「すべての恋には、テーマソングがあ
る。」DJ和の手がけた最新MIX CDを聞
くと胸が震えてしょうがない…!【イ
ンタビュー】

中へは、ミリオンやダブルミリオンを記録した大ヒット曲を満載。CDという存在がとても輝きを放っていた、この頃の思い出が甦ってくる作品にも仕上がっています。これ、ホント胸が震えるね。

DJ和 インタビュー


名曲かの基準とは、どれだけ語り継がれたか

――発売中のCD『俺のラブソング-BE ESQUIRE-mixed by DJ和』、中には90年代を中心に大ヒットした曲たちを満載しています。まさに珠玉のヒット曲集という印象を最初に覚えました。

DJ和:今、改めて考えると「なんでこんなにも売れてたんだろう」みたいに思えてしまうくらいに、CDを手にすることが流行っていたのが90年代でした。「それって、今でいうYouTubeを再生するのと同じ感覚だったのかなぁ」と今の時代と重ね合わせ考えたりもしつつ、本当に楽曲の持つ影響力がもの凄かったことは小さいながらも感覚としてあったことでした。

――本当にCDがバンバン売れていた時代ですからね。

DJ和:「売れた」ということは「沢山の人たちが聴いていた」ということ。それくらい大勢の人たちに音楽が影響を与えていた時代。
あの頃は、売れるからこそ制作にもお金をかけられていたんでしょうね。MV一つを取っても海外で撮影したり、空撮があったりと派手な映像も多かった。そういう「ド派手な90年代」だったからこそ、強烈にインパクトとして残ってるんだろうなぁと思います。

――まさに、その通りだと思います。

DJ和:90年代は音楽が盛り上がっていたのは、もちろん。文化も含め、世の中全体として景気の良い(バブルという)時代でしたからね。

――改めてこの時代の楽曲を聴いてて感じたのが、名曲が多いなということなんです。当時の風潮として「こういう流行りの歌は残らない」と言われてましたが、いやいや、今聴いても胸を打つ曲たちが数多くありますからね。

DJ和:何が名曲かの基準とは、どれだけ語り継がれたかだと思うんです。何年何十年経った後でも、「やっぱいい曲だったな」と思い返せたり、その時代の人が聴いて「いいな」と思える歌こそが名曲なんですよね。『俺のラブソング-BE ESQUIRE-mixed by DJ和』に収録した90年代を中心にした曲たちには、そういう楽曲が本当に多かった。身体や心に刻まれて忘れるなんて出来ない、むしろ、すぐに思い出しちゃう。昔の思い出を振り返ったとき一緒に甦ってくる、そういう曲たちへは本当にパワーを感じます。

カラオケのランキングの中心は最新ナンバーですが、そこへ混じって絶対に消えない定番ナンバーとして唄い継がれている曲たちも実際に多いですからね。

――『俺のラブソング-BE ESQUIRE-mixed by DJ和』を聴いてると、いろんな思い出が甦ってきました。

DJ和:ここへ収録した曲にはドラマの主題歌として流れた歌たちも多いです。あの頃は、音楽と生活が本当に密接な関係を持っていた時代だったように、カラオケでよく歌ってたとか一緒にデートをしたときに聴いて、この歌を使って口説いたなど、いろんな思い出が甦ってくる方も多い気がしています。

何より、90年代当時の音楽はお茶の間にあるものでした。あの頃はテレビが中心にある生活。80年代や90年代って、まだインターネットは当たり前じゃなかった時代。僕は86年生まれなんですけど、90年代ってインターネットに触れていた記憶がなければ、むしろ毎朝届く新聞のテレビ欄をチェックしては、「あっ、この番組を観たい。じゃあ何時まで家に帰ろう」とか「録画予約しなきゃ」など、その日ごとにテレビに齧りついていました。まさに情報の中心はテレビ/ラジオ/雑誌という頃。僕自身、テレビを通して見たドラマの影響ってすごく大きかったですからね。

――しかも、テレビで流れ支持された曲たちをCDで購入しては歌を覚え、それをみんなでカラオケに行って共有する時代でもありました。

DJ和:ここへ収録した曲たちのカラオケ支持は、どれも高いですよね。この作品へ収録した曲たちは、今でもカラオケへ行くと唄いますし、カラオケランキングの中心は最新ナンバーですが、そこへ混じって絶対に消えない定番ナンバーとして唄い継がれている曲たちも実際に多いですからね。何年何十年経とうが唄い続けられてるって、そんな素晴らしいことはないと思います。

