取材:土屋恵介

最高級の品質を求めて作ったアルバムで

1stアルバム『First 9uality』は、どんな作品にしようと思って制作していったのですか。

thyme
特にテーマなども決めず、とにかく自分たちのやりたい曲を詰め込もうと思って作ったんです。

アルバムの柱になる曲を挙げるとすると?

thyme
1曲目に入ってる「晴天」ですね。この曲は自主制作で作った最初の曲でもあるんですよ。
清水
星野くんが最初に“デモテープ作ろうぜ”って言った時に、まずこの曲を作ったんです。
thyme
最初に3人で作った曲でもあるし、デビューにつなげてくれた曲でもあるんです。ライヴでも絶対歌うし、ファンの人から好きって言ってもらえることも多くて。特別な思いがある曲なので、1曲目に入れました。

さわやかなサウンドで、歌詞も前向きな内容ですね。

thyme
歌詞の頭に“飽きるほど雨が降り続く季節”ってあるけど、梅雨の時期に書いたんです。朝起きてカーテンを開けて晴天だったら、それだけで幸せな気持ちになるじゃないですか。それって、大切な人の笑顔に触れただけで悩みが飛んじゃったりすることに近いなと思って、変に飾らずにそのままの思いを歌詞にしたんです。

それにしても、アルバムにはいろんなタイプの楽曲が詰まってますね。「Humming Bird」はフィドルの入ったアイリッシュテイストのナンバーですし、「forever we can make it!」はハードなロックンロールだったり。

清水
「Humming Bird」のイントロはベタでダサイくらいですけど(笑)、その不安をサビで引っくり返してやるって気持ちで作ったんです。僕らアコースティックでもライヴをやるけど、サポートバンドを入れてライヴをやりたいって思いが強くて、ライヴ映えする速い曲が欲しくて作りましたね。

あと、3rdシングルにもなった「Fly Away」は、過去を振り返る歌詞が温かくて力強いナンバーですね。

thyme
歌詞に出てくる景色は実在してるんです。学生の時に見た景色ですごく覚えていて…で、この曲の最初のデモを聴いたら懐かしい気持ちになって、その風景がパッと浮かんだので、この歌詞を書きました。

歌詞はthymeさんが書いてますが、「Our Rock Star」だけは星野さんとの共作ですね。

清水
彼女がイメージ沸かなくて、星野君が手伝ってできたんですよ。彼は、歌詞もイケるんです(笑)。
星野
もともと僕は作詞作曲もしてたし、THYME以外でのアレンジやエンジニアとしての仕事で、たくさんのアーティストや作家さんの作業をみているので、THYMEの詞や曲を俯瞰で見れるとこはあるかも。それで、彼女の書いた歌詞を直したりしますが、多少不器用でもTHYMEにおいての“詞”はボーカリストであるthymeの思い描いたものを最優先に尊重しています。そのほうが歌に強い表情や表現力が生まれると思いますので。
thyme
的確なアドバイスをくれるんで、毎回ホッシーには、歌詞の細かい部分は相談しますね。

バンド内で良いトライアングルができてるんですね。では、アバムタイトルの“first 9uality”ですが、数字の“9”が入っているのは何か意味があるのですか?

thyme
自分たちの最高級の品質を求めて作ったアルバムってことで、“first quality”になったんですけど、せっかくだし遊ぼうと思ったんですよ(笑)。
清水
そしたら、誰かが“数字の9なら小文字のqに似てるし、発音も一緒だし、どう?”って言ったんで、みんなが乗ってしまったという(笑)。
thyme
でも結果、イメージが柔らかくポップになって良かったなって。
清水
あと、自分たちの中でベストを尽くそうって意味での“first quality”だったけど、人によっては“最高級の品質だぞ”と、上から目線だなって受け取るかもしれない。そうじゃないんですって意味も込めてひねりたかったんです。
星野
いろいろ理由はあるんですが…ひとつは、9月にデビューしたからですかね?
清水
そうそう! ちょうど1年目の9月のアルバム発売だから、9月は大事な月なんです。とか、後付けでいろいろ考えてます(笑)。
thyme
“9”にまつわることを募集してます(笑)。でも、自分たちのラッキーナンバーであるのは間違いなさそうだなって、ひしひしと実感してますよ。

なるほど。では、『first 9uality』を聴いてくれる人には、どのように楽しんでもらいたいですか。

thyme
アルバムが出来上がって、こんな幸せな気分は初めてってくらいうれしいんです。ほんと、いろんなタイプの曲が入ってるので、さまざまなシチュエーションに当てはめてもらえると思いますね。海で似合う曲、街中で似合う曲とか、持ち歩いて聴いてもらいたいな。メチャ良いって自信持って言えるんで、ほんと、みんなに聴いてもらいたいです。
星野
それぞれの曲に個性があって、どれの曲にもキャッチーな部分があるので、聴いた方みんなが楽しめるアルバムです。あと、シングルの曲たちも全てアルバム用に細かく作りなおしてますので、最初から最後まで飽きずに聴けると思います。ぜひ飛ばさないで聴いてください(笑)。
清水
僕がTHYMEの曲を書く時に大切にしてるのは、OASISの言ってたことを忘れないようにしようと思ってるんです。昔、ノエル・ギャラガーが“アルバム曲、カップリング曲を作ろうって発想はない。俺は全部シングル曲のつもりで作ってる”ってインタビューで言ってたんです。だから、このアルバムには捨て曲なんてないし、1曲ずつバラバラでも、全体通した流れでも聴けると思います。そういう意味でも、みなさんのお好きなように聴いてもらえたらなと思ってます。
THYME プロフィール

タイム:2004年に結成。日本ではまだ稀なメンバーにエンジニアが存在する、1シンガー・2サウンドプロデューサーという形態を持った3人組ロックバンド。THYMEの由来は、「勇気」という花言葉を持つハーブの一種より。THYME Official Website

OKMusic編集部

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