音楽界の永久欠番を、FABLED NUMBER
 拘り抜いたロックサウンド

メジャーデビューアルバム『ILLUMINATE』はFABLED NUMBERの拘りが随所に感じられる1枚に仕上がった

 大阪で結成された、“エレクトロダンスロック”を提唱する6人組バンドのFABLED NUMBER(フェイブルドナンバー)が2月8日に、メジャーデビューアルバム『ILLUMINATE』をリリースする。2012年にN'TaichiとN'Eitaの兄弟が中心となり現メンバーで活動がスタート。バンド名の「FABLED NUMBER」には“永久欠番”という意味もあるという。歌をしっかり聴かせながらも、ロックとEDMを絶妙なバランスでミックスしたスタイルが特徴。メジャーデビューへの想いや、リードトラックに対する考え方、さらに音に対するこだわりや目指す場所など、N'TaichiとN'Eitaの2人に話を聞いた。

FABLED NUMBERは“永久欠番”

――結成までのいきさつを教えてください。

N'Taichi 2012年に今のメンバーが揃ったんですけど、FABLED NUMBERというバンド自体は07、08年くらいからで、僕とベースのN'Taichi、そして、ドラムのMr,Donuld BetchとキーボードのChii,pucchiの4人で動いていた時期もあったんです。そこに別で活動していた2人が加わって2012年に6人でライブをしました。

――音楽性は2012年から今の様な感じに?

N'Taichi また違う感じでしたね。今ほどダンスミュージックはしていなかったです。

――そこに行き着くまでの経緯は?

N'Taichi 2012年から約1年半くらいかけて、海外のミュージックシーンをずっと聴いていて引っかかった部分があったんです。「ダンスミュージック滅茶苦茶カッコいいな!」と思ったんです。それをバンドでやるとどんな感じなんだろうと。電子音が入っているバンドはたくさんいるんですけど、ダンスだけ出来るような間奏をやっているバンドはいないと思うし、それが単純にカッコいいと思ったんです。その中で王道なサウンド、曲、歌で、という所で自分達にしかいないという事を、何年先も見据えてやりたいと思って曲を作り始めたんです。

N'Eita ライブでのお客さんの乗せ方というのも自分達で考えていって、ロックバンドとしてのエレクトロの要素は、僕らはある意味変わった立ち位置になっていると思うんです。

――バンド名のFABLED NUMBERにはどういった意味が?

N'Eita “NUMBER”というのを曲と考えて、“FABLED”はいわゆる伝説的なという意味で。そういう1曲を作って残していける様なバンドになりたいという強い思いがあったんです。

――“FABLED”はあまり聞き慣れない言葉ですよね。

N'Eita 『遊☆戯☆王』(編注=高橋和希の漫画作品)でめっちゃ出てきますよ!

N'Taichi 『遊☆戯☆王』と関係ないけどな(笑)

N'Eita わかりやすいところですと、野球の“永久欠番”が“FABLED NUMBER”なんです。

――音楽界でもそうありたいと思いがあるんですね。

N'Taichi そうです! “FABLED NUMBER”は“永久欠番”という意味というと確かに分かりやすいかも。

――N'TaichiとN'Eitaさんはご兄弟なんですよね。昔から一緒に楽器を弾いていた?

N'Eita 家に広い部屋があるんですけど、バスケにハマっていた頃はそこでバスケをして。中学生になったらそこにアンプを置いてガンガンでかい音を鳴らしていました。

――素晴らしい環境ですね。

N'Eita そうなんです。けっこうな音量でバリバリ鳴らしてました。

――自然な流れで2人一緒にやるという流れが出来たんですね。楽器を鳴らし始めた時はどのような音楽を弾いていたのですか?

