【あいみょん】命を題材にした曲だからこそ、分かったようなことは歌いたくなかった

    21歳のシンガーソングライターあいみょんが、シングル「生きていたんだよな」でメジャーデビューする。人生観を色濃く反映した言葉、力強い歌声が印象的な一枚だ。収録されている3曲について、本人に語ってもらった。
    取材:田中 大

    「生きていたんだよな」、いい曲ですね。

    ありがとうございます。私は今年の2月に上京したんですけど、これは実家で最後に書いた曲です。この曲みたいに、語りからメロディーに入るというのは今までになかったんですよ。“そういうのも面白いかもね”というアドバイスをスタッフさんからいただいていて、それを頭に置きつつ作っていきました。

    描かれている内容は、とても生々しいと思いました。

    歌詞にある通り、2日前に観たニュースの話です。ニュースを観た瞬間に曲にしようと思ったわけではなくて、2日間経っても頭に残っていたことを自然と歌詞にしていました。ポジティブでもネガティブでもなく、野次馬を批判しているわけでも、死を否定しているわけでもなく、人によってさまざまな聴き方ができる曲だと思います。できれば生きてほしいと、私も思っています。でも、他の人の人生を決め付けることも、“気持ちが分かる”とも言えないんですよね。

    こういう事柄は耳当たりの良い綺麗事に流れがちですけど、“分からない”という前提に立って描いているところに、あいみょんさんの表現に対する姿勢を感じます。

    命を題材にしたこういう曲だからこそ、分かったようなことは歌いたくなかったんです。精いっぱい生きるのは、もちろんいいことなんですけど、その“精いっぱい”は何か決まったかたちがあるわけではないと思うんです。結果的に命を絶ってしまうことがその人にとっての“精いっぱい”なのであれば、それはやはり“精いっぱい”。そして、100歳まで生きるのも、その人にとっての“精いっぱい”ということなんだと思います。

    こういうテーマですが、歌は生命力に満ちていますね。

    私自身は“くそ生きてやろう!”というタイプですから。めっちゃ生きたくて、死にたくないタイプ(笑)。だからこそ、死について考えるんでしょうね。そして、考えれば考えるほど結論は出ないです。この曲を聴いて心地良くない気持ちになる人もいると思うんですけど、リリースしたあとにいろんな意見を聞くのを楽しみにしています。

    では、2曲目「今日の芸術」のお話へ。“芸術とは日常から生まれる”という視点の曲ですね。

    私は芸術とは身近なもので、誰でも芸術家になれると思っています。そして、この曲は岡本太郎さんのこともイメージしています。岡本太郎さんの作品も大好きなんですけど、人間性や言葉にも惹かれるんですよ。“こんな考え方ができる人が、この世におったんやな”と。

    歌詞は岡本太郎さんの言葉を引用した部分もあるのですか?

    岡本太郎さんの言葉は入っていないです。“私が岡本太郎になってやる!”という感覚で、岡本太郎さんが言いそうなことばかりを書いている歌詞です。

    《見たもの全てに頷いて 見たもの全てを批判せよ》とか、岡本太郎さんが言ってそうですよね。

    言いそうだなと思ったことをそれっぽく書いています(笑)。私自身、こうなんですよ。話をしていると“でも”って言いたくなるんです。誰かが違う意見を言うからこそ、他の人からもいろんな意見が出るんだと思います。

    “あいみょんって、こういう人なんだろうな”というのをすごく感じる曲です。

    今回の3曲の中で一番、私生活、好きなもの、好きな言葉とかが出ていると思います。あと、この曲、私が岡本太郎になり切って書くことによって、“岡本太郎の弱みを握りたい”くらいのことも思っていました(笑)。

    弱み、見つかりました?

    まだ見つけられてません。嫌いな食べ物とか、どこかに書いていないかなと思ったんですけど(笑)。

    (笑)。人物に興味を持つタイプのようですね。

    はい。私、人間嫌いだと思われるんですけど、人間のことが知りたくて仕方がないんです。あと、偉人のことを調べるのも好きです。今、やなせたかしさんの本を読んでいるところです。「アンパンマンのマーチ」も名曲ですからね。

    そして、3曲目の「君がいない夜を越えられやしない」は、弾き語りに近いアレンジが印象的です。

    もともとは弾き語りで収録しようと思っていたんですけど、アレンジャーさんのアイデアでバンドサウンドも入れることになりました。ゆっくり時間が流れていくような仕上がりになりました。男性目線のラブソングとも言える曲ですね。浜田省吾さんとか、平井堅さんとか、男性アーティストにすごく憧れがあるから、男性目線で描くのが好きなんです。私と性別が違うからこそ、“何でこういう考え方になるんだろう?”っていうのを思うんですよ。

    アーティストが異性の目線で描いた曲は、照れとかによって普段は表に出していなかった部分が出ているように感じることがよくあるのですが、あいみょんさんの場合は?

    私もそうかも(笑)。多分、“自分じゃないから”という理由を作るために男性目線にしている部分もあるのかもしれないです。そういうのも曲を作っていて面白いところですね。

    今後、どういうアーティストになっていきたいですか?

    何だろう? 若い子にちやほやされたい(笑)。弟が小学生なんですけど、そのくらいの年齢の子が“カッコ良い!”とか言ってくれたら嬉しいです。あと、音楽以外のことにも挑戦していきたいですね。私は絵も描きますし、16歳くらいから写真を撮り続けているんです。撮った写真をインディーズのCDジャケットに使ったことはあるんですけど、そういうのを世に出さないのはもったいないなと感じるようになっています。ずっとパン屋に憧れているので、“朝はパンの仕込みがあるので、スケジュールを空けてください”とかあるかも(笑)。自分の才能なんてまだ分からないので、可能性を探しながら、立派な大人になれたらいいなと思っています。
    「生きていたんだよな」
      • 「生きていたんだよな」
      • WPCL-12398
      • 2016.11.30
      • 1080円
    あいみょん プロフィール

    あいみょん:1995年生まれ。兵庫県西宮市出身のシンガーソングライター。かつて歌手を夢見ていた祖母や、音響関係の仕事に就いている父親の影響で幼少の頃より音楽に触れて育ち、中学の頃からソングライティングを始める。15年3月にリリースした、タワレコ限定シングル「貴方解剖純愛歌~死ね~」の過激な歌詞が話題となり、各局で放送NGとなりながらもオリコンインディーズチャートでトップ10入りする。16年11月、1stシングル「生きていたんだよな」でメジャーデビュー!あいみょん オフィシャルHP

    OKMusic編集部

    全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

    0コメント