L→R 山口 隆(Vo&Gu)、木内泰史(Dr&Cho)、近藤洋一(Ba&Cho)

L→R 山口 隆(Vo&Gu)、木内泰史(Dr&Cho)、近藤洋一(Ba&Cho)

【サンボマスター】奇跡や感動をもう
一度、細胞から感じなきゃいけない

1年9ヶ月ぶりとなるサンボマスターのニューアルバム『音楽の子供はみな歌う』が堂々完成! みなぎる疾走感、喜びや幸福に満ちた“愛”と呼ばれる感情…彼らの魅力が存分に詰まった渾身の一枚です!!
取材:フジジュン

4thアルバム『音楽の子供はみな歌う』完成ですが、これが本当に素晴らしい!! なんでしょう、このテンションの高さは!

山口
最近ね、“疾走感のある曲をもうやらないんですか?”ってよく言われて。それは2ndでやっているし、それが「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」につながって00年代最初のカルチャー的なことになったわけで。だから、俺はもういいかなって思ってたわけですよ。

他にもやりたいことがいっぱいあるしね。

山口
そう。それが3rdで大爆発して、ツアーも“ぶっ壊してやる!”って思ってずっと回って。そしたらね、早くて疾走感のあるやつを新しいテーマでやりたくなってきたんですよ。しかもそれが焼き直しじゃないやり方、新しい形であるなと思って、そこからバーッと作っちゃった。だからね、新しいインスピレーションに満ちあふれていると思いますよ。それはやっぱりツアーも関係していると思うんですけど…昔、300人の前で演奏する前は、興奮して寝れなかったですよ。それが“300人くらいの小っちゃい所で演るんだよ”なんて言うようになっていて、メガ(マサヒデ)ちゃんに怒られたりして。俺はそういうことをもっと実感しねぇとダメだって。ツアー中はそんな気持ちもあったんです。1000人集まることの奇跡、音楽やれていることの奇跡、昔なら絶対に対バンできない人たちとライヴできる奇跡。そういうのをもう一度細胞から感じなきゃいけないと思ったんです。そりゃ、原爆オナニーズとやった次の日にRECしたら“ワーーッ!”となりますよ(笑)。だから、対バンした人の良いエッセンスやお客さんからの影響も大きいんじゃないかなぁ?

これまでは前向きな曲も、やけっぱちの開き直りから生まれる前向きさだったりしたけど、今回は正直な喜びや幸福に満ちていますよね。

山口
“やってやるぜ”っていう気持ちとかね。よく、愛だ何だって評されるけど、そういうのは分かんねぇから言うわけで、満たされねぇから言うわけでね。“あの子が好きだ”と“大人がムカつく”、あと“満たされないから逃げ出そう”とかいうのって、同じ場所だと思うんですよ。で、ライヴハウスも同じ場所にあると思うんです。だからそういうのを感じて、音楽に反映できたのが幸せだと思うし。頭と体のバランスがよく取れて良かったなと思いました。

これまで“新しい音楽をやらなきゃいけない”とか、“愛と平和を歌わなきゃいけない”とか、使命感からいろいろ考えすぎていた気がするんだけど、今回はいい意味で肩の力も抜けてますね。

山口
確かに“俺がやらなきゃ誰がやる”みたいな気持ちは常にあって。それは今もあるけど、今まで以上に楽に作れたところはあるな。思っていることをシンプルに言いたいとか、そういう部分では1stみたいな感覚もあったかもしれないし。今回は“音をどれだけ自分たちの心とシンクロさせるか?”みたいなところだったから、自分たちの考えを超えた部分も出てると思うし。
木内
無理なく演れたってのがその通りかな。1年くらいツアーやりながら制作も進めて。もちろん曲作りにはライヴが影響するし、良い曲ができたらライヴにも影響が出る。アルバム制作の佳境で両国のライヴのリハがあったから、昔の曲を演ったことで、その頃の思いが沸々と蘇ってきたり。俺たちにはこの方法が一番合ってるんじゃないかって思いましたよ。
山口
だけど結局ね、一番良かったのは、それを聴いてみんなが良いって言ってくれること。最近思うんですけど、僕らの音楽を聴いてくれるのはうれしいんだけど、そうじゃなくてもロックとか好きでいてくれたらそれでいいやって。夜中にひとりでね、僕が好きだと思う音楽を聴いてくれていたら、それでいいかなって思うんですよ、なんか不思議と。そういう気持ちもあって、このアルバム作ったから。

根っこの部分で同じ価値観を共有できれば、それでいいと。なんか達観してますね(笑)。

近藤
最近思うんですけど、世の中ってやっぱり面白くないんですよ。そこで、マンガ読んでる時だけ面白いとか、音楽聴いてる時だけ面白いって人もたくさんいて、俺も音楽演ってる時と聴いてる時だけ面白くて。今回は聴いてる時は最高に面白い作品ができたと思います。自分が良いなと思える作品なんて、これから何個作れるのか分からないですけど、今回は見事にそう思えるアルバムが作れました。

では、最後にそんなアルバムに“音楽の子供はみな歌う”とタイトルを付けた意味を聞かせてください。

山口
最初は“音楽の子供はみな踊る”って付けたんですけど、近藤くんが“歌う”の方がいいと言い出しまして。(偉そうな口調で)まぁ~、今までの作品は全部私がタイトル付けてきましたから。ちょっと待ってくれ、と。もっと良いのを考えるからと、一休さんばりに頭を捻りまして。私が思い付いたタイトルが、“光のロックはI Love Youの朝から”。もちろん却下されましたけど。

そりゃそうだろう!(笑)

山口
ま、マジメなこというと今回は歌詞の内容も分別のない感じだし、音楽の好きな人はみんな音楽の子供なんじゃないかって。タイトル通り、みんなに聴いてほしいアルバムになったと思いますよ、うん。
『音楽の子供はみな歌う』
    • 『音楽の子供はみな歌う』
    • SRCL-6697
    • 2008.01.23
    • 3059円
サンボマスター プロフィール

山口隆(vo&g)、近藤洋一(b&cho)、木内泰史(dr&cho)が00年に結成。山口の狂気じみた渾身のヴォーカルと、ソウル魂が炸裂するファンク・サウンドでインディーズ・シーンの中でも異彩を放つ存在となり、様々なコンピレーションに参加。03年、オナニーマシーンとのスプリット・アルバム『放課後の性春』をメジャー・レーベルからリリース、同年リリースした1stフル・アルバム『新しき日本語ロックの道と光』が爆発的ヒットを記録した。その後、“コザック前田と泉谷しげる”やYO-KINGのシングル「審美銃」のバック・バンドをつとめたり、松尾スズキの映画『恋の門』の主題歌に「月に咲く花のようになるの」が選ばれたりと、音楽関係者やアーティスト筋にもに絶賛されている。要チェック。サンボマスターOfficial Website
オフィシャルHP

OKMusic編集部

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