L→R 木村雅人(Dr)、広瀬臣吾(Ba)、井上竜馬(Vo&Key)、服部栞汰(Gu)

L→R 木村雅人(Dr)、広瀬臣吾(Ba)、井上竜馬(Vo&Key)、服部栞汰(Gu)

【SHE’S】目を背けたくなるような自
分の嫌な部分も受け入れたい

ピアノとストリングスの中を駆け巡るロックサウンドが心を打つSHE’S。聴けば美しく切ない情景が目の前に広がるドラマチックなアルバム『プルーストと花束』について、井上竜馬(Vo&Key)に話を訊いた。
取材:吉田可奈

メジャー1stアルバムとなる『プルーストと花束』がついに完成しましたが、改めて聴いてみていかがですか?

今作はタイトルにもある通り、“プルースト効果”(嗅覚や味覚から過去の記憶が呼び覚まされる心理現象)というテーマが決まったので、過去の自分の経験や情景を思い出しながら楽曲を作り上げていったんです。実際に出来上がって聴いてみると、思い出す空気や情景が音と寄り添ってくれていたので、すごく充実した一枚になりました。

よりそのテーマに近づくために言葉選びやメロディー作りに変化はありましたか?

ありましたね。まず、これまで抽象的だった歌詞をより伝わりやすい言葉に変えていったんです。

それって、勇気のいることですよね。

そうですね。言葉を明確にすることによって、どうしても曲に対しての責任は大きくなっていきますからね。でも、それと同時に歌が歌いやすくなったんです。

気持ちが今まで以上に入りやすくなったのでしょうね。

そうだと思います。明らかに曲がステップアップしたんだと思います。中でも「Freedom」の歌詞にある《理屈じゃないものに動かされてる》というフレーズは、バンドや音楽をやっている自分の全てを表しているようで、書けた時にすごく革新的な想いを抱いたんです。普段から気持ちをあまり直接言うタイプではないので、素直な気持ちをストレートに歌詞にできたことが嬉しかったんですよね。

メンバーにもあまり気持ちは言わない?

メンバーには言いますよ。静かそうに見えて小ボケをかましてくるお笑い好きの栞汰に、クールに見えて実は熱い臣吾、メンバーからいじられまくっている愛されキャラのキム(木村)は、みんなの性格がバラバラだからこそすごく居心地がいいんです。よく4人でいてもクールに見られがちなんですが、いつもワチャワチャしているんです。それが曲作りになると一気に締まるので、すごく今の関係は心地良いですね。

曲作りはどのように行なわれているのですか?

これまでは何となくできた曲をスタジオで披露して、詰めていったんです。今回からパソコンで作ったデモをメンバーに渡して、それぞれがアレンジをして持ち寄る方法に変えたんです。その手法にしてから自分たちの作り方の答えが見えて、すごくスムーズになりました。

曲を作るためのインプットはどうしているのですか?

よく一人旅に行っています。そこで見た情景や風景をカメラに収め、それを見ながら空気感を曲に閉じ込めたりしているんです。デモができた時に、その写真をメンバーに見せながら共有して作ることが多いですね。

歌詞はとてもリアルですよね。苦しさはないですか?

あります!(即答) でも、現状の気持ちをそのまま歌詞にすることで自分の嫌な部分も受け止められるし、気付くんですよ。きっと今はそんな自分を知っている最中。今作にも嫌な部分はたっぷり描いたので、目を背けたくなるような瞬間もあったんですが、それも自分。人間の成長として、自分を受け入れることから始めようと思っているんです。

行き詰まった時、歌詞以外に吐き出す先はありますか?

愛犬かな。寝ている愛犬を抱っこして“聞いて~”って言いながら話すとすっきりします。ほんと、癒しの存在です(笑)。
『プルーストと花束』2017年01月25日発売Virgin Music
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • TYCT-69113 3780円
    • 【通常盤】
    • TYCT-60096 3024円
SHE'S プロフィール

シーズ:メンバー全員大阪出身のピアノロックバンド。2012年開催の『閃光ライオット』ファイナリストを契機にその高い音楽性が一気に注目を集め、16年6月にシングル「Morning Glow」でメジャーデビュー。全楽曲のソングライティングを担う井上竜馬が奏でるピアノをセンターに据え、エモーショナルなロックサウンドから心を鷲掴みにする珠玉のバラードまで、壮大かつ圧倒的な存在感を放つ。21年、結成10周年であり、メジャーデビュー5周年のアニバーサリーイヤーに突入! SHE'S オフィシャルHP

OKMusic編集部

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