どこまでも私らしく、ちゃんみな 現役高校生ラッパーの素顔とは

    配信シングル「FXXKER」でメジャーデビューしたちゃんみな。彼女の素顔とは

     父親が日本人、母親が韓国人のハーフで現役女子高生ラッパーのちゃんみなが2月1日に、配信シングル「FXXKER」でメジャーデビューした。2016年に開催された『第9回 BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』出場や、昨年放送のTBS系バラエティ番組『櫻井&有吉THE夜会』に準会員として出演など、パンチの効いたラップと存在感で注目を集めている。3月8日には、メジャー1stアルバム『未成年』をリリースする。BIGBANGに衝撃を受けた事をきっかけにラップにハマったという。どこかやんちゃさものぞかせるが、デビューまでの経緯などの話を聞くうちに、意外にまじめな一面も垣間見えた。彼女の“素顔”とは。

    BIGBANGの「Haru Haru」が変えた人生

    ちゃんみな

    ――ヒップホップを聴くようになったきっかけは?

     私はひとりっ子で親も共働きだったので、学校から帰ると毎日ひとりでネットを見ていたんです。小学2年生のとき、BIGBANGの「Haru Haru」という曲を見つけて、「この曲ヤバイ!」と思って。それからヒップホップを辿っていって、ウィル・アイ・アム(米・ラッパー)とかキース・エイプ(韓・ラッパー)とかも知って、聴くようになりました。

    ――BIGBANGは、どういうところがカッコいいと思いました?

     見た目のカッコ良さはもちろんですけど、音楽にキレもあったし。曲とMVの映像にギャップがあるところが、私がいちばん衝撃を受けたところで

    。「Haru Haru」のMVなんか、映画を1本見たくらいの気分で、「うわ〜スゲ〜」って、超感動したんです。それに母親が韓国人で、私自身韓国出身なので韓国語がいちばん得意なんです。だから韓国語でラップしていたBIGBANGの言葉が、ストレートに刺さったのもあったと思います。

    ――BIGBANG以前は何を?

     3歳くらいからピアノとバレエをやっていたので、クラシックばかり聴いていました。だから当時は、こんな感じではなくて、すごくお行儀のいい子でしたよ(笑)。J-POPも普通に学校で流行っていたから聴いていて、当時は平井堅さんの「POP STAR」とか、修二と彰の「青春アミーゴ」とかが流行っていて、そういうのは聴いていました。

    ――その後バレエは?

     BIGBANGの衝撃で、バレエとピアノは速攻で辞めてしまって。代わりにヒップホップダンスを習い始めたんです。

    ――ラップは?

     最初は、マネして歌うくらいの感覚でした。カラオケで歌ったりとか、家で練習したりとか。全部BIGBANGでしたけど。BIGBANGの曲は、ラップパートも全部歌えるくらい好きです。それで、初めてラップの歌詞を自分で考えてやってみたのは、高1のときです。

    ――そのときから音楽活動をしたいと?

     自分では覚えてないですけど、1歳半のときから歌手になりたいと、そういっていたらしくて。それで、バレエとピアノを習わせてもらうようになったんです。で、小学2年生からヒップホップダンスと歌をやるようになって、初めて人前に立って歌ったのが、小学5年生のとき。本当はダンスの発表会だったんですけど、先生に頼んで歌わせてもらって。そのときは、いきものがかりさんの「じょいふる」を歌いました。

    ――そのとき、人前で表現するのが気持ちいいと?

     いいえ、そのときはすごく悔しくて。「もっと出来たはずなのに」っていう。その負けん気で、もっと頑張ろうと思って。ちゃんとラップというものに向き合ったのが、高1のときでした。

    ――最初に書いたラップのリリックはどういうものだったんですか?

     今も使っていますけど、自己紹介ですね。「生まれはコリア、育ちは練馬…」という。ラップをやる人はみんな、最初はそうだと思います。誰かに教えてもらったわけでも、誰かを見本にしたわけでもなかったので、私は全部自己流なんです。だから正解がわからなくて。スラスラ書けたけど、これがラップなのかな? 良いのかな? みたいな感じでした。だから私は、韻もあまり踏まないし。私は韓国やアメリカのヒップホップばかりを聴いてきたので、日本のヒップホップをほとんど聴いてなくて。だからこそ誰にも似てないものになったと思うし、オリジナリティがあるといってもらえたのだと思います。そのおかげで注目もされたと思うし。

    ――日本のヒップホップは通ってないんですね。

     聴くようになったのは、本当に最近なんです。私がやっているのは、日本語ラップというものなんだと気づいたのも最近です。今後イベントなんかでお会いしたときに、失礼にならないように、今になって勉強のために聴くようにはしています。

    ――見た目はやんちゃな雰囲気ですけど。

     やんちゃもしました。中学の3年間は、まるまるやんちゃでした。学校は行っていたけど、夜中にふらふら遊んでいたりして。地元の友だちの家に行ったり、しゃべったり。周りにヒップホップを聴いている子もいなかったし。だって、普通に『ビーバップ・ハイスクール』の世界に憧れていましたから(笑)。

    ――『ビーバップ・ハイスクール』は親の世代じゃない?