――もはや、身体が覚えていますからね。

DJ和:そうなんです。一度身体に染みついた歌って、きっと死ぬまでカラオケで唄い続けていくんだろうなと思います。
90年代と言えば、食事や呑みに行った二次会としてカラオケへ足を運ぶのが当たり前のコースの一つだった頃。カラオケで歌うことの気持ち良さを教えてくれたのも、『俺のラブソング-BE ESQUIRE-mixed by DJ和』へ収録していた曲たちだったなとも思っています。

今回の選曲の基準は「ラブソングのバラード」


――『俺のラブソング-BE ESQUIRE-mixed by DJ和』へ収録した歌たちは90年代のヒット曲を中心に構成しています。あの頃は名曲もヒット曲も多かったように、選ぶのは大変だったんじゃないですか!?

DJ和:今回の選曲の基準は、「ラブソングのバラード」。中でも、言われたように「90年代」を中心に据えています。より具体的に言うなら、あの頃はトレンディドラマの全盛期でしたし、家族みんなでテレビ番組を共有していたようにファミリー感の強かった頃。それもあって、その時代の中で尖っていたよりも、「いろんな人たちの根底に根づいた歌」たちを中心にしています。
MIX CDって、ほとんどが「アガる」や「ノレる」などアップテンポ曲を中心に構成される中、バラードを繋げてゆくことも今回は新鮮に感じていただけると思います。

――とても心地好い音楽集なあまり、つい部屋のBGMとして流してしまいますからね。

DJ和:こういう曲たちって、本当に聴く場所を選ばないんですよ。通勤や通学、移動中の車はもちろん、よく耳にするのが「ちょっとした単純作業をするときにBGMとして流すと仕事がはかどる」という言葉なんです。それくらい生活に溶け込める音楽たちなんだと思います。
選曲に関してですが、アルバムには32曲収録していますが、その3倍以上、100曲以上は候補曲を上げることからスタートしています。

――そんなにもピックアップしていたんですね!!

DJ和:これはちょっとした裏話というか、制作するうえでの話になりますが。楽曲を使用する際にそれぞれのレコード会社から楽曲を使う権利の許諾をいただかなければいけません。ここに収録した曲たちは、ちょうどコンピレーション盤ブームなどで貸し出された曲たちも多いように、許諾のOKをいただきやすい歌も多かったのですが。プロダクションやアーティストによっては貸し出しを制限していたり、一切出さないパターンもあります。中には、いろんな確認作業から許諾まで時間を擁することもあるように、今回なら3ヶ月という制作期間の中で諸条件をクリアー出来た曲たちを軸に構成をする形を取りました。

「泣ける」「思い出す」「浸れる」というテーマ性
――『俺のラブソング-BE ESQUIRE-mixed by DJ和』の収録曲の流れに関しては、どんな風に決めたのでしょうか?

DJ和:『俺のラブソング-BE ESQUIRE-mixed by DJ和』に於ける選曲の軸に据えたのに、「泣ける」「思い出す」「浸れる」というテーマ性があります。だから、収録した曲たちは全体的にテンポが遅めですし、旋律の綺麗な歌たちになっています。

DJとして一番楽な楽曲の流れの作り方って、一番速いテンポの曲から徐々に落としてそく流れか、逆の、一番ゆったりとした曲から徐々にテンポを上げてゆく構成。いわゆるテンポを並べる方法が一番簡単ではあるのですが、テンポが鍵を握るダンスミュージックならそこは重要ですが、J-POPのような歌ものを並べる場合、むしろテンポ感よりも「歌詞とメロディとの親和性」や「楽曲の雰囲気と時代感」「その歌やアーティストどうしの関連性」などが軸になっていきます。

そういう組み合わせのブロックを数多く作っては、パズルを組み立てるようにいろんな流れを試しながら、さまざまな曲たちを入れ換え、今の形にまで辿り着いています。

――心地好さを作りあげるまでには、本当にいろんな苦労があったんですね。

DJ和:こういう作品って、一番繰り返し聴かれるのって前半部分なんですね。その前半部分でどれだけ人の心をがっつりつかめるのか!?。つかんだ後で流れるバラードの威力をどう作り出すか。それを考えて前半部分は割とリズムのある曲たちで構成し、徐々にテンポが落ちていき、ものすごく深いバラードに浸りながら、また気持ちを徐々に上げてゆく。そういうバラードの奥深さを味わえる構成にしています。

