【ライヴレポ】LAID BACK OCEANの期
間限定バンド・PUNK BACK OCEANがツ
アーファイナル開催!急遽追加公演が
決定!!

ちなみに、いきなりのネタばらしをしてしまうと、彼らの正体はLAID BACK OCEANの面々にほかならない。もともとのバンド名である“LAID”ともかけてある今回のアルバム『零度』は、3ヶ月連続での音源リリースを軸とした「RE:SOUZOU PROJECT 2」の第1弾作品であり、その中で彼らはPUNK BACK OCEANの名を欲しいままにするかのように、攻撃的でプリミティブなロックバンドとしての鋭い牙をむいて見せていたのだ。当然、このライヴにおいてもその尖った姿勢は終始堂々と貫かれていたことになる。

「おい、よく集まったな東京!今日もさ、俺たちはゴミを着てんだよ(メンバー自らが拾った本物のゴミを用いて作られたという衣装を彼らは着ていた)。そんなゴミみたいな俺たちが、ゴミみたいなオマエらに、ゴミみたいな曲をブチかましていくからな!!」

実在する制度や各国首脳の実名を交えながら、スパイシーな風刺をチクリと効かせた「マイナンバー」から威勢よく始まったこの夜のギグでは、バンド側から発せられる強い気迫に煽られたのか、モッシュやコロダイをし始めるオーディエンスがフロアに多数出現。ただでさえ満杯になっていた下北沢シェルターが、瞬く間にカオスな熱い空間へと化していったことは言うまでもない。

それにしても、ここまでピアノロックバンドとしての独自なスタイルを提示して来ていた彼らが、なぜこのタイミングで“パンク”にこだわる必要があったのだろうか?その疑問に対する回答として、YAFUMIは以下のような想いを胸中に抱えていたという。

「新メンバー・SYUTO(Pf.)も入り、LAID BACK OCEANの活動をより本格化させて行こうと思ったときにメンバ―みんなの中にある一番激しいものを、一回振り切った形で出してみれば、その先に見えてくるものがあるんじゃないか、と感じた」

多くのオーシャンズ(LBOファンの総称)はよく知っているとおり、かつてフロントマン・YAFUMIとギタリスト・KAZUKIは、ともにJELLY→というパンクバンドで活動をしていたという事実がある。また、それ以外のメンバーたちもそれぞれにパンクからの洗礼を受けたことがある、という経緯を踏まえたうえで、彼らは自らのルーツのひとつであるパンクと再び真正面から対峙することにより、“その先にある何か”に触れたかったということらしい。

つまり、やや乱暴な言い方をするなら過去をネタにしてしまうほどの旺盛な遊び心が、そこにはあったことになるだろう。それ故か、この夜の彼らがPUNK BACK OCEANとして奏でて見せたLAID BACK OCEANの楽曲「MY STORY」や「PUNK」が、単なるベタなパンク風のアレンジで再現されるのではなく、全くの新感覚なピアノパンクへと昇華していたことは中でも特筆すべき点だった。

ドラマー・SEIJIの刻むビートといい、ベーシスト・KYOHEIの放つラウドなフレーズといい、ギタリスト・KAZUKIの切れ味鋭いギターワークといい、ピアニスト・SYUTOのウィットが利いたプレイといい、ボーカリスト・YAFUMIの食って掛かるような熱いステージングといい。パンキッシュに強くハジけるその音たちからは、さらに革新的な未来へと進んでいく為の重要なワンステップとして、今の彼らにはPUNK BACK OCEANというものが必要だったに違いない、ということが良く伝わってきたのである。

なお、アルバム『零度』に収録されている10曲しか持ち曲がない彼らは、GREEN DAYの「BASKET CASE」や、アブな過ぎる「ザザエさんのうた(シャ○中バージョン)」、THE BLUE HEARTSの「TRAIN-TRAIN」などに加え、本編佳境ではJELLY→のデビューシングル曲「おもちゃのピストル」をカバーする一幕もあり、これらについても観衆たちが多いに沸き立ったことをここに付記しておこう。

「6月からは、LAID BACK OCEANとしてのツアーをやります!あと、これはひとつみんなに相談なんだけど。今回、オーシャンズのひとりが「利益はいらないんで」って言ってツアーTシャツの制作をやってくれたのね。でも、窃盗団が入って印刷機から完成間際の俺らのTシャツまで全部盗られちゃったんだ。それって最悪だろ?だから、PUNK BACK OCEANとしてもう1本だけ追加公演をやって、その利益をそいつに全部あげようと思うんだけど、どうかな?」

無論、このYAFUMIからの問いかけに対しては賛同の声だけが場内から大きく湧き上がった。PUNKS NOT DEADとは、これいかに。現金で世知辛いこんな世の中にあっても、男気と反骨精神に溢れた粋でロックなヤツらがここにはちゃんといる。

もはや音楽スタイルやバンド名にさえ左右されない、明確で強い意思を持った5人の男たちが繰り広げていく、これからの「RE:SOUZOU PROJECT 2」、そしてそれにともなう再びのワンマンツアー。それらを通して、彼らがどんな驚きや感動を生み出してくれるのかが実に楽しみだ。

写真/佐藤祐介 文/杉江由紀

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