どれも等身大、瀬川あやか デビュー
後も看護師を続ける理由とは

『SegaWanderful』に込めた想いを語った瀬川あやか

 シンガーソングライターの瀬川あやかが15日に、初のアルバム『SegaWanderful』をリリースした。瀬川は、普段は看護師という職業とミュージシャン・シンガーソングライターとしての活動を並行しておこなっていることで話題となっているアーティスト。2016年に1stシングル「夢日和」でメジャーデビューを果たし、同年10月に2ndシングル「恋の知らせ」をリリース。そして今年3月15日に、満を持して初のアルバムリリースとなった。北海道出身で幼いころから歌に親しみ、看護師を目指し上京してからミュージシャンという新たな道を切り開いた彼女。今回はその二つの道に関わるようになった経緯と、現在も二足のわらじを履き続けるこだわりなどを尋ねてみた。

 なお、奇しくもインタビューをおこなったのは、乃木坂46の5周年記念のバースデーライブ初日が開催された次の日。ライブ当日は、瀬川と高校時代の同級生で友人である、乃木坂46のメンバー(当時)・橋本奈々未の卒業ライブだった。その話から徐々に瀬川本人に迫ってみた。

ずっと歌や音楽が好き

元乃木坂46の橋本奈々未の卒業ライブに出向いたという瀬川あやか

――昨日はさいたまスーパーアリーナの、乃木坂46のライブの方には行かれましたか?

 行きました! 見てきました。天気がちょっと荒れて大変でしたね。ライブはものすごく感動しました!

――でも橋本さん、あんな卒業の最後の感動的なところで、鼻水が出るからティッシュを持ち出して…思わず笑ってしまいました。

 あはは(笑)。でも彼女らしかったですね。

――普段から彼女はあんな感じなのでしょうか?

 そうなんです! もちろんいい意味ですけど、飾らない感じというか。

――貴重なご意見ありがとうございます。ここからは、瀬川さんのお話をうかがっていきたいと思いますが、今年1月におこなわれたワンマンライブのタイトルが「私なりの酉(トリ)ックオア酉(トリ)ートメント」とか、今回リリースされるニューアルバム『SegaWanderful(セガワンダフル)』とか…結構ダジャレ好きなところがあるのでしょうか?(笑)

 確かに(笑)。まあダジャレを押したかったわけじゃないんですけど。初ワンマンの時から数字をもじったり、その時にあった名前を付けたりする流れになって。それと、来てくれたファンの人が「あれ? 何回目のライブだっけ?」ってなるのがすごく嫌だったので、「酉ックオア酉ートメントの時だよ」とか覚えてくれたらいいなと思って、そんなタイトルを付けています(笑)。

――そうなんですね。でも、何か「また言っているよ(笑)」とか言われないですか?

 言われますね、「出たよ…」って(笑)。さすがに最初はアルバム名を「これかい!?」みたいに言われて(笑)。この一枚でまた新たな場所や人に出会ってたくさん音楽を届けにいきたいという、理由をちゃんと言ったら納得してもらえました。

――私が初めて瀬川さんのライブを拝見したのが、昨年のイベント『Girl Pop Collection』だったのですが、あの時に披露された中で一番印象が強かったのが「サンサーラ」(フジテレビ系のドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』のエンディング・テーマ曲)でした。しかし、今年おこなわれたワンマンを聴かせていただいた時に「あれ? こんな感じなんだ?」と、イメージがガラっと変わって感じられました。どちらかというと明るい感じの曲を歌われることが多いのでしょうか? 逆にそういう意味では「サンサーラ」を歌われたのはチャレンジだったのでは?

インタビューに応える瀬川あやか

 そうですね、確かに私自身、明るい曲が好きですが。もちろんバラードもたくさん歌いたいと思っています。

――基本的にはやっぱり、“ワーッ”と賑やかな感じを出したいという思いが、意識しなくても出てくるのでしょうか?

 時と場合によって、ですね。アコースティックでワーッとやってもいいし、ライブのステージ作りとしては、そこに違いを持たせるのも面白いと思うけど、アコースティック、バンド編成と、それぞれの違いが出せればいいなと思います。

――プロフィールを拝見させていただいたのですが、ご自身の性格について「ネガティブな思考をポジティブに変換できる」と記されていたのが気になりまして。これは性格として自覚があるのでしょうか?

