DaizyStripper 10周年を迎えて異例の
メジャー移籍! 僕らの気持ちを語った
ロングインタビュー

――まずは、2017年を迎えて早々にメジャー移籍発表…驚きました。

夕霧:ヴィジュアル系でメジャーデビューするっていうと、「変わっちゃうのね」とか「変わらないで下さい」って…少しネガティブに捉えられる風潮にある気がするんです。でも、メジャーデビューは昔から憧れてたことだし、僕らはポジティブに捉えています。一生インディーズバンドでいたいっていう方もいるとは思うけど、僕らはできるだけ多くの人にDaizyStripperの曲を届けたいし、大きな会場でライヴをするっていうことを夢見てやってきたバンドなので、10年という節目でメジャーデビューできるっていうことは本当にありがたいことだなと思っています。フレッシュな1~2年目のバンドを1から育てる方が、メジャーのレコード会社さんも育てやすいと思うんですよ。僕らは10年やってある程度フォームも決まってるから…もちろん僕らは全然1からやるつもりでいますけど、レコード会社さんからしたらやりづらい部分があるんじゃないかなと。10年でメジャーってだいぶ異例らしいですけど(笑)、そんな中僕らを拾って下さったビクターさんには本当に感謝しています。10周年を迎えましたけど、ここから再スタートのつもりで全力でやっていくだけです。今は楽しみという気持ちの方が大きいですね。

まゆ:10年、このインディーズシーンで、ずっとお世話になっているマネージメント事務所やメンバーとこのチームでいろいろできることはやってきましたけど、これまで関わってこなかった世界の方たちの違う目線からアイディアをもらえたら、この先もっとここから幅が広がっていくんじゃないかっていう思いがあります。今のDaizyStripperがこういうバンドだというのを理解した上で賛同して下さった会社があったというのは本当にありがたいですね。

Rei:新たな風を浴びに行くっていう感じですね。これまで10年自分たちでやってきた中で少なからず固定概念ってあるから、これから新たな発見があると思うので楽しみです。

風弥:バンドにとって頭脳がまたひとつ増える訳です。この10年、僕らが知らないうちに決めちゃってたことも少なからずあるから、1人でも多くの人がバンドに対してプランを出してくれるのはすごく心強いですね。メジャーデビューっていうのはやっぱり憧れることなので、本当に続けてて良かったなと思います。もちろんやってみないとどうなるかは分からないけど、この10年を境に新しい味方が増えたというのはすごく自信につながったし、またここからデイジーの新たなスタートだと思っています。

――この10年の間にもメジャー移籍へのオファーはあったでしょう?

夕霧:あったようななかったような…(笑)。きちんと自分たちの土台ができて自信が持てた今だから…というのはあるかもしれないです。もし1年目ぐらいでそういう話があってメジャーに行ってたら、10年も続いてなくてとっくに解散してたかもしれないですね。デイジーにとっては今がベストタイミングなのかなって思います。

――周囲の反応はいかがですか?

夕霧:ファンから「おめでとう!!」という声はたくさん届いてますし、バンド仲間からのお祝いの声が本当に多くて、それは単純に嬉しいですね。同期の2007年組のバンドさんとは一緒にツアーをしたりするんですけど、同期からの応援やお祝いの声は特に励みになります。

守るべき帰る場所『HOME』


――1月にリリースされた音源『HOME』は、4年振りとなる5人でのフルアルバムというファンにとって待望の作品ですが、どのような想いが込められていますか?

夕霧:本当に5人でのフルアルバムは久し振りで、10年やってきたDaizyStripperの集大成というか、10年の想いをアルバムにしたいねっていう話をメンバーでしていたんです。この『HOME』というタイトルは俺がつけたんですけど、“DaizyStripperって俺にとって何だろう?”って考えた時に、やっぱり帰る場所だなって改めて思ったんです。デイジーがなかったら俺は東京に住んでる理由がないし、もっと言ったら別に今生きている理由がない…それくらいデイジーが自分の人生の全てだなって。俺らにとって“HOME”だけど、いつも応援してくれているファンにとっても“HOME”になればいいなという願いを込めました。いつでも帰ってきたくなるような場所を俺たちが守っていくよ…っていう願いだったり、昔はデイジー好きだったけど結婚したり仕事とかでライヴに来られなくなって一度離れちゃったっていう人に「帰っておいで」っていう想いだったり、この家をみんなで大きくしていこうぜっていう意味も込めての『HOME』、そして『僕らの帰る場所』というタイトルで今ツアーをやっているんです。

