アルスマグナ、武道館再び 感動と絆
で満ちた決起集会

2度目となる武道館公演を成功させたアルスマグナ(撮影=NAITO)

 2.5次元コスプレダンスユニットのアルスマグナが3月28日に、東京・日本武道館でワンマン公演『ARSMAGNA Special Live 私立九瓏ノ主学園 平成28年度 全国生徒決起集会』をおこなった。昨年1月におこなわれた『ARSMAGNA Special Live 私立九瓏ノ主学園「迎春祭」』以来、約1年2カ月ぶり自身2度目となる武道館単独公演には、大勢のアルスメイト(ファン)が詰めかけた。「サンバDEわっしょい!」や、3月29日に発売となった通算8枚目のシングル「絆ストーリー」など、アンコール含め全19曲を披露した。各メンバーのコーナーや、歌手のきただにひろしなどゲストも交え大いに盛り上がった。

みなさんの光で彼らを包んでください。

ライブのもよう(撮影=NAITO)

 鳥のさえずり、部屋では目覚ましの音がジリジリジリと鳴り響いている。慌てて起きたのは神生アキラ。「やばい、遅刻だ!!」。彼は急いで着替え、私立九瓏ノ主学園へ猛ダッシュ。学園では、「私立九瓏ノ主学園校歌~ゴキゲンROCK VER.~」に合わせ、朝礼がおこなわれていた。後ろからこっそりと、バツが悪そうに朝礼の列へ忍び込むアキラ。その存在に先生が気付いたことから、いつしか朝礼は“しっちゃかめっちゃか”な大騒動に発展。まるでコメディミュージカル劇のような展開の寸劇で幕開け。

 ハチャメチャ劇のテンションのまま、ライブは「ボカロメドレー」へと向かった。次々と流れるボカロ曲に合わせ、時に格好良く、時にコミカルな要素も交え、アルスマグナの5人は華麗なダンスを繰り広げていった。

 2階ステージの演説台の前に姿を現したのが学園長の九瓏愛(佐久間レイ)。乗馬が好きな彼女らしく、騎手姿のまま九瓏愛は、会場へ訪れたメイトへ言葉を届けた。「みなさん、この学園ではいろんなことへチャレンジしてくださいね。アルスマグナの5人は、ダイヤモンドの心を持っています。時には傷つくこともあるけど、けっして壊れることのない、つねに輝く心を持っています。ダイヤモンドは光の中でこそ輝きます。アルスマグナが輝き続けるよう、みなさんの光で彼らを包んでください」

 そのままステージは、学園長を中心に「PLEASURE TREASURE」を歌いながら、ミュージカル劇のように楽しく華やかに学園ドラマを描き出していった。舞台劇のワンシーンを日本武道館で観ている、まさにそんな感覚だった。

各メンバーのコーナーへ

ライブのもよう(撮影=NAITO)

 ここからは、各メンバーのコーナーへ。トップを飾ったのがアキラ。彼は、みずからのキャラクターであり、DJ/RAPを得意とする“アルスロイド”(神生アキラのボーカロイド)とラップバトルをおこなった。スクリーンに映し出された“アルスロイド”とアキラの姿がシンクロしながら、アキラと“アルスロイド”の放つリリックが熱い戦いを展開。最初はバチバチに火花を散らしていた関係が、互いの気持ちへ共鳴。いつしか、フレンズな関係でラップを通して友情の会話をおこなっていたところが見どころだった。

 泉奏は、バイオリニストの兄、泉弦(TAIRIKU)と共にステージへ。兄の泉弦(TAIRIKU)は歌やダンスに熱中する泉奏が本気で音楽へ挑んでいるのかを確かめようと、「Blue Rose」を演奏。情熱的な楽曲を奏で挑発してきた兄に本気の姿勢を見せようと、泉も情熱ほとばしるダンスを披露していった。互いの心の交わしあいも、気持ちを滾らせる嬉しい見どころだった。

 続いて登場したのが、朴ウィトとHEROによる兄弟ユニットのパクドル。彼らはダンサブルなK-POPナンバー「Perfect Match」を歌い踊りながら、会場を、ダンスパーティを開く熱気あふれる“CLUB”に変えていった。アゲアゲのパーティチューンに、アゲアゲなテンションで歌うパクドル。一緒に騒がずにいられない空間を作り上げた。

 ここは、ティーパーティの部屋!? 執事の指示のもと、大勢のメイドたちがパーティの準備に大慌て。そこへ姿を現したのが、コンスタンティンを抱えた“お坊ちゃん”な榊原タツキ。彼は、執事やメイドたちを翻弄しながら、「夢路香りて宴と為す」の演奏に乗り、楽しくはしゃぎつつも紅茶を美味しくいただいていた。“お坊ちゃま”に扮したタツキの自由奔放に騒ぐ姿がなんて似合っていたことか。終盤にはコンスタンティンが人間の姿(星元裕月)になり、一緒に華麗にダンスを踊る場面も登場。

 鐘の音が響きだした。漆黒の闇の中へ無数の松明が灯された。九瓏ケントが主(あるじ)となり、大勢の執事たちを従えて描き出したのは、怪しくも狂おしい舞台劇。ゴシックな香りを携えた『NA z NA』を、九瓏ケントは雄々しく朗々と歌いあげる。“狂人“と化したその様のなんと凛々しかったことか。

 場内を埋めつくした赤と青のサイリウムの光。2A(神生アキラ+泉奏)の登場だ。2人は、エレクトロな歌謡ダンスナンバー「Red or White」をデュエットしながら、会場を妖しい熱狂で包み込んでいった。

