2月21日@EX THEATER ROPPONGI

2月21日@EX THEATER ROPPONGI

Dragon Ash、20周年の記念日ライヴは
サプライズもありで大盛況!

Dragon Ashが20周年の記念日となる2月21日(火)にEX THEATER ROPPONGIで行なった『20th Anniversary Live Show「MIX IT UP」』。新旧の楽曲を織り交ぜた多彩なセットリストに約2,000人が熱狂し、大盛況のうちに終幕した。まさに20周年記念日にふさわしい圧巻のライヴの模様をリポートする。
「誇りに思えるバンドであるように!」
ライヴモンスターの軌跡と未来が鳴り響いた
一夜限りの20周年記念日ライヴ

<思い出に縛られるぐらいなら/いっそその頭を割ろう>

 モノクロームのLED映像をバックに、EX THEATERのステージに現れた7人のメンバー。彼らが最初に鳴らし始めたのは、1997年に発表されたデビューミニアルバム『The day dragged on』からの1曲「天使ノロック」だった。早くもフロアにモッシュの波が続々と生まれていく。過去にとらわれず、信じるのは目の前の真実だけ。そう歌う1曲で幕を開けた、デビュー20周年を祝う一夜限りの宴、Dragon Ash 20th Anniversary Live Show『MIX IT UP』。さらに場内の熱気を煽るように、この日配信されたばかりの渾身のライヴ賛歌「Mix It Up」、そして昨年末に発表されたシングル『光りの街』収録の「Headbang」と、最新のライヴ・アンセムが続く。つねに音楽性とスタイルを進化させながら邁進し続けてきたライヴモンスター、Dragon Ashらしい始まりだ。

 すでにモッシュとダイブの坩堝と化したフロアをクールダウンするように始まったのは、オリジナル・メンバーでベーシストのIKÜZÖNEの最後の演奏曲としてリリースされた、「Walk with Dreams」。赤と青のバンダナを腰につけたKjがギターを鳴らしながらかみしめるように歌うと、青から赤へゆっくりと照明の色が変わる。アンプの傍らに、IKÜZÖNEのトレード・マークの赤と青のチェックのシャツコートをかけていたベーシスト、KenKenが奏でているのは、IKÜZÖNEが使っていた赤と青の愛機だ。続いて披露された「繋がりSUNSET」は、当時29歳だったKjが20代で得たものを歌った1曲。HIROKIのギターソロが温かく優しい音色を響かせると、それはすべての人の人生の賛歌へと生まれ変わっていく。

 「Velvet Touch」「TIME OF YOUR LIFE」「Freedom」と、場内にシンガロングが巻き起こった後、聞き慣れたスクラッチ音が鳴り響くと、ひときわ大きな歓声が上がる。社会現象にもなった大ブレイクへの布石であり、ヒップホップのビートが大胆に取り込まれたミクスチャーバンドとしてのDragon Ashを決定づけた1曲「Let yourself go, Let myself go」だ。

 「スタッフとみんな(観客)と、こいつのおかげで20年やってこれました」

 Kjがそう言うと、KenKenがベースをビョーンと鳴らしながら、IKÜZÖNEの赤青のチェックのシャツコートを自らのマイクスタンドにかけ、スラップベースを響かせる。それに応えるように激しいバンドアンサンブルが重なると、ステージもフロアも一斉にヘドバンのカオスへ。ライヴにかける音楽家の思い、親友でありベーシスト仲間でもあったIKÜZÖNEの意志を継ぎ、KenKenがDragon Ashで演奏する理由。すべてが詰まった1曲の中で、KenKenが「馬場育三」の名を叫ぶ。「Amploud」では、IKÜZÖNEがこの曲のMVやライブでいつもやっていた、右手を水平チョップするポーズをメンバー全員がすると、もちろんフロアも同調。誰よりもファン思いだったIKÜZÖNEは、今も間違いなくDragon Ashの音楽の中に存在しているのだと確信する。<そんで楽しいんだったら歓声を♩>と歌うKjのコールに、<Ho!>と叫ぶオーディエンスのレスポンスもバッチリだ。

 「ケガすんじゃないぞ!」

 KjのMCで始まった「百合の咲く場所で」でいくつものモッシュサークルが生まれ、ダイバーが次々と押し寄せるフロアは、ほんの数人の観客しかいないライヴも経験した、20年前のKjが夢見た幸福な光景、だった。音楽と歌と時間を共に分かち合うライヴという空間。それぞれの人生の喜びや悲しみ、ほころびやいろんなものを持ち寄り、ぶちまけて楽しむ唯一無二の場所。そんな自由な表現の場で、ダイヴやモッシュを禁止するのではなく、思いやりやマナーで誰もが楽しめる理想郷を作れたら……。下の人を蹴らないように両足を少し浮かせた体勢で転がるダイバーや、うまくダイブ出来ずに落ちた人がリフトしてくれた人に、「ごめんね」と謝る姿が目に入る。暴れることなく身体を揺らして各々楽しむ人もいる。大丈夫、Dragon Ashのライヴスピリットはちゃんと伝わっている。

 「俺はロックバンドやロックが世界で一番大好きです。だから周りの人すべてに誇りを持ってるし、Dragon Ashが好きだと言ってくれる人たちが誇りを持てるように、これからもがんばります」

 キラーチューン「Fantasista」で極限までフロアを煽った後、Kjがさらに言葉を続ける。

 「俺たちはみんなに救われてきたので、願わくば、俺たちの曲やライヴハウスという空間がみんなの支えになってくれたらいいなという思いで作った新曲です」

 じっと聴き入るオーディエンスに披露されたのは、3月29日にリリースされるニューシングル『Beside You』。どんな時も彼らの音楽を糧に人生を歩むオーディエンスに捧げられた、Dragon Ashからの美しいラヴソングだ。