――その想いが溢れているなと実感しました。デイジーらしさの中もちろん進化の部分はある。でも懐かしさというか安心感があるんですよね。昔から、ファンに寄り添ってくれるバンドだけど、このアルバムでより一層近くに来てくれた…って思いました。

Rei:『HOME』っていうタイトルが素敵ですよね。10年選手のバンドが『HOME』というアルバムを作ることができて、『僕らの帰る場所』というツアーをやれていること自体、素敵な環境だなと思います。『HOME』から感じる温かさって、今まで積み上げてきたものが声や楽器に宿ってるからこそだと思うから、1~2年目で『HOME』を作ってたら多分この感じにはならなかったでしょうね。

収録曲、徹底解説!!


――では、収録曲の解説をお願いします。まず『Welcome Back』、足音のみでドキドキさせる導入ですが、何故これを入れようと?

風弥:これは俺の足音なんです。夜中の3時頃、人の声や車の音とかがあまりない時間に、携帯を自分の足元に近づけながら歩いて録音して、ちょっと音色を変えたりしました。ナチュラルに聴こえるけど意外といろいろな音を混ぜてるんです。俺的には、家に帰って扉を開けたら待っててくれる人がいる…その温かさを音階ではない別のもので表現できないかなと。他に認識できる音が犬の鳴き声くらいで、無音の状態が多いんですけど、その無音の冷たい空気感の中で、扉を開けた時に家の中から流れてくる温かい空気を自分が浴びる瞬間を出したかったんです。声は入ってないけど「お帰り」っていう声が聞こえそうな雰囲気で、『HOME』という本の表紙=家の扉を開けるイメージですね。

――足音の静けさから一転、ダイナミックな『VICTORIA~氷の女王~』がガツンと飛び込んできますね。

風弥:これまで、ど頭からちょっとゴシックというかローチューニングで来るアルバムってなかったんです。それに、『HOME』というタイトルと温かさのあるジャケットからして、こういう感じで来ないっていう先入観があってからの『VICTORIA』だから、余計にダイナミックさを感じるかもしれないですね。曲順は夕霧が決めたので、いろいろヴィジョンがあったと思いますよ。

夕霧:厳密には2曲目ですけど、歌のある曲としては1曲目になるじゃないですか。やっぱりそこには勢いのある曲を置きたかったんですよ。『VICTORIA』以外の曲もいくつか1曲目に置いて自分でプレイリスト作ってみたんですけど、『VICTORIA』が一番、適度な距離感とスピード感がいいなと。デイジーのアルバムでこういうスピード感のある曲で始まるものはなくて、もっと明るくポップな感じが多かったんです。ダークな感じというのでは『SIRIUS』の『酸欠革命』という曲がそうでしたけど、あれはテンポが遅いのでだいぶ印象が違う立ち上がり。『VICTORIA』はデモの段階でも“これ1曲目だな”と思ったし、1曲目にはめた時に“やっぱりこれしかない!!”って強く感じましたね。『HOME』というアルバムだけど、こういうスタートもいいんじゃないかな。ひねくれた変化球過ぎる曲ではなく、デイジーらしさのあるストレートなかっこいい曲で、バイオリンも入っていてゴージャスでもあるので、フルコースの最初にまずはコレをお召し上がり下さいという、インパクトのある自慢の逸品のような感じです。

Rei:このアルバムの曲順そのままをライヴでやってもいいくらいだと思っているんです。ツアーでも『VICTORIA』を1曲目にやることが多いんですけど、この疾走感がライヴのスタートに本当に合いますね。

――『ARREST-HOME ver.-』は、オリジナルとの違い、どんなアレンジの構想があったんですか?

