切なくもワクワクな初恋ソングの2ndシングル「恋の知らせ」。カップリング曲も含め、そこには瀬川あやからしいメッセージが込められている。
取材:土内 昇

今年の6月に「夢日和」でメジャーデビューして4カ月が経ちましたが、デビューしたことでどんなことが変わりましたか?

この前、初めて“瀬川あやかさんですか?”と高校生に東京で声をかけていただきました。地元北海道では至るところに知人や親戚がいるため、声をかけられることがあっても“友人から聞いて”と言われることが多かったのですが…もちろん、それでも嬉しいのですが、東京で声をかけてくださったのは何の接点もない都内の高校に通う女の子で。しかも、“好きです”と言われたのが嬉しかったです。あと、デビューをしてから、いろんな地域や会場で歌わせていただく機会が増えました。MCもそうですが、以前は演奏や歌唱に精いっぱいだったのが、その場その場に合わせた歌の届け方を考えるようになったと思います

そんな中、9月7日の横浜LOOPでのワンマン公演はソールドアウトに! 自分の歌が多くに人に届いている実感も持てました?

ワンマンライヴは今までも何回かさせていただいていますが、横浜LOOPは以前からお世話になっていたライヴハウスが生まれ変わってできた場所なので、馴染みのスタッフさんと一緒にオープンをお祝いできたことがまず嬉しかったです。初めてのソールドアウトはもうその響きだけで胸がいっぱいでした。遠方から足を運んでくださった方もいて、改めて“瀬川あやか”を支えてくれているファンのみなさんを大切に思えた瞬間でした。ライヴの回数を重ねるごとに“初めましての顔”が増えていくのも幸せです。

前回のインタビューで“自分の曲を音源化するのは初なので、これからお客さんと一緒に歌えるのが嬉しいです”とおっしゃっていましたが、お客さん歌ってくれていますか?

はい。「夢日和」のサビの《Shiny day》というフレーズは、ライヴをしていると手を横に振りながら口ずさんでくれているのがステージからよく見えます。カップリングの「はりーあっぷ」も私の《Hurry,hurry》に続いて《up!》と反応が返ってきて楽しいです。私のライヴではよくお客さんいじりをするのですが、たまに《Hurry,hurry》に“ポッター!”と歌詞をいじってくる人がいるんです。“おいおい”と突っ込むのも楽しいです。でも、《up!》ですから!(笑)

(笑)。では、2ndシングル「恋の知らせ」についてうかがいたいと思います。「恋の知らせ」を2ndシングルに選んだ理由というのは?

前作の「夢日和」は瀬川あやかのデビュー曲として、“等身大の自分”をとても意識して作った楽曲だったので、2ndシングルは実体験をもとにしながらも、誰もが共感できるような曲にしたいと思っていました。“恋愛”は一生のテーマだと思っているので、振り回されながら成長していく恋愛ソングの第1作目としても“初恋”はぴったりだったと思います。

そんな「恋の知らせ」が生まれた背景というのは?

初恋はその時には恋だと気付けなかったものなのかなと思っています。時間が経ち、当時のことを思い返して、“あれが初めての恋だった”と気付いた今、“もう一度あの人に会えたら何て言おうかな。話したいことがあるよ”という想いを込めた楽曲になっています。私は初恋の相手に会おうと思えば会えちゃうので、“もし会うことができないなら”とイメージを膨らませ、今恋をしている人にもそうでない人にも恋をする勇気を持ってもらえたらと思って作りました。

《あの時にもう恋は始まっていた》というフレーズがありますが、やはり人を好きになる時は、気付いたら好きになっていたということが多いですか?

出会ってすぐ“私この人と絶対何かある気がする!?”と思ったりすることもあるけど、だいたいは相手のいいところを見つけるたびに見方が変わったりして、小さな積み重ねで好きになっていきますね。女の勘とか予感とかって必ずあると思いますけど、予想外な展開があったりするから面白いんだと思います。逆に、“絶対好きにならないと思ってた”とか。

《怖いくらいあなた素敵に笑うから》というフレーズであり、それに続く《私を大人にさせたの》というフレーズが印象的だったのですが、怖いくらいに人を好きになることで、自分の中に新たな感情が生まれるというか、自分を成長させるという感じでしょうか?

