加藤ミリヤの新境地と原点、ニューア
ルバム『Utopia』がみんなの心穏やか
でいられる場所に。【インタビュー】
同世代の女性のために、真実の愛とは…?をテーマに歌った「最高なしあわせ」や大型映画タイアップ楽曲、加藤ミリヤが感じる人生への警鐘が収録された今回のアルバムについてお話を伺いました!
加藤ミリヤ インタビュー
ミリヤ扮するヴィーナスが住むユートピアとは
──はじめに、今回のアルバムに持たせたテーマについて聞かせてください。
加藤ミリヤ(以下、ミリヤ):テーマの一つとしては、自分の歌声をしっかり聴いてもらえる内容にしたいっていうのがあって、前作シングルの『最高なしあわせ』からそのためのメロディーだったり音作りを意識して作るようになりました。なので今回のアルバムではダンスミュージック的なカテゴリーになる曲は封印しました。
──タイトルに込めた意味は?
ミリヤ:『Utopia』っていうタイトルはアルバムを作り始めて少し経った頃に決めたタイトルで、“しあわせ”を自分の価値観で捉えるっていう意味なんですけど、直訳すると楽園とか理想郷っていう意味で、私の中では心が穏やかでいられる場所っていうイメージなんです。
今はたくさん情報がたくさんありすぎることによって物とか人とか影響されすぎることに疲れている気がしていて、みんなの中にもそういう人って多いと思うから、人と比べないで自分の価値観でしたいことを見つけたり幸せを捉えられる世界、私たちにとっての“Utopia”に行こうっていう意味でこのタイトルをつけました。
──ジャケットについてですが、今回すごくカッコイイ!!イメージしているテーマというか、像はあったんですか?
ミリヤ:Utopiaに入るヴィーナスのイメージを自分で演じたらどうなるんだろうっていうところから始まったんですけど、ヴィーナスって神話とか大昔の人物だから古いテイストの写真にしたいなっていうところで白黒でコントラストを上げて撮ってみました。バラの花をまとって撮りたいなって思ったのでたくさん身体にくっつけたり。
──今回のアルバムもまた今までになかったような雰囲気の曲だったり歌い方だったり、聴いていて飽きないですが特に『永遠』は聴いてびっくりしました。誰の曲!?って思うくらいミリヤさんらしくない...。
ミリヤ:そうですね、“キラキラ”とか“天使”みたいなイメージで作ってみたいなって思って、それこそ誰だかわからないような曲を作るっていう挑戦でした。
話題のモアナエンドソングについて!
──ディズニー映画「モアナと伝説の海」日本語版エンドソングの『どこまでも 〜How Far I’ll Go〜』についてですが、ディズニー映画の曲を歌うことはミリヤさんにとってどんな感覚?
ミリヤ:自分がディズニー映画と何かお仕事をするなんて、考えたこともなかったし想像もしていなかったんで最初お話をもらった時は本当にびっくりしました。
オーディションを受けて決まった時も何で選ばれたんだろうって考えたりもしたんですけど、実際映画を見たら“だから私が選ばれたんだ”って何となく思えたっていうか。モアナっていう主人公がは16歳の少女なんですけど、自分もデビューしたのが16歳だったし、彼女と似てるなって思う部分とか共感する部分がすごくたくさんあって、大人になった今でもその時の気持ちって思い出せるし、モアナっていう女の子を一緒に応援できる歌を歌うっていうことが自分のやるべきことなのかなって思いました。
賛否両論あるのはわかっているけど、こういう機会に導かれたからこの歌を歌うっていう風に決めたので私が歌う方の曲も1つの曲として楽しんでもらえたらいいなって思っています。
映画も本当に素晴らしいので是非吹替版で見てもらいたいです。
──ご自身で書かれた歌詞以外の歌を歌うことはなかなかないですよね。
ミリヤ:そうですね、ほとんどないんで自分と違う歌詞の書き方とか歌いかたが
難しかったです。
──これからの曲作りにも影響するようなことも?
ミリヤ:すごく勉強になりました。自分にない感性の歌だから、ディズニーのようにすごく壮大でメジャーな曲ってこうやってできていくんだなっていうことも学べましたね。
──この曲を初めて聴いた時のことって覚えていらっしゃいますか?