 それはありますね、落ち込みやすいです(笑)。自分に対することもそうですけど、ちゃんとできていない時にすぐ落ち込むんです。でも「できてないんだったら、やるしかないじゃん」と前向きになるのも早い。あっという間にポジティブになる。ただ大丈夫、っていうよりは、ちゃんと落ち込むということがポジティブの秘訣だと思うので。

――そういう性格に加えて、「頑固である」と(笑)。それと「人の中心に立ちやすい」的な性格もあるということですが、リーダー的な性質もあるのでしょうか?

 いや、それはどうでしょう? ただ何でも言い出しっぺな気もします。「みんな、これをやろう!」みたいなことを自分から言うタイプで。

――では、求心力があるタイプ?

 いえいえ(笑)、まあ好奇心は旺盛でみんなでワーっと賑やかにするのが好きなので、そういう意味ですぐ思ったことは言っちゃいますね。

――歌を歌い始めた頃のことについてお伺いしたいのですが、もともと北海道にお住まいのときは、どんな歌を聴かれていたのでしょうか?

 私はJ-POPが本当に好きで、小さいころからテレビの音楽番組は全部録画して見ていました。まんべんなく見ていたんですけど、中でも女性シンガーが圧倒的に多かったですね。当時は絢香さんとか、大塚愛さんを聴いていました。

――歌を歌いたい、という思いが一番強いのでしょうか? 例えばギターを弾かれている姿もライブでは印象的だったのですが、そういうスタイルがカッコいいと思われたりとかは?

 もともとは歌が好きというところからの出発でした。テレビの音楽番組に合わせて歌って踊って、それを友達と真似したり、みんなと同じように歌が好きになって、たくさん聴くようになっていきました。カラオケが好きになったという、本当にそこからのスタートでしたね。

――ではその後は、それほど音楽にのめり込んだという認識でもない?

 いや、最初からのめり込んでたというか。ずっと歌や音楽が好きでしたし。でも田舎育ちだったので、ライブなんかはできなかったんですけど…趣味の音楽じゃなくて、本当に歌手になりたいと思っていたので、小さなころからみんなに歌手になりたい、ということを言っていたんですけど、「こんな田舎で何を言っているの?」と言われるのが悲しくて…

――そうですよね。私も田舎育ちなので理解できるのですが、そんな風に芸能活動について、田舎だと夢物語のように言われることってあるんですよね。

 だから次第に自分に自信がなくなって、音楽への気持ちを自分の中に秘めるようになっちゃったんです。だから、みんなになかなか「こうやりたい」ということを言えなくて、バンドを組んだり、歌ったりということはしなかったですね。

――先程ご自身の性格について「前向き」という話がありましたが、このことに対してはそこまでの思いはなかったのでしょうか? 周りはいろんなことを言うけど「関係あるかい!」と我が道を行く、みたいな。

 いや、あの頃は自分に自信がない思いのほうが強かったので。今も自信は無いけど「無いなら無いなりに頑張れ」と自分自身で思いますし。でもあの時は頑張れるだけの力がなかったですね。

――ちなみにご家族で歌われているという人は?

 歌はみんな好きですけど、おばあちゃんが小さいころからコーラスをやっていました。ピアノもおばあちゃんがきっかけだったんです。おばあちゃんは常に支えてくれたりしていました。仲が良かったし。まさしく我が道を行くタイプでしたね。「あなたがやりたいんだったら、やるだけでしょう? 何を迷うの?」みたいなことを言ってくれる人です。

――素敵なおばあちゃんですね。それでもなかなか表に出せずに?

 そうですね、小さいころから親にも言っていたんですけど、だんだん言わなくなっていったので、聞いてくることもなくなって…

音楽は医療と反対にある場所のものではない

看護師と音楽活動を両立している瀬川あやか

――では大学に入るまでは、歌を歌うのは好きだけど、今みたいに上京してからおこなっているような活動は全然考えられなかった?

 そうですね。全然。ピアノ教室一つとっても地元に1軒しかなくて、車に乗って遠くまで行かなきゃいけなかったくらい。だから歌手は、テレビの中の世界って感じでした。でも、音楽活動をし始めてからより強く思うのは、そんなコンプレックスって誰にもあることだと思うんです。田舎だからとあきらめるというのは、本当にもったいないことなんだなって。そういうことを伝えられたらと思います。

――なるほど。そして大学時代にミスコンで準優勝、事務所に入られたということですが、事務所のほうからのスカウトされた時にはどう思われましたか?

 「すごいな東京、こういう話って本当にあるんだ」って思いましたね(笑)。正直都会に憧れはあって、出てきた時にそういう話を頂いて、好奇心もありましたし。

――その話をもらって事務所に入ろうと決めた時の気持ちは、単純なアルバイト感覚的なものだったのでしょうか? または何か自分として新しい、将来的につながることをやろうと思ったのか?

