THE COLLECTORS、初の武道館ワンマン
 30年の思いぶつけた名演

30周年を迎え、さらに加速度を上げた圧巻のライブパフォーマンスを魅せたTHE COLLECTORS(撮影=柴田恵理)

 今年デビュー30周年を迎えたTHE COLLECTORS(ザ・コレクターズ)が3月1日に、東京・日本武道館で、単独公演『THE COLLECTORS "MARCH OF THE MODS" 30th Anniversary』をおこなった。昨年6月にドラムの阿部耕作が脱退し、サポートとして参加していたドラマーの古沢“cozi”岳之がメンバーとして正式加入。“新生ザ・コレクターズ”として動き出した。ライブは昨年リリースされたファン投票によるベストアルバム『Request Hits』を中心に、新譜から「悪の天使と正義の悪魔」や「ロマンチック・プラネット」、デビュー曲「僕はコレクター」などダブルアンコール含め全23曲を披露。バンドキャリア初の武道館単独公演でオーディエンスを熱狂させた。フロントマンの加藤ひさし(Vo)は「まだまだ俺たちには行かなきゃいけない場所がある。東京ドーム!」と武道館は通過点であるとし、未来への意気込みを語った。

やっと身の丈にあった場所で出来た

加藤ひさし(撮影=柴田恵理)

 東京・九段下にある日本武道館は、記念すべきバンドキャリア初のワンマン公演を目に焼き付けようと、全国から集まったファンで埋め尽くされていた。ステージには「THE COLLECTORS」の文字のLEDパネルが存在感を出す。定刻を少々過ぎたところでBGMがカットアウトし暗転。劇的な幕開けを飾った。ステージ後方のスクリーンにバンドのヒストリー、軌跡を辿っていく。ステージにはスモークが立ち込めていく。そこへゆっくりとメンバーがステージに登場した。加藤ひさしはトレードマークのユニオンジャック柄のスーツだ。

 記念すべきオープニングナンバーは「愛ある世界」。加藤の凜としたまっすぐな<LOVE...♪>が武道館に響き渡った。圧倒的なバンドサウンドが広がっていく。それにオーディエンスも反応し大歓声の中、歌い上げていく加藤の姿にグっとくるものを感じていた人もいたはずだ。

 込み上げてくる感情を叩きつけるように、アッパーチューン「Million Crossroads Rock」で畳み掛けていく。一方、「夢みる君と僕」では心地よい風を吹かせるように届けるなど、緩急をつけたナンバーを展開した。MCでは加藤が「やっとシャバに出たぜ」と一言。なんでもリハーサル終了から4日間、部屋に缶詰状態だったことを明かし、「話し相手が一人もいなくて今日やっと(人に)会えた…平日なのに来てくれてありがとう」と感謝を告げた。「あと何枚でソールドアウトだったんだっけ?」と尋ねると古市コータロー(Gt)が「あと7枚」ともう少しでソールドアウトだったことを隠さずに告白。これに加藤は「まあ実質ソールドアウトみたいなもんでしょ。やっと身の丈にあった場所でライブが出来た。30年かかった…」と武道館公演への想いを語った。

 MCから「たよれる男」へ。古市のリフが躍動感を与え、間奏では照明のシャワーを浴びるようにアバンギャルドなギターソロが印象的に響いた。眩い光の中、加藤が「みんな踊れるスペースはあるかい?」と投げかけて「プ・ラ・モ・デ・ル」へ。オーディエンスもバウンスしたビートに合わせ各々のノリ方で楽しんでいた。

 そして、「世界を止めて」へ。古市のギターアルペジオが奏でられると、そのイントロに会場からは歓声が沸いた。会場はオーディエンスのペンライトが浮かび上がる。そこから弾けるようにリズムイン。加藤の凜としたセクシーな歌声が武道館を満たしていく。ここが前半戦のハイライトとなった。

 2回目のMCでは初の武道館に立てた想いを加藤が語った。「武道館はステージに立つのは2回目で、ワンマンは初めて。30年掛かりました。the pillowsや怒髪天、フラワーカンパニーズ、スピッツやBRAHMANが応援してくれて、ここの何%を集めてくれたんだよ」と“ロックンロール互助会”と名付けられた数々の盟友たちが、武道館公演に貢献してくれたことへの感謝を語り、「デビューしたけどなかなかヒットが出なかった。コロムビアに移籍した時にコータローと何歳までに売れようと目標を立てた。57歳の時『孫』で紅白に出場した大泉さんの最長記録は塗り替えたくないけど、紅白にも出ちゃいたい。今自分は56歳でもう時間がない」と、この30年の苦労とこれからのさらなる目標を、饒舌なトークでオーディエンスを惹きつける。このトーク力もTHE COLLECTORSの魅力の一つ。