ミリヤ:すぐにスタッフのみんなに「えっ、超いい曲だね!」って言ったのを覚えてます。どんな曲かわからない状況で受けたお話だったので、自分が歌える自信がないような曲だったらどうしようって思っていたんですけど、聴かせてもらったアレッシア・カーラの曲が純粋にすごいいい歌だと思って歌いたいっていう気持ちになりました。
──声質が他のアルバム収録曲や過去曲と比べても、良い意味でヤングな印象でした。
ミリヤ:そこはすごく意識してます。やっぱり映画を見た最後に流れる曲なので、変な大人っぽさは入れないほうが良いなって思っていましたし、いつもよりも大きな口を開けながら歌いました。ニュアンスで歌うって言うよりは滑舌良くはっきり歌う事を重視したので、自分で聴いても“いつもの私と違う歌いか方になったな”って思えたからよかったと思っています。
──あとは最後の笑い声、すごく可愛いです(笑)。
ミリヤ:あれ何回やったっけ(笑)!多分50回くらい録ったうちのベストテイクです。何が良かったかわからなくなるくらい色んな笑いかたを試してみたんですよ。
──注目していただきたいですね!
スタジオセッションで生まれた人生の歌『旅人』
──『旅人』はどう言った想いで書かれた曲なんでしょう?
ミリヤ:自分たちの人生を旅に例えている曲なんですけど、自分たち次第でどこにだって行けるし何にだってなれる、どこに行くかわからない旅だからこそ人生って楽しいし、一回きりの人生だからこそいろんなところに行ってみたいし、たくさん感動できる体験をしようっていう想いを込めた曲です。
──特にお気に入りのフレーズってございますか?
ミリヤ:サビは“うまいことまとまったな!”っていう感覚でしたね。気に入っているラインでいうと、サビじゃないんですけど「望めば叶う 世界は広いの」ですね。
──そのフレーズについて、どういう想いで書かれたのかお聞きしたかったです!すごく勇気のもらえるフレーズだけど、ミリヤさんの言葉でもう一押し欲しくなるというか…
ミリヤ:そういう風に感じてもらって、想像してもらう聴き方が理想です。答えを歌詞の中に書かないっていうことが私の中で大事なので、聞いてくれた人それぞれが私だったら…っていう答えを探して欲しいです。
「望めば叶う 世界は広いの」っていうのは、こうしたいとか、こうなりたいっていうことを“望め!”ってことで、綺麗事じゃなく望めば叶うっていうところは本当にあると思うんです。私たちは島国日本にいるけど、もっともっと世界は広くていろんな考え方とか捉え方があるから、自分の可能性を自分で狭めてはいけないなって思うし、意外とみんなは自由に可能性に満ちているっていうことを伝えたいです。
──仕事にしろ学校にしろ、狭い環境にいると確かに世界がそこにしかないような感覚にいつの間にかなっていますもんね。
ミリヤ:そう、なんか違うかも..って思ってる人ってたくさんいると思うんだけど、自分が違和感を感じていることって合ってないことだから、それに耐えることも大人だと思うけど、一回の人生だから失敗したとしてもブランクがあったとしてもアクションを起こす価値はあるんじゃないかなって思います。
──そういった想いも反映されたメロディーだったりアレンジだと思うんですが、こだわったところについて教えてください。
ミリヤ:一緒にライブをやっているメンバーと、だいたいの流れ以外は何も決めてないままスタジオに入って作っていった曲です。歌詞もざっくりしたものだけ持って行ったんですけど、書いてプレスしての繰り返しで作っていきました。
──そういう曲の作り方を荒れることもあるんですね。
ミリヤ:そうですね、『少年少女』とかも同じような作り方でした。温かみがある曲とか、生音をがっつり使いたい曲はこうやってセッションしながら作っていくこともあります。
恋愛をすることで自分の中のピュアな感性を思い出す『Let Me In』
──『Let Me In』の歌詞を読んでやはり気になるのは「ああ川の流れのように」なんですが、ミリヤさんがこのフレーズに込めた想いみたいなものについて聞かせてください。
