バンドを止めたくない――。その想いでメンバーチェンジを乗り越えた夜ダンは、果たしてどんな変化を遂げたのか? 新ギタリストの“ニシカズ”こと西田一紀にスポットを当てつつ、メジャー1stシングルについて話を訊いた。
取材:田山雄士
2016年9月にギタリストの町田建人さんが脱退して、西田さんが新たにメンバーとなりましたが、その経緯から聞かせてください。
鈴鹿
8月かな。恵比寿LIQUIDROOMでのワンマン(7月15日)の時はまだ脱退について話し合ってる最中で。
西田
僕がやってたDAISY LOOというバンドが、2015年の年末に解散して。その後は地元の神戸で弾き語りをしたり、サポートをしたりって感じだったんですけど、急に鈴鹿から連絡があって、夜ダンの状況を聞きまして。“1回スタジオ入れへんか?”って誘われて、もうふたつ返事でしたね。対バン経験があって人となりもわかってたし、夜ダンの音楽がもともと好きやったし、バンドをやりたい気持ちも抱えてたので。実際、合わせてみてもしっくりきました。
でも、急展開ですよね。
鈴鹿
俺らにとっても、けんけん(町田建人)の脱退は突然やったからなぁ。メジャーデビューしてステップアップしていく時期で、米田もマイケルも“今!?”みたいな感じで。
米田
最初は理解できんかったもん。ここに至るまで結構大変でしたけど、バンドは止めたくなかった。
西田
そんな中で僕に声かけてくれたわけやから、断る理由はないですよね。むしろ、夜ダンをなんとかしたかったんで。
鈴鹿
やっぱり、人間性が大事で。そこを踏まえて考えた時に、身近なところで西田くんしかいなかったんですよね。佇まいが堂々としてるのもええなと(笑)。
マイケル
ギタリスト然としたギタリストやな。シュッとしてて長髪で、ギターを持った姿が似合うんですよね(笑)。
米田
衣装も含めてね。演奏面では“上モノは任しとけ”みたいなオーラがあるというか。音楽のルーツ的に重なる部分が多くて、年齢も近いから話が早いし。
マイケル
加入が決まって、すごいスピードで京都に引っ越してきてくれたのも嬉しかったな。
米田
うん。誘うのも誘われるのも、お互いにタイミングが良かった。おかげで、こうやって年内に新しい曲を届けられるので。
できる楽曲も変わってきてますよね。
鈴鹿
今までの夜ダンにない要素が生まれてると思います。わかりやすいところでは、「Without You」のリフはニシカズが持ってきてくれたし、リズムパターンも今までになかったものを考えてくれて。ああいう始まり方というか、ビート主体の曲って僕としても新鮮で楽しいんですよ。
マイケル
ハードでカッコ良いリフやと思う。ああいうのはAC/DCとか好きやから出てくるんだろうし、それでいてニシカズくんはフォーキーなプレイもできるんで。
米田
音楽的な教養というか、コードをどう当てはめればいいとかもわかってるから、広がりが出せる感じがあるんですよね。聴いた人は曲がめっちゃ変わったとは思わないかもしれないけど、作り方で言うたらかなり違ってきてる。
「Without You」はギターソロも新しいなと思いました。
西田
その前で音が伸びるところがあって、Cメロがフワッと広がっていく感じやから、ソロは音符的にソリッドにして、バンドサウンドを盛り上げる流れが出せたら、展開としてきれいかなって。
マイケル
ファンクっぽいイメージですね。ソロ前のキメにしても。
「Without You」の歌詞は悩ましさが出てますが、どういう心の揺らぎを表現したんですか?
米田
メジャーに行ったり、けんけんの脱退だったり、いろいろと考えさせられることが多い中で、“自分はこれでいいのか?”と思う時もあるけど、それでもやっぱり捨てられない、ロックに生きていたい!という気持ちが曲になった感じですね。これまでの曲同様、聴く人には好きにイメージしてほしい。“You”をロックととらえてもらわなくてもOKやし。
「LIBERTY」はどんな曲になりましたか?
米田
これはサビで声をめっちゃ重ねてるのが新しいですね。ハモリと“ララララ♪”っていうコーラスも入ってる。
「Without You」もそうですけど、途中から違うテイストが出てきますよね。「LIBERTY」はAメロが結構ゴツいのに、1番のサビ前のギターフレーズで一気に明るくなる。
米田
よりポップにしたくて。声を足したのもそういう理由ですね。イメージ的には人がいっぱいいて、みんなで盛り上がってる感じ。ライヴの画がわかりやすく浮かぶし、予期せぬ反応もあったら面白いなと。「Without You」はもっと孤独な気分で、陰というか。「LIBERTY」は陽だと思います。
西田
「LIBERTY」のギターソロは、そこに行くまでがパチパチ刻んだ感じやったんで、弾き倒さずに大きく間を取ってみました。そのほうが広がりが出る気がしたし。あとは、鼻歌で口ずさめるくらいのものにしたかったのもありますね。
では、最後に2017年へ向けての抱負を。
米田
ちょっとバタバタしたけど、いい流れで2016年を終われそうなので、まずは年明けのツアーから駆け抜けたいですね。新しい夜の本気ダンスを音源で聴いて、ライヴも観に来てほしいと思ってます。
鈴鹿
“踊れる準備はできてますか?”って散々言うてきたけど、ようやく僕ら自身が“踊れる準備ができました”って感じで。2016年あったことは、どれも上に行くために大事なことやったと思えてきてますね。もろもろ整ったのが、この両A面シングルです!
西田
“メンバー代わって、どうなんやろ?”って不安に思ってはる人もいるかもしれないんで、ツアーではよりパワーアップした夜ダンを全国のみなさんに観てもらえれば! その気持ちを念頭に置いて頑張ります。
マイケル
新体制になってまた調子が上がってるんで、ガンガン行きたいですね。2017年もいいスタートを切って、バンドとしての安定感を4人で高めていければ、もうひと回り大きくなれると思うので。
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「Without You / LIBERTY」2016年12月07日発売Getting Better Records
- 【初回限定盤(DVD付)】
- VIZL-1063 1728円
ヨルノホンキダンス:2008年に結成された、京都出身の4人組ダンスロックバンド。踊れて泣ける100パーセントのダンスロックとライヴパフォーマンスを武器に着実に支持を獲得し、全国のイベントやフェスに出演を果たす。満を持して、16年3月9日にアルバム『DANCEABLE』でGetting Better Recordsよりメジャーデビュー。同年9月をもってギターの町田建人が脱退し、10月に西田一紀が加入。夜の本気ダンス オフィシャルHP