【LUNKHEAD】シンプルなだけがライヴ
で活きる曲なわけじゃない
4月16日にリリースされるオリジナルアルバム『孵化』のリード曲として発表された「素晴らしい世界」。ライヴで盛り上がること必至のアグレッシブで疾走感のある楽曲の製作段階において、彼らにもたらされた変化とは?
取材:大庭利恵
「素晴らしい世界」はアルバムの制作の流れで作られた1曲なのですか?
小高
そうですね。速くて、暗くて、エッジの効いた感じにしたいなっていう漠然としたイメージの中で作り始めたんですけど、パッと聴いて“ロックバンド”っぽいものに出来上がったかなと思ってたんですよ。
石川
それが、アルバムの楽曲が半分ぐらい出揃ったタイミングだったのかな。すごく瞬発力があっていいねって話になって。
今回のタイミングでは瞬発力のある曲が欲しかったんですね。
山下
前作がメロ重視な感じだったんで、今回は突っ走るようなものがいいなと思ってたんですよ。
合田
ライヴで盛り上がるアイテムとしても、こういう曲は欲しいなと思ってたんで。
山下
でも、いろいろやり過ぎて、逆に俺らがドーンといけなくなっちゃってますけど(笑)。
確かに、ライヴ感はすごくあるけど、かなり練り込まれた1曲になってました!
小高
レコーディング前からライヴでも演奏してたんで全体の流れはできてたんですけど、よりカッコ良くって考えていったら、今までにないぐらいキメが多くなっちゃって…。カッコ良くはなったけど、ライヴで盛り上がるというよりはテクニカルな曲になっちゃいましたね。
それは、スタジオで合わせていくうちに?
小高
そうそう。ここでもうひとひねり、もうひとひねりとかやってたらひねりまくっちゃって。ラスサビのそこまできて、“まだ入れるか!”みたいな(笑)。
LUNKHEADにとっては、わりとスタンダードなアグレッシブなタイプの曲ですけど、それがこういうアレンジになったというのは、進化したってことになるのかな?
石川
あのですね、実は去年の12月にLUNA SEAのライヴを観に行ったんですよ。
意外なキーワードが(笑)。
石川
いやいや、僕らの世代は必ず通ってる道ですから。
山下
そうだよね。ハマってたかどうかは人によって違ったとしても。
石川
うん。そういうバンドのライヴを生で初めて観て、いろいろと考えさせられることがあったんですよ。“シンプルなだけがライヴで活きる曲なわけじゃない、カッコ良きゃセオリーなんてないんだ!”って腹をくくったっていうか。そういう姿勢が表れたんじゃないかと思いますね。
歌詞が切ないのは、メロに引っ張られた感じですか?
小高
そうですね。切ない雰囲気を思いっきり出したいなと思って、最初から終わった恋愛について書こうと思ってたんですよ。
過ぎ去った時間を“素晴らしい世界”って言う言葉で表現するのは、すごいなと思いましたよ。
小高
でも、読み直すと素晴らしい世界なんてのは、どこにもなかったんだってことになってるんですよね。結局、お互いがスレ違って、上手に愛してあげられなかったから別れたわけで。素晴らしい世界だと思ってた時間は自分のひとりよがりだったんですよね。
山下
なんで男の方がいつまでも過去の恋を引きずるんだろうなって改めて考えた。
女は上書きで、男は別名保存だって言いますよね。
小高
うまいなぁ。それは、うまいこと言う! でも聴いた人がそれぞれ、過去の時間のことを考えてくれたらいいですよ。
カップリングにはチューリップの「青春の影」のカバー曲と「入場のテーマ」の2曲が収録されていますが。
小高
昨年の夏に、自分の好きな曲をカバーするというライヴに参加させてもらったんですよ。そこで演奏した曲なんですけど、そういうのをカップリングに入れるのは面白いんじゃないかって話になってて。
小高
ライヴDVDってSEで人の曲を使うと収録できないんですよ。だったら自分たちでオリジナルを作ればいいんじゃないかって思って。最初はセッションで始めて、壮の家に行ってガレージバンドっていうソフトで切ったり貼ったり。ちゃんとライヴのステージに出てくるイメージを想像して、これぐらいの時間で出てきて、ドーンッってきたら出てくみたいな。出てからドーンッて鳴るのかとかまで話し合って。
合田
だから、あくまでも「入場のテーマ」なんですよね。
なるほどね。この3曲が、4月16日にリリースされるアルバム『孵化』のリードになってるんですよね。
小高
まさに、そうですね。“生きる”ってことについて考えた1作で、今、俺たちが伝えられること、表現できることを詰め込んだ作品なんで。
- 「素晴らしい世界」
- VICL-36399
- 2008.04.02
- 1155円
ランクヘッド:1999年に愛媛県で結成され、04年1月にシングル「白い声」でメジャーデビュー。10年4月にオリジナルメンバーの石川 龍(Dr)が脱退するも、桜井雄一(ex.ART SCHOOL)を迎えての新体制となる。結成20周年となる19年には、4月に12枚目のアルバムとなる『plusequal』を発表。LUNKHEAD オフィシャルHP