ミリヤ:そうですね。ここは一番“詩”として気に入っている部分で、フリースタイルで音を流して勝手に出てきたフレーズなんです。深い意味はなかったんですけど、人を好きになることとかその人に飛び込んでみること、あとは流れに身を任せたり成り行きを受け入れていくっていうことがこのフレーズに凝縮されているから想像を膨らませられる部分だと思います。
──珍しく歌詞を後から付けられたんですね。
ミリヤ:そうですね、「aaaaah〜」みたいな感じで言葉の詰め方だけ決めてラフに歌っていったら「愛はいつも愛のままに」の次に「ああ川の流れのように」ってでてきたんです。「愛はいつも愛のままに」の流れで「あ」が最初に来るようにしたかったんで。
──中盤のフレーズでは心の変化が描かれていますね。
ミリヤ:恋に落ちたり誰かのことを愛すると、こういう風に感じ方が変わるっていうことを言いたかった曲で、夕暮れが眩しくて涙が出るとか、涙の代わりに雨が降っているように感じるとか、感性がかわってピュアな部分を思い出させてくれるのが恋愛であるっていう。
──この曲の次に収録されているのは『最高なしあわせ』。まるで映画を見ているような綺麗な流れですね。
ミリヤ:いいですよね。聴いてくれる方が、よりUtopiaの世界に入り込めるように曲順も考えています。
『どこまでも 〜How Far I’ll Go〜』はディズニーの曲だしやっぱり一番最初に聞いてもらって、『旅人』から改めてアルバムがスタートするっていうイメージでもあります。それから恋愛の曲があって、私らしい『少女時代』のようなヒリヒリする曲があって、『MOON』から仕切り直していくっていうような流れなので1回順番通りに聴いてもらいたいですね。
ミリヤの原点をアップデートした『少女時代』
──過去のご自身のことを歌われた曲ですが、今この曲を書かれたきっかけや理由が?
ミリヤ:なんの理由もないんですけど、大人になって過去の自分を受け入れられるようになってきたので改めて振り返って書いてみようっていう想いで、この音をもらった時にふと「少女時代」っていうタイトルで書こうって決めました。
──原点のような新境地のような、久しぶりにラップの曲で。
ミリヤ:はい、これは歌じゃなくて喋ってるようにしたいって思ってラップにしました。
──「もう戻れない 美しいわたし」とサビで歌われているのは意外でした。
ミリヤ:戻りたいっていう意味ではなく、“美しかったね”って受け入れられるようになった部分を表現しました。傷つきやすかったなりに美しかったって懐かしむ感覚かな、どっちかといえば。
──そしてやはりラップなので歌詞のボリュームが多い印象です。
ミリヤ:すっごい時間かかって大変でした。これも歌いながら書いていくスタイルで作った曲ですね。
──この曲は特にどんな人に聞いてもらいたいっていう想いはありますか?
ミリヤ:過去の経験だったり周りの人が今の自分を作っているんだなって、辛かったこととか悲しかったことも大事な思い出に変わっていくっていうことを私自身が感じているので、そういう後押しが欲しい人が聞いてくれたらいいのかなって思います。
──今まさに傷ついてどうしようもなくなっている人が聞いたら未来に希望を持てるような。
ミリヤ:はい、聞いて欲しいです!
──特に好きなフレーズを教えてください。
ミリヤ:「愛愛愛愛しかない」かな、やっぱり。
──久々にこう言った曲をやってみての感想は?
ミリヤ:アルバムの中で一番好きな曲になりました。この世界観が自分っぽいなって思うし、ファンの子たちもきっとそう思ってくれて、さらに現代版にアップデートされたような感じで、これからも続けたいなって思います。
「本心で生きてるか!?」ミリヤの思う“Utopia”
──ジャンル的にも新境地な感じですが、この曲を作り始めたきっかけは?
ミリヤ:いつもアルバムタイトル曲を入れているので、私なりのUtopiaを歌にしてみようって事で作り始めました。ヴィーナス感より、ちょっとゴリっとしたようなのがいいなって思って問題定義をするような曲、現代社会を風刺するような曲として“本心で生きてるか!?”っていうことを伝えたい曲です。
──気になったのが1番のサビの頭「赤い光」なんですけど、どういった意味が?