     でも練馬って、そういうところなんで。昭和チックというか(笑)。だから、たまにカラオケでBIGBANGを歌ったりすると「スゲ〜!」っていう程度で、私がラップをやるなんて誰も思っていなかったと思います。

    20歳までに『Mステ』出演が今の目標

    ちゃんみな

    ――全国高校生ラップ選手権に出たのは?

     高校生になったときに、やんちゃはもう辞めて、まじめに音楽活動をやっていきたいと思って。「高校生のうちにメジャーデビューしてやる!」と心に誓ったんです。そんなとき、全国高校生ラップ選手権の存在を知り、腕試しじゃないけど「やってやろうか!」と思って出ることに。

    ――結果としては途中敗退したけど、爪痕を残せましたよね。

     女の子同士での対戦では勝てたので、それで満足でした。そもそも私はバトルラッパーではないのに、そのとき初めてラップバトルしたり、それまで韓国語でやっていたのが、日本語で即興のラップをしないといけないし。しかも、初対面の人の悪口を言わなくちゃいけないのが、私にはすごく苦痛でした。

    ――試合とはいえ、人の悪口を言うのは嫌なタイプなんですね。

     実は、けっこういい人なのかもしれないです(笑)。それでも出たのは、自分の限界を知りたかったんだと思います。とりあえず女の子にだけは勝とうと思っていたし。実際に勝てて、2回戦で男の子と当たって負けたけど、ぜんぜん悔いは残ってないです。

    ――出たことで何かが見えた?

     さっき話したみたいに、やったことのないことにチャレンジして、それで足跡を残せたのは「私ってエライ!」と思いました(笑)。

    ――今回のメジャーデビューはどのくらいの段階で決まったんですか?

     去年の夏くらいです。親友の“めっし”と一緒にやった「未成年 feat.めっし」という曲をインディーズで出して、チャート1位を獲ったんです。そうしたら、ビクターエンタテインメントさんからメールがきて。「え?」って。ビクターエンタテインメントが何の会社か知らなくて。検索したら、サザンオールスターズやいろんなアーティストが所属していて、それで「スゲ〜!」ってなって。「はいはい。私がちゃんみなです」と返信して、一度お会いすることになって、ビクターの会議室に通されて。それで「将来何になりたいの?」とか聞かれて、でもぜんぜん具体的なことは話してくれないんですよね。何度会って話をしてもそんな感じだから、なんかすごいうざくて、きっと女子高生と話したいだけの変なおじさんなんだなと思っていたんです。そうしたら、それがディレクターの方で。何だかぬるっと話が進んだ感じだったので「メジャーデビューが決まった。わーい!」みたいな実感がまったくないままなんですよ。

    ――実感がわいたのは?

     この間です。情報解禁されて、いろんな人からお祝いメールをもらって、やっと「やっぱり私ってメジャーデビューするんだな!」って。そこからもう、怒濤の如くスケジュールがパツパツなので、実感している暇がない感じです。デビューするのにすごく作業が多くて、意味わかんない感じのスケジュールでやっています。

    ――ああ、これがプロのやり方なのか〜とか?

     自分、ちょっと変わっていて。3歳から自分はプロだと思っていたので(笑)。でも、1歳半からずっとなりたいと思っていたアーティストに、18歳でいざなったはいいけど、じゃあそこから先何をするかまでは考えてなくて。夢が叶うものだとは思っていなかったから、この夢をずっと追いかけていくと思っていたんです。その夢が早くも叶っちゃったものだから「じゃあどうしよう?」って感じで。アーティストになる夢は、メジャーと契約書を交わすという明確なゴールがあるんですけど、アーティストになった先には明確なゴールがないし。

    ――でも、武道館でやりたいとか、そういうのはないですか?

     『ミュージックステーション』に出たいです。今18歳で、3月で高校を卒業するんですけど、20歳になるまでには、出たいと思っていて。タモリさんと同じサングラスをかけて出たいです(笑)。音楽番組といったら『Mステ』だし、誰でも出られるわけではないし。出られたら、また新しい一歩を踏み出せるような気がするので。

    アルバム『未成年』は良い意味でやりたい放題

    3月8日に発売されるちゃんみな「未成年」

    ――2月1日リリースのデジタルシングル「FXXKER」はかなり激しい曲ですね。

     メジャーデビューするからといって、決しておとなしくなんかなりませんという気持ちを込めて。どこまでも私らしく行くぞ、と。メジャーに行ったらおとなしくなっちゃうんじゃないかとか、変わっちゃうんじゃないかとか、心配しているファンもいるので。そういう人に安心してもらえる曲だし、3月に出るアルバム『未成年』の中でも、いちばん私らしい曲だなと思います。メジャーに行っても「やっぱり“ちゃんみな”だ!」と思ってもらえる曲です。

    ――音楽シーンを自分らしく盛り上げたい?

