ゴールデンボンバー喜屋武豊が犬夜叉
を熱演「今が一番羽が生えている」



『犬夜叉』は、1996年から2008年まで小学館『週刊少年サンデー』で連載されていた、高橋留美子による少年漫画。伝奇的な世界で繰り広げられる仲間との旅や妖怪たちとの闘い、そして交錯する恋心などが描かれた人気作品で、2000年~2004年までTVアニメで放送し、4本の劇場版が上映されている。

戦国時代、半分妖怪・半分人間である“半妖”の少年・犬夜叉が、四魂の玉を守る巫女の桔梗に封じられるところから幕が上がる。一方、現代の中学生の日暮かごめは神社の祠にある古びた井戸から、戦国時代にタイムスリップ。その先で大木に封じられた犬夜叉と出会い、四散してしまった四魂の玉のかけらを集める旅に出るというストーリー。舞台では、原作のストーリーに沿いながら犬夜叉とかごめの心の動き、そして犬夜叉と桔梗との関係性・心情を丁寧に描く。

かごめ(左/若月佑美)と犬夜叉(右/喜矢武豊)

犬夜叉を演じるのは、NHK紅白歌合戦にも複数回出場したビジュアル系エアーバンド、ゴールデンボンバーのギター担当、喜矢武豊。今回が3度目の舞台出演となる。囲み会見でのコメントでもあるように、主演の彼はほぼ出ずっぱりでステージ上にいる。派手な殺陣もさることながら、シリアスで繊細な動きを要求されるラブシーンまで約2時間の公演を演じきった。

日暮かごめを若月佑美(乃木坂46)、そして桔梗を伊藤純奈(乃木坂46)が演じる。両名とも乃木坂46のメンバーとしての活動のみならず、舞台やラジオ等で個々の実力を発揮している実力派だ。若月は妖怪と戦いながら次第に犬夜叉に想いを寄せるようになる様を等身大に表現し、伊藤も桔梗の持つ恨みの感情を非常に強く表し、その気迫は客席でも戦慄させられるほどだった。

犬夜叉と桔梗(右/伊藤純奈)憎み合うことになる2人……。

殺生丸をミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンにて海堂薫役などで名を馳せる佐奈宏紀、奈落をTVドラマ、映画、舞台などで縦横無尽の活躍をする木村了が演じる。殺生丸は犬夜叉の異母兄弟で完全な妖怪。原作でもファンが多いが、舞台でもその圧倒的なかっこよさを存分に感じられるだろう。宿敵・奈落は禍々しさやその怨念がその身からあふれ出てくるかのような演技で犬夜叉たちを圧倒する。

殺生丸(佐奈宏紀)が犬夜叉を攻撃する目的とは?

奈落(木村了)は桔梗とも深い因縁があるようで……。

弥勒役の滝口幸広はミュージカル『テニスの王子様』大石秀一郎役で人気を掴み、以降TVドラマ、舞台に多数出演している俳優だ。弥勒はストーリー上、後半から舞台にあがることになるが、その存在感は非常に大きく、犬夜叉一行の重要な戦力としても活躍する。

弥勒(滝口幸広)はその手に広がる“風穴”で敵を吸い込む。

桔梗の妹である楓を演じるのは特徴的な声質とキャラクターで最近はトーク番組などでも活躍中の野口かおる。話中に出てくる和尚と、桔梗を蘇らせる鬼女・裏陶の2役を演じるのは劇団「動物電気」のメンバーで、数々の舞台作品に出演している小林健一。ベテランふたりの演技は舞台に安定感をもたらすと同時に、シリアスになりがちなストーリーにコミカルで温かみを感じさせてくれるシーンも。

桔梗が亡くなってから50年。老成した楓(右/野口かおる)

犬夜叉たちは和尚(小林健一)の寺に泊まることになるが……。

最大の見どころは、やはり多様なアクションシーンだろう。剣を振るう犬夜叉と妖怪たちとの殺陣をはじめ、妖力を放って戦う殺生丸や奈落、錫杖と風穴を駆使する弥勒、弓を射るかごめと桔梗。それぞれの戦い方やその演出にも注目してほしい。特に喜矢武は戦いにおいて激しくステージ上を動き回り、派手なアクションも多く用意されている。

戦闘シーン。妖怪たちとバトルを繰り広げる。

公演パンフレットを読むのが趣味の筆者的には、パンフレットもぜひ読んでほしい。時が止まったその一瞬を切り取ったかのような美麗ビジュアル写真のほかに、秀逸なキャストコメントや、作中の好きなキャラクターへ似顔絵付きの手紙を読むことが出来る。公演のお共にオススメだ。