ミリヤ:私の中で赤って色は頻発ワードなんですよ(笑)。赤って私が一番好きな色で、強くて情熱があって、意志のあるある色だと思っているんで、“なんとなく生きていればいいです…”っていうような生き方してる人に対して“そうじゃなくて絶対赤い光があるはずだ!”って訴えているような感覚です。自分が心の中で求めている感情を赤い光に例えて。
──ミリヤさんの中で赤は強い意志を象徴する色なんですね。
ミリヤ:そうです!
──この曲の歌詞を書くにあたって何か具体的に眉をしかめるような出来事が?
ミリヤ:電車とかどこでもみんな携帯いじってるよね、っていう話を聞いた時があって。それこそインスタとかもちゃんと見てなくても無意識にスクロールしてたりとか、探しているページがあるわけでもなく漂っていたりとか、そういう自分に囚われてるっていうことに対して言いたいことですね。
──ミリヤさんはTwitterもやられていないですけど、人の日常を見て影響を受けることってありますか?
ミリヤ:あると思います!友達レベルでも、見てる時点で影響されてるっていうか自分から求めに行ってますよね。インスタのストーリー見て楽しそうって思ったり。かといってそこに行きたいかっていうと行きたくはないなって感じではあるんですけど(笑)。
情報として得て良い場合もありますけど、ほとんどがなくても良いなって思うようなことですね。
──この『Utopia』のレコーディングに関して印象に残っていることとかありますか?
ミリヤ:これはいつもサポートしてくれているマサさんのギターを生で入れているんですけど、彼のギターを聴いているのが好きなんで、ギターRECに立ち会って応援…応援!?「良い感じ〜!頑張って〜!」って(笑)。
──ご自身の歌い方でこだわったところとかもございますか?
ミリヤ:強いてあげるなら、「赤い光」のところとか「ぅあーかーいー」ってわざとらしいくらいに歌うようにしました。声が押し寄せてくるような感じで。
“私の人生最高!”母へ贈る親孝行ソング『素晴らしき人生』
──すごく壮大な曲だし、お母さんに向けて書く手紙のような歌詞なので結婚ソングかと…
ミリヤ:あるかもしれないです、自分の周りに結婚する子がすごく多くてそういう話を聞いているからそうなったのかなって思います。『永遠』もアップテンポの結婚ソングを結婚式でかけたいっていう話を聞いたからそういうつもりで作ったし。
『素晴らしき人生』は、家族のうたを書きたいなって思ったので母のことを思いながら書きました。究極の親孝行ってなんだろうって考えた時に子供が“私の人生最高”って思っていることとか、誰かに愛されているよ!っていう事だろうなって。だから母が父を愛したみたいに、私も愛に生きたいっていう宣言をして母を泣かせようと思って書きました(笑)。
──もうお母さんには曲は聞いてもらったんですか?
ミリヤ:聴かせました!この曲だけやたら聴いてます(笑)。
──普段からミリヤさんの曲を聴かれていらっしゃるんですか?
ミリヤ:そうですね、私の曲を爆音でかけながら掃除機をかけるのが日課らしいです(笑)。曲を初めて聞かせる時はだいたいうちに来た時に聴いてもらって、「あぁ良い曲。もう一回お願いします!」って言われるのを何回か繰り返します、何回聴くんだよって思うくらい(笑)。
──あまりミリヤさんのご家族との生活について考えたことなかったです。
ミリヤ:うちの母は普通の人なんで、「この曲がどうやったらできてるんだろう?」ってよく言ってますね(笑)。
最後に…
──次のツアーについて、見どころを聴かせてください。
ミリヤ:過去の曲もたくさんやろうと思っていますし、ファンクラブの方で曲のリクエストを受けて曲を決めたいなって思っています。
あとは今回からファミリーシートを作ったんです。自分のファンの子たちがどんどんママになっているので、小さい子がいるママでも来て欲しいから去年のLIBERTYのツアーファイナルの時から絶対ファミリーシートを作ろうって決めていました!
──最後にこのインタビューを見てくれた皆さんに一言お願いします。
ミリヤ:いつも良いインタビューをありがとうございます。忘れかけていたことをいつも思い出させてもらえるので改めて歌詞を書くの頑張ろうって思うし、こうやって歌詞を深読みしてもらえるのってとってもありがたいことなので、一言一言意味を込めてこれからも詞を書いていきたいなって思います。
『Utopia』はみんなにとっても“今の私だ”って思える曲が1曲はあるアルバムだと思っているので、是非歌詞とともに楽しんでください!