N'Taichi 当時はGLAYやL'Arc〜en〜Ciel、X JAPANのコピーをしてました。

N'Eita いとこが、X JAPANが大好きだったんです。HIDEさんが亡くなった頃にたくさんHIDEさんの音楽が流れていて、その影響もあって聴く様になったんです。X JAPANはテクニカルな部分も多くて、楽器が活躍するバンドじゃないですか? GLAYもそうですし、そういうのに憧れて当時はたくさん弾いてました。

N'Eita その頃は楽器やバンド系の雑誌も多かったですよね。

――「BANDやろうぜ」や「GIGS」など私もよく見てました。

N'Taichi 実際に僕らも「BANDやろうぜ」でメンバーを探しましたし。

何かインパクトのある名前を付けようと

――やはりメジャーデビューというのは一つの目標でしたか?

N'Eita 全員で「メジャーデビューしようぜ!」という感じは無かったけど、おのずと「メジャーに行かないとイカン」という気持ちもあったし、メジャーに行けば俺達の音楽を更に広める事に繋がるという意思はありました。だから「メジャーなんか行かないです」なんていう感じは全然無かったし、かといって「めっちゃメジャー行きたい!」という感じでもなかったです。

――手段の一つといった感じなのでしょうか。

N'Eita そうですね。僕らがメジャーデビューしたいというタイミングに「じゃあやろうよ」と。絶妙な時に2、3年の間ずっと親身になってくれた事務所が一緒にやってくれるという形になったのが良かったです。良いタイミングで全てが来ているという印象です。

N'Taichi どれだけ躍起になっていても、一緒にやってくれる相手が絶対に必要ですから。それが現れない事には、自分達がいくら思っていても形にはならないんです。

――人と人との繋がりですね。

N'Taichi 本当にそうです。

――去年の11月にメジャーデビューを発表されましたね。

N'Taichi もうそんなに経ちますか…。

――ファンの方々の反応はいかがでした?

N'Eita Ikki-Rodriguez(Programing, Sampler)のメイクが外れるということがニュースになったりして(笑)。メジャーデビューして一歩上のステージに行くという意思もはっきり見せられたと思うし、自分達もライブが終わった後にお客さんから「おめでとう」という感想がいっぱい来ましたし、やっぱりメジャーデビューして本当に良かったと思いました。期待に応えていかないとなと。

――Ikki-Rodriguezさんがずっとメイクをしていた理由は?

N'Eita 大阪のヘヴィなシーンでは、「何かひとつ目立たないと」という所があったんです。僕はずっと赤いパーカーを来ていて、彼はメイクをしていると。それを一つのコンセプトみたいにしてやっていたんです。僕らからしたらそれが何かの足枷になるとは全く思っていなかったんです。ただ、ミリオンロックフェスティバルという大きなフェスに出た時に、TVの放送で「悪魔や! 悪魔!」ってめっちゃ出てきたんですよ! これはけっこうな足枷になっているんじゃないかと(笑)。

 実際に、MY FIRST STORYとツアーに行った時にお客さんから「メイクしている訳の分からない奴がいるバンド」みたいな入り方をされたんです。でも、結局ライブをやったら凄く盛り上がって良い感じだったんですけど、たったそれだけの事でそう思ってしまう人がいるんだなと。パッと見のメイクで「何だこいつは?」という風に駄目な見方をする人を一人でも減らしたいと思ったんです。別に俺らはそういうつもりじゃなかったので「じゃあ外そうか?」という軽いノリで外しました。

――メンバーの名前もインパクトありますしね。Rodriguez(ロドリゲス)とか…。

N'Taichi 何かインパクトのある名前を付けようと。

N'Eita ただ「っぽい」ってだけなんですよ。飼っている猫の名前を付けたChii,pucchi、ドナルドダックが似合いそうなMr,Donuld Betch、とか。

――けっこうふざけて?(笑)

N'Eita Ikki-Rodriguezは「メキシコ人っぽいなあ」というところからです。それで一時期メキシコ人とのハーフという設定で活動をしていたんです。周りから「本当にメキシコ人なのか?」と疑われ始めたので、もうヤメました(笑)。

――N'TaichiさんN'Eitaさんの「N'」は苗字から?

N'Eita そこはそうですね。けっこう売れてきてカタカナや英語表記じゃなくて本名にしたいとなる時とかあるじゃないですか?だからそこは考えてイジらなかったと(笑)。

こだわりもしっかりと前よりも持てたんじゃないか

――楽曲はどのように作っているんでしょうか?