「“座長”じゃなくてリーダーと呼ばれたい」『犬夜叉』囲み会見写真左から滝口幸広、木村了、喜矢武豊、若月佑美、佐奈宏紀、伊藤純奈

――まずは、今回の舞台への意気込みをお願いします。

犬夜叉役 喜矢武豊(ゴールデンボンバー):こんなに人が集まると僕らもちょっと人気あるんだなって思います。有名な作品なので、名前に負けないようにしっかりとやらせていただきたいと思っています。

日暮かごめ役 若月佑美(乃木坂46):脚本を読んでいて、かごめちゃんは乃木坂46にはいないような女の子で、だからこそやり甲斐のある役で楽しんでやりたいです。犬夜叉のことをすごく魅力的に見せられるような、そんなかごめちゃんができたらいいなと思います。

殺生丸役 佐奈宏紀:ここまでたくさん頑張って稽古をしてきました。アンサンブルメンバーもすごく頑張ってくれてこの舞台を支えてくださっているので、そのみんなの頑張りを無駄にしないように精一杯、千秋楽まで頑張ります。

桔梗役 伊藤純奈(乃木坂46):私自身二度目の舞台で、こんなに大きな作品に出させてもらうことが本当にありがたいことだと思っているので、1公演1公演大事に演じさせていただきます。

弥勒役 滝口幸広:僕が小さい頃に見ていた『犬夜叉』という作品に出演できることをすごく嬉しく思います。顔合わせの時に高橋留美子先生にもお会いしたんですが、すごく楽しみにしてくださっているというお話だったので、先生を、そしてファンの皆様を楽しませるような舞台ができたらと思っています。

奈落役 木村了:この作品の中でも捉えどころのない「奈落」という役をやるにあたって、脚本もすごく面白く、高橋留美子先生の『犬夜叉』という漫画を体現できているのではないかなと。特に喜矢武くんが非常に頑張っていて、ほぼ出ずっぱりです。そろそろ体もきついんじゃないかなって思うんですけども。

喜矢武:そうっすね。やめよう、公演を!

一同:(笑)

木村:でも本当に素晴らしい体のキレと、しなやかな体の動かし方をしていて、本当にかっこいいので、ぜひ多くの方にこの作品を観ていただけたらなと思います。

背後のセットには、回想やバトルシーンで美麗な映像が映し出される。

――今回の作品の見どころをお願いします。

木村:喜矢武くん、やっぱりアクロバットだよね。

佐奈:でもそれネタバレになっちゃう?

喜矢武:ダメだな。でも見どころといえば、皆さん、本当にそのままのキャラクターでやられているじゃないですか。ぱっと見、すぐ『犬夜叉』だってわかるような。

木村:それ、ビジュアルの話じゃない?

喜矢武:キャラクター性は本の中でもしっかりしているので、今回の舞台では見た目だけじゃなくて、それぞれの心情とか、その人間性? あ、みんな人間じゃなかった……。

若月:人間もいるから!

滝口:俺も人間だから!

喜矢武:心情をよく捉えている脚本ですので、そこが見どころです!

アクロバットな動きの多い喜屋武のアクションシーン。

――稽古中のエピソードはありますか?

滝口:喜矢武くんは出ずっぱりなので、毎朝徹夜明けみたいな疲れた顔で稽古場に来るっていう。それくらい日々稽古が本当に大変でした。

喜矢武:稽古をアホみたいにやるんですよ。朝から夜遅くまでやっちゃうので、疲れちゃうんですよね~。

木村:ちゃんとドーピングしながら、頑張ってたよね。すごく疲れているのに、稽古終わっても練習してるんですよ。それで余計に疲れて、次の日ね(笑)。

滝口:喜矢武くんはみんなでご飯食べに行く時、最後までいますよね。

喜矢武:稽古は大変だけど、僕はみんなでわいわいできる時間が少ないじゃない。だからご飯行くと楽しくなっちゃうんだよね!

――女性キャスト2人に聞きます。衣装を着た感想と、自分の役の見どころを願いします。

若月:私は22歳ですが、かごめちゃんは15歳なのでセーラー服を着ることになりました。乃木坂46のメンバーにギリギリアウトじゃないかって言われていたんですけど、ビジュアルが出たら結構メンバーが「あれ? これいけるね!」って言ってくれたので、それを自信にして、舞台上ではちゃんと15歳っぽい、気持ちの整理がつかない場面とか、行動より先に感情が出てしまうとか、そういうところも出そうかなと頑張っているつもりなので、そこを見ていただけたら嬉しいなと思っています。

伊藤:巫女さんの服はすごく憧れていたので、着ることができて嬉しいなと思います。見どころはかごめちゃんとは違って、桔梗は落ち着いてて、少しお姉さんというか綺麗でお上品な感じを出せるように仕草とかを研究したので、そのあたりを見ていただけたらなと思います。

美しく舞う伊藤。亡くなったはずの桔梗は妖怪によって動く身体を手に入れる。

――稽古の時に集中力を高めるために、もしくはリラックスするためにこんなことをしたというのがあれば教えていただきたいです。

佐奈:チョコ食べました。たくさん!

