Crossfaithという戦士達、映像と重厚
音振りかざし切り開く新時代

自身最大規模となる幕張メッセで圧倒的な重厚なサウンドで会場を熱狂させたCrossfaith(撮影=cazrowAoki)

 今年結成10周年を迎える5人組メタルコアバンドのCrossfaithが2月4日に、千葉・幕張メッセ イベントホールで、ワンマンツアー『New Age Warriors Japan Tour Final Series』のファイナル公演をおこなった。昨年の27本に加え、『Final Series』は1月7日の愛知・ZEPP NAGOYAを皮切りに、全5公演を展開。「Monolith」や「Devil's Party」などアンコール含め全22曲を披露。映像とサウンドがリンクし、さらなる表現力を魅せつけ、会場を熱狂と興奮に包み込んだ。

新しい時代の戦士たちCrossfaith

オープニング(撮影=cazrowAoki)

 エレクトリックなループミュージックが流れるなか、会場は早くも静かながらも熱気を帯びていた。開演前ステージには白いスクリーンが掛けられ、全貌は見えぬまま。定刻を少々過ぎたところで暗転すると、スクリーンには宇宙のような空間が映し出された。その映像の中に「彼らが新しい時代の戦士たち」と今ツアーのテーマとも言える言葉が投げかけられる。

 スクリーンが落ち、その先のステージ上段に5人の姿。SEをバックに存在感のある出で立ち。メンバーが定位置にスタンバイ。Koie(Vo)はCrossfaithのロゴが入ったフラッグを担ぎ、階段を降りステージ中央にゆっくりと歩んで来た。

 『ZION EP』に収録されている「Monolith」でツアーファイナルの幕は開けた。けたたましい轟音が鳴り響くと、スイッチが入ったかのようにオーディエンスも、サークルピットやクラウドサーフィングなど、各々のノリ方でバンドが出すサウンドに応戦。立て続けに「We Are The Future」で畳み掛け、重厚な音圧を放ち、序盤から盛り上がりはピークに達していた。「Kill ‘Em All」ではまさにタイトルのような、サウンドでオーディエンスを捲し立て、「Snake Code」、「Eclipse」とヘヴィーかつエピックなサウンドで幕張メッセを包み込んでいった。

 Koieは「ツアー各会場でもらったエネルギーをここに持ってきた」と投げかけると「Wildfire」に突入。炎のように真っ赤に染まるステージ、そこに追い討ちをかけるように、規則正しく吹き出す炎がオーディエンスの闘争本能を掻き立てるようだった。このグルーヴによってオーディエンスもアドレナリンがさらに放出されタオルやシャツを振り回す。そして、「2009年に出した1stアルバムから1曲やってもいいですか?」とKoieが投げかけ始めたのは「Mirror」。初期衝動の塊のような熱いサウンドは、会場全体に降り注いでいくようだった。

 ここでMCを挟む。Koieは「ようやくこの場所まで来れるようになりました。幼なじみと始めた活動がここまでこれたのは、みんなのおかげです」と感謝を告げ、そして、2014年のKazuki(Gt)が脳出血のため一時離脱した時のことを話す。

 「それを聞いた時どうしたらいいかわからなかった。Kazukiのいない状態でCrossfaithをやる意味があるのか…。Kazukiは『絶対戻ってくるから活動を止めないでくれ、帰ってきた時に居場所がないのは困る』その一言がきっかけでKazukiのいない状態でツアーをすることを選択しました。Kazukiなしでツアーを回って、日本に帰ってきた時に初めて聴かせてくれた曲です。この曲がなかったら、Kazukiの問題を背負ったまま前に進むことができずに、もしかしたらこの場所に立つこともできなかったかもしれません」

 そう語ると、バンドにとって大切な曲だという、ミディアムパワーバラードナンバーの「Tears Fall」を届けた。感情を叩きつけるように歌うKoie、その演奏からはここまでロードしてきた、決して楽ではない道筋が見えてくるようだった。

夢は遥か彼方にあります

(撮影=cazrowAoki)

