【ラックライフ】今一番いいと思う曲
を詰め込んだニューアルバム
新境地にも挑戦したメジャー第一弾アルバム『Life is beautiful』は、同時にバンドがずっと大事にしてきたものを改めて見つめ直した作品に。いろいろな思いがギュッと詰まっているという本作について、PON(Vo&Gu)が語る。
取材:山口智男
『Life is beautiful』はメジャーレーベルから出す1枚目のフルアルバムですが、変に気負わず現在のラックライフを印象付ける作品になりましたね。
自分らが今一番いいと思う曲を詰め込みました。シングルだろうと、アルバムだろうと、ライヴだろうと、常にその時に一番カッコ良いと思っていることをやっているんです。今回初めて僕らのアルバムを耳にするという人もいるだろうから、ラックライフはこういうバンドなんだよって偏りなくちゃんと伝わるようにバランスは考えましたけど、自分たち自身も面白おかしく作っていきました。そしたら、“ちょっと待て。リード曲は?”って話になって、“じゃあ、リード曲を作るわ”ってできたのが「サニーデイ」「君の匂い」「赤い糸」の3曲だったんですよ。全然違う3曲を作ってみて、どれが一番ラックライフの良さが出ているか、アルバムを象徴しているかを話し合った結果、「サニーデイ」しかないって、みんなの意見が一致したんですよね。みんなに幸せになってほしいという「サニーデイ」のメッセージは本当に普段から思っていることだし、歌っていると自分でもグッとくるんですけど、言っていることが小学生の脳ミソレベルだから(笑)、どう見えるんだろう?って。大人になった今、歌うのは勇気がいったんですけど、それも含めて思い入れがギュッと詰まった曲になりました。
その「サニーデイ」はピアノに加えホーンセクションもフィーチャーされていますが、その他にも今回のアルバムは新境地と言える曲に挑戦していますね。
新しいことをやるぞ!と意識したわけではないんですけど、出来上がってみたら、新しいかも!?っていう曲が結構ありますね。「ラブリープリティーミュージック」とか「君の匂い」とかもそうですし、僕の中では「赤い糸」もそうなんです。「赤い糸」はピアノで作ったんです。今まではギターか鼻歌から作り始めることが多かったんですけど、曲作りに行き詰まった時、スタジオにキーボードがあったので、鍵盤で作ったらどんな感じで思い付くんだろ?って試しに弾いてみたら、“おおっ、これや!”っていうのが。音が普段の響きと変わると、出てくるメロディーラインも違うんですね。それが面白いと思いました。そもそも、Cというキーがすごく苦手だったんですよ。だから、Cの曲ってほとんどない。それを打破できただけでも、すげぇ!となりましたね(笑)。
それをピアノで作ったという感じを残さずに、なぜストレートなバンドサウンドでアレンジしたのですか?
アコギで弾き語りして、“バラードだよ”って持っていったんですよ。そしたら、“これ、速くしたらいいんじゃない?”ってLOVE大石が言い出して、“何を言うとんねん。バラードだって言うとるやないか!”って思いながらもやってみたら、“めっちゃええやん!”って(笑)。僕が考えたゴールとは違うところに辿り着きましたけど、そこはやっぱりバンドなんですよね。
「ラブリープリティーミュージック」も結構驚きました。こういう黒っぽいところもある4つ打ちの曲ってこれまでなかったですよね?
それをやってみたらどうなるかな?ってセッションしながら、メロディーを乗せたら、“これ、ダンスだよね? けど、踊らないしな”って(笑)。ライヴで“踊れ!”って言っているバンド、今、めっちゃいるじゃないですか。それはそれで素敵なんですけど、ラックライフはそうじゃない。想像してみたんですけど、“踊って帰れよ!”って絶対に言わないしなっていう、その気持ちがそのまま歌詞になりました(笑)。
そういう曲もありつつ、歌詞はやっぱりファンとの絆を歌ったものが多いですね。
何を歌おうかな?と思った時、それが一番初めに浮かんでしまうというか、一番歌いたいことなんでしょうね。自分の中でキーとなる曲…「サニーデイ」とか「赤い糸」とかもですけど、そういう曲が多くなる。結局、それを真ん中にバンドをやっているんだって、作りながら思いました。僕らは音楽が好きで続いてきたというよりは、人が好きで続いてきたバンドなんです。メジャーデビューしたことで目に見えないところで音楽を受け取ってくれる人が増えたということは、なんとなく分かっていたんですけど、北海道でラジオを3カ月間やらせてもらった時、縁もゆかりもない土地で僕が1時間喋って、ラックライフの曲をかけて、一体、どれだけの人が聴いてくれるんだろう?って思いながらも一生懸命やっていたら、リスナーがメッセージくれたり、“弾き語りでインストアライヴやります”って言ったらたくさん集まってくれたりして、目に見えないところで自分たちの音楽がこんなにも届いていて、その曲を大事にしてくれている人がこんなにもいるんだってことが改めて分かったんです。それってすごいことだなって。ラジオってブースでひとりで喋っているから、誰かに喋っている実感ってないんですけど、インストアライヴをやった時、“うわ、こんなにたくさんの人と喋ってたんだ”と思ったら、マジすげぇ!ってなったんです。そうやって受け取ってくれる人の存在を目の当たりにしてしまうと、自分のためだけに歌えない…どうしたってその人たちの顔が浮かぶし、その顔を浮かべながら、その人たちのために歌うことが一番自分のためになるというか。それをずっとつなげていくためにはどうしたらいいんだろう?って考えて、だったら赤い糸を一本だけじゃなくて、何本も自分らで結んだらええやん!って思いながら書いたのが「赤い糸」なんです。
男女の関係で使われてきた“赤い糸”という言葉をバンドとファンの絆とした解釈は新鮮だし、素敵ですよね。
いわゆるラブソングじゃないんですけど、ラブソングなんだと思いながら聴いてほしいですね。ラックライフはライヴのお客さんや自分たちの歌を聴いてくれる人に対して、愛を持ってやっているバンドなんだということを伝えたかったんです。
- 『Life is beautiful』
- LACA-15620
- 2017.03.15
- 3024円
ラックライフ:2005年、同じ高校のクラスメイトで結成された大阪・北摂出身の4ピースギターロックバンド。前身バンドを経て08年3月にバンド名を現在の“ラックライフ”に改名。大阪、東京を中心に活動を続け、16年3月にはラックライフ8周年記念イベントを大阪なんばHatchにて開催し、800人を動員した。同年5月、シングル「名前を呼ぶよ」でメジャー進出を果たした。ラックライフ オフィシャルHP