【ライヴレポ】Lenny code fiction、
初全国ツアー最終日に感じさせた急成
長と結束の強さ!「このツアーで奇跡
が全員分あるって改めて気付いた」

定刻を少し回った19時10分、観客フロアの後ろまでビッシリ人で埋め尽くされた会場にデジタルミュージックが流れ出し、まずKANDAIが登場。タイトなドラムを轟かせる。続いてkazuが姿を現し歪ませたベースを、さらにはソラが一礼の後ギターフレーズを、順に重ねる。オーディエンスからのクラップも合わさり、生のグルーヴが渦巻く中、ボーカル&ギターの航が現れた。オープニングナンバーは「Rebellious」だ。航がギターをストロークしながら、歌という名の言葉を発する。ここからやってやる、一緒に登ろうぜ、そんな宣言ともいえる歌は観客たちを煽り立てる。

息をつかせる暇もなく浴びせられるスピードナンバーが熱を帯びたフロアの空気をさらに上昇させていく。kazuの指弾きによるベースが色気を放つ「Romance」は、一気に無骨なまでの疾走感を帯びる。セクシーとワイルドの混在するサウンド。その中で、ギターを置きハンドマイクを握りしめた航が<みたことない景色をみせよう>と歌う。4月12日に届くこととなる3rdシングル収録のこの「Romance」、作品内では“対”となる楽曲「Alabama」とセットで濃厚な世界観を作っているが、この日は、観る者の体内で蠢く衝動を喚起する極上のライヴナンバーに姿を変えていた。

デビュー曲でもある「Key -bring it on, my Destiny-」は、タフになったリズムと華やかさに磨きがかかったソラのギター、そして力を帯びる航の歌がひとつの強固な塊となり、心の奥底まで届く。そのガッシリ噛み合った音楽には、バンドの結束の強まりが存在している。“一瞬一瞬の選択が今の自分を作った”、楽曲にある想いの通り、全国ツアー先での出来事──ツアー先でバンドを高めるため本音で何度もメンバー同士、ぶつかり合ったという──、それら全ての時間で摑んできた選択の結果が、今、届く音楽と目の前に立つLenny code fictionを作ったんだ、と思えた。

彼らの音楽には、こびり付いた寂しさに寄り添うもの、身の周りの半径数メートルで普通に転がる“人の温もり”に気付かせてくれるものがある。曲は「オリオン」。心の秘めた場所、そこにある扉を強くノックするようなバスドラムの響きから始まったスローナンバーは、冬の“白い息”に“心の温かさ”を重ね合わせてみせる。ジンワリと曲世界が染み込んできて、トゲトゲしさ、冷たさを少しずつ溶かしていった。

昔、“Lenny code fictionは何を歌いたいか?”質問された時に“奇跡”だと思えたこと。でも、その奇跡って何かハッキリ言えなかったこと。でもその奇跡は、音楽を始めた瞬間、生まれた瞬間……あらゆる時間にあることに気付けたこと。そんな話をした後に「今まで俺が主人公で聴く人を変えてやると思っていたけど、このツアーで奇跡が全員分あるって改めて気付いた」と言い、プレイされた3rdシングル表題曲「Colors」は少しの切なさを孕んだ歌始まりの曲だった。目まぐるしく変化するリズムの上で、ヘヴィーなリフから流麗で澄んだ短音フレーズまで弾きわけるソラ、航は声を必死に絞り出しながら、一対一で歌を届けようと、会場にいるひとりひとりと視線を合わせて歌う。それは関わる人、ツアー先で出会った人、そして代官山UNITに集まった人……大切だと思えた人からの影響を受け入れ変わることを怖れない、という、自分に正直になった分柔らかくなった彼らの心を投影した歌だった。これからも影響を与えられるようにお互い輝いていようという約束の歌でもあった。

ライヴは「Showtime!!!!」から、激しさを増し、高ぶる気持ちを解放していく。大人の男の色気を振りまいた「Kiss」では、ミラーボールが回り、オーディエンスはグルーヴで踊る。そして行き着いたのは、「世界について」。それは、“幸せを苦しいことより少しだけ多く作っている”この日常世界をきちんと好きになれるような、ピースな響きをもった歌と演奏だった。

4月12日に「Colors」を出した後の自身についてメンバーは、“ライヴを強化したい”と話している。早速、リリース直後の4月19日には東京・shibuya eggmanでのリリースイベントの開催がアナウンスされ、さらにはフェスへの出演も決定。この先もきっと変化していくLenny code fictionを生で見られる機会が増えていくことだろう。

このメンバーになってまだ1年弱、それだけに1stツアーという経験を経た急成長と結束の強まり、大きな伸びしろという可能性を感じたファイナルだった。

写真/佐藤祐介 文/大西智之

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