N'Taichi 歌詞とメロディは弟(N'Eita)が。

――それ以外のサウンドをN'Taichiさんが?

N'Taichi そうです。作り方は曲によってバラバラですね。アコギ1本から作ったり。

N'Eita 例えばカッコいいトラックを思いついたら、そこから組み立てていったりとか、そういった感じで全曲構成されている感じですね。

――今回のアルバムは、ダンサブルという点は一聴して分かると思うんですけど、バックトラックと歌の関係性が絶妙だと思いました。キック(バスドラム)ひとつ取っても、ダンサブルにガンガン出すだけではなく、歌を押し出す様なキックだったりするんですよね。

N'Taichi それはレコーディング環境とか第三者の技術力や意見など、色々と要素はあるんですけど、けっこう密に音作りを決めているんです。MIXが上がってきた段階の歌が乗っている状態で聴いて、「ここの部分だけちょっと下げよう」とか、本当に細かい所までやり尽くした結果の12曲なんです。

――ダンサブルな楽曲では、どちらかと言うと歌よりもノリを重視するという点が少なからずあると思うのですが、そこが絶妙な感じで調整されているという点がとても伝わって来るんです。そういったこだわりが音源から伝わってきました。レコーディングは地元でおこなったのでしょうか?

N'Eita 今回はガラッと環境を変えて東京でレコーディングしました。

N'Taichi しかもサウンドプロデューサーを付けてもらったんです。そういう体制は初めてでした。

――今までは全部自分達で?

N'Taichi そうですね。自分達と信頼できるエンジニアさんと京都で録るという感じです。今回も京都でやった曲もあるんですけど、基本的には東京でディレクターさんと一緒にやりました。

――客観的に聴いてもらいながらですね。

N'Taichi 客観性というのは重要なんです。僕らメンバーよりも周りの大人の方が多かったですし。今までに関してはそんなのはまず無かったんです。だから今までは自分の思っているアレンジなどが絶対的だったものが、「それじゃアカンな」と思える様になったというのは凄く成長出来たと思うんです。かつ、こだわりもしっかりと前よりも持てたんじゃないかと思います。

そう思われた時点でリードじゃない様な気がするんです

――今作で特に難産だった曲はありますか?

N'Eita 僕は「The Lights」の歌を後回しにしてしまっていたんです。歌っていってすぐ出来た曲もあるんですけど、「The Lights」に関しては全く出来てなくて。それでも一旦プリプロを上げなければならない締切りが来てしまって。とりあえずラフに録って送ったんです。結局それが1番良かったと言われまして。歌詞も「英詞でも良いよ」と言ってもらってたんですけど、僕の独断で日本語で書きました。

――歌詞からN'Eitaさんはロマンチストだなと感じました。

N'Eita まあ、1作目だったのでやっぱり。まだ自分には「誰かを後押しする曲」とか「何かをテーマにする曲」というのを書く段階ではないなというのが自分の意識の中にあったんです。自分的には内面をバッチリ見れるような歌詞で、一旦全部書き揃えたいという気持ちがあったんです。中でも「The Lights」はリード曲でもあったので、そういうのを全体を集約した中でも分かりやすく。もう一回書き直したりしなければいけなかったので。中身はしっかり出せたんですけど、歌詞的には難産というか。

――全体像が決まる前にリード曲に決まってしまった?

N'Eita そうです。歌が決まって、パッと「これがリード曲」という感じにはなりました。

――でも、収録曲どれもがリード曲になってもおかしくないという印象も受けました。

N'Taichi そうなんです。全部曲を作っている者の意見としては、どの曲もリードトラックなんです。「これがリードトラック」と言い聞かせておけばそれでOKなんです。

N'Eita たいちゃん(N'Taichi)は僕にも「これ、リードトラック級のやつやで!」と言うんですけど、もらう曲がだいたいリードトラック級になっていて(笑)