風弥:この曲は、2サビ後にドラムだけになり、ベースが増えギターが増えヴォーカルが増えて…とひとつずつ音が重なっていき、夕霧のブレイクが入る…というのをライヴでやっているんです。シングルで出した時はそういうのがなかったんですけど、リリースしてライヴで曲をやっていくうちに「ここブレイクがいいよね」ってやるようになって、これを音源で再現したいということで、今回のアルバムで実現したんです。まさにライヴで育っていった曲ですね。どの曲にも、ライヴをやったからできたブレイクだったり構成ってあると思うんですけど、その育った形で収録できたっていうのは嬉しいです。ミックスも違うのでシングルと聴き比べてもらうのも楽しいと思いますよ。

思春期…そして歩んできた自分たちの道


――『NAKAYUBI』は、かなり攻撃的な曲で、ここまでの3曲…『HOME』の温かさとは遠い気がしますが(笑)。

夕霧:家ってひとつ屋根の下の物語。人が生まれてから、思春期があり、結婚や上京だったりという生活の変化、親の死や自分の死まで様々なことがある。その屋根の下で起こるいろいろな物語のひとつだと思って頂ければなと…。『NAKAYUBI』は思春期をテーマにした曲で、中学2年生ぐらいの時、誰にでもある全てに反抗したくなるあの頃の気持ちが詰め込まれています。

まゆ:この曲を聴くと、その頃を思い出して「あぁ…」ってなりますよ(笑)

夕霧:まゆが「この曲、超いい!!」って共感してました(笑)

まゆ:中学生の頃、両親とケンカして自分の部屋のドアを蹴破ったこととか思い出して…(笑)。

一同:そんなことしたの(笑)!?

まゆ:今でも実家に、そのドアを外して立てかけてある(笑)。

夕霧:それを今回、サイン入りで読者プレゼントに(笑)!?

一同:(爆笑)

――普段のまゆさんにそんな攻撃的なイメージが全然ないから、ファンもビックリするんじゃない(笑)?

なお:仮の姿だから…騙されてます(笑)。完全にビジネスポンコツですよ(笑)。

一同:ビジネスポンコツ(爆笑)!!

まゆ:いやいや…(笑)、でもこの曲は、皆さんも闘争本能を掻き立てられると思いますよ。

夕霧:ちなみに、風弥さんは反抗期あったんですか(笑)?

風弥:ありましたね。俺、勉強が嫌いだったし、勉強よりもバンドやりたいのに、とにかく「勉強しろ!!」って言われて…「あぁ~っ!!」ってなってました。

夕霧:なおちゃんは?



なお:俺は中学生の時、すっげぇバカだったんです(笑)。だいたい、バカな奴って運動神経が良かったりする人多くないですか? 頭がいい人は運動ダメっていうのが多いとか。でも、俺、バカだけど運動も特別できる方じゃなくて(笑)、高校行く理由も“高校行ったらバンド組めるんじゃないか?”っていうだけだったし…。高校受験する時に親戚や姉ちゃんから「あんた普通じゃないから」って言われて、“普通って何ですか?”ってすげー反抗心が強かったですね。だけど、ちょうどその頃にヴィジュアル系に出会えて、“普通じゃない世界って最高じゃん!!”って思いました。

夕霧:Reiちゃんは?

Rei:家に対しては反抗期は出してないです(笑)。家ではいい子で、外には反抗期出してましたね(笑)。学生時代はちょっと何か言われるとすぐムカついてることが多かったですけど、今は大人になったんじゃないですかね(笑)

――攻撃的だけど、反抗期を思い出して懐かしい話もできるような曲なんですね(笑)

風弥:タイトルからすると、何かに怒って中指を立てているんだろうなと想像できると思うし、そういう不満をぶつけている曲ってたくさんあるじゃないですか。その多くが、怒っている矛先が“世間”とか、ある程度ターゲットが絞られているかなと思うんです。でもこの曲は、生々しい口調の詩なのに、“世間”とか“親”とか“学校”とか特定した単語を言ってなくてターゲットを絞っていない感じなので、そのグレーゾーンな所がいろんな人に当てはまっていろんな人に刺さるんじゃないかなと思っています。

――そんな反抗期を経て、ガラッと変わった『MY WAY』、Reiさんらしい曲だなとすぐに思いました。

Rei:そうですか? 今回は俺っぽくないって言われることが多いんですけど。

――意識していなくても作り手の特徴って出るじゃないですか。私の中ではReiさんの曲=キレ・疾走感というのがあって、コレもそうだなと感じたんですよ。

なお:俺もこの曲はReiちゃんっぽいと思ったよ。『Seaside Avenue』に続く…みたいな。Reiちゃんのメロってキャッチ―ですごく入ってくるんですよ。風弥君のとは違うキャッチ―さがあるんです。俺は結構ひねくれたの好きだけど、Reiちゃんのはストレートで、1回聴いたら誰でも覚えられるような感じ。

