L→R 悠介(Gu)、晁直(Dr)、明徳(Ba)、葉月(Vo)、玲央(Gu)

    L→R 悠介(Gu)、晁直(Dr)、明徳(Ba)、葉月(Vo)、玲央(Gu)

    【lynch.】衝動と勢いで全部ぶっ飛ば
    せるものを作りたかった

    アルバム『AVANTGARDE』が完成した。気付いたらビジュアルシーンでもラウドシーンでもアウェイなバンドになっていたと分析する葉月(Vo)に、衝動のまま今のlynch.の最新型を提示したという新作について語ってもらった。
    取材:山本弘子

    ニューアルバム『AVANTGARDE』はシンプルに“凶暴性”を意識した作品ということですが、サウンドや歌の面でlynch.のどういう部分を突き詰めようと思ったのですか?

    曲に関しては前回のアルバム『D.A.R.K. -In the name of evil-』がゴシックな雰囲気を盛り込んだコンセプチュアルな作品だったのに対して、今作は単純にシンプルでlynch.らしいもの、ライヴでものすごく楽しめる曲を意識して全曲作りました。

    “AVANDGARDE”には“前衛的”や“革新的”という意味がありますが、このタイトルにした理由というのは?

    アルバムのテーマが“凶暴性”で、音楽のジャンルで言うとメタルではなく、パンクやハードコアをエッセンスとして取り入れているんですが、制作中にたまたま“アヴァンギャルド”という言葉のアルファベット表記を見て、それが心に残っていたんです。あとから知ったことですが、“前衛的”や“革新的”という意味以外に、フランスでは軍隊用語で最前線に立つ兵士のことを“アヴァンギャルド”と呼んでいたらしく、今のlynch.の状態を表す言葉としてすごく合ってるなと。

    なるほど。どちらかと言うとジャンルに属さずに“最前線で戦う”とか“孤高”という意味合いなんですね。

    そうですね。本来の意味のアヴァンギャルドに非常に近い。

    ちなみにパンクやハードコアは葉月さんのルーツでもある?

    いや、あくまで要素として取り入れました。今は激しい音楽が蔓延していますけど、頭を使って考えた曲ではなく、もっと衝動的で勢いだけで全部ぶっ飛ばすみたいなものを作りたかったんです。単純なリフだけど強烈だったりとか、そういうところに僕は凶暴性を見出していて。

    分かります。“ここにBメロが来て、サビが来て〜”と頭で計算するのではなく、“ここにこういうリフが来たら気持ち良い、カッコ良いよね”という曲の作り方ですよね。

    そうです。そういう部分で今のラウドシーンに対抗したかった。“今の時代、ウチらならこうする”って。

    ちなみにlynch.は意識してどのジャンルにも属さないバンドになっていったのでしょうか? それとも気が付いたら、今のようなポジションにいたのですか?

    気が付いたらですね。ウチらはビジュアル系のシーンから出てきたバンドですが、ある時期から脱出したくなって、メイクを落として、Tシャツとジーパンで活動していたんです。でも、ラフな格好でやったところで結局、それは僕らの本質ではなかった。色でいったら黒。メイクをして妖艶な雰囲気を醸し出すのが自分らなんだということに気が付いて、3年ぐらい前からまたメイクをするようになったんです。が、ふとビジュアルシーンを見渡すともう居場所はなくて、“あれ?”って(笑)。若い世代のビジュアル系のイベントに出ても浮くし、ラウド系のイベントでも浮くし、どこに行ってもアウェイで“困ったな”って言いながら、ずっとやってるんですけどね(笑)。

    逆に言うとどっちでも出られるってことですよ。アルバムのリードトラック「F.A.K.E.」は激しくもメロディックな曲ですが、《I’m a fake》と歌っている意図は?

    これは僕がバンドを始めるきっかけになった黒夢の「FAKE STAR」の一節から取った言葉で、オマージュとして盛り込ませてもらいました。歌詞に出てくる《みやびな FAKE》《毒の華》というのは自分たちのことを指しています。今はお化粧バンドと言われようが本物じゃないと言われようが、別にいいよっていう。本物っぽいロックを目指していた時期もありましたけれど、それこそニセモノだし、オリジナルで世界一になったほうがいいかなって。

    《曖昧な名前はいらない》と歌っているのが潔いです。「EVIDENCE」では《歌うよ いのち枯れるまで》と歌っていますが、歌に対するメッセージを込めた?

    今作に限らずlynch.の歌詞は常に生と死が根本にあるんです。“いずれ死ぬんだからやろうぜ”というのが大前提にある。ただ、「EVIDENCE」は他の曲と少し違っていてファンに宛てた面があります。最近、活動休止や解散するバンドが多いこともあり、“lynch.は大丈夫ですか?”という声を多くいただくので、“僕たちはずっとやってるよ”って言ってあげたかった。サビでは大好きなバンドを失くした人に向けて歌っていたりしますね。

    では、葉月さんにとってもっとも革新的な曲は?

    6曲目の「UNELMA」ですね。僕は普遍的な表現が苦手で抽象的な言葉を使うことが多いので、例えば《風薫る 夏模様》なんて今までの自分からしたらあり得ない歌詞なんです。

    《向日葵の花》という言葉もあり得ない?

    ですね(笑)。一般的に見たら普通かもしれないですけど、闇だとか、悪魔とか歌ってきた自分からしたら、際どい表現です。そういう意味で刺激的ですね。夏をテーマに書いたこともなかったし、1回挑戦してみようかなと。

    疾走感があって、メロが立っていて良い曲ですよね。では、そんな今作を葉月さんはどうとらえますか?

    何にも縛られていない最新型lynch.が聴けるアルバムです。僕の中では1stアルバム(2005年)に近いものを感じているんです。衝動のままにやりたいことをやる。ライヴをやりたいからアルバム作る。っていう当時の状態にすごく似ている。かと言って原点回帰ではないんですが。

    アルバムツアーは10月からスタートしますが、9月には東名阪完全無料ライヴを開催しますね。しかも、Zeppや豊洲PITなどの大きい会場。太っ腹ですね(笑)。

    常々もっと多くの人にライヴを観てもらいたいと思っていて行き着いたのが、無料ライヴだったんです。長い目で見たらやる意味がある。1度観てもらえたら好きになってもらえる自信があるので、ぜひ来てほしいですね。
    『AVANTGARDE』2016年09月14日発売KING RECORDS
      • 【初回限定盤(DVD付)】
      • KICS-93415 3600円
      • 【通常盤】
      • KICS-3415 3000円
    lynch. プロフィール

    リンチ:2004年8月、葉月と玲央と晁直の3人で結成。同年12月よりライヴ活動をスタートさせ、06年に悠介、10年に明徳が加入し現在の5人となり、6年にわたるインディーズでの活動にも終止符を打つ。11年6月、アルバム『I BELIEVE IN ME』でメジャー進出。その後もコンスタントに作品を発表し、ライヴ活動を続けるが、16年にメンバー脱退により活動を自粛。17年4月の新木場STUDIO COASTでのライヴで活動を再開し、同年5月に5人のゲストベーシストを迎えたEP『SINNERS-EP』を発表した。lynch. オフィシャルHP

    OKMusic編集部

    全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

    0コメント