N'Taichi それって、「全部ホームランみたいでどうなんだろう?」と凄い思ったんです。だから変な話、捨て曲を作らないといけないのかとか、「何かを際立たせる為には何かを引っ込めないとアカンのか?」とか考えてたんです。けど、その中でも光輝かせる事は出来るという事が今回分かったんです。

 「早送りしない事の重要性」も分かりましたし。しっかりと全曲聴ける事の喜びみたいな感じです。「変に小難しい事をするのがサブトラック」という概念が僕の中にはあるんですけど、マイナー調から入って、でもその次の曲が明るいから、やっぱりこっちに行っちゃうという、人間の本能的というか、そういう所です。

 世間的にはリードトラックというものは分かりやすく構成されているものだと思うんです。「何でこれをリードトラックにしたんだろう?」というのもたまにあるじゃないですか? リードトラックって、そう思われた時点でリードじゃない様な気がするんです。悩みとしては「捨て曲が出来ない」という事で、今後の制作は大丈夫かと(笑)

――でも、全部リードトラックという感覚でも良いのではないかと思います。

N'Eita 結局リードトラックは歌詞の内容で変わるんですよ。「オーケストラック」や「World Joke」はリードトラックになる様な歌詞の内容じゃないですし。考える段階では、こんなの絶対捨て曲じゃないって出てきた瞬間に分かるんですけど、やっぱりキャッチーに伝えられそうなメロディがハマりそうな曲に、自分が一番スッと入って来るようなものを入れたり、逆にひとつひねくれている所がある部分は違う所に入れたりして調整するんです。12曲あって、「捨て曲作りたい」とは言ってるんですけど、たいちゃんは出したいという意思が強くて、全部出し切ったという感じがあるんです。

N'Taichi オケだけで自分でリードかそうでないか判断つくんですよ。イントロが始まっただけで「リードじゃない」というのは分かるじゃないですか? 「イントロが刺さらない」とか「ぬらりとしたイントロがきた」とか、そういうのが作りたくて挑んで、1曲だけ出来たんです。まあ、結果次回に回す事になったんですけど。だから今後はそういうのを増やして行きたいなと思っているんです。

――今作はトータルタイムが45分弱ですよね。アナログレコードを視野にいれているのかと思ったりしました。

N'Taichi アナログレコードは視野には入れていなかったですけど、サカナクションがアナログレコード特典みたいのやったじゃないですか? アナログレコードをやりたいなとは凄く思いました。

――こういった楽曲はアナログレコードだとまた表情が変わるのではないかと思うんです。

N'Taichi そういう見え方って良いですよね。

――あるバンドにインタビューした時に「アルバムを一つの物語として聴ける」という事を言っていたんです。アルバムの流れという面で、FABLED NUMBERの作品からもそういった事を感じました。

N'Taichi どれも飛ばして聴いて欲しくないですから。今回は「飛ばさせよう」なんて曲も作ろうと思ったんです。結局無理だったんですけど(笑)。でも色々考えた結果、やっぱり全部聴いて欲しいと思ったから、曲順を決める時も何か意味を持たせますし。

――曲順は重要ですよね。ちなみに1曲目の「2012」は結成時の西暦ですよね

N'Taichi そうですね。これは僕の中で難産だったんです。「2012」をどういう風に仕上げるかという事を一番悩んだんですよ。

――構想的には前からあった?

N'Taichi 無かったです。もう突発的に。ターミネーターみたいなのが好きだったんです。そういうのをやりたいと思っていたんです。全部情景描写的に曲を作っていって、ライブ空間か、全然関係ない所か、そういう風景を自分で思い浮かべて作っていきました。「2012」はライブのSEでも使おうと思っていたんです。

――N'Taichiさんは一度ハマるとずっと追求しそうな印象があります。

N'Taichi それが良くも悪くもだと思うんですけど。気になりだしたらもう無理なんです(笑)。

――そんな感じがします。音楽以外の事でもそうなんでしょうか?

N'Taichi 他はまあ適当なところもあるんですけど。音楽となると…。

――『ILLUMINATE』というタイトルは最終的に全曲揃った後に付けたのでしょうか?

