菅田将暉自身が『見たこともない景色
』を見せている

そんな菅田将暉が2017年6月にシングルCDを出します。タイトルは『見たこともない景色』。今作はここ数年ヒットしているauのCMソング。作詞はこれまでのCMソングと同様にCMプランナーの篠原誠。Aiが歌う『みんながみんな英雄』、浦ちゃんが歌う『海の声』も篠原誠です。

「どうしてそんなに走れるの」という歌いだし。「走る」という単語からサッカー応援曲であることが分かります。同時に菅田将暉自身が俳優として走る姿をも象徴しているフレーズ。まさに今、菅田将暉は最先端を走っています。

最初のフレーズは「走れるの」「立ち上がれるの」「聞こえるの」「もがくの」と、「の」でリズムを揃えます。ここのポイントは、「れる」「れる」「える」と可能の意味をもつ助動詞が3つ続いたあとに、助動詞が消え「泥だらけで進んで 傷だらけでもがくの」としめるところ。どうして走ることができるのか?どうして立ち上がることができるのか?観客の声援が聞こえるのか?とくれば、本来はもがくことができるの?の意味をもつ「もがけるの」になるはず。それを「もがくの」にしているのは、音として自然なのはもちろん、「もがく」ことができる・できないを超えた本能的なところがあるから。「もがく」のが、この曲の要です。



「日本の」という単語が登場。サッカー日本代表の応援歌であることからこの単語が入っています。そして、これは全ての日本人に対する応援歌でもあるんですね。

「泥臭くていい かっこ悪くていい」のフレーズは、サッカー選手が泥だらけで戦う姿勢への敬意。そして、このフレーズもまた、菅田将暉自身が歌うことで意味が増しています。菅田将暉は、自身がインタビューでも語っていますが「泥臭い」演技をする人です。あまり知らない人からは「最近流行りの若手アイドル俳優」のように思われているでしょうが、かなり役を研究して熱量をもって挑む役者です。多才でスマートな印象を与えますが、それも泥臭い努力の賜物。だからこそ菅田将暉自身が「見たこともない景色」にたどり着けるんですね。観客は、菅田将暉の演技に「見たこともない景色」を見出すのです。



「たとえゴールが見えなくても」という歌詞がくるのが良いですね。「無駄かもしれなくても 意味さえなくても」それでも「自分だけは裏切れない」。この曲は、サッカー応援曲でありながら勝ち負け以上のことを歌っている曲。

そして、菅田将暉自身もゴールが見えないような俳優という場所で戦っています。この曲にある種の説得力があるのは、歌っている菅田将暉が曲の世界観を演じ、自身が曲そのものになっているからなんですね。

アーティスト

UtaTen

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