喜矢武:なんかチョコ食べてたよね。みんな出番がバラバラだから、合間に控え室で基本はみんなで喋ってる。

――みなさん差し入れを持ってきたりもしたんですか?

伊藤:誰でも取っていいよっていうお菓子がいっぱい置いてありましたよね。

喜矢武:自分の稽古が終わって、その溜まり場に行くとみんながワイワイしてるのがちょっとイラっとします。

若月:そうですよね(苦笑)。

木村:毎回「喜矢武くんちょっと……」ってすぐ稽古に戻されちゃいますからね。

喜矢武:みんななんか楽しそうだなぁって。みんな楽しんでる中、先生に呼ばれる学級委員みたいな感じでね。

囲み会見の様子。喜矢武を中心に時折ジョークを交えながらトークが盛り上がる。

――控え室で流行ってたことってありますか?

木村:怒ってた人をプン子ちゃんって呼ぶこととか? 朝、喜矢武くんがちょっと機嫌が悪そうだったり疲れてる顔だと、「喜矢武くん、プン子ちゃんだ!」って。

佐奈:「プン子ちゃんなの~?」って。

喜矢武:みんな朝からテンション高いんですよね。それがまたイラっとするっていう。どよ~んって感じで栄養ドリンク読みながらこう入ると――。

滝口:「あれ? 喜矢武くん、プン子ちゃん?」

喜矢武:「うるせぇ!」って。みんな本当にテンション高いです。

――喜矢武さんが座長として心がけていることは?

喜矢武:それが、特にないんですよね。僕ね、「座長」って言葉があまり好きじゃなくて。みんなの中では一番ペーペーなもので。僕が引っ張るというよりは、僕が主演なので僕がダメだったらこの舞台ダメになるって思ってやっているので、とにかく自分でまとめるというよりは僕が頑張るっていう気持ちですね。

――「座長」じゃなかったらなんて呼ばれたいですか?

喜矢武:「リーダー」。

一同:(笑)

喜矢武:なんて呼ばれたいか……うーん。ええと……「犬ちゃん」? なんでもないです! やばいスベった!

舞台中、殺生丸や奈落と対峙するかごめたち。

――共演された方は、喜矢武さんのことどう感じましたか?

若月:引っ張っていかないって仰っているんですが、私たちは喜矢武さんの言葉とかに救われるというか。稽古中もすごく面白い空気にしてくれたり、すごい明るくしてくれたのは全部喜矢武さんです。昨日も「明日初日ですけど、頑張りましょう」ってみんなに声をかけてくれて、かっこいい座長だなと思いました。

喜矢武:恥ずかしいな~。

――ちなみにゴールデンボンバーのメンバーが恋しくなったりすることはありましたか?

喜矢武:全くないですね! むしろ今が楽しくて! もう普段毎日のように顔合わせているので、久々に顔合わせなくてすんでるなって。のびのびとしてます。今が一番羽が生えています!

――原作者・高橋先生の作品で、好きな作品やキャラクターがありましたら教えてください。

喜矢武:僕は『らんま1/2』がすごく好きですね。

木村:世代ですね。

喜矢武:世代的に当時すごく流行っていて、特に漫画は何回も読み返しました。

若月:私は『犬夜叉』がすごく好きです。『犬夜叉』が流行ったのが、小学校低学年くらいの頃で、アニメの放送が毎週楽しみでした。一人一人のキャラクターの心情を理解できるレベルの年齢ではなかったんですが、それでも犬夜叉のかっこよさだとかが伝わってきて、すごく面白くて大好きだったなぁって印象があって。舞台のお話をいただいたときは、心の中で発狂していました!

取材・文・撮影=松本裕美

ライブ・ビューイング情報ライブ・ビューイング『犬夜叉』【日時】2017年4月15日(土) 18:00開演
※開場時間は劇場により異なります

【上映劇場】 全国各地の映画館
※大阪府では16歳未満の方で保護者同伴ではない場合、 ご入場いただけません。 予めご了承ください。

【チケット料金】 3,600円(全席指定 / 税込)
【チケット販売】
◆一般発売(先着)
《受付期間》 2017年4月8日(土) 10:00 ~4月13日(木)18:00
《イープラス 受付URL》 http://eplus.jp/inuyasha-lv/ (PC・モバイル共通)

◆劇場販売
《受付期間》 2017年4月15日(土) ~
4月15日(土) 劇場OPENより、 劇場窓口にて販売を開始いたします。

【主催】ネルケプランニング/ユークリッド・エージェンシー/小学館

 

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着