 両方かな。小さい頃から本当になりたかったけど、内に秘めていたし。でも東京にはちゃんと「看護の勉強がしたい」と思って出てきていたから、反面どうしよう? 「音楽をやりたい」と社長に言ってみようかな? と思いながら、チャレンジしてみた部分もあります。

――でも看護師って、勉強をする時からかなり大変だと思うのですが。責任の面でも両方を目指そうというのは、決意を固めるのも難しいと思いました。そこに迷いはありませんでしたか?

 もちろん、たくさんありましたね。基本的に自信がないタイプなので、余計にずっと「どうしよう」って言っていましたし。でも、今の事務所の方にも理解をしていただきました。看護師の免許も取得したいという話もさせて頂いて。

――両方をやろう、と思ったきっかけはどんなものだったのでしょうか?

 実習中に患者さんと関わる中で、ある日患者さんの好きな歌を歌ってあげると、気持ちよさそうな顔をされていたり、具合が良くなっていったりする姿を見たことがあったんです。それで「音楽って、医療と反対の場所にあるものじゃないんだな」って、もしかしたら相互作用的な何かがあるかもしれないと思いました。

――回復の傾向があったのですか? それは凄いですね。でも実際、看護師とミュージシャンの両立って結構大変だと思いますが…

 そうですね、精神的に辛い。体力的な部分よりは。いや、精神的というとちょっと大げさかもしれないけど…でも2つの仕事をやっていることに、ハンデを置きたくないと思うので、それをどう人にハンデと思われずに、先のことを伝えられるか、というのをすごく考えるんです。で、頑張らなきゃっていう気持ちになるので、そこがちょっと辛いなと思う時が、正直あります。

――何か言い訳できないみたいな感じでしょうか。でも逆に、音楽と看護というのが互いに影響し合うというのもありますか? 例えば先程歌を歌ったら…みたいなお話もありましたが、逆に看護をやったということが今書かれている曲に「あの時こういう処置をした時の思い出」みたいな…

 あります。例えば歌の中に“処置”だとか“高血圧”なんて言葉が出るわけではないけど(笑)。人って、こういう時に悲しいと思うんだな、とか、こういう表情をするんだなということがわかる。そういう部分が曲に生きてきますね。例えばこういう人は、どうやったら背中を押してあげられるんだろう、と考えると自然にそういう歌になることはあるので。

――なるほど。逆に看護師じゃない部分で音楽的に表現したいと思うのもあるのでしょうか? 例えば今回のアルバムを聴かせていただいた時に、結構恋物語的な、これは過去の経験なのかなとも思いますが、そういう看護師というのが一見関係ない部分で、出てくるものも書きたいところはあるのではないでしょうか?

 確かにそれもあります。書きたいものは本当にたくさんあるんです。恋愛の曲もそうだし、友達や家族の歌とか…ただ、病気の人に病気の歌が一番効くかといわれたら、そうじゃないじゃないですか。実習中に歌ったのは「ソーラン節」だったんですけど、全然病気とは関係ない。

 そんな風に曲調とかというのは決め込まなくていいのかな、と思います。その時に必要な曲ってそれぞれ違うと思うので、聴く人になるべく寄り添っていくことを考えたいんです。まず説得力を持たせられるのは、自分が本当に思い入れ、思いを込めた曲だと思うし、自分の周りをありのままに歌ったことだったり。それが曲にできたら、その先に何かできるんじゃないかと思います。

――少し意地悪な質問になりますが、その看護師という立場が邪魔になるということはないでしょうか? 看護師&シンガーというのが、結び付けてイメージされることが、ある歌を書いている時に「またこういう風に思われるんじゃないか」という引け目を、感じるようなこととか…

 いや、看護師の私も歌を歌っている私も、等身大なので、こんな歌を歌いたくないと思ったことはないです。看護と音楽を結び付けていることは大切なんですけど、全部、10を10結び付けるのは難しいと思いますし。

誰かの人生や思い出に寄り添える曲

小さな頃から歌うことが好きだったという瀬川あやか

――次にアルバム『SegaWanderful』の話をお伺いしたいと思います。まずこのタイトルですが、今年のライブでお話をお聞きしたところ、「wander」という単語と、「wonderful」という言葉を結び付けたそうですね。意図は何だったのでしょうか?

