬間に、お客さんの顔にハテナが浮かんだのが面白かった(笑)。でも、曲が始まったら、みんなちゃんと納得してくれたんじゃないかな。“なるほどね”という顔になって、初めてなのにコール&レスポンスもちゃんとできてたし。
これはタイトル通り、夏のフェスティバル出演を想定して作ったもの?
大森
それを狙ったわけじゃなくて、普通に夏曲ということで。ミセスには今まで季節ものの曲があんまりなかったから、とことん夏曲を書いてみようと。楽しさやワクワク感や、あとは小学校の時に感じていた夏の感じが忘れられなくて、あのキラキラ感を表現したいと思って書き始めました。
《いつか大人になったとしても》とか、《2度と戻れないこの「今」を》とか、分かりやすいけど、実はかなり深い歌詞ですね。
大森
今年は僕が二十歳になる前の最後の夏なので。それはすごく大きかったですね。今を大事にしたいということは、ずっと思ってましたけど、“大事にする方法”のニュアンスが変わってきたかもしれない。大事にしたいから、ずっと取っておこうと思うよりも、その時を存分に楽しめば、それはきっと大事にできてるんだよ、という感じ。みんなと共有できる楽しい感情を表現したいと思った時に、こういう歌詞になったんです。
メンバーの、この曲への向き合い方は?
若井
タイトルを見た時に、なんだこれは?と。でも、曲を聴いてみたら、なるほどねと。「Speaking」の時よりももっと分かりやすく、幅広い年齢層に届く曲だなと思いました。演奏はギターソロとキーボードソロの掛け合いが楽しかった。そんなに話し合わなかったのに、自然にできたので。お気に入りです。
藤澤
僕も最初は“おおっ!”と思いました。夏は海とか花火とか、楽しいことがいっぱいある中で、自分にしかない今の夏を大切にしようというイメージが、聴いてすぐに伝わってきたので。自分の中にある夏が色褪せずにパッと出てきたので、あまり深く考えず、自分の経験した楽しい夏をイメージしながら、ワクワクしながら弾いてました。シンセはどの音もキラキラしていて、すごく心地良いと思います。
山中
今しかないものを伝えるには、素直でいるほうが真っ直ぐ伝わると思ったので、演奏に関しても難しいことを考えず、楽しんだ者勝ちでレコーディングしました。ループと生ドラムが一緒に鳴ってるんですけど、一定のループに対してどれだけ人間味のあるドラムを叩けるかを研究しながら。
髙野
ミュージックビデオでは、子供が踊ったり、自分たちも踊ったりしてるんですけど、そういう楽しい夏の思い出のイメージを大事にすることを、演奏する時にイメージしてました。ただ、楽曲のセクションごとにガラッと構成が変わって、Bメロでの合いの手や、サビで掛け声があったり、そういうところのビート感は山中とのコンビネーションが難しいところもありましたけど、楽しむことが大事だと思ってやりました。
大森
この曲、意外と速くないんですよ。BPM170。颯爽と走ってる感じが欲しくて、それをどうやって出したらいいかと思ったら、“心拍数でいいじゃん”と。BPM170って、人間が走ったあとの心拍数なんですよね。だから、きっとジョギングしながら聴くとめちゃめちゃぴったりだと思います。
ところで、なぜ“サママ”なのですか? “サマー”ではなく。
大森
響きがかわいいから(笑)。ちっちゃい子は響きで覚えたりするし、特に意味はないです。でも、“何これ?”っていうぐらいが、今はちょうどいいのかなと思うんですよね。“ダサッ!”と言われてもいいし、言われたほうが勝ちみたいな。
カップリングもいい曲揃いなので、ぜひ紹介を。「Umbrella」は、めっちゃ切ない、エモい曲ですね。
大森
原型は高2の時に作った曲です。去年の春頃に、結成前から関わってくれていた事務所の人が亡くなられたんですけど、お葬式でその人が好きだった曲ということで、家族の方が当時の音源を流してくれて、それを聴いてメンバーも大号泣して。語弊があるかもしれないけど、すごく心が温かくなって、これはちゃんと音源にしないといけないと思って作りました。大事にしまっておきたいくらいに特別な曲なんですけど、「サママ・フェスティバル!」のカップリングにぴったりはまったんですよね。
もう1曲「ノニサクウタ」はアイリッシュというか、カントリーというか、軽やかでのどかな一曲で。
大森
これはもっと前で、結成前に作ってました。サビの歌詞は全部書き直してるんですけど、当時はもっと哲学的で難しい歌で、カントリー調の演奏も、当時は難しかった。でも、「サママ・フェスティバル!」と「Umbrella」のあとには、これがぴったりだったんですよね。ちっちゃい子でも歌えるような歌詞にしたし、3曲通して辻褄が合ってると思います。
いろいろな意味で、新しい変化を強く感じるシングルですね。これから夏に向けて、どんなライヴを観せてくれますか?
大森
今まではライヴを楽しめなかったんですよ。ステージに上がるのが怖かったんで。でも、この前のツアーで自分を解放する感覚を掴んで、それが今年の夏頃にはちゃんとかたちとして出ると思うので、すごく楽しみです。お客さんも難しいことを考えずに、遊園地に行くような感覚で観に来てほしいですね。すごく自由に、フラットに、ライヴをしたいと思います。
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「サママ・フェスティバル!」2016年06月15日発売EMI Records
- 【初回限定盤(DVD付)】
- UPCH-89265 1836円
ミセス・グリーンアップル:2013年4月結成の5人組バンド。作詞、作曲、編曲の全てをヴォーカル&ギターの大森元貴が手掛けており、15年7月にミニアルバム『Variety』でメジャーデビュー。18年4月に発表した3rdアルバム『ENSEMBLE』はオリコン初登場3位を記録。アルバムを提げてのワンマンツアーはファイナルの幕張メッセ国際展示場2デイズまで全公演即日完売。シングルと同時発売で最終公演の模様を収めたDVD&Blu-ray『ENSEMBLE TOUR 〜ソワレ・ドゥ・ラ・ブリュ〜』をリリースする。Mrs. GREEN APPLE オフィシャルHP