Interview:愛香
加藤ミリヤ インタビュー
ミリヤ扮するヴィーナスが住むユートピアとは
──はじめに、今回のアルバムに持たせたテーマについて聞かせてください。
加藤ミリヤ(以下、ミリヤ):テーマの一つとしては、自分の歌声をしっかり聴いてもらえる内容にしたいっていうのがあって、前作シングルの『最高なしあわせ』からそのためのメロディーだったり音作りを意識して作るようになりました。なので今回のアルバムではダンスミュージック的なカテゴリーになる曲は封印しました。
──タイトルに込めた意味は?
ミリヤ:『Utopia』っていうタイトルはアルバムを作り始めて少し経った頃に決めたタイトルで、“しあわせ”を自分の価値観で捉えるっていう意味なんですけど、直訳すると楽園とか理想郷っていう意味で、私の中では心が穏やかでいられる場所っていうイメージなんです。
今はたくさん情報がたくさんありすぎることによって物とか人とか影響されすぎることに疲れている気がしていて、みんなの中にもそういう人って多いと思うから、人と比べないで自分の価値観でしたいことを見つけたり幸せを捉えられる世界、私たちにとっての“Utopia”に行こうっていう意味でこのタイトルをつけました。
──ジャケットについてですが、今回すごくカッコイイ!!イメージしているテーマというか、像はあったんですか?
ミリヤ:Utopiaに入るヴィーナスのイメージを自分で演じたらどうなるんだろうっていうところから始まったんですけど、ヴィーナスって神話とか大昔の人物だから古いテイストの写真にしたいなっていうところで白黒でコントラストを上げて撮ってみました。バラの花をまとって撮りたいなって思ったのでたくさん身体にくっつけたり。
──今回のアルバムもまた今までになかったような雰囲気の曲だったり歌い方だったり、聴いていて飽きないですが特に『永遠』は聴いてびっくりしました。誰の曲!?って思うくらいミリヤさんらしくない...。
ミリヤ:そうですね、“キラキラ”とか“天使”みたいなイメージで作ってみたいなって思って、それこそ誰だかわからないような曲を作るっていう挑戦でした。
話題のモアナエンドソングについて!
──ディズニー映画「モアナと伝説の海」日本語版エンドソングの『どこまでも 〜How Far I’ll Go〜』についてですが、ディズニー映画の曲を歌うことはミリヤさんにとってどんな感覚?
ミリヤ:自分がディズニー映画と何かお仕事をするなんて、考えたこともなかったし想像もしていなかったんで最初お話をもらった時は本当にびっくりしました。
オーディションを受けて決まった時も何で選ばれたんだろうって考えたりもしたんですけど、実際映画を見たら“だから私が選ばれたんだ”って何となく思えたっていうか。モアナっていう主人公がは16歳の少女なんですけど、自分もデビューしたのが16歳だったし、彼女と似てるなって思う部分とか共感する部分がすごくたくさんあって、大人になった今でもその時の気持ちって思い出せるし、モアナっていう女の子を一緒に応援できる歌を歌うっていうことが自分のやるべきことなのかなって思いました。
賛否両論あるのはわかっているけど、こういう機会に導かれたからこの歌を歌うっていう風に決めたので私が歌う方の曲も1つの曲として楽しんでもらえたらいいなって思っています。
映画も本当に素晴らしいので是非吹替版で見てもらいたいです。
──ご自身で書かれた歌詞以外の歌を歌うことはなかなかないですよね。
ミリヤ:そうですね、ほとんどないんで自分と違う歌詞の書き方とか歌いかたが
難しかったです。
──これからの曲作りにも影響するようなことも?
ミリヤ:すごく勉強になりました。自分にない感性の歌だから、ディズニーのようにすごく壮大でメジャーな曲ってこうやってできていくんだなっていうことも学べましたね。
──この曲を初めて聴いた時のことって覚えていらっしゃいますか?