 空から雪が降るような演出で世界観を変えてみせた「Scarlett」に続き、ここで場面転換とも言える映像が流れ「System X Remix」でTeru(PROGRAM/VISION)がオーディエンスを煽り、「Xeno」へ流れ込む。壮大なスケール感で届けたこの曲は、さらにオーディエンスの闘争心を焚きつけた。そのままシンガロングも盛大に響き渡った「Raise Your Voice」、そして、まさに悪魔の宴のようだった「Devil's Party」とソリッドなサウンドで空間を切り刻んでいくように展開。「Devil's Party」が終わると、Teruを残しメンバーはステージを一旦後にした。

 Teruの叙情的なピアノの旋律が美しいインストナンバー「Astral Heaven」へ。クラゲが優雅に泳ぐ映像が映し出され、ステージ上にはスモークが霧のように立ち込めていた。そのピアノを彩るようにTatsuya(Dr)のシンバルワークが冴え渡ったドラム、Hiro(Ba)のメロディアスでラウドなベース、Kazukiのエッジの効いたディストーションサウンドが徐々に合わさり、幻想的で天国へ導いていくかのようなサウンドが幕張メッセに広がっていく。オーディエンスもそのサウンドに身を委ねるように静かに立ち尽くしていた。

 Koieが再びステージに戻ってくると、『New Age Warriors』のリードトラック「Rx Overdrive」に突入。高速なBPMで繰り出されるサウンドはドーピングのように、オーディエンスの心も体もオーバードライブさせテンションを加速させていく。それによってフロアもステージもさらに激しさを増していく。そして、Koieが「みんなの声が合わさってこの曲は完成します!」と「Revolution」へ。Koieはフラッグを持ちフロア中央まで突き進んだ。そして、オーディエンスに抱え上げられながら熱唱。オーディエンスとともに歌い上げ、一体感はこれまでにないほど高まるなか、本編は終了した。

 サーチライトのようにフロアを照らすライト。アンコールではステージの奈落から、ドラムセットとともにTatsuya(Dr)が登場。幻想的なシンセパッドが印象的な楽曲に合わせドラムを奏で、そこからドラムソロに突入。繊細な表現から爆弾を落としたかのようなパワフルなサウンドまでダイナミクス豊かに演奏。その姿にオーディエンスも目を奪われたかのようにステージを見つめいた。

 ドラムソロが終わり、再びメンバーがステージに登場。「Countdown To Hell」のイントロが流れる中、スクリーンにはカウントダウンが表示され、カウントが0になるとともにオーディエンスが激しくモッシュ。ここは戦場かと疑うかのような壮絶な光景が広がった。地獄から這い上がってくる亡者のように、ステージ前方までクラウドサーフィングするオーディエンス。

 Koieは「どんな壁が立ちふさがろうと前に進んでいきます。ラスト1曲というのは新しいストーリーの始まり」と話しラストは「Leviathan」を全身全霊で鬼気迫る怒涛の演奏。最後にKoieは「夢は遥か彼方にあります。これは始まりに過ぎません。これしか言葉が見つからない…ありがとう!」と未来への意気込みと、集まったオーディエンスに感謝を告げ、昨年から続いた『New Age Warriors Japan Tour』の幕を閉じた。(取材=村上順一)

セットリスト

『New Age Warriors Japan Tour Final Series』
2月4日 千葉・幕張メッセ イベントホール

01.Monolith
02.We Are The Future
03.Jägerbomb
04.Kill ‘Em All
05.Snake Code
06.Eclipse
07.Wildfire
08.Mirror
09.MADNESS
10.Photosphere
11.Tears Fall
12.Scarlett
13.System X Remix
14.Xeno
15.Raise Your Voice
16.Devil’s Party
17.Astral Heaven
18.Rx Overdrive
19.Revolution

Encore
Drum Solo
En1.Countdown To Hell
En2.Omen
En3.Leviathan

リリース情報

2017年夏に3rdシングルをリリース。
バンド結成10周年に伴い「10th Anniversary」企画が始動することが決定
さらに幕張ツアーファイナルのライブ映像が商品化されることも決定した!

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