【LISA】“disco”という名のギラギ
ラと自由に魅せられて
昨年6 月のベスト盤以来、ニューアイテムのリリースが待たれていた
LISA。そんな彼女の2008 年第一弾は、彼女が恋い焦がれた理想郷
“disco”を描いたミニアルバム! な、なんと3 部作!!
取材:金澤隆志
タイトルに“disco”という言葉が入ってますけど、音楽的なテーマが“disco”かと言えば決してそれだけではなく、LISAさんのこれまでの作品同様、あらゆるスタイルを網羅していますよね。
これは音楽ジャンルとしてのdiscoではなくて、かつてのdiscoのオールマイティーな雰囲気のことなんです。当時のdiscoというのは、今のクラブのようにひとつのジャンルの音楽だけがかかっている場所ではなくて、洋楽に混じってアン・ルイスさんの曲が普通にかかっていた。“あの時代の何でもアリな感じって良かったよね”というのを再現したくて。私にとってdiscoは、いい意味でギラギラさせてくれた場所なんですよ。“ready to”の部分は“ここからドンドンいくよ”という、イケイケ、前のめりな意味合い。“どんどん突き進んで行くぞ”って。ジャケットのミラーボールは、私が母体の中にいるイメージなんです。“そろそろ生まれるよ”っていう(笑)
このミニアルバムは3部作の第1部とのことですが、すでに次のコンセプトも?
いや、全く(笑)。このミニアルバムが完成したのが本当に最近なんで、次のことはまだ考えていません。
そもそも、シングルではなくミニアルバムの3部作としたのは?
CDとして出す以上、しっかりと意味が備わっているディープなものの方がいいと思うし。でも、アルバムという形にしてしまうと、ちょっと話が大きくなりすぎてしまう。だから、その中間のEPやミニアルバムという形態を取ったんです。私にとっては本当に理想的な形なので、ミニアルバムという形態で出させてくれたことには感謝してるけど、まさか3部作になるとは想像もしてなかった(笑)
ミニアルバムって、リリースのペースはシングル並みだけど、曲数がアルバムの半分ぐらいだから作業的には結構辛くないですか?
頑張ってください(笑)。曲の話をしましょう。1曲目の「SEND MY HEART」はソウルフルでありながら、とてもさわやかな空気を感じさせる曲になっていますね。
ドロップの時期が春頃ということは分かっていたので、春めいたものを作りたくて。新しいことが動き出す春という季節に、この曲を聴いて足を一歩踏み出す気持ちになってもらえたらなって思いました。サウンドの方向性という部分では、SOUL'd OUTのShinnosukeくんにアレンジしてもらっているので彼の得意なソウル系のもの、そして私のメロディーもソウルフルなところに持っていくのがドンピシャということで、すぐにできちゃいましたね。
季節ということで言えば、レゲエトラックの「Summer Story」は春を通り越して夏を先取りといった感じですね。レゲエ界の重鎮、CRYSTAL MOVEMENTのBUTCHERさんとの共演はいかがでしたか?
私自身彼の大ファンだったし、最近は“燃えるような恋をしよう”なんて歌う人いないけど、だからこそ“ガッツリと歌ってやる!”という、私のバカさ加減を理解してくれて。一緒にアホになってくれる人、彼以外にいませんよ(笑)。しかも上手い! 不真面目な内容の曲を真面目に歌ってるのが面白い歌なので、そこの感覚がピッタリ合いましたね。声の太さも含めてBUTCHERさんで大正解でした。ホント、大当たり。
「BAD MEN!」はm-floプロデュースの楽曲とのことですが、LISAさんがラップするのって久々じゃないですか?
“これ、ラップしてみたら?”という☆TAKUのブッ飛んだひと言がきっかけ。ラップなんて何年もやってなかったからちょっと不安だったけど、彼のブッ飛んだインスピレーションはしっかりキャッチしなきゃってことで。ただ、私としてはリリックをVERBALに書いてもらって、彼の指導がなきゃ無理なんで、彼にお願いしたんです。m-floプロデュースという形になったのには、実はそういった経緯があって。難しかったけど本当に楽しくて“ソロだからもうラップはやらない”というスタンスは見直そうと思いましたね。たまにはやってみようかな、と。
ラストのバラード「love song」は、discoでいうところのチークタイム?
うん。“ちょっとリラックスしようよ”と、空気を和らげるための曲ですね。この曲がなかったら、たぶんみんな疲れて最後まで聴けないんじゃないかな。それにバラードというのは、ダンスミュージックではあまり表現する機会がないヴォーカルテクニックを披露して、幅を見せられる場所でもあるんです。
こう見ると、本当にLISAさん独自の多様性とダイナミクスを兼ね備えた作品になっていますよね。
それだとうれしいな。すごくポップで、シンプルだと思います。私の音楽は“難しい、歌えない”と言われることがよくあるんだけど、今回は意識的に“シンプルなLISA”を目指したので、たくさんの人の中にすんなりと入っていけると思います。みんなに歌ってほしいですね。