“好きなタイプは?”ってインタビュー等でよく訊かれますが、理想はたくさんあっても結局は好きになった相手がタイプ何だと思うんです。“こんな素敵な笑顔をする人が未だかつていただろうか!”とその人しか見れなくなりませんか? 私は完全にそのタイプです。全力で好きになるからこそ真っ向から傷付くこともあるけど、新しい感情に気付けたことも含め、それら全てが昔とは違う自分の成長の証、もしくは成長へのスパイスだと私は思います。

この「恋の知らせ」は恋に落ちた時の切なさというよりも、ワクワク感を曲にしていると思うのですが、歌入れにはどんな気持ちで臨みましたか? 切なくて苦しいというよりも、重複しますが、切なくもワクワクドキドキしている感じを歌声を聴いていて感じました。

自分が曲を作る上で大切にしていることは“余韻”で。ただ切ないなと思うだけでなく、聴いたあとに“頑張ろう!”とどこか前向きになれるような楽曲にしたいと思っていました。その気持ちがなるべく長く続くように。そのため、苦しさよりも希望を持てるよう歌詞に想いを込めましたし、レコーディングもその気持ちを大切にして歌いました。

2曲目は『札幌大学』のCMソングにもなっている「The Brightest Woman」ですが、これはどんな曲を作ろうと?

自分がミスキャンパスコンテスト出身ということもあり、最初は自分の大学のミスコンテーマソングを作るならと作り始めました。私はこのコンテストがきっかけで今所属している事務所と出会うことができたんですね。一度は出場を断るくらい“私なんかが出て大丈夫だろうか?”と思っていたけど、あのチャレンジがなければ今の自分はなかったので、“やってみる”ことの大切さを伝えたいなと思いました。

カントリーっぽいアレンジが印象的なのですが、それは曲を作った時からあったイメージですか? 『札幌大学』のCMソングということを意識してしまうせいか、キャンパスで友達と楽しく歌っている絵が浮かびました。

ミスキャンパスコンテストってそれぞれがもちろんライバルではあるのですが、ひとつのショーケースであり、作品として成り立つものだと思っていて。スタッフや他の候補者とステージ構成を工夫しながら作り上げていったあの時間は私の宝物です。そんなみんなと一緒に盛り上がって歌う絵を想像しながら作りました。カントリーソングって輪になって歌ってるイメージがありませんか? 私もそのようにイメージしました。

そして、歌詞には《動き出すしかないから》というフレーズもありますが、変わりたいと思うのなら、輝きたいと願うのなら、自分から動くしかないと?

何か新しいことを始める時や人の前に立つことはとても勇気の必要ですが、ずっとモヤモヤしていても状況は変わらずとも一進はしないので、“変わりたいと思うなら動くしかない”という想いを込めました。自分のためだけに頑張るのはなかなか続かないこともあるので、“あなたが気づくまでは”と健気で頑張り屋なところも感じていただければと思います(笑)。

3曲目は『ザ・ノンフィクション』のエンディングテーマ「サンサーラ」。レーベルの先輩である城 南海さんからバンドを受け継いでの歌唱となるのですが、この曲を歌うと決まった時の心情はどんなものでしたか?

人の曲を歌うことに自信がなかったですし、城さんよりも以前から多くの素晴らしいアーティストの方が歌われていたこともあり、自分にできるのかと不安な気持ちは正直ありました。しかし、改めて観て聴いて触れていくうちに、本当に素晴らしい番組・楽曲だったので“私がやりたい! 私がやる!”という想いが生まれ、自信が持てるようにたくさん練習をしました。

瀬川あやか色の「サンサーラ」になっていますが、このドラマチックな曲に対してどんな気持ちで歌入れに臨みましたか?

瀬川あやか色にアレンジしていただいた楽曲に私の声を乗せる時、どれだけ番組の雰囲気に寄り添いながら自分らしさを表現できるか、というところに集中しました。現役看護師シンガーソングライターでも、楽曲の中で“生と死”というワードは使ったことがありません。自分じゃなかなか書くことのできない曲に挑戦させていただけて本当に光栄です。

デビューシングルとはまた違う表情を見せた今回のシングルになりましたね。

明るい楽曲だけじゃないとアピールできればいいなと思います。プライベートから能天気な私ですが、“切ない歌詞、歌唱もできるんじゃん”と思ってもらえたら。いい意味でどんどん期待は裏切っていきたいです。予想を上回って進化していく姿を今後も挑戦をしながら見せていけたらいいなと思っています。
「恋の知らせ」2016年10月19日発売PONY CANYON
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • PCCA-04437 1500円
    • 【通常盤】
    • PCCA-04438 1200円
瀬川あやか プロフィール

セガワアヤカ:北海道富良野市出身のシンガーソングライター。2011年、看護師になるために上京。15年2月の国家試験合格後は、看護師をしながらアコースティックギターとキーボードの弾き語りで年間50本を超えるライヴをこなす。16年6月、シングル「夢日和」でメジャーデビュー。“人の痛みや辛さはゼロにはできないけれど、 明日の辛さの感じ方が少しでも軽くなったら…”と昼は看護師として、夜はシンガーとして、明日への元気と心の栄養を処方する。瀬川あやか オフィシャルHP

OKMusic編集部

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