アルスマグナ、2度目の武道館公演で
見せた未来への希望



鳥のさえずり、目覚まし時計のアラームが響く場内。「私立九瓏ノ主学園校歌~ゴキゲンROCK VER.~」で、白衣をなびかせる九瓏ケント、制服姿の泉 奏、榊原タツキ、朴ウィトの順に颯爽と姿を現わしたが、寝坊してしまった神生アキラは、まさか赤と白のストライプパジャマ(しかもナイトキャップつき!)で布団に入ったまま登場! 私立九瓏ノ主学園の教職員や風紀委員、生徒たちと共に、ケント先生が華麗にターン、奏がキレッキレなダンスで魅せ、ウィトがタツキを軽々とリフトしたりジャレ合っていると、ようやく制服に着替えたアキラが、整列している生徒たちにこっそり紛れて奏に背後から膝かっくん。奏を先頭にみんなに追いかけられ、追いつかれたところで「またやっちゃった」とテヘヘなアキラ。奏の冷たい視線をものともせず、「武道館、盛り上がってるかい!?」と満面の笑顔……なんて楽しいオープニングだろうか。

アルスマグナ

ボカロメドレーでは、アルスメイト(ファンの総称)たちが大きくコールする中、ケント&奏、アキラ&ウィトの作る人間アーチをタツキが通り抜けたり、ケント先生がタツキに顎クイしたり、ステージから出っ張るように設置されたサブステージで5人が後ろ向きになってお尻をフリフリしたり。わちゃわちゃ感でも沸かせつつ、驚異のシンクロ率を見せつけるのが彼らだ。

ケントの母であり学園長である九瓏愛が、高らかに歌い舞った「Pleasure Treasure」を経て、ソロコーナーへ。アキラは自身の声をもとに開発されたボーカロイド“アルスロイド”とリズム対決し、切れ味鋭い高速アキラップで圧倒。ダンス、歌だけでなく、ラップもめちゃめちゃカッコイイとは。「ダンスがやりたい」と自らの道を突き進んできた奏は、長年確執のあったヴァイオリニストの兄・泉 弦(インストゥルメンタルユニット“TSUKEMEN”メンバーでもあるTAIRIKU)に「おまえの覚悟を見せてみろ」と言われ、兄が奏でる「Blue Rose」の調べで強くしなやかに舞い、途中参加したアルスマグナのメンバー4人との強い結びつきを見せる場面も。「ダンスに逃げていないということはよくわかった。自分の居場所を見つけたんだな、頑張れよ」という弦の温かい言葉に、見たことがないくらいの無邪気な笑顔で「うん」と頷いた奏。グッとこないわけがない。

パクドル

全身真っ白な衣装に身を包んで降臨した全世界注目のスーパーアイドル・パクドルことウィトは、4月19日のリリースに先駆け、1stアルバム『Yes...』から「Perfect Match feat. HERO」を、かわいらしい弟・HEROと共に初披露。弟のHEROが「これからも僕たちを愛してください」と言えば、兄のパクドルは「そして僕たちもみなさんを愛しています!」と宣言。眩しすぎる兄弟だ。

アルスマグナ・榊原タツキ


アルスマグナ・



うさぎのぬいぐるみ・コンスタンティンを抱きかかえたお坊ちゃまな衣装のタツキが、踊るメイド集団と共に夢のような世界へといざなったのは、「夢路香りて宴と為す」。途中、魔法によって擬人化したコンスタンティンと、手を合わせたり目を見合わせたりするキュートな姿、息もぴったりな様子に、大歓声が上がる。一転し、ガストーチの炎が揺らめく中、貴族的な衣装をまとったケントは、九瓏家の執事として登場した執事歌劇団と共に「NA z NA」で“闇”を表現。荘厳な雰囲気、迫真の舞い、執事のひとりの首を絞めかけたときの笑顔は、あまりに狂気的で美しい。