夕霧:男子も好きそうなメロが多い気がする。

一同:あぁ~。

Rei:俺、やっぱりロック色が強いのが好きなんですよ。基本、ギターロックが好きだから、そういう所から作る曲に疾走感が出るのかも…。そう考えれば、疾走感とかキレっていうのが俺っぽいとい言われたらそうなのかもしれない。自分としてはいい意見を頂けたなと思います。この『MY WAY』は、10周年に自分たちの歩んできた道そのもの。先を見越して自分たちの未来を切り開いて、そしてこれからもメンバーやファンのみんなと一緒に走っていけたらなという気持ちです。MVでもみんなで走ってますけど、こうやって永遠に走り続けていきたいなという願いも込められているんです。『HOME』というタイトルがなければ、多分この曲は作れなかったですね。『HOME』って何だろうと考えた時に、まずデイジーのメンバーがいてファンのみんながいて、この先どういう道を歩んでいくんだろう…っていうのが浮かんだんですよ。だから最初から仮タイトルも『MY WAY』だったしね。

――詞もそういった気持ちが込められている?

夕霧:そうですね。“俺たちは俺たちの信じた道を進んで行くぞ”っていう想いを、10周年の節目に改めて曲にしたいなという気持ちで作りました。ストレートなかっこいい曲なので、ストレートなかっこいい言葉をたくさん選んだんですよ。だから、この歌詞は名言集だと思います。言葉の分かりやすさも重視しました。

Rei:この曲は、ライヴの時の曲が始まる前のキメが俺は好きです。

一同:あぁ~!!

夕霧:最近ライヴで取り入れたやつね。

Rei:ライヴでしかないものなんだけど、ツアー中にいろいろ開発されているので、もしかしたら今やっているものがもっと進化して、ツアーの最後の方でまたちょっと違う形になっているかもしれないですね。

解放感と自由を求めて

――そして『Flying New World』…チャラいとまではいかないですが、こういう曲調で始まるっていうイメージがデイジーさんになかったので驚いてます(笑)

一同:あぁ~(笑)。

風弥:仮タイトルが実は『ドキドキWHOOOO!』だしね(笑)。

なお:風弥君が“WHOOOO!”好きなんだよね(笑)。だって、カナダのナイアガラの滝に行った時に撮った動画でも言ってたもん(笑)。
(全員でその動画を見てしばし盛り上がる)

風弥:なんか、そういう盛り上げるようなかけ声って、人間てちょっとネジを外しやすいんじゃないかって思うんです。この曲をライヴでやったら、みんなちょっとバカになれるというか解放されるっていうキッカケにしたいな…と。

――解放感満載になってるライヴ会場の映像が浮かびますね。次の『自由がお帰り』は、なおさんの曲っていうのが意外でした。絶対頭からにゴリゴリのやつが来ると思ってたから(笑)

なお:そうかもしれないですね(笑)。でも、ファンの子にはサビに来たら俺らしいって言われる。

――そう、サビに来たらやっぱりなおさんだなって感じます(笑)

なお:イントロで“こういう感じなのかな”っていう予想を、曲中で裏切りたいっていつも考えているんです。イントロから最後まで予想通りの曲って自分でもあまり聴かないし。

――詞は、夕霧さんの生きてきた背景と情景が見える感じですね

夕霧:俺が小学生の時に毎日歩いていた道のお話ですね。あの時は1人で歌ってたけど、今は聴いてくれる人がたくさんいるっていうのを改めて感じます。あの頃の観客はトラックとかでしたから(笑)。歌詞にも出てくる“夏休み 友人が作ったグループトーク”っていうのも、実際7人ぐらいの地元の同級生の男友達とLINEでやってるんです。みんながお盆で帰ってきた時に“○時に△△集合ね”とかやってすごく盛り上がってるんですけど、俺はちょうどこの『HOME』を絶賛制作中だったから、スタジオで「みんなで温泉行ってんのか~、いいなぁ…」って(笑)。でも、そこで俺が悲しむのは違うなと思う訳ですよ。犠牲にしているものもあるけど、この職業をやっていて、DaizyStripperから得てるものは必ずあるはずだからね。

――タイトルもすごくいい!!

