GACKT、退廃的印象に秘めた前向きさ
 新曲に込めたメッセージ

GACKT「罪の継承 〜ORIGINAL SIN〜」(CDのみ)

 ミュージシャンのGACKTが3月22日に、48枚目となるニューシングル「罪の継承 〜ORIGINAL SIN〜」をリリースした。同曲は、昨年10月から放送スタートしたアニメ『TRICKSTER -江戸川乱歩「少年探偵団」より-』のエンディングテーマとして話題を集めていた楽曲。GACKTは、同アニメで主人公の小林芳雄ら「明智探偵事務所」の面々と対峙する怪人二十面相役で声優としても出演し、謎多き人物を演じた。同曲は一見、ダークで退廃的な印象を受ける歌詞だが、そこにはGACKTからの前向きなメッセージが込められていて、楽曲とその世界観を最大限に楽しむためのトリックが、随所に仕掛けられている。

根底にあるエンターテインメントに対するこだわり

 この「罪の継承 〜ORIGINAL SIN〜」は、不穏なムードを生み出す重厚なコーラス、雲を裂くようなギターと地響きのようなビートが、独自の世界へといざなうGACKTらしさ溢れる楽曲。GACKTのボーカルは、そそるような低音から徐々に熱を帯び、サビで一転、明るいメロディへと転調して天を突くように高音へ。ファルセットも聴かせながら、一気にたたみ掛けるように歌い上げていく。そして最後には、滑り落ちるように再び低音となり、決めゼリフのように「罪の継承」と歌う。緩急が凄まじいメロディと、急きたてるようなアツく激しいビートがあいまって、まるでジェットコースターのようだ。

GACKT

 作詞・作曲は、もちろんGACKT自身が担当した。愛という罪が、耽美な言葉で文学的に表現された歌詞は、清濁(せいだく)あわせ呑んだような世界観が描かれている。人は必ず間違いを犯す生き物で、重要なのはその罪から目を背けず現実を受け入れること。一見、ダークで退廃的な印象を受ける歌詞だが、そこには「自分に嘘を付くな」「人生から逃げるな」といった、GACKTからの前向きなメッセージが込められている。

 カップリングには、同曲のオーケストラバージョンも収録している。大陸的なムードもはらみながら、壮大さやアツさはオリジナルバージョンとはまったくの別モノ。5分弱の楽曲の中でさまざまなドラマが生み出され、まるで1本の映画を見るような満足感だ。

 また、GACKTが拘束椅子に鎖で縛り付けられたジャケットデザインも彼らしさがあり秀逸だ。初回盤に付属のDVDに収録のMVも同シチュエーションで撮影され、謎の洋館を舞台に拘束椅子に縛り付けられたGACKTと、少年と少女の悲しい宿命の物語が描かれていく。映画のさながらの作り込みと非日常的な世界観が、観る者の想像と妄想をかき立ててくれる仕上がりだ。

 GACKTは、これまで「VISUALIVE」と銘打ち、音楽とビジュアル(映像やステージセット、衣装、演出)を最大限に融合させたエンターテインメントステージを提供してきた。昨年は、約5カ月に及ぶツアーをおこない、多くのファンを魅了した。今作「罪の継承 〜ORIGINAL SIN〜」は、テーマ性や表現手法は違えど、根底にあるエンターテインメントに対するこだわりは同じ。楽曲とその世界観を最大限に楽しむためのトリックが、随所に仕掛けられている。(文=榑林史章)

作品情報

初回限定盤 CD+DVD/XQMQ-91001/1800円+税
通常盤 CD only/XQMQ-1010/1200円+税
▽収録曲
【CD】初回限定盤・通常盤共通
1. 罪の継承 〜ORIGINAL SIN〜
2. 罪の継承 〜ORIGINAL SIN〜 (Orchestra Ver)
3. 罪の継承 〜ORIGINAL SIN〜 (-Instrumental-)
【DVD】初回限定盤のみ 罪の継承 〜ORIGINAL SIN〜 MUSIC CLIP

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