取材:高橋美穂

このアルバムでtobaccojuice、離陸しま
した!

アルバムタイトルで、1曲目の曲名にもなってますけど“HEADPHONE GHOST”って印象的な言葉ですね。

友達と電車に乗っている時に、目の前にいる人が幽霊みたいな感じだったんですよね。その人がヘッドフォンをしていて、友達と“ヘッドフォンゴーストっぽいね”って話してて。それで、ヘッドフォンゴーストっていい響きだなって思ったんです。それに、僕もヘッドフォンつけて目の前にいる人と同じ目をしてる時があると思って。目の奥に闇とかがあるけど、その向こうには光があるような。だから、これは曲になると思って、携帯にメモしたんですね。

イメージとしては、ヘッドフォンゴーストって、音楽がなければ生きられない人を指してると思ったのですが。

今の世界で、生きづらい人はたくさんいると思うんですけど、そことのギャップを埋めるためだったり、そこから逃避するためには、いろんな手法があると思うんですけど、俺にとってそれはずっと音楽で。自分がこうなりたいって姿と、今の自分、そして生活してる社会との間でみんなもがいてると思うんですけど、そういう状況を歌にしたって感じですね。音楽によって俺も救われてきたし、今もそうだし、そういう人たちが世の中にいっぱいいると思うし。こう言うとあれですけど、ヘッドフォンとかイヤフォンを街で外すのが怖い人っていると思うんですけど、それって俺はすごく悲しいことだと思うんです。ほんとは耳を塞がなくても、普通に生きていけたら楽しいじゃないですか。だけどそうはいかないって気持ちを歌にした感じですかね。

また、「ダイヤモンド」だったり「サファイア」って曲もありますけど、キラキラしてる楽曲も多いですね。

俺、光に憧れてて、ずっと。常に光を見たいし、光を浴びていたい。それがキラキラになってるんですかね(笑)

逆に、闇を描いているように感じる楽曲もありますが。

そうですね。作品を作ること自体が、俺にとって光に近づいていく行動なんで。それを聴いてくれた人がインスピレーションを得て新しい動きをしてくれるかもしれないし、それが俺にいつか帰ってくる気がするし、それでじゅんぐり回っていくのが、ライヴだと分かるんですよね。だから、自分がドロッとしてる時の闇も、それをひとりで持ち続けずに世に出していく、そして循環させていくっていう。

では、今作でどんなところに到達できたと思いますか?

とりあえず4人の心がしっかり反映されましたね。ひとつ前にリリースした、自分たちでセルフプロデュースしたアルバム(2006年リリース『Happy Birthday』)が発進だとしたら、滑走路を走ってる状態だったんで、このアルバムでtobaccojuice、離陸しました(笑)。よく言うんですけど、お客さんが、ライヴに来る前より、帰って行く時の街の景色の方が綺麗に見える音楽をやりたいと思ってて、それをやるには、ただ明るく頑張っていこうぜとか、そういうことを言っただけだと、きっと反応してくれない人がたくさんいると思うんです。だから、生きてる上で起こるいろんな面を見せてくことによって、より人の心の深いところに音楽を届けられるんじゃないかなと思ってて。そういうのがtobaccojuiceらしさだと思うんですけど、それが上手く今回は出せてるんじゃないかと。

サウンド的には、今まで取り入れてなかったホーンやストリングスも取り入れて、鮮やかになってますね。

やっぱそういうのが入った音楽に影響されてきてるんで、そろそろやってみようかって感覚で入れましたね。それが入っても絶対崩れないバンドサウンドが出来上がってるんで。それはプロデューサーの(柏原)譲さんのアドバイスだったりを受けたところも大きいんですけど。

ライヴではどのようにやるのですか?

もしこれが売れたら、オーケストラバックとかホーン入れてみたいですけどね(笑)。でも、入ってなくても全然成り立つバンドなんで、物足りないことはないと思います。

やっぱり多くの人に聴いてほしい思いも強いですか?

俺はお客さんがひとりもいなかったらライヴやんないですからね。ひとりでもいたらやりますけど。基本1対1だと思ってるんで。俺、何で音楽やってるかっていうと、人に聴かせたくてやってるんですよ。そこで自分を確かめたい。今回のアルバムは深いところに向かって歌ってるんで、よく聴いてもらえればどんな人でも反応してもらえると思うし、できるだけ多くの人の心の底に音楽を届けられるようなバンドに成長していきたいと思います…硬いですね(苦笑)。でも…みんな内にこもる人間だったりするんで、tobaccojuiceのメンバーって。つまり、若干暗い(苦笑)。だけど、今はみんな気持ちが外に向かってて、人に届けようとする感じに変わってきてるんですよ。今回のアルバムを作って一番良かったなって思うのはそこなんですよね。今までは個人個人が、俺はこのスタイルだって決め付けちゃってる部分もあったんですけど、今回はそれを一個ずつ壊していって、まだ俺たち成長できるんだってことに気付けて。だから今は、何をやってても楽しい状態ですね。前は、酒を飲んでる時くらいしか楽しくなかったけど(苦笑)、今はみんな音楽に魂を賭けてやってるんで、どんどん壊して作っていくことを繰り返していきたいと思います。音楽に対しては閉じようがないし、閉じる扉がないですからね。
tobaccojuice プロフィール

タバコジュース:1999年結成。ロック、ブルース、レゲエなどをルーツに持つ彼らの音楽は自由奔放であり、それを彩るヴォーカル松本の歌詞は、独特の感性と世界観でリスナーに共感を与える。tobaccojuice Website

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