 最後に希望の歌、「光りの街」で本編を締めくくると、場内に「Viva! Viva! la revolution!」のコールが沸き起こる。ダンサーのATSUSHIとともにこの日のセットリストを作った桜井誠曰く、「いちばん最初に作った曲(「天使ノロック)で始まって、いちばん新しい曲で終わる」という流れに、20周年への思いを込めたという。何しろこの日、2月21日は、Dragon Ashがミニアルバム『The day dragged on』でデビューをした、まさに20周年目の始まりの日。一夜限りの記念日を共に祝いたいというファンの熱い思いも強く、会場の前には、「チケットを譲ってください」と書かれた紙を持つ多くのファンの姿が見受けられた。そんなファンの熱意を代弁するように、アンコールに応えてステージにメンバーが登場した途端、「HAPPY BIRTHDAY」のSEが流れ、ケーキや「20」の数字の金色のバルーン、ファンからのメッセージが書き込まれたフラッグを持ったファンクラブの代表メンバーがサプライズでステージに登場。「20周年は祝われたい」と発言していたドラムの桜井誠の要望を叶えるべく実現した企画だったそうだが、「俺はディナーショーをやってほしかった」と、桜井が無茶を言って場内の笑いを誘う。

 「一介のバンド人生では経験できないようなこととか、抱えきれないことを経験してきたバンドだと思いますけど、やめないでやってきてよかったなと思います」

 かけがえのないメンバーやスタッフ、仲間の喪失。進化し続ける過程でぶち当たった、さまざまな悲しみや苦悩。幾多の音楽を飲み込み、パンク、ハードコア、ヒップホップ、ポストロック、ラテンなど、多彩なアプローチを重ねてきた軌跡。そのすべてを包括するようなKjの言葉に、フロアから大きな拍手と熱い歓声があがる。Dragon Ashの音楽と共に人生を歩んだすべての人にとって、貪欲なまでに革新し続けてきた彼らの姿勢、立ち止まるより前を向こう、どんな状況でも小さな光を見つけようと歌うその音楽は、想像以上に大きな糧になってきたに違いない。多分それはDragon Ash自身にとっても同じなのだ。それを確信するようにアンコールで披露されたのは、「運命共同体」。場内がまさにひとつになった温かな瞬間を惜しむように、「Curtain Call」の美しくも激しい音が最後に響くと、フロア中からオーディエンスの腕が力強く突き上がる。

 「また20年後に会いましょう!」

 BOTSがそう言ってスリップマットをフロアに投げ入れると、桜井も続ける。

 「また今日が始まりですから。今年はガンガン行きますから!」

 桜井の言葉を反映するように、メンバーが去った後、スクリーンに映し出されたのは約3年ぶりとなる大規模な全国ツアー「Dragon Ash Tour 2017」の告知だった。6月8日の東京、Zepp DiverCity TOKYOを皮切りに、10月3日の東京、Zepp Tokyoまで全国30カ所31公演がスタートする。3月29日にはニューシングル『Beside You』も発売。20周年目のDragon Ashがいよいよ走り出す!

photo by 橋本塁(SOUND SHOOTER)
text by 早川加奈子

【セットリスト】
Intro:Duodecimal Future
01.天使ノロック
02.Mix It Up
03.Headbang
04.For divers area
05.Walk with Dreams
06.繋がりSUNSET
07.Velvet Touch
08.TIME OF YOUR LIFE
09.Freedom
10.Ivory
11.few lights till night
12.Let yourself go, Let myself go
13.The Live
14.Amploud
15.百合の咲く場所で
16.Fantasista
17.Beside You
18.光りの街
EN.運命共同体
Curtain Call

『Dragon Ash Tour 2017』

6月08日(木) 東京 Zepp DiverCity
6月16日(金) 愛知 Zepp Nagoya
6月17日(土) 大阪 なんばHatch
6月22日(木) 福島 いわき芸術文化交流館アリオス 中劇場
6月30日(金) 宮城 仙台 PIT
7月02日(日) 香川 高松 festhalle
7月03日(月) 愛媛 松山 WstudioRED
7月05日(水) 鳥取 米子 laughs
7月07日(金) 広島 BLUE LIVE 広島
7月15日(土) 長野 キッセイ文化ホール 中ホール
7月16日(日) 富山 クロスランドおやべ
7月20日(木) 京都 KBSホール
7月21日(金) 福井 福井県県民ホール
7月25日(火) 神奈川 CLUB CITTA'
8月16日(水) 兵庫 チキンジョージ
8月17日(木) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
8月23日(水) 岐阜 club-G
8月24日(木) 静岡 Live House 浜松 窓枠
8月30日(水) 山口 周南 RISING HALL
8月31日(木) 福岡 DRUM LOGOS
9月02日(土) 熊本 KUMAMoTo B.9 V1
9月03日(日) 鹿児島 CAPARVO HALL
9月07日(木) 北海道 PENNY LANE24
9月08日(金) 北海道 PENNY LANE24
9月10日(日) 北海道 帯広 MEGA STONE
9月12日(火) 宮城 石巻BLUE RESISTANS
9月13日(水) 山形 ミュージック昭和セッション
9月15日(金) 青森 Quarter
9月18日(月) 新潟 LOTS
10月01日(日) 群馬 桐生市市民文化会館 小ホール
10月03日(火) 東京 Zepp Tokyo
2月21日@EX THEATER ROPPONGI
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OKMusic編集部

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