古市コータロー(撮影=柴田恵理)

 そして、アニメ『ドラゴンボール超』のエンディング曲で、最新ナンバーの「悪の天使と正義の悪魔」を披露。古市のキレ味のあるストロークと、山森“JEFF”正之(Ba)のベースのスライドプレイによる楽器のコール&レスポンスが高揚感を煽っていく。続いてサイケデリックなナンバー「2065」へ。加藤がアコギを持ちサウンドに彩りを加える。

 ステージ上にはスモークが立ち込め、そこにライトを当てていく演出。そのスモークに映し出されたライトによって、立体感のある空間は楽曲の世界観を際立たせていく。幻想的な演出が加わりこの楽曲のスケール感の大きさを感じさせてくれた。続いてトワイライトなライティングが広がる中「未来のカタチ」へ。<ラララララ〜♪>のシンガロングがライブならではの、爽快な一体感を生んでいく。

 3回目のMCではデビュー前のことを話した。加藤は「渋谷のLive Innというライブハウスで500人ぐらいのキャパなんだけど当時はお客さんの数にブルった。でも今じゃ10倍以上のお客さんがいるよ。一人ひとりの顔を刻みつけてるからね。今日からみんな仲間だからね。それじゃあ昔のナンバーをやらせてもらおうかな」と、30年前に着用していたM51のパーカーを羽織り、「僕の時間機械(タイムマシーン)」を演奏。曲が始まると大歓声が巻きこった。古市のダイナミックなギタープレイと、古沢”cozi”岳之(Dr)の疾走感溢れるビートがオーディエンスを巻き込んでいく。

行かなきゃいけない場所がある、東京ドーム!

山森“JEFF”正之(撮影=柴田恵理)

 古市がメインボーカルをとる「Dog Race」に続き、楽器隊3人によるナンバー「インストSpace Alien」へ。ミラーボールも登場し、ディスコティックなナンバーで、3人のグルーヴが渦巻き、武道館をソウルフルでロックな空間に。再び加藤がステージに戻ってくると、「青春ミラー(キミを想う長い午後)」に突入。ミラーボールに加え、レーザー光線が縦横無尽に飛び交う演出に、興奮度は高まっていく。

 ここからラストスパートへ。ノリノリのロックチューン「NICK! NICK! NICK!」、武道館全体でクラップやシンガロングによって一体感が更なるエネルギーを生んだ「Tシャツレボリューション」、本編ラストは「百億のキッスと千億の誓い」へと流れ込んでいく。大きなホールならではのスケール感の演出だが、バンドのスタンスは、まるでライブハウスで演奏しているかのような近さを感じさせるようだ。ラストには盛大に銀テープが宙を舞い、メンバーはステージを後にした。

 アンコールに応え再びメンバーがステージに登場。加藤は武道館公演を決めた時からプロモーションで身につけてきたスーツに着替え、「武道館といえども、まだまだ俺たちには行かなきゃいけない場所がある。東京ドーム! だから(武道館は)通過点なんだよ!!」と大歓声のなか、更なる高みへ向け意気込み告げ、新譜から「ロマンチック・プラネット」を届けた。古市はギターを黒いリッケンバッカーにチェンジし、独特なトレブリーなサウンドが疾走感を与える。続いて、加藤の「もっともっとロマンチックな夜にしよう!」と「TOO MUCH ROMANTIC!」に突入。会場全体で<シャララ♪>と星が瞬くような手の振りが、美しい空間を作り上げていく。

古沢“cozi”岳之(撮影=柴田恵理)

 アンコールラストはメジャーデビューアルバムから、「僕はコレクター」を届ける。加藤と古市が左右に伸びた花道に各々散り、オーディエンスに感謝を伝えていく。加藤は「眺めが最高だ。夢は叶うんだよ。コレクターズに取ってこれは一つの夢だったんだよ。30年掛かったけど、この景色を見ることができました」と、感謝の言葉を告げステージを去った。