夕霧:ありがとうございます、嬉しいです。自由を求めて東京に出て来たはずだし、音楽やってるのも自由になりたくてだし、そもそも音楽は自由であるべきもの。何かに制限されて作る音楽は俺はちょっと違うと思うんです。でも今のご時世、音楽だったりライヴだったり、何かの制限がかかっている気もするから、それをいい意味で取っ払って初心に帰ろうよっていう想いが込められています。


まゆの胸キュンソングVSなお節炸裂煽りナンバー


――『in Daylight』は、まゆさんの曲っていう感じが溢れてますね。Reiさんの曲のイメージがキレや疾走感なら、まゆさんの曲のイメージは優しさとか温かさだと思ってるんです。

まゆ:あぁ…なるほど。ドアを蹴飛ばして穴を開けるなんていうのとは対極の…(笑)

――そう、真逆で(笑)、絶対に背景にやわらかい風が吹いている感じ。

まゆ:嬉しいですね。それは自分自身でも感じていることではあるんです。これまでの自分の作った曲を聴いた時に、その雰囲気が漂うっていう部分は自分でもいいなと思えるんですよ。『HOME』を作っている中で、一番そういう風が流れている曲を持ってきたいなぁって思っていました。曲を作る時って“今回はこんなチャレンジをしてみよう”とか“ちょっと奇をてらってみようか”っていう思いの時もあるんですけど、『HOME』では“自分らしさってこうだろう”っていう所に焦点を絞って作ってきたので、選曲会で残ってアルバムに収録されたってことは、5人で作ってる音楽の中で俺にしかないものがこの曲にはあるんじゃないかと思うし、いいバランスでこのアルバムに一花添えられているんじゃないか…とアルバムが完成して改めて感じていますし、アルバムの中盤、ここでフッとやわらいでほしいですね。

――まゆさんは2014年に活動休止をして、復帰して初めてのフルアルバム。それ故に思い入れは強かったんじゃないですか?

まゆ:その“まゆらしさ”というのが、自分にはそれしかないなと思って、自信がなくなった時期があったんです。でも、活動休止して振り返った時に、“これしかできない”ってへこむより“これが俺なんだ”って武器にしたいなと思うようになったんですよ。その時の感情を大事にしてこの曲に詰め込みました。ファンの人たちも“まゆ曲キター!!”って、感じてもらえるんじゃないかと思います。そこに夕霧の歌詞がズドーンとはまってより世界を広げてくれるから、本当にいい曲になったなと思うんです。



――まゆさんの独特な曲調に合う言葉のチョイスだなと思います。

夕霧:プロポーズの歌詞をずっと書きたいと思っていて、それを『HOME』に入れられたらなと考えていたんです。まゆの持ってきた曲のデモを聴いた時に、やわらかくて日差しがポカポカ温かくて…っていうのをすごく感じて、この曲ならイケるんじゃないかと。まゆの性格のように、肩に手を置いて優しくそっと隣に寄り添う…そんな曲だと思ったので、なるべく語りかけるような詞にしました。公園とかで同じベンチに座って、目の前で子供たちやその家族がはしゃいでいるのを見ながら、目は合ってないけど「みんな楽しそうだね」「そうだね」って語り合ってるようなシチュエーションをイメージして書きましたね。
プロポーズって、男女問わず誰でも憧れるものじゃないかと思うんです。すごくキラキラしたものに見えるし、俺自身が子供すごい好きでいつかは子供欲しいなと思ってるから、他のアーティストさんのプロポーズの曲を聴くとキュンってしますね(笑)。

――だから自分でもプロポーズの曲を作りたい思いがずっとあったと。ロマンティストですね(笑)

夕霧:プロポーズ・結婚って究極のキュンじゃないですか(笑)? バンドマンだから特にロマンティストなのかも(笑)

Rei:女性の方が現実的かもしれないですね(笑)。

――そんなロマンティックなキュンソングから一転、なお節炸裂といった曲『The End of Music』。

なお:今までワンマンしてきて、ライヴの中で一番激しい山場って『BLACK DROPPer』という曲で、もちろんそれも素晴らしい曲なんですけど、それを超える曲を作りたいなと思ってたし、夕霧が「『BLACK DROPPer』もいいけど、新しいのもそろそろ欲しいな」って何気なく言ったのがキッカケで作りました。『BLACK DROPPer』って、激しいけど意外とメロディアスな曲なんで、今度は中身も激しいものにしたいなと。出だしは、壮大な感じでメロディアスな歌モノの曲と匂わせておいて、すぐにシャウトで落とし、最後まで切ないメロを一切出さずに終わるっていう…(笑)。これがライヴでは、曲が終わって煽りタイムがあるんですけど、そのあたりを今ちょうどツアーで育てているというか、あれこれして遊んで試しているところです。もう盛り上がりは『BLACK DROPPer』を超えてるんじゃないかと思いますよ。1曲の中で夕霧がこれだけシャウトしてるのも珍しくて、すげぇそのシャウトがかっこいいんです。

――確かに、この曲はライヴでヴォーカル辛くないですか?

