ラテン・ポップの極めつけディスコヒ
ット5曲

70年代後半になるとユーロビートやポップス系など、さまざまなタイプの曲がディスコでオンエアされるようになるが、最もアゲアゲな気分になるのはラテン系のリズムだった。

1978年、フランク・シナトラのようなバラディアーとして知られるバリー・マニロウがディスコ向けにリリースした「コパカバーナ」が大ヒットし、ラテンのリズムがディスコに向いている(まぁ、当然といえば当然だけれど…)ということで、次々にラテン系ミュージシャンがディスコに動員される。ディスコに迎合しないアーティストでも、ラテン系のリズムを取り入れていればディスコで受けた。この流れはディスコがクラブシーンに移行しても変わらず、リッキー・マーティンやシャキーラらの人気へとつながっていく。ディスコでは、いつだってラテン系のナンバーが大人気なのである。

それでは、ラテン系リズムが登場するに極めつけのディスコヒットを5曲セレクトしてみよう。

1.「コパカバーナ(原題:Copacabana(
At The Copa))」(‘78)/バリー・
マニロウ

バリー・マニロウはユダヤ系アメリカ人の歌手、ソングライター、プロデューサーである。ジュリアード音楽院を出ているだけあって、ポップスからミュージカル、映画音楽までをこなすプロフェッショナルな音楽家だ。その彼がラテンっぽいこの曲を作り歌ったのは、間違いなく「1発当ててやろう」というスケベ心によるものだと思う。が、これほどのヒットになるとは本人にも想像できなかったのではないか。全世界で大ヒットし、1発どころか100発ぐらいの大当たりとなった。日本人好みの哀愁感漂うメロディーと、ゴージャスなラテンのリズムで、ディスコでもヘビーロテーションだった。ストリングスはバリー・ホワイトっぽいノリだし、ヴォーカルはラテンの軽さでないアメリカ独特のバラディアー的歌唱で「どこがラテンやねん!」と突っ込みたくなるのだが、プロの音楽家というのは、それっぽく聴かせるだけの力量があるからすごい。彼はグラミー賞(この曲で受賞)をはじめ、多くの音楽賞を獲得、アメリカで最も売れたアーティストの一人となった。ラスベガスのショーが似合うタイプの歌手である。

2.「サバイバーズ(原題:Survivors)
」(‘83)/キッド・クレオール&ザ・
ココナッツ

80年代に颯爽と登場、ファンクとラテンとディスコをミックスした“ファンカラティーナ”というジャンルを生み出したことでも知られるグループのナンバー。キッド・クレオールことオーガスト・ダーネルは、70年代にもドクター・バザード・サバンナ・バンドでダンサブルな音楽を提供していたが、ココナッツのほうがディスコ向きである。ダーネルのラテンはキューバ、ブラジル、コロンビアのように激しいダンスを求めるタイプではなく、もう少しゆったりしたリズムで、カリプソやソカのようにトロピカル感のある曲が多い。「サバイバーズ」は彼らの4thアルバム『ドッペルゲンガー』に収録、ココナッツにしては珍しく、激しいキューバ系のダンスナンバーとなっている。当時、この曲の12インチシングルのリミックスが相当凝った作りになっていた記憶があるのだが、残念ながら探しても見つからなかった。寒い冬よりはカラッとした夏に聴きたいグループ。

3.「グラマラス・ライフ(原題:The G
lamorous Life)」(‘84)/シーラ・
E

プリンス・ファミリーの中でも上位にランクされる優秀なミュージシャン。この曲がリリースされた当時、MTVで彼女のビデオがしょっちゅう流れていたが、何と言っても、長〜い足でシンバルをキックするところが格好良かった。彼女は70年代からジョージ・デュークやマービン・ゲイ、ハービー・ハンコックらと共演しているのだが、まだ20歳そこそこの頃だけに才媛であることは間違いない。この曲はそんなにラテンを意識した作りではないが、彼女の叩くティンバレスの音だけで、ラテンのノリがしっかり前に出てくるのだから大したものである。ディスコでもよくオンエアされていたのだが、実はよく聴くとスパイスとしてフリージャズやソウルの要素がちゃんと詰まっていて、単なるダンスオンリーの曲というわけではない。踊ってよし、聴いてよしというレベルの高いダンス音楽である。当時はそんなことに気付かなかったが、忘れられがちの彼女の音楽を、もう一度検証すべきかもしれない。

4.「コンガ(原題:Conga)」(‘85)
/マイアミ・サウンド・マシーン

まだグロリア・エステファンの名前が表に出ていない頃のマイアミ・サウンド・マシーンの大ヒット曲。この曲が爆発的にヒットしたので、以降はグロリア・エステファン&マイアミ・サウンド・マシーンとして活動し、本作が収録された彼らの2ndアルバム『プリミティブ・ラブ』は全世界でビッグセールスを記録する。それにしても、この曲はディスコでも強烈なインパクトを与え、全世界が彼らのダンスサウンドに酔いしれたのだ。コンガとは楽器のコンガではなく、キューバでは定番であるダンスのひとつのスタイルの名前のこと。キューバのリズムは複雑なので、外国人はなかなか上手く踊れないのだが、誰にでも分かるようにシンプルにアレンジしたところが、彼らの功績のひとつだと思う。リッキー・マーティンやシャキーラらが後続として出てこられたのは、マイアミ・サウンド・マシーンの巧みなアレンジを模範としているからだろう。それぐらい、この曲の成功はヒスパニック系の人たちには意味があった。日本のディスコではテンポが速すぎて付いていけない人が続出したが、この曲がかかると間違いなく気分が上向きになるので、文句を言う人は少なかったはずである。名曲だよね。

5.「オエ・ミ・カント(原題:Oye Mi
Canto(Hear My Voice))(’89)/グ
ロリア・エステファン

89年、ソロデビューを果たしたグロリア・エステファン。ソロになって初めてのアルバム『カッツ・ボス・ウェイズ』は、ラテン色を薄めてシンセポップやバラードに重点を置くようになったが、世界で600万枚以上を売り上げる大ヒットとなり、アメリカのトップスターとなった。アルバム全体で見ると、これまでと比べてシンセの割合が多すぎるような気もするのだが、シーラ・Eと同じくパーカッション(特にティンバレス)が使われていると、ちゃんとラテン臭を感じるから不思議なものだ。ソロになってからのバラード作品は普通のポップス歌手のようになってしまって、彼女の良さが出ているとは僕は思わないが、アップテンポの曲では「コンガ」のような強烈さはないものの、しっかりラテン色を出しているので好きだ。特にこの曲「オエ・ミ・カント」はアルバムでは英語バージョンとスペイン語バージョンのふたつが収められており、力が入っている。中盤まではシンセが主導のアレンジであるが、パーカッシヴなピアノとホーンが入ってくる後半部分になると、完璧なまでのラテン音楽に変化する。ほんとに、めちゃくちゃカッコ良いから、踊りながらよく聴いてね。

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著者:河崎直人

OKMusic編集部

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