「To Be With You」全米1位から25年
経ったいま、その名曲を聴く理由とは

エリック・マーティン(Vo.)は日本で邦楽カバーアルバム「MR.VOCALIST」を発表しており、B’zの松本孝弘らと共に「TMG」を結成し活動した。ちなみにビリー・シーン(Ba.)とパット・トーピー(Dr.)もB’zのレコーディングに参加したことがある。ポール・ギルバート(Gu.)においては日本に2年間住んでいたこともあり日本人の妻を持ち、ボディに「菊水」と書かれた「Fireman Kikusui」というギターを愛用するほどだ。

まさにビッグ・イン・ジャパンなMR.BIGがニューアルバム「Defying Gravity」の発表に伴い、9月に約3年ぶりとなる来日公演を行う。パーキンソン病と闘病中のパットも当然帯同予定だ。こうした日本のファンとの絆はデビューから30年近く経った今も変わらない。

バンドの代表曲「To Be With You」はエリックが少年時代に経験した恋を歌ったものだ。しかし25年歌い継がれてきたこの歌は、時代を追うごとに意味合いを変えてきた。2002年に一度解散し、再結成はありえないと言われたMR.BIG。今回の来日公演に伴い、バンドが今新たに「To Be With You」に込める思いを今迄の歴史を振り返りつつ考えてみる。



当時、エリックが恋をした女の子は男友達が非常に多かったそうで自分がその子とお近づきになれる時を待っていた時の心情を歌ったものらしいが、MR.BIGの歴史を辿れば違った情景が浮かんで来る。前述の通り、バンドは2002年に一度解散している。様々な理由が語られているが、ポールとビリーの確執が大きな要因だとされる。両者は解散後、再結成はないと言い張ってきたがエリックは他バンドからのスカウトも断り、いつかまたメンバーが集まる事を信じてきた。いつかまたあのメンバーでMR.BIGをやりたい。そんなエリックのバンドへの切ない思いにもとれる。

エリックの思いは現実となり、2009年にMR.BIGはオリジナルメンバーで再結成を果たした。そして世界のどこよりも先にコンサートを行ったのが日本だった。数年ぶりに日本のファンの前で演奏されたこの曲は、会場にいる全員での大合唱となった。ファンもバンドも、また側にいれる日を待っていたのだ。



起こってしまった出来事は消せない、共に支えあい乗り越えようというメンバーとファンの絆の強さを歌っているようにも聞こえてくるフレーズだ。2014年にパットがパーキンソン病を患っていると発表した。

本来の力強いプレイが出来なくなってしまったのだ。この年にアルバムをリリースし、ツアーも決まっていただけにライブはパット抜きで行われるかと思われたが、パットは一部サポートドラマーを立てて参加した。心配するファンをよそにパットは笑顔でステージに上がりタンバリンを叩いたり、一部ボーカルを取るなどして元気な姿を見せた。長年応援してくれている日本にファンへの精一杯の感謝の気持ちに涙するオーディエンスもいた。

解散を乗り越えたメンバー同士の絆、そしてデビューからずっと応援してくれている日本のファンとの絆。「To Be With You」にはまさにそばにいてくれる人の存在の大切さが込められているに違いない。

アーティスト

UtaTen

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