夕霧:普通のシャウトって、息をはきながら声を出すんですけど、この曲は逆で息を吸いながらシャウトしてるんです。バンド初期の頃は吐くシャウトでしたけど、吸い込むシャウトの方が喉へのダメージが全くなくて今はこの方法なんですが、ここまで1曲シャウトし続ける曲は初めてだから、まだ体が覚えてなくて声の出し方を時々間違えそうになるんですよ(笑)。息継ぎできる間もあまりない曲だから酸欠にもなりそうだし(笑)。ツアーを重ねていくうちにだいぶ慣れてはきましたけどね。アルバムを出してからファンの人たちからも「あの曲、ツアーで毎回歌うんですか? 喉が心配です」っていう言葉を多くもらったんだけど、吸う方なら全然平気でいくらでもできるんで…安心して下さい、吸ってますよ(笑)。やっと、激しさという部分で『BLACK DROPPer』を超えたと思っているし、ライヴに来てもらえたら分かるけど、この曲は自由度が高くて、決まりきった煽りのループじゃないから楽しさも毎回違うと思います。変幻自在な曲の煽りゾーンは是非体感して楽しんでもらいたいですね。

悲しみからキボウへ導くDaizyStripperの王道


――『明日が来るなら』は、デイジーさんの王道であり、風弥さんならではのバラードですね。

風弥:バラードは、デイジーの武器のひとつ。これまでのバラードはもちろんいい曲なんですけど、自分が聴いて鳥肌が止まらなくなるようなバラードを作ってやろうと思って、今回は自分の分析をするところから曲作りをしたんですよ。

――自分の分析をしたとは?

風弥:言葉で説明するのはすごく難しいですね~。音楽にハマってから現在まで、ライヴで鳥肌の立った時のことや鳥肌が立った曲を思い返して、どこが鳥肌ポイントなのかを音楽的に分析したんです。曲の構成なのか、音色なのか…どこに自分の心が反応するのかって。曲自体はフッと浮かんできたんですけど、それをよりもっと濃密にして、誰が聴いても鳥肌が立つような曲に仕上げたいなという思いだったんです。自分の都合中の都合という曲で(笑)、作ってる間も鳥肌が止まらなかったし、レコーディングが終わって、夕霧の歌が入ったものをプレイバックした時も本当に鳥肌で、コレはヤバいなぁと思いましたね。でも、自分が感動したりかっこいいって心から思えないものを世の中に出しても伝わる訳がないし、曲であったりバンドに対して、自分が一番のファンであり一番好きでないといけないと思っているから、その想いを細かく煮詰めていって作ったバラードなので、これまでのとは濃さが違うと思います。

――そんな風弥さんの鳥肌ポイントを歌ってて感じますか?

夕霧:すごく感じますよ。この曲は、歌を入れる前から「この曲ヤバいね」って風弥に話してたし、レコーディングで歌入れが終わった直後のまだ荒い状態での仕上がりを聴いた時に、涙が止まらなくなったんですよ。この歌詞を書いた背景には、2011年の3月11日に起こった東日本大震災があるんです。少なからず国民全員が被災者だと思うし、ファンの人たちやいろいろな土地の人からリアルな声も聞いたので、同じ目線で「あの時大変だったよね。辛かったよね。でも一緒に生きてて良かったね」っていう想いを歌っているんです。生と死について改めて考えてもらえるような曲になったらいいなと思っています。

――『KoppaMiJiN』とは、珍しい表記のタイトルですね(笑)。何か理由が?