同じく、わかりやすい例で言うなら「小室哲哉さんプロデュース曲のブロック」など、小さなブロックを幾つも作っては、その配置を前にするか後ろへ持っていくかをいろいろ並べ変えては、一番浸れる流れとしても構築しています。

――聴いてて、いろんな思い出が甦ってきました。

DJ和:2017年代の楽曲とここへ収録した曲たちの違いって、「思い出」や「一緒に歩んできた感」があるかないかなんですよね。「懐かしさを覚える楽しさや感動」って、一緒に時代を歩んできたり、その時代に何かしらの思い出を残してきたからこそ生まれるもの。だから10年や20年など長い年月を経てさえ、楽曲を聴いた瞬間に色鮮やかに甦ってくる。

それって、すごく素敵なことだなぁと思います。それもあって、こういうMIX CDって「久しぶりにこういう音楽に触れませんか!?」という提案でもあるんです。
名曲というのは、僕がやらずとも勝手に受け継がれていくものなんです。それに気付かせるきっかけ作りのお手伝いをしているのが僕らのようなDJの役割なのかも知れません。

――『俺のラブソング-BE ESQUIRE-mixed by DJ和』を聴いてて改めて思ったのが、あの時代にはメチャクチャ聴いてたはずなのに、何時しか聴かなくなれば、世の中的にもスポットを当てる機会を逸していた曲たちが多いなということなんです。

DJ和:きっと、「今も毎日のように聴いてる」という方は少ない気がします。でも、完全に身体の何処かへ歌が刻まれているから、一度聞き直すだけで歌が鮮やかに甦ってくる。そういう歌たちを、この作品を通して思い返していただけたら嬉しく思います。それで懐かしくなり、ついカラオケへ行ってフルコーラスで歌ってしまうとか…。

――コンピレーション盤はフルコーラスでの収録たげど、MIX CDは美味しい部分だけをピックアップし、それをどんどん繋ぎ合わせてゆくように、そこへ懐かしさや楽しさを助長してゆく魅力がありますからね。

DJ和:そうなんです。今回も32曲収録出来たように、1枚の作品の中へ数多くの楽曲を詰め込んでは次々と聞かせられますからね。アニソンのMIX CDを作ったときは50曲詰め込んだ、なんてことまでありましたからね。
 こういう作品を通して楽曲を思い返し、「フルコーラスで聞きたいな」と思ったら、それぞれのアーティストの作品へ触れてもらいたい。MIX CDって、そういう入口になる作品だとも僕は思っています。

――DJ和さんの作品の嬉しさが、幅広い世代の人たちの胸に響く曲たちを中心に選曲しているところなんです。

DJ和:DJという仕事って、マニアックや最先端に寄りがちというのが暗黙の了解としてあれば、僕もそこはチェックしていますけど。僕の作るMIX CDシリーズに関しては、影響を受けた人たちの多い楽曲のパワーをお借りしながら、その楽曲の持つ魅力を改めて伝えてゆくところに主眼を置いています。

――個人的な話になりますが、当時よく聴いていたはずなのに、もう20年以上触れていなかったGAOの『サヨナラ』を聴いて、あの頃の思い出が鮮明に甦ってきましたし、それが嬉しかったんです。



DJ和:ふたたび楽曲やアーティストの魅力に気付けてもらえたなら、楽曲を選んだ自分としても、こんなにも嬉しいことはないなと感じさせられますからね。

名曲というのは、僕がやらずとも勝手に受け継がれていくものだと思います。それに気付かせるきっかけ作りのお手伝いをしているのが僕らのようなDJの役割なのかも知れません。こういう作品って、たくさんの人たちと共通項を持って繋がりあえていける。

逆に、この時代の曲を知らない世代の人たちには、その時代の音楽が持っていた熱いパワーを感じてもらえることにも繋がりますからね。これからも、そうやって楽曲を伝える役割を、僕は担っていけたらなと思っています。

TEXT:長澤智典
Photo:片山拓

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