 今回のアルバムは初めてのアルバムですし、名刺代わりの一枚になると思ったので、自分の名前を入れたくて入れたんですけど、いろんな候補がありました。カッコつを付けたタイトルもあったんですけど、全然しっくりこなかったんです。ちょっと忘れちゃったんですけど…例えば英語の単語でカッコよく、「LIFE」みたいな(笑)。

――確かに。雰囲気が違う感じですね。

 自分のキャラクターを合わせられればいいなと思って「Wonderful」という言葉を選んだんですけど、スタッフさんと一緒に考える中で「wander」という言葉も出して、それを造語にして「この一枚でいろんな場所に行って」という意味合いを込めたら? みたいな話をして、このタイトルができたんです。

――ちなみに、「wander」を実際に調べると「歩き回る、徘徊する、ぶらつく、さまよう」と結構ルーズなイメージなのかなと思ったのですが、結構歩き回られることもありますか?

――次にアルバム『SegaWanderful』の話をお伺いしたいと思います。まずこのタイトルですが、今年のライブでお話をお聞きしたところ、「wander」という単語と、「wonderful」という言葉を結び付けたそうですね。意図は何だったのでしょうか?

 今回のアルバムは初めてのアルバムですし、名刺代わりの一枚になると思ったので、自分の名前を入れたくて入れたんですけど、いろんな候補がありました。カッコつけたタイトルもあったんですけど、全然しっくりこなかったんです。ちょっと忘れちゃったんですけど…例えば英語の単語でカッコよく、「LIFE」みたいな(笑)。

――確かに。雰囲気が違う感じですね。

 自分のキャラクターを合わせられればいいなと思って「Wonderful」という言葉を選んだんですけど、スタッフさんと一緒に考える中で「wander」という言葉も出して、それを造語にして「この一枚でいろんな場所に行って」という意味合いを込めたら? みたいな話をして、このタイトルができたんです。

――ちなみに、「wander」を実際に調べると「歩き回る、徘徊する、ぶらつく、さまよう」と結構ルーズなイメージなのかなと思ったのですが、結構歩き回られることもありますか?

 はい、結構散歩はしますね。歌詞を考えたいな、と思った時には、家に籠るよりは目的地を決めずに、行き止まりになるまで歩き回ることもあります。東京って楽しいんですよ、散歩が。「こんなところにお店で来たんだ」って新しいお店を見つけたり。

――確かに本当に楽しいですよね、そんな散歩。アルバムの収録曲は、「妄想スニーカー」が、瀬川さんが初めて作られた曲の中の1曲で、メジャーデビュー曲の「夢日和」、2ndシングルの「恋の知らせ」ということですが、他の4曲はアルバムに向けた曲なのでしょうか?

 いや、メジャーデビュー前に書いた曲ですね。ファンの方も、知っている方は知っていると思います。「声」とかはあまり歌ったことがなかったかな? でも割と初期メンバーに近いというか。「夢日和」はその中でも割と最近できた曲ですけど。

――それぞれの曲のイメージって、どのようなものなのかを教えていただきたいのですが、まず1曲目の「妄想スニーカー」は、どのような曲なのでしょうか?

 自分をスニーカーにたとえている、というものですね。妄想って、みんなすると思うんですよ、良いことも悪いことも。私がここに書いているのは悪い妄想なんですけど、ずっと悪い妄想をして前に進めない、その状況って、すごくもったいないなと思う。その“妄想”を“泥”にたとえて「泥は取っ払って、明日に進んでいかなければもったいない」ということを言いたかったんです。

――スニーカーに結び付いているのがユニークですね。“泥”をかぶったエピソードでも?(笑)

 いや、そんなエピソードはないですけど(笑)。でもスニーカーが好きというのはあります。だから歌を作っていて、スニーカーが好きで、歌を作る時に合わせていったという感じ。

――今お伺いした話の中でも、思いをポジティブに持っていこうという印象が感じられたのですが、やはりそういうイメージが自分の中にあるのでしょうか? 書きたいものとして自然に出てきたり…

 そうですね、意識してポジティブにしていくというよりは、完全に落ち切る曲が苦手で書けないんです、逆に(笑)。結局落ちている暗い曲でも、最後には前を向いて上がっちゃう、という曲が多くて。

――なるほど。対照的なのが2曲目の「夢日和」ですが、これは何か決断を模索しているイメージかなと思うのですが、「夢日和」というキーワードは、どのようなイメージなのでしょうか?