夕霧:ファンの人たちにもなぜこういう表記なのか、大文字と小文字の使い方にどんな意味があるのかをよく聞かれたんですけど、実はあまり理由がなくて(笑)、何か勢いがあるような感じがしたっていうだけなんです。「木端微塵」って、漢字だと読みづらいというかグッとこないし、カタカナにしたらサラッと軽い感じがしちゃって…この表記が重さもありつつミステリアスでいいなと思いました。タイトルを先に風弥に渡してあったので、風弥がタイトルに沿って作った曲だから、そりゃもう鬼に金棒ですよ(笑)

――すぐにイメージが出ました?

風弥:すぐ出ましたね。以前、夕霧と一緒に『こっちにモッシュ!』というニコ生(にこにこ生放送)の番組で、タイトルやワードをもらって即興で曲を作るということをやっていたんです。その時の感じが甦って、タイトルをもらった瞬間に曲のイメージが広がったんですよ。あの番組で培った直感力って大事だなと噛みしめつつ、その直感のままに作りました。直感って嘘つかないですからね。ライヴでの暴れナンバーになることは間違いない曲です。

――『アマカラ-HOME ver.-』は、シングル盤との違いは?

風弥:曲の頭にちょっとアンビエントで、主人公がお菓子を食べていたりお酒を飲んだりっていうシチュエーションを付け足しました。

――最後の『GOD SPEED』『HOME』『キボウノカケラ~Shiny Days~』は、一緒くたにして申し訳ないですが、3曲とも今のデイジーそのものという強い印象があり、語りかけてくれて最後にはちゃんと背中を押して旅立たせてくれる…っていうデイジーの王道が共通していて、その中にこれまで以上の想いの濃密さも感じました。

風弥:ありがとうございます。例えば『キボウノカケラ~Shiny Days~』は、デイジーが5周年の時に、10周年を迎えた時に世に出したいと思って作ってた曲なんです。だから、実際に10周年のアルバムに収録できたことがすごく幸せだなと感じているんですよ。そういう温めてきた想いが、曲にデイジーらしさと内容の濃密さを与えているのかなと思います。この曲は大合唱する部分があるんですけど、10年経ったデイジーと、ファンのみんなと一緒に歌いたい…という思いでツアーをやっていますしね。

まゆ:アルバムタイトルでもある『HOME』という曲は、これがあるからこそアルバム全体がまとまる、すごく大事な曲だなと思っています。ライヴでも、それまで暴れていたお客さんがこの曲でまたひとつになる…もちろんそれまでも一体感はずっとあるんですけど、またグッと心の内側からひとつになる特別な感じがあるんです。

Rei:確かに“らしさ”はすごくあって3曲共通してますね。『HOME』は、暖炉の前でみんなで集まってアットホームな空間を作っているような感じだって風弥が言ってたけど、その絵が浮かびやすいし俺もその空間は居心地がいいし、俺の、俺たちの居場所だなって思うんですよ。

初めての5人フルアルバムツアー~ファイナルへ向けて


――現在『僕らの帰る場所』というツアーの真っ最中で、アルバムの手応えを肌で感じていると思いますが、いかがですか?

夕霧:実は、フルアルバムを引っ提げて5人でのツアーってDaizyStripperは初めてなんですよ。『TRAGUS』ってアルバムを出した時はツアーやったんですけど4人だったし、『SIRIUS』を出した時は5人だったけどミニアルバムだったので…。

――えーっ、意外!!

夕霧:でしょう(笑)。だから、まだ手探りな所がすごく多いですね。セットリストも、アルバムの曲を全部1日でやるべきなのか…とか、単純なことで“?”が多くて(笑)。現時点では、数パターンのセットリストを作って実験してる状況です。お馴染みの曲だとノリ方とか分かってる人が多いけど、アルバムは全部新曲なので、メンバーもツイッターやブログやインストアイベントなどで“こういうふうにノッてこういうふうに作っていこう!!”っていうのを発信しているんです。でもまだ100%じゃないからまたそれが楽しくて、ファンと一緒に曲を作り上げている感じがします。曲はライヴを見据えてるものが多く、またライヴでの瞬発力がすごいから超盛り上がるんですよ。でもバラードもあって、まゆならではの『in Daylight』みたいな中間の曲もある。喜怒哀楽、春夏秋冬の全てが入ってるアルバムだから、それを引っ提げてのツアーがすごく楽しいですね。ファンのみんなも、やっぱり10周年というのもあって、モチベーションが高いのがありがたいです。