ミリヤ:すぐにスタッフのみんなに「えっ、超いい曲だね!」って言ったのを覚えてます。どんな曲かわからない状況で受けたお話だったので、自分が歌える自信がないような曲だったらどうしようって思っていたんですけど、聴かせてもらったアレッシア・カーラの曲が純粋にすごいいい歌だと思って歌いたいっていう気持ちになりました。
──声質が他のアルバム収録曲や過去曲と比べても、良い意味でヤングな印象でした。
ミリヤ:そこはすごく意識してます。やっぱり映画を見た最後に流れる曲なので、変な大人っぽさは入れないほうが良いなって思っていましたし、いつもよりも大きな口を開けながら歌いました。ニュアンスで歌うって言うよりは滑舌良くはっきり歌う事を重視したので、自分で聴いても“いつもの私と違う歌いか方になったな”って思えたからよかったと思っています。
──あとは最後の笑い声、すごく可愛いです(笑)。
ミリヤ:あれ何回やったっけ(笑)!多分50回くらい録ったうちのベストテイクです。何が良かったかわからなくなるくらい色んな笑いかたを試してみたんですよ。
──注目していただきたいですね!
スタジオセッションで生まれた人生の歌『旅人』
──『旅人』はどう言った想いで書かれた曲なんでしょう?
ミリヤ:自分たちの人生を旅に例えている曲なんですけど、自分たち次第でどこにだって行けるし何にだってなれる、どこに行くかわからない旅だからこそ人生って楽しいし、一回きりの人生だからこそいろんなところに行ってみたいし、たくさん感動できる体験をしようっていう想いを込めた曲です。
──特にお気に入りのフレーズってございますか?
ミリヤ:サビは“うまいことまとまったな!”っていう感覚でしたね。気に入っているラインでいうと、サビじゃないんですけど「望めば叶う 世界は広いの」ですね。
──そのフレーズについて、どういう想いで書かれたのかお聞きしたかったです!すごく勇気のもらえるフレーズだけど、ミリヤさんの言葉でもう一押し欲しくなるというか…
ミリヤ:そういう風に感じてもらって、想像してもらう聴き方が理想です。答えを歌詞の中に書かないっていうことが私の中で大事なので、聞いてくれた人それぞれが私だったら…っていう答えを探して欲しいです。
「望めば叶う 世界は広いの」っていうのは、こうしたいとか、こうなりたいっていうことを“望め!”ってことで、綺麗事じゃなく望めば叶うっていうところは本当にあると思うんです。私たちは島国日本にいるけど、もっともっと世界は広くていろんな考え方とか捉え方があるから、自分の可能性を自分で狭めてはいけないなって思うし、意外とみんなは自由に可能性に満ちているっていうことを伝えたいです。
──仕事にしろ学校にしろ、狭い環境にいると確かに世界がそこにしかないような感覚にいつの間にかなっていますもんね。
ミリヤ:そう、なんか違うかも..って思ってる人ってたくさんいると思うんだけど、自分が違和感を感じていることって合ってないことだから、それに耐えることも大人だと思うけど、一回の人生だから失敗したとしてもブランクがあったとしてもアクションを起こす価値はあるんじゃないかなって思います。
──そういった想いも反映されたメロディーだったりアレンジだと思うんですが、こだわったところについて教えてください。
ミリヤ:一緒にライブをやっているメンバーと、だいたいの流れ以外は何も決めてないままスタジオに入って作っていった曲です。歌詞もざっくりしたものだけ持って行ったんですけど、書いてプレスしての繰り返しで作っていきました。
──そういう曲の作り方を荒れることもあるんですね。
ミリヤ:そうですね、『少年少女』とかも同じような作り方でした。温かみがある曲とか、生音をがっつり使いたい曲はこうやってセッションしながら作っていくこともあります。
恋愛をすることで自分の中のピュアな感性を思い出す『Let Me In』
──『Let Me In』の歌詞を読んでやはり気になるのは「ああ川の流れのように」なんですが、ミリヤさんがこのフレーズに込めた想いみたいなものについて聞かせてください。
ミリヤ:そうですね。ここは一番“詩”として気に入っている部分で、フリースタイルで音を流して勝手に出てきたフレーズなんです。深い意味はなかったんですけど、人を好きになることとかその人に飛び込んでみること、あとは流れに身を任せたり成り行きを受け入れていくっていうことがこのフレーズに凝縮されているから想像を膨らませられる部分だと思います。