 鳴り止まないアンコールに応え、再びステージに。登場するや否やすぐさま「恋はヒートウェーブ」を演奏。バンドの30年間を余すことなくぶつけた、初の武道館ワンマンは盛況のうちに幕を閉じた。(取材・村上順一)

セットリスト

『THE COLLECTORS "MARCH OF THE MODS" 30th Anniversary』
3月1日 東京・日本武道館

01. 愛ある世界
02. Million Crossroads Rock
03. TOUGH
04. 夢みる君と僕
05. たよれる男
06. プ・ラ・モ・デ・ル
07. 世界を止めて

08. 悪の天使と正義の悪魔
09. 2065
10. ロックンロールバンド人生
11. 僕は恐竜
12. 未来のカタチ
13. 僕の時間機械
14. Dog Race
15. インスト(Space Alien)
16. 青春ミラー
17. NICK! NICK! NICK!
18. Tシャツレボリューション
19. 百億のキッスと千億の誓い
アンコール-1
01. ロマンチック・プラネット
02. TOO MUCH ROMANTIC!
03. 僕はコレクター

アンコール-2
01. 恋はヒートウェーブ

ライブ情報

THE COLLECTORS 30th Anniversary TOUR "Roll Up The Collectors"

06月10日(土)   渋谷 CLUB QUATTRO  OPEN:17:00 / START:18:00
06月16日(金)   柏 ThumbUp  OPEN:19:00 / START:19:30
06月18日(日)   甲府 KAZOO HALL  OPEN:16:30 / START:17:00
06月22日(木)   大阪 Music Club JANUS  OPEN:19:00 / START:19:30
06月24日(土)   松阪 M'AXA  OPEN:17:30 / START:18:00
07月01日(土)   岡山 IMAGE  OPEN:17:30 / START:18:00
07月02日(日)   松江 AZTiC canova  OPEN:16:30 / START:17:00
07月08日(土)   岐阜 ants  OPEN:17:30 / START:18:00
07月09日(日)   浜松 FORCE  OPEN:16:30 / START:17:00
07月14日(金)   青森 Quarter  OPEN:19:00 / START:19:30
07月16日(日)   盛岡 CLUB CHANGE WAVE  OPEN:16:30 / START:17:00
07月17日(月・祝) 郡山 CLUB#9  OPEN:16:30 / START:17:00
07月22日(土)   新潟 GOLDEN PIGS BLACK STAGE  OPEN:17:30 / START:18:00
07月23日(日)   熊谷 HEAVEN'S ROCK 熊谷 VJ-1OPEN:16:30 / START:17:00
07月29日(土)   鹿児島 SRホール  OPEN:17:30 / START:18:00
07月30日(日)   熊本 B.9 V1  OPEN:16:30 / START:17:00
08月05日(土)   神戸 VARIT.  OPEN:17:30 / START:18:00
08月06日(日)   京都 KYOTO MUSE  OPEN:16:30 / START:17:00
08月13日(日)   高崎 club FLEEZ  OPEN:16:30 / START:17:00
09月15日(金)   広島 セカンド・クラッチ  OPEN:19:00 / START:19:30
09月16日(土)   福岡 DRUM LOGOS  OPEN:17:30 / START:18:00
09月18日(月・祝) 名古屋 CLUB QUATTRO  OPEN:16:00 / START:17:00
09月23日(土・祝) 仙台 CLUB JUNK BOX  OPEN:16:30 / START:17:00
09月24日(日)   宇都宮 HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2  OPEN:16:30 / START:17:00
10月06日(金)   札幌 cube garden  OPEN:19:00 / START:19:30
10月08日(日)   水戸 LIGHT HOUSE  OPEN:16:30 / START:17:00
10月14日(土)   沖縄 桜坂セントラル  OPEN:17:00 / START:17:30
10月22日(日)   長野 LIVE HOUSE J  OPEN:16:30 / START:17:00
10月26日(木)   大阪 BIGCAT  OPEN:18:45 / START:19:30
10月28日(土)   高松 MONSTER  OPEN:17:30 / START:18:00
10月29日(日)   高知 X-pt.  OPEN:16:30 / START:17:00
11月03日(金・祝) 中野サンプラザホール  OPEN:17:00 / START:17:30

FC「コレクトロン」先行 : 2017.3.3(金) 18:00 ~ 2017.3.15(水)
チケット一般発売 : 2017.5.28(日) ※6.10~8.13公演
2017.8.11(金・祝) ※9.15~10.29公演
2017.10.1(日) ※11.3公演

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