 「毎日は誰にとっても、夢を追いかけている『夢日和』なんだよ」ということを言いたかった歌なんですけど、これは私が看護師とミュージシャンの仕事を両立させる自信がなくて、迷っていた時期に作った曲なんです。

 メジャーデビューの時に書いた曲で、起こってもないことを、「こうかもしれない」と勝手に思い込んでしまったり、「自分にはできない」と諦めてしまったりするのは、本当にもったいないなと思う。わからなくてもまずはやってみないと何も起こらないし、「毎日そんな風に諦めるんじゃない!」そんな思いを込めて作りました。

――そういう意味では、今の自分の内面にあるリアルな気持ちでもあるのでしょうか?

 それは結構あると思います。

――3曲目から6曲目は、これは過去の実体験か、友達から聞いた恋愛事情みたいな(笑)。やはり、それは自分で思われている「恋愛のイメージ」というのがあるのでしょうか? 暗い感じの曲などは印象的ですが…

 ありますね、それは。基本、暗いと思います(笑)。「いつでも恋はカメレオン」は、曲調は結構ポップなのに、Aメロ、Bメロとかはずっと<もう恋はしない!>とか言っているし(笑)、<なんでこんなついてないの…>とか、結構ネガティブ。

――<きっぱりと振られたの>なんて書かれていましたね(笑)

瀬川あやか

 そうそう(笑)。もういい、絶対嫌だ、って言っているけど、サビでは「でもいつかまた恋はできるし、この恋が次につながる経験になるよ」とまとめているんです。

――これだけ恋愛の話が続くと、やはりご自身としても「恋」というのが書きたいテーマの中でも大きなウェイトを占めているのでしょうか? 

 はい、大切ですね。でも恋の歌を書いているから、全部恋の歌かと聞かれたら、正直そうではなくて、私がファンの方に向けた曲として恋の歌を書くこともある。または「きっとすぐいなくなっちゃうんでしょ?」と感じる不安を描いたものもありますし。あくまで一面ですけど、やっぱり大事にしたい要素ですね。

――最後の「未熟なうた」ですが、1、2曲目のアクティブな感じと比べるとちょっと弱気な感じもありますが、この曲をあえて入れたのは、聴く人へのメッセージというのもあるのでしょうか?

 そうですね、この曲に限ってというと、本当に自分への曲だったんです。最初に感じた気持ちを忘れたくないな、って。どんな時に聴いても初心に返れて、頑張りたいと思える曲を作りたいと思ったんです。自分が歌っていきたい気持ちだとか、自信のない一面とか。でも歌が好きで、今歌わせていただいていることに対して、みんなにすごく感謝の気持ちでいっぱいの曲だから、今回の名刺代わりになるアルバムにはぜひ入れたいと思って入れました。

――思いの強さが感じられますね。これまでたくさん曲を書かれてきたと思いますが、入れたかったけど収録されなかった曲とかもあるのでしょうか?

 ありますね、もちろん。どれにしようかというのはすごく悩みました…曲自体は70曲近くあるんですけど…常に書き続けてきてはいるので、増えているんですけどね。でも、今はこの7曲で良かったなとは思います。ファンの人からは「あの曲が来ると思ったのに」とかはよく言われます。そういうのは「まあまあ、今後待っててください」って感じです(笑)。

――この7曲の中に、特別思い入れが深い曲というのはありますか?

 全部それぞれありますけど、やっぱりリードトラックの「妄想スニーカー」ですね。結構、今までのポップさとかポジティブな感じにプラスして、クールさというのを入れ込んだ感じです。キャラクターが一番出ているけど、変化も出ている曲なので、一番聴いてほしいと思います。

――このアルバムを出してツアーもおこなわれ…と大変ですね。では最後に、読者の方にメッセージなどを一言いただければ

 歌う看護師、と名乗らせて頂いてるので(笑)、何かこう私の曲で、この一枚で誰かの人生や思い出に寄り添える曲が一つでもあれば嬉しいです。誰かの明日の辛さの感じ方が、少しでも変わればいいなと思って歌っているので、聴いてくださる方の背中を押せるよう頑張りたいです。

(取材=桂 伸也、撮影=編集部)

作品情報

1st Album『SegaWanderful』
発売日:2017年3月15日(水)
初回限定盤[CD+DVD]:2,500円(tax in)/PCCA-04502
通常盤[CD Only]:2,000円(tax in)/PCCA-04503
▽収録内容
CD
1.妄想スニーカー
2.夢日和
3.声
4.いつでも恋はカメレオン
5.恋の知らせ
6.ベストフレンド
7.未熟なうた

DVD(初回限定盤)
「妄想スニーカー」Music Clip
Making of 「SegaWanderful」
瀬川あやかSpecial Interview

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