──珍しく歌詞を後から付けられたんですね。
ミリヤ:そうですね、「aaaaah〜」みたいな感じで言葉の詰め方だけ決めてラフに歌っていったら「愛はいつも愛のままに」の次に「ああ川の流れのように」ってでてきたんです。「愛はいつも愛のままに」の流れで「あ」が最初に来るようにしたかったんで。
──中盤のフレーズでは心の変化が描かれていますね。
ミリヤ:恋に落ちたり誰かのことを愛すると、こういう風に感じ方が変わるっていうことを言いたかった曲で、夕暮れが眩しくて涙が出るとか、涙の代わりに雨が降っているように感じるとか、感性がかわってピュアな部分を思い出させてくれるのが恋愛であるっていう。
──この曲の次に収録されているのは『最高なしあわせ』。まるで映画を見ているような綺麗な流れですね。
ミリヤ:いいですよね。聴いてくれる方が、よりUtopiaの世界に入り込めるように曲順も考えています。
『どこまでも 〜How Far I’ll Go〜』はディズニーの曲だしやっぱり一番最初に聞いてもらって、『旅人』から改めてアルバムがスタートするっていうイメージでもあります。それから恋愛の曲があって、私らしい『少女時代』のようなヒリヒリする曲があって、『MOON』から仕切り直していくっていうような流れなので1回順番通りに聴いてもらいたいですね。
ミリヤの原点をアップデートした『少女時代』
──過去のご自身のことを歌われた曲ですが、今この曲を書かれたきっかけや理由が?
ミリヤ:なんの理由もないんですけど、大人になって過去の自分を受け入れられるようになってきたので改めて振り返って書いてみようっていう想いで、この音をもらった時にふと「少女時代」っていうタイトルで書こうって決めました。
──原点のような新境地のような、久しぶりにラップの曲で。
ミリヤ:はい、これは歌じゃなくて喋ってるようにしたいって思ってラップにしました。
──「もう戻れない 美しいわたし」とサビで歌われているのは意外でした。
ミリヤ:戻りたいっていう意味ではなく、“美しかったね”って受け入れられるようになった部分を表現しました。傷つきやすかったなりに美しかったって懐かしむ感覚かな、どっちかといえば。
──そしてやはりラップなので歌詞のボリュームが多い印象です。
ミリヤ:すっごい時間かかって大変でした。これも歌いながら書いていくスタイルで作った曲ですね。
──この曲は特にどんな人に聞いてもらいたいっていう想いはありますか?
ミリヤ:過去の経験だったり周りの人が今の自分を作っているんだなって、辛かったこととか悲しかったことも大事な思い出に変わっていくっていうことを私自身が感じているので、そういう後押しが欲しい人が聞いてくれたらいいのかなって思います。
──今まさに傷ついてどうしようもなくなっている人が聞いたら未来に希望を持てるような。
ミリヤ:はい、聞いて欲しいです!
──特に好きなフレーズを教えてください。
ミリヤ:「愛愛愛愛しかない」かな、やっぱり。
──久々にこう言った曲をやってみての感想は?
ミリヤ:アルバムの中で一番好きな曲になりました。この世界観が自分っぽいなって思うし、ファンの子たちもきっとそう思ってくれて、さらに現代版にアップデートされたような感じで、これからも続けたいなって思います。
「本心で生きてるか!?」ミリヤの思う“Utopia”
──ジャンル的にも新境地な感じですが、この曲を作り始めたきっかけは?
ミリヤ:いつもアルバムタイトル曲を入れているので、私なりのUtopiaを歌にしてみようって事で作り始めました。ヴィーナス感より、ちょっとゴリっとしたようなのがいいなって思って問題定義をするような曲、現代社会を風刺するような曲として“本心で生きてるか!?”っていうことを伝えたい曲です。
──気になったのが1番のサビの頭「赤い光」なんですけど、どういった意味が?
ミリヤ:私の中で赤って色は頻発ワードなんですよ(笑)。赤って私が一番好きな色で、強くて情熱があって、意志のあるある色だと思っているんで、“なんとなく生きていればいいです…”っていうような生き方してる人に対して“そうじゃなくて絶対赤い光があるはずだ!”って訴えているような感覚です。自分が心の中で求めている感情を赤い光に例えて。
──ミリヤさんの中で赤は強い意志を象徴する色なんですね。
ミリヤ:そうです!
