人を楽しませる血筋を継いだ、レキシ
 新曲に秘めた家族の歴史

叔父の影響で歴史に興味を持ち、史跡の前でも当時の人々へ思いを巡らすことが歴史の醍醐味と話すレキシ

 ミュージシャン・池田貴史のソロプロジェクトであるレキシが26日に、シングル「KATOKU」をリリース。池田は1997年に、SUPER BUTTER DOGのキーボーディストとしてデビュー、中村一義を中心としたバンド、100sのメンバーとして活動後、2007年に「レキシ」としてアルバム『レキシ』でデビュー。これまでに、いとうせいこう、椎名林檎、斉藤和義など多くの著名人がプロジェクトに参加。本人も出演したダイハツのテレビCM曲に「きらきら武士」、今作の「KATOKU」が起用されるなど、多方面から注目を集める。少し懐かしい洋楽テイストのサウンドが秀逸な「KATOKU」は、「家族という普遍的なものをテーマにした」と話す。叔父の影響で歴史に興味を持ったと言い、「石垣を一つ置くのにどれだけ考えたんだろう?」と、史跡の前でも当時の人々へ思いを巡らすことが歴史の醍醐味。歴史=人と話す池田。歴史と今を繋ぐ、レキシの思考とは。

家督は家族をテーマにした普遍的なテーマ

「KATOKU」通常盤

――今回は、「KATOKU」というタイトルですね。

 まず、「KATOKU」という言葉の響きが面白いなと思って、曲を作りたいというアイデアがあったんです。それで、いただいていたCMのタイアップがあって、そのテーマが「家族の成長」だったので、ちょうど良いなと思って。サビだけすぐ出来たんですけど、思いのほか難産で、そこから先がなかなか出来なくて。

 それで、オケ(ボーカル曲の伴奏の部分)だけ先にちょっと作ってみようと思って。オケのイメージは、70〜80年代の「産業ロック」(編注=ジャーニーなどに代表される米国を中心に流行したロックミュージック。耳当たりのいいサウンドで映画音楽などに起用され、大衆受けが良かった)と呼ばれていたジャンルで、やってみたらぴったりハマったんですね。それでサウンドが軽快なだけに、歌詞の内容もそういう軽さを持った、さらっと聴けるものが良いと思って。そこから歌詞が、ちょっとずつ出来ていって。

――歌詞は、家族をテーマにしているんですよね。

 そうそう。普遍的ではあるんですけど、すごくポジティブな内容です。もっと「お世継ぎ問題」みたいなものであれば、ドラマ性が生まれて広げやすくなったんですけど、さすがに「問題」には出来ないので。いかにポジティブにするかで、少々悩んでしまいましたね。

――最初は、「KATOKU」という言葉の響きが面白いからと。

 そこからです。若い子なんかは、「KATOKU」と聞いても分からないと思うから、「何だろう?」というところで引っかかってもらったら良いな、というのもあって。

 「SHIKIBU」もそうですけど、あえてローマ字で表記することで、「何だろう?」感が増すんじゃないかって。それに自分自身でも「家督って何だろう?」と、未だに思っている感がありますけど(笑)。

――レコーディングは、どんな感じでしたか?

 今回はフィーチャリングがなかったので、いつもライブで演奏してくれているメンバーで、よりバンドっぽく録りました。アレンジも、実際にレコーディングしながら作っていったところがあって。それで、歌詞を考えているうちに、またガラッと変えたくなって。Bメロを全然違うものに差し替えたりとか…今回は、ちょっと特殊な作り方でした。

――最初の形と今の形は変わりましたか?

 全然違うんです。それがバンドらしさだし、もともと曲作りにはルールなんてないものと思ってやって来ているので。その点では、いつも通りと言えばそうなんですけど。でも、ここまでバンドメンバーと一緒に作っていったのは、初めてでした。

――セッションのような感じですか?

 はい。いつもセッションっぽいんですけど、いつもはもっと元になるものがしっかりあって、わりとそれに沿ってやってもらっていて。今回は、メンバーからアイデアを出してもらったりしながらやりました。

――70〜80年代のAOR(編注=「Audio-Oriented Rock」の略。クロスオーバー的なサウンドと落ち着いたボーカルが特徴)やシティポップスの爽やかな雰囲気も感じましたけど、メンバーがそういう音楽に詳しかった?

 そうなんです。僕が、そういう音楽をあまり通ってなくて。メンバーが、僕より詳しいので、彼らのアイデアを採り入れていったことで、こういうサウンドになりました。

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