N'Taichi これでいこうというのは、曲が出来る前に何個かあったんです。候補をいくつか書いていて「illumination」って何かカッコいいなって思って。「illumination」だったらみんな読めちゃうねという話もあって。それで「The Lights」という曲が出来て「ええやん!」って。基本的にアルバムタイトルと出来た曲のタイトルはあまり関連付けないんですけど、『ILLUMINATE』というタイトルはカッコいいし、ライブでも照明など“光”の要素は重要なので、それは取り入れていきたいと思ったんです。

「The King」はメンバーが成長してきたこだわり

――アルバムの最後に収録されている「The King」はインディーズの2ndアルバムに収録されていた楽曲ですが、改めて今作に収録した意図は?

N'Taichi 「The King」はただ単に名曲だからです。

――もちろん録り直して?

N'Taichi はい。

――インディーズ時代のバージョンから変わった点は?

N'Eita ピアノなど、シーケンスとして打ち込んだパートが抑揚感がないなという事で、全部レコーディングで弾き直しました。最初は1人で入れていた“ガヤ”もメンバー全員で録り直して、世界観が更に広がりました。

――一人で重ねてもトーンの違いなどから広がり方が違いますよね。

N'Taichi そうなんです。他の曲でもシンガロングしている部分は大人数で録り直したりしました。

N'Eita 「The King」に関しての大きなパワーアップは、メンバー皆が成長してきたこだわりが詰められているんです。この曲のコンセプトとしては、メジャーにいった時のリードトラックではないけど、自分達としてはアンセム的な曲を最後にというのがあって。この曲はお客さんに向けた曲でもあるんです。

――日本語と英語のバランスが絶妙ですね。

N'Eita そうです。分かりやすい所は分けてという風に。

――強調したい所は日本語で?

N'Eita はい。あと「The King」は日本語に合うメロディをしっかりと付けたかったというのもあります。歌詞を見ないと分からないと思うんですけど、内容はお客さんに向けて「自分達が成長していくんだよ」「君たちの為になれたらいい」ということを歌っています。そういった内容の曲がラストに入れられていいかなと。

350万円の借金して買ったアコギ

――「キライな君はもういない」の歌ですが、最後サビの<いらないさ♪>だけ歌声がかすれた感じですが、これは意図的に?

N'Eita 偶発的な感じだと思います。そういう感じの声が出るようなキーの高さに寄せていったんです。確かに「もうちょっとかすれる様な感じで歌ってみたら?」と言ってくれる人もいたんです。今までだったら「これでOKかな」と思ったのを「もう一回歌わせて下さい」という部分も多くて。声色もわざと変えたりしているんです。オクターブが上がる時は、これくらいの高さ歌いたいからというのも調整して歌ったりしたので、それが前の作品よりも表現力としてひとつ上がって人に響いたらいいなと思います。

――この曲のアコースティックギターも良い音ですね。これはどういった録音方法で?

N'Taichi エレアコではなく、ちゃんとマイクで拾って録りました。

N'Eita 「このギター滅茶苦茶イイ音が鳴る!」とエンジニアさんも言ってくれていたんです。僕が本気でバンドやるぞって頃は、たいちゃんが20歳で僕が19歳だったんですけど、「やるんだったら楽器全部揃えたる!」と言って、350万円くらい借金して買った中のアコギです。そのアコギをちゃんと調整したらもう滅茶苦茶イイ音で。

N'Taichi 前作から考えていたんですけど、今回はそのアコギをたくさん使おうと思っていたんです。とにかく使いまくろうと。

――「World Joke」のイントロでも聴けますよね。

N'Taichi そうです。アコギの音って、エレキギターで鳴らした音よりもアタックが近いんですよね。エレキは音が歪んで分散されて集約されるものがあるから、アコギだけだと弱い所にエレキを重ねて塩梅を良くしたりして、といった感じでアコギが随所に入ってるんです。

――Martin(アメリカの老舗ギターブランド)のギターですか?