――47都道府県全部来てくれるところもファン想いだなって感じます。ツアーでのエピソードもたくさんありそうですね。

夕霧:まず全員、インフルエンザワクチンを打ってツアーをスタートさせました(笑)。流行っている時期というのもあったし、去年俺ら、それでライヴを飛ばしちゃったことがあるので、そこは学習して…ね(笑)。

Rei:ツアー中はみんなで観光したりもするんで、各土地の観光で得たものがそれぞれライヴに活かされてるというのはありますね。例えば、鳥取では、漫画『ゲゲゲの鬼太郎』の水木しげる先生の記念館に行ったんです。そこで触発されて、ライヴは「ちょっと妖怪チックな髪形にしようか」「ツノ出してみる?」っていう話になったり(笑)。MCも地元ネタを入れたりして盛り上がりました。会場が変わってる所もあるけど、47都道府県は既に経験してるから前回の雰囲気とかも分かってるしね。

――皆さんの各地で暴れてる姿が浮かびます(笑)。

なお:おかげさまで暴れてます(笑)!! そこは、さらに10年後も変えるつもりはないです。各地、かなり楽しんでますね。最初はライヴを見据えてアルバムの曲を作ったけど、俺は音源と一緒のフレーズを全く弾かない派なので(笑)、アドリブもあるけどライヴをしながらいろいろ考えてやってるんですよ。『HOME』というアルバムはリリースされて完成じゃなくて、メンバーとファンとスタッフと全員でライヴで一緒に作っていくものだと思ってるし、今まさに作り上げている所だから、すっごくツアーが楽しいし毎回進化しています。

――そんなツアーも残りわずか。6月5日のファイナル東京公演に向けての意気込みとPRをお願いします。

風弥:このアルバムを引っ提げて47都道府県ツアーを回れて、10周年を迎えられたことが本当に幸せだなと感じています。10年目以降、これからも“キボウノカケラ”をみんなに降り注ぐように散りばめていきたいし、デイジーと一緒に輝かしい日々をこれからも歩んでいきたい。そんな気持ちを込めて前進していくので、ぜひライヴに足を運んで、一緒に『キボウノカケラ~Shiny Days~』を大合唱しましょう。

なお:これまでいろいろなアルバムを出してきましたけど、このアルバム『HOME』は10周年に相応しい最高傑作になったと思うし、それを作った達成感も幸せもすごくあります。今後、15周年…20周年と迎えていく中で、いい意味で変わらないところは変わらず“らしさ”を大事にデイジーは進化していきます。ツアーファイナルの東京公演では、それまでの各地で得たものを全て出して、これまで味わったことのない温かい空間を作るので、ぜひ体感しに来て下さい!!

まゆ:今やっている『僕らの帰る場所』というツアーは10周年を迎えるツアーであると同時に、それ以降この先のDaizyStripperを形作るツアーでもあるんです。だからこそ、ひとつひとつのライヴに全力で向き合っていきたい。そう真面目な言葉を言いつつもファンに楽しんでもらいたいというのが一番だから、難しいことは抜きにしてこれからもデイジーの音楽を、ライヴを単純に楽しんでもらいたいです。

Rei:まず、『僕らの帰る場所』というツアーができ、『HOME』というアルバムを出せたという環境のありがたさに感謝すると同時に光栄に思います。今、各地を回っていて、ライヴで曲が常に生きているのをすごく感じているんです。47ヶ所で収穫し育んだものをファイナルのTOKYO DOME CITY HALLで全て発揮したいし、『HOME』だけでなくこれまでの楽曲を含めての集大成をぶつけて、10周年に相応しいステージにしたいですね。

夕霧:10年間、いろいろなことがあった俺たちだからこそリリースできたアルバム『HOME』だと思います。収録曲『キボウノカケラ~Shiny Days~』を例にすると、“私1人いなくなっても大丈夫。世の中何も変わらないでしょ”っていうような声を至るところで耳にするけど、ライヴで俺たちに見えているみんな1人1人が“キボウノカケラ”で、そのカケラも集まったらカケラじゃなくなるんですよ。だからあの曲中の大合唱になるし、すごい集合体が素晴らしい景色を生んでいるんです。それをみんながツアー各地で俺たちに証明してくれたから、6月5日のファイナル公演では「もう一度一緒に夢を見よう!!」って言いたいと思っています。楽曲も俺たちもツアーを経て成長していると思うので、それも体感しに遊びに来て下さい!!

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