アキラが赤、奏が青のナポレオンジャケット姿でステージ下からポップアップしたのは、「Red or White」。向き合ったり背中合わせになったりしながら歌う2人、「どっちがお好み?」なんて問いかけられても、どちらも好きに決まっている。そして「zen」では、全員和装、長槍や薙刀、短刀などを手にダイナミックな殺陣を見せて、「ミクロ乃ハナ」では「ソイヤ!」と威勢のいい掛け声を上げながら、演出の花吹雪が舞い上がる中、和扇子を使ったパフォーマンスも。再び制服に着替えての「クラウドライダー」では、膝立ちで見事にターンしたり、アクロバティックな技を連発したり。目も耳も、感動と興奮が止まらない。

アルスマグナ

「俺たちアルスマグナはどこにいたってカッコつけてぇんだよ。そうっすよね、先生」と勢いづくアキラに、「そうだ、俺たちは漢(おとこ)を見せに来た!」と勇ましいケント。マイクスタンドの前に5人が立って歌い、“武道館が終わったら好きなあの子にどう告白する?”というお題に対してそれぞれが決め台詞を放った「勝手に親衛隊(コンちゃん入り武道館ver)」では、熱烈なメンバーコールも起きて、一体感がどんどん増していく。

アルスマグナ

アルスマグナ

いくつものファイヤーボール、火柱が上がった「炎上ダンシング」。きただにひろし扮する喜多渓ヒロヤが飛び入り参加、5人と一緒にロールダンスしたりしてさらに熱量を高めた、アニメ『ONE PIECE』の主題歌「ウィーゴー!」。千手観音ダンスも鮮やか、翌日リリースの新生活応援ソング「絆ストーリー」。風紀委員や生徒たちも加わり、アルスメイトたちもタオルをぐるんぐるん回して昂った「ボクはつづく」。ハッピーモード全開でコール&レスポンスが響いた「High Five~Type A.R.S.~」。満たされている時間は、あっという間に過ぎてしまう。

アルスマグナ

アンコールでは、あらためて5人があいさつ。

タツキ「2度目の武道館、夢のようです。みなさんの笑顔と声援が背中を押してくれます。これからも一緒に歩いてください」

コンスタンティン「メンバーのみんな、武道館に連れてきてくれてありがとう。メイトのみんな、またここで会おうね」

ウィト「辛いことや嬉しいこと、いろいろあった1年を経て、すべてをこのステージにぶつけました。アルス最高、ついでにパク最高と言ってもらえるように頑張っていきます!」

奏「ダンス部に入って、アルスに入って、僕の人生は180度変わりました。幸せを感じるとき、そこにはメンバーやメイトのみなさんがいます。これからも、みなさんと末永く過ごしていきたいと思っています」

アキラ「この終わりが新たなスタート。言葉は通じなくても手をつなげば仲間になれるし、アルスの輪は絶対に切れません!」

ケント「新しい一歩を踏み出すとき、僕らがそばにいます。アルスは、メイトと共に。メイトが自慢できるアルスになります」

それぞれ、感謝と決意を胸に「スターメイト」へ。アルスマグナとアルスメイトたちとの固い絆、未来への希望をしっかり感じることができた。7月からは夏ツアーが、10月には体育祭が開催決定。期待して待とう。


取材・文=杉江優花 撮影=NAITO

アルスマグナ

セットリスト私立九瓏ノ主学園 平成28年度 全国生徒決起集会
2017.3.28 日本武道館
1. 私立九瓏ノ主学園校歌~ゴキゲンROCK VER.~
2. ボカロメドレー
3. Pleasure Treasure
4. アキラップ
5. Blue Rose
6. Perfect Match feat.HERO(パクドル)
7. 夢路香りて宴と為す
8. NAzNA
9. Red or White(2A)
SE. zen
10. ミロク乃ハナ
11. クラウドライダー
12. 勝手に親衛隊
13. 炎上ダンシング
14. ウィーゴー(ゲスト:きただにひろし)
15. 絆ストーリー
16. ボクはつづく
17. High Five~Type A.R.S.~
[ENCORE]
18. サンバDE わっしょい!
19. スターメイト

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