 和心抱いた幻想的な演奏が流れ出した。ケントが、ウィトが、タツキが、薙刀(なぎなた)を振りながら雄々しく演舞してゆく。そこへ泉奏が加わり、最後にアキラが姿を現すと同時に、楽曲は和ナンバーの「ミロク乃ハナ」へ。5人は手にした扇子をクルクル振りまわし舞い踊りながら、力強く凛々しい歌声を通し観客たちを熱狂の中へ溺れさせた。

みんな合いたかったぞ、今日は楽しもうぜ。

ライブのもよう(撮影=NAITO)

 後半戦のライブは、5人の力強く凛々しくも、華麗に舞い踊る「クラウドライダー」からスタートした。花道まで足を運び観客たちを煽ってゆくアルスマグナの面々。短いMCのコーナーでは、アキラが「私立九瓏ノ主学園へようこそ」とメイトたちを導けば、ケントが「みんな合いたかったぞ、今日は楽しもうぜ」と煽っていた。

 続いて披露したのが、超ご機嫌なロックンロールナンバーの「勝手に親衛隊(コンちゃん入り武道館ver)」。メイトたちと一緒に弾け飛ぶロックンロールナンバーへ飛び乗り騒ぐアルスマグナの面々。「チャース!!」と挨拶を交わせば、間奏の「大好きなあの子に告白するときのセリフ」の問いかけへ、ケントが「出会ったときから愛しいみんなは俺のもんだぜ」と口説けば、ウィトは「この俺とスンドゥブを食べに行かないかい!?」と自分らしさを発揮。タツキが、「こんなに大勢いても、すぐにお前を見つけられた」と熱く声をかければ、泉は「ここから、あなたの時間は俺がいただきます」とクールにせまっていた。

 アキラが「あの曲は、お前のために歌ったんだよ」と言ったときには、会場中のメイトたちの心がとろけていた。終盤に起きた<ナーナナ♪>の歌の交わしあいも含め、ノリノリな熱狂が会場には生まれていた。続く「炎上ダンシング」では、5人が無数に吹き上がる炎を相棒に、ダイナミックなダンスパフォーマンスを繰り広げていた。

「絆ストーリー」は、新たな舞台へ旅立つ人たちへの応援歌。

ライブのもよう(撮影=NAITO)

 お店の仕込みを放り投げ、喜多渓ヒロヤ(きただにひろし)が舞台へやってきた。彼はアルスマグナの面々をダンサーに従え、気持ち良さげに「ウィーゴー!」を熱唱。力強い歌声に触発されたのか、5人も終始派手でダイナミックなダンスを見せていた。

 ここで、3月29日に発売となった、通算8枚目のシングル曲「絆ストーリー」を披露。この楽曲は、新たな舞台へ旅立つ人たちへの応援歌。とても開放的で明るく爽やかな曲調のように、この歌に触れている間中、心のウキウキが止まなかった。

 ライブも終盤へ。飛び出したのが、会場中の人たちと一緒にタオルを振りまわし大騒ぎする「ボクはつづく」。冒頭から誰もが手にしたタオルを振りかざし、サビではタオルを大きく振りまわし、気持ちを一つに熱狂を描き続けていた。心を一つに繋ぎ合わせ騒げる最高の瞬間。

 最後にアルスマグナは、メイトたちと一緒に行進したくなるマーチングナンバーの「High Five~Type A.R.S.~」を披露。みんなで声を一つに叫び、飛び跳ねては、このパーティを思いきり楽しんでいた。

僕らは前を進むのではなく、みんなの横で一緒に歩いていきます。

ライブのもよう(撮影=NAITO)

 アンコールは、祭り曲「サンバDEわっしょい!」から。熱狂はまだまだ終わることを知らないかのように、気持ちを昂らせる祭り曲へ飛び乗り、誰もが<わっしょい!!>騒いでいた。ここで、夏のツアーや秋に行う体育祭の行事(ライブ)を発表。最後に、メンバーひとり一人が、この日の感想を述べていった。

 「武道館に立っているのが夢のようです。みんなが横にいてくれないとアルスマグナは駄目なんです。僕らは前を進むのではなく、みんなの横で一緒に歩いていきます。これからも、ずっと一緒に並んで歩き続けてください」(榊原タツキ)

 「日本武道館へ再び来られたことを本当に嬉しく思います。この一年間苦しいことや辛いことから楽しいことまでいろいろあったけど、今日このステージにすべての想いをぶつけました。この日のライブが、明日からのみなさんの力になれたら嬉しいし、僕らも明日へ向かう力へ変えていきます」(朴ウィト)

 「アルスマグナのメンバーになって、俺の人生は180度変わりました。俺が幸せだなと感じるのもメイトのみなさんがいるからこそ。本当に生きていて良かったなと思います」(泉奏)

 「この日のライブの終わりが、また新たなスタートになると思います。今日、また大きなスタートダッシュと大きな一歩を踏めたと思います。これからも、みんなと一緒にどんどん大きくなって、最終的には世界制服をしましょう」(神生アキラ)

 「どんなことがあっても、俺たちはいつも一緒にいる。これからも一緒に、大きな一歩を踏み出して行こう。これからもアルスマグナは歩いていきます、メイトのみんなと一緒に」(九瓏ケント)

 それぞれに想いを告げたあと、最後にアルスマグナは「スターメイト」を届けた。メンバーらの姿を描いたイラスト動画を背景に映しながら、会場中の人たちと一緒にハートフルな「スターメイト」を歌い、共に温かい気持ちを交わしあっていた。日本武道館で生まれたこの絆、ぜひ、これからもずっとずっと繋ぎ続けよう。そんな告白を彼らから受け取った気持ちでいた。

(取材=長澤智典)

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