N'Taichi そうです! 低音も凄く出るんです。それがまたベースが入っていなくてもその役割も果たすという事で重宝しています。

――「World Joke」も良いですし、何と言っても「キライな君はもういない」からの「Don't let me go」の流れが秀逸ですね。

N'Taichi そう、「キライな君はもういない」からいきなりの電子音の「バチバチ」のイントロで。「トワイライトシティ」の曲終わりも、ダンスな間奏があって、声をイジったメロディから4つ打ちが終わって、それでいきなりしっとりと来るじゃないですか? それが終わった後にちょうどこの「キライな君はもういない」を挟んでいるんです。だから「Don't let me go」のイントロに入った時のインパクトもあるし。

――これは仮に曲を入れ替えていたらまた印象は違うんでしょうね。構成に綿密な考えを感じました。

N'Eita 嬉しいです。アルバムとしての流れは単調ではなくて良いと思うんです。

――43分という時間も結果的にもう一周聴きたくなるというマジックもありつつ。

N'Taichi そうなんです!

――エレクトロサウンドとロックサウンドの融合の仕方が他のバンドと一線を画して、唯一無二の部分なのかなと。流行っているからと、ただエレクトロサウンドを入れて混ぜてればいいという訳ではないんですよね。最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

N'Eita メジャーデビューをするという事で、自分達のが最高にこだわり抜いた作品が出来ました。何よりライブで自分達の世界観を見せたいという想いが込もった楽曲たちなんです。ツアーでは成長した姿をバッチリ見せて、ファイナルの頃には「FABLED NUMBERを知って良かったな」と自信を持って言えるようなくらいに、2017年の夏までは大きく成長したいなと、今回のリリースを向けて思っておりますので宜しくお願いします。

――ちなみに目標の場所はありますか?

N'Taichi 日本武道館の2DAYSワンマンとか。

――2DAYSなんですね。

N'Taichi ソールドアウトしても一日だけだったら大赤字らしいので。

N'Eita 僕ら東大阪出身ということもあって、「大阪DIE ON ROCK FES」というフェスをやってるんですけど、それを東大阪のラグビー場でやりたいんです。そこ一帯が全部公園になっていて、中田ヤスタカさんたちと一緒にライブをやったりしているんです。

 東大阪としても実際にラグビーだけではなく、一般にももっと使って欲しいみたいな感じのところもあって、そういう音楽的な興行とかもやって欲しいみたいなんですけど、やろうと思ったら本当に何万人とお客さんを集められるようにならないと難しいんです。なにせ5万人くらい入るので...。なので「大阪と言えばFABLED NUMBERでしょ」と言われるくらいの大きなバンドになって、色々貢献出来たらなと思っています。当たり前のように日本武道館の2DAYS、「何だったらドームでも出来まっせ」くらいにはなりたいですけど(笑)。そのベクトルとしてやっぱり最終はそこにあるかもしれません。

(取材=村上順一)

作品情報

FABLED NUMBER
1st ALBUM「ILLUMINATE」
2017年2月8日 Release
CRCP-40496 2500円+税

1.2012
2.The Lights
3.夜の鼓動
4.オーケストラック
5.World Joke
6. Let You Cry, Let You Fly
7.Sing In A Night
8.Two
9.トワイライトシティ
10.キライな君はもういない
11.Don’t let me go
12.The King

リリースツアー

FABLED NUMBER presents 1st full album『ILLUMINATE Tour 2017』

2017/2/24(金)福岡Queblick w/ 彼女 in the display ※ツーマン
2017/3/16(木)神戸太陽と虎
2017/3/24(金)千葉LOOK
2017/3/30(木)金沢vanvanV4 w/ Xmas Eileen ※ツーマン
2017/3/31(金)富山Soul Power
2017/4/7(金)浜松FORCE
2017/4/14(金)京都GATTACA w/ HAPPY ※ツーマン
2017/4/21(金)広島CAVE-BE
2017/4/28(金)熊谷HEAVEN'S ROCK
2017/5/15(月)仙台MACANA
2017/5/26(金)高松DIME
2017/5/31(水)梅田AKASO ※ワンマン
2017/6/16(金)名古屋Electric Lady Land ※ワンマン
2017/6/30(金)渋谷O-WEST ※ワンマン

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