──この曲の歌詞を書くにあたって何か具体的に眉をしかめるような出来事が?
ミリヤ:電車とかどこでもみんな携帯いじってるよね、っていう話を聞いた時があって。それこそインスタとかもちゃんと見てなくても無意識にスクロールしてたりとか、探しているページがあるわけでもなく漂っていたりとか、そういう自分に囚われてるっていうことに対して言いたいことですね。
──ミリヤさんはTwitterもやられていないですけど、人の日常を見て影響を受けることってありますか?
ミリヤ:あると思います!友達レベルでも、見てる時点で影響されてるっていうか自分から求めに行ってますよね。インスタのストーリー見て楽しそうって思ったり。かといってそこに行きたいかっていうと行きたくはないなって感じではあるんですけど(笑)。
情報として得て良い場合もありますけど、ほとんどがなくても良いなって思うようなことですね。
──この『Utopia』のレコーディングに関して印象に残っていることとかありますか?
ミリヤ:これはいつもサポートしてくれているマサさんのギターを生で入れているんですけど、彼のギターを聴いているのが好きなんで、ギターRECに立ち会って応援…応援!?「良い感じ〜!頑張って〜!」って(笑)。
──ご自身の歌い方でこだわったところとかもございますか?
ミリヤ:強いてあげるなら、「赤い光」のところとか「ぅあーかーいー」ってわざとらしいくらいに歌うようにしました。声が押し寄せてくるような感じで。
“私の人生最高!”母へ贈る親孝行ソング『素晴らしき人生』
──すごく壮大な曲だし、お母さんに向けて書く手紙のような歌詞なので結婚ソングかと…
ミリヤ:あるかもしれないです、自分の周りに結婚する子がすごく多くてそういう話を聞いているからそうなったのかなって思います。『永遠』もアップテンポの結婚ソングを結婚式でかけたいっていう話を聞いたからそういうつもりで作ったし。
『素晴らしき人生』は、家族のうたを書きたいなって思ったので母のことを思いながら書きました。究極の親孝行ってなんだろうって考えた時に子供が“私の人生最高”って思っていることとか、誰かに愛されているよ!っていう事だろうなって。だから母が父を愛したみたいに、私も愛に生きたいっていう宣言をして母を泣かせようと思って書きました(笑)。
──もうお母さんには曲は聞いてもらったんですか?
ミリヤ:聴かせました!この曲だけやたら聴いてます(笑)。
──普段からミリヤさんの曲を聴かれていらっしゃるんですか?
ミリヤ:そうですね、私の曲を爆音でかけながら掃除機をかけるのが日課らしいです(笑)。曲を初めて聞かせる時はだいたいうちに来た時に聴いてもらって、「あぁ良い曲。もう一回お願いします!」って言われるのを何回か繰り返します、何回聴くんだよって思うくらい(笑)。
──あまりミリヤさんのご家族との生活について考えたことなかったです。
ミリヤ:うちの母は普通の人なんで、「この曲がどうやったらできてるんだろう?」ってよく言ってますね(笑)。
最後に…
──次のツアーについて、見どころを聴かせてください。
ミリヤ:過去の曲もたくさんやろうと思っていますし、ファンクラブの方で曲のリクエストを受けて曲を決めたいなって思っています。
あとは今回からファミリーシートを作ったんです。自分のファンの子たちがどんどんママになっているので、小さい子がいるママでも来て欲しいから去年のLIBERTYのツアーファイナルの時から絶対ファミリーシートを作ろうって決めていました!
──最後にこのインタビューを見てくれた皆さんに一言お願いします。
ミリヤ:いつも良いインタビューをありがとうございます。忘れかけていたことをいつも思い出させてもらえるので改めて歌詞を書くの頑張ろうって思うし、こうやって歌詞を深読みしてもらえるのってとってもありがたいことなので、一言一言意味を込めてこれからも詞を書いていきたいなって思います。
『Utopia』はみんなにとっても“今の私だ”って思える曲が1曲はあるアルバムだと思っているので、是非歌詞とともに楽しんでください!
Interview:愛香