     そうですね。私みたいなタイプって、海外ではいたりするけど、日本にはいないと思うし。いないということは、それが難しいからだと思うんです。じゃあそれを私ができるのか? といったら、不安も少しありますけど。でもここまできたら、とことんまでチャレンジしたいです。それに、まだ18歳で、子どもですから。子どもであることを良い意味でいいわけにして、やりたいことを好きにやりたいです。アルバムのタイトルも『未成年』なんで。

    ――そう言えば、昨年のTeddyLoidさんとの「ダイキライ」は、すごくかっこ良かったですね。

     あれは、すごく大変でした。やったことのないトラックだったんで、どんな歌詞をハメていいかもわからないし。すごく追い詰められて、ヤバかったです。

    ――もともとDaokoさんの「ダイスキ」がありましたよね。

     でもトラックはぜんぜん違うし、歌詞でDaokoさんの真逆のことをいえば良いというわけではないし。でもせっかく選んでもらったんだから、期待に応えたいと思って。家だと集中できないから、朝までカラオケボックスにこもって歌詞を考えたり。気持ちを切り替えるために、山に登ってみたり、走ってみたりとか。そうやって、苦労して書いたんです。歌も、叫んでいるところがすごく多くて。何度も叫んだから、ノドがやられちゃって。いろいろありすぎて、思い出深い曲です。

    ――本当のプロの洗礼を受けたと。

     はい。もう日々、いろいろな洗礼を受けています。この間も歌ものの曲を録ったんですけど、シンガーの苦労が初めてわかりました。みんなこんな想いをして歌っているんだなって。尊敬しますよ。プロの側に立ってみて、初めて見えたことがたくさんありました。

    ――今後は、ヒップホップとかラップとか、こだわらずにやっていきたいですか?

     そうですね。アルバム『未成年』も、歌ものもあればピースな感じもあるし、レゲエっぽいのもあったりとか、すごくポップな曲もあって。良い意味でのしっちゃかめっちゃかさがあって、きっとウケると思います。

    ――今自分が考える、ラップとかヒップホップの魅力は? 何でこんなにも自分がハマったんだと思いますか?

     言葉が素直にぐ〜っと入ってくるからかな? 言葉のひと言ひと言が、刻まれていく感じがするんです。カカカカカカカカッて、入ってくる感じというか(笑)。自分でもよくわかんないです。聴いて好きなのは、ヒップホップやラップだけじゃなくて、普通の歌も好きだし。自分が表現する上で、得意なのがヒップホップやラップで、たまたまそれが自分にはハマったと思っているんで。だから、別に「自分にはラップしかない!」みたいな感じではないです。私が好きなのは、音楽なんで。だからいくらラップがかっこよくても、音楽としてかっこよくなかったら好きじゃないし。まあ、簡単にいうと、バイブスですね(笑)。

    ――歌詞を書くときは、どういうところから?

     ライフです。日常で感じたことや、昔感じたことを思い出したり。

    ――何か自分と同じ経験をしている人に届いたらいいなとか考えたり?

     こうして目立つ場所に出るようになると、ひどいことを言ってくる人が多くなって、応援してくれる人の言葉がなかなか入ってこない時期があって。悪口ばかり気になって、落ち込んだり「このやろー」と思うこともあって。でもライブに、あるご家族がきてくれて、私にすごく感謝していると言ってくれたんです。話を聞いたら、娘さんがいじめで不登校だったらしくて、私の音楽を聴いて学校に行く勇気を持てるようになった、と。知らない人から、まるで命を助けたかのような感謝のされ方をしたとき、私はこういう人たちのために音楽をやっているだなと思ったんです。

     ヘイター(憎悪主義者)のためにやっているわけじゃないんだと。それなのに私は、どうしてヘイターの声ばかり気にして、こういう人たちの声を聞けてなかったんだろう、と。そこで、私がBIGBANGに人生を変えられたように、「私も変えられるんだ!」と気づけました。1人の人間の人生を変えるのは並大抵のことじゃないし、人の心に響かせるのは、ほんとうにすごく難しいこと。それが私にはできたという経験が、すごく自信になっています。だから今後も、そういう人の言葉にひとつでも多く気づいてあげたいし、1人でも多くの人に直接歌を届けたいです。アルバム『未成年』には、そういう歌もあるので、ぜひたくさんの人に聴いてほしいです!

    (取材・撮影=榑林史章)

     ◆ちゃんみな 父親が日本人、母親が韓国人の韓国生まれ。2016年に開催された『第9回 BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』に出場し、類い希なるラップスキルとキャラクターで一躍注目を集める。2016年にインディーズで「未成年 feat.めっし」を配信リリースし、iTunes HIP HOPチャート1位を獲得。同年リリースの「Princess」は、MVが140万回再生を記録。同年11月には、“HAL”CMで使用されたDaokoの「ダイスキ」のアンサーソング「ダイキライ/TeddyLoid feat.ちゃんみな」に客演し、iTunes HIP HOPチャート1位を獲得した。2017年2月1日にデジタルシングル「FXXKER」でメジャーデビュー。3月8日には、メジャー